| 言うしかないと思ったから、言った。
そこで出てきた言葉は、飾り気のない、けれど真実の言葉だった。
「あたし、淳子さんが、好きです。ごめんなさい」
最後の「ごめんなさい」、は。
同性である彼女に対してそのような感情を持ってしまって「ごめんなさい」なのか、
こんな風に取り乱してしまって、自分に対する言い訳の「ごめんなさい」なのか、
作業を中断させてしまって、私のせいで時間のロスをさせて「ごめんなさい」なのか。
あたしの中ですら、そのどれともはっきりしないものだった。
それでも、最初の理由が、ある程度の割合は占めていたと思う。
淳子さんは、そういう世界の人とは無縁そうに見えたから。
だから、淳子さんからの返事を聞いて、驚いた。
淳子さんは何かを考えている素振りをして、
暫くあたしの肩辺りを撫でていたあと、徐に口を開いた。
そこから紡がれる言葉は、どんなに優しい断り文句なんだろう、
あたしはその瞬間を待っていた。
「私、か…。」
そう淳子さんはつぶやいた後、
「こういうこと、上長が思っててはいけないのは、分かってるんだけど」
彼女の発言一つ一つに、心のそこで怯えていたあたしがいた。
思わず、逃げ出したくなったところで、
「私も…、上条こと、好きだよ。こんなこと、言っちゃっていいのかな…」
気付くと淳子さんは、真っ赤になっていた。
あたしの心拍数も、一気に跳ね上がった。
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