ビアンエッセイ♪

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■19538 / inTopicNo.1)  TIME ∞ LAG
  
□投稿者/ Y 一般♪(1回)-(2007/07/31(Tue) 04:03:07)
    チクタクチクタク……




    今日も私の腕で静かに時を刻むのは




    あなたからのバトン




    あなたがくれた時間




    あなたの鼓動




    今ここに




    あなたは確かに生きています。




    友達でも




    恋人でも




    家族でもない




    でも




    私は今でもあなたを




    愛してる








    ………愛してた。

    (携帯)
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■19539 / inTopicNo.2)  - 1 -
□投稿者/ Y 一般♪(2回)-(2007/07/31(Tue) 04:58:08)
    新しい季節に咲誇る花が




    新しい風に吹かれてひとひらずつ舞い上がる




    何もかもが目新しいこの街で




    私だけがまだ
    はじめの一歩を踏み出せずにいた。




    だけど




    2003年 春




    泣けるほど晴れたあの日に




    運命の歯車は
    静かに廻り出してたんだ。




    キーンコーンカーンコーン




    新しい学校に来ても
    この音だけは全国同じ。




    職員室の中の、煙草とコーヒーと紙の匂いが入り混じった、どこか酸っぱいような独特な匂いも…やっぱり同じ。




    『じゃー櫻井さん、行こっか?』




    突然手を取られて
    ハっと我に返る。




    確かにこの人が今まで何か話しかけてきていた様な気はするが………




    誰だっけ。




    ぼーっとしていて、実際この人の話は何も聞いてなかった。




    とりあえず掴まれた手の行方に困っていると
    その人は持っていた手を放し、今度は両手を私の肩に乗せかえ、満面の笑みでこう言った。




    『そんなに緊張せんでも大丈夫!うちのクラスの子達、みーんな良い子やし、櫻井さんが転校してくるのをすごい楽しみにしとったけん!』




    あぁ、この人担任か。
    なんか誤解されてるみたいやけど…まいっか。
    どーでもいいし、めんどくさいし。




    作り笑いくらいならできるだろう。




    『ありがとうございます。』




    少し目を細めてこう返すのが、人見知りの私には精一杯。




    担任の先生は、色白で背が小さく少しぽちゃっとしていて、笑うと目がなるなる可愛らしい人だ。




    私の前をちょこまか歩くその可愛らしい先生は、教室に向かう間も何やら色々と話していたけど、良く喋るなぁ…とか、九州なまりが新鮮やなぁ…とか考えてたら、また話の内容が分からなくなった。




    直さなあかんな、この性格。

    (携帯)
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■19541 / inTopicNo.3)  - 2 -
□投稿者/ Y 一般♪(3回)-(2007/07/31(Tue) 19:59:27)
    【2-C】


    そう書いてあるプレートの前で先生は止まり、こっちを振り返ってニコっと笑うと、教室の扉を引いた。




    『はいは-い、皆ちゃんと座らんね!
    転校生の櫻井さん紹介してやらんよ〜!!』




    ざわざわしていた教室が静かになる…
    と思いきや、余計に黄色い声が飛び交う。




    『もぉ〜…あんたたちは…;;
    ごめんねぇ〜櫻井さん、入って!』




    教壇から手招きされたので、教室に入ると
    一斉にその場が湧き上がる。




    先生が黒板に私の名前を書き出す。




    さぁ、始まるのはベタベタの自己紹介タイム。




    転校は人生でもう4回目やけど、私はほんまにコレが嫌い。




    はぁ……ダルイ。




    『はい、えっとぉ…今日からA年間同じクラスになる、櫻井 颯(さくらいそう)さんです!
    お家の都合で大阪から…………』




    やっぱりこの人良く喋る。
    まぁでも代わりに喋ってくれて助かった…




    教室を見渡す




    ……………あれ?




    何やろ?この違和感。




    あ、女しかおらん。




    え、ほなココって女子校?




    そういえば、こないだおかんがそんな事ゆーてた様な……?




    その時




    『キクちゃん長いって!!』




    一際大きく甲高い声が教室に響いた。




    ビックリした。




    すると教室には笑いが巻き起こり、先生がごめんごめんと言いながら私の腕に絡みついて




    『それじゃあ、颯ちゃんに喋ってもらいまーす!』




    と、前フリを出した。




    やっぱり私は少し目を細めて




    『よろしくお願いします。』




    と言うのが精一杯。




    『という事で〜す!!
    皆、颯ちゃんが分かんない事は優しく教えてあげてね!
    先生が沢山喋りすぎちゃって颯ちゃんが話す事なくなっちゃったよね;;
    颯ちゃんごめんねぇ〜??』




    もう一度だけ目を細めてあげる。




    ………つか


    【颯ちゃん】って。
    さっきまで【櫻井さん】ゆーてなかった?
    別にえーけど。




    チャイムがなり、朝のHRの終わりを告げる。




    指示された席に着くと、周りにはすぐ人だかりができた。

    (携帯)
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■19542 / inTopicNo.4)  - 3 -
□投稿者/ Y 一般♪(4回)-(2007/07/31(Tue) 22:04:44)
    ばり綺麗やねぇ!


    顔ちっちゃ〜い!


    ほそーい!




    女の子って褒めたがる。
    なんでやろ?




    私はフランス人の父と日本人の母とのハーフ、らしい。




    【らしい】と言うのは、私が物心のついた時にはもう父はいなかったから。




    確か、出張にいく際の飛行機事故で死んだ…とか、とかおかんが言ってたような。




    あ、そうそう。
    だから背は174cmあるし、色は異様に白いし、髪の毛とか目とかの色素は薄い。




    日本人から見るといわゆる恵まれた容姿らしいが、どーでもいい。




    むしろ、目立ちたくもないのに目についてしまう自分の見た目が嫌いだったりもする。




    次々に湧き起こる質問攻めを適当にかわして、やっと鳴ったチャイムに心で小さくため息をつく。




    眠い。




    この学校で初めての授業は英語。




    幼少時代をニュージーランドで過ごした私にとって、日本の英語の授業なんて必要ない。




    私がついた窓際の席は春の陽射しがあたって、生暖かい風が吹いてきてなかなか気持ち良い。




    机に頭を伏せてみる。




    あ…やば、まじ寝そう。




    そう思った事までは覚えてる。




    ………?
    誰かが私の髪を触ってる。。。?




    そんな気配に気付いて、目が覚めた。




    目だけを開けてみたけど、誰もいない。




    気のせいか。




    そう思ってもう一度目を閉じると、やっぱりまた誰かが私の髪を触っている。




    今度は体を起こすと、前の席に座っていた子がこっちを向いて座ってる。




    『綺麗な髪。』




    え?




    『やなーって思って。』




    いきなりの事で静かに固まっていると、その子は微笑みながら


    『これ、ついとったよ。サクライさん。』


    と、一枚の桜の花びらを私の机に置いて、クルっと前を向き直した。




    開いた窓の外を見ると、校庭には沢山の桜が咲いていた。




    少し風が強くて




    前に座るその子の髪も揺れていた。




    直毛な私の髪とは全然違う




    細くてやわらかそうな
    いかにも女の子らしい髪だった。

    (携帯)
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■19543 / inTopicNo.5)  - 4 -
□投稿者/ Y 一般♪(5回)-(2007/08/01(Wed) 02:56:25)
    授業が終わると、さっきの子がまたクルっとこっちを向いたかと思うと


    『ねぇ、さっきの桜もらってもいい?』


    と、突然言ってきた。




    いや、別にいいけど
    机の上にはもうさっきの桜の花びらは見当たらなかった。




    『ごめん、どっかいっちゃっ……。』




    そう言いかけた所に
    また強い風に吹かれ、窓から桜の花びらが舞い込み、その子の頭に止まった。




    だから、それを取って




    『これでもいい?』




    と言って渡した。




    その子は子供みたいな笑顔で大きく頷いた。




    『私、かのん。
    沢田 奏音やけん、よろしくね。』




    へんな子。




    苦手な笑顔で軽く会釈を返して、鞄から読みかけの小説を出す。




    あまり人付き合いは得意じゃない。




    人に興味を抱く事もない。




    それなりに男性とも付き合ったりしたけど、依存なんてもっての他。




    いわゆるスキンシップも好きじゃないから、大人っぽく派手に見られがちな見た目とは裏腹に、キスもセックスも好きではなかった。




    求められれば拒む事もないけど、自分から求めた事もない。




    基本、何にも欲がない。




    だからいつも一匹狼キャラやけど、それが楽。




    面倒な事にも巻き込まれないし、干渉もされないから。




    とりあえずこの沢田さんって人ともこれ以上何を話していいかも分からんし、かと言ってどこかに行くにもこの学校の事なんて知らんから、鬱陶しがっているのかと誤解はされるかもしれないが、黙って本を開いて読み始める。




    そうすれば、この子も気まずくなってどこかに行くやろうし……




    …と思ってたのに。
    奏音は黙って動かずにこっちを向いたままこの場を離れない。




    しばらくそんな状況下で読書をしていたが、しびれを切らして奏音を見ると目が合った。




    それだけでも驚いたのに、挙句の果てには




    『どうしたの?』




    なんてニコニコしながら聞いてきた。




    いや、完全にそれこっちの台詞やろ。笑




    『沢田さんこそ、どうしたの?』




    そう返すと




    『沢田さんやけど、かのんだよ。』




    と返ってきた。
    そして、すぐに




    『綺麗な髪やなって思って。』




    と続けた。




    それしか言えへんのかな?
    やっぱり変やわ、この子。(笑)


    (携帯)
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■19544 / inTopicNo.6)  - 5 -
□投稿者/ Y 一般♪(6回)-(2007/08/01(Wed) 03:41:23)
    今日は午前だけで学校は終わり。




    帰りの支度をしていると、キクちゃんこと担任の菊池先生が私の元に来て


    『颯ちゃん、部活はどうするか決めとる?』

    と聞いてきた。




    小学校から続けてるバスケをしようと決めていたから


    『はい、バスケ部に入ろうと思ってますが。』

    と言うと


    『そっか、じゃあのんちゃんと一緒やね!
    のんちゃん案内してあげてね?』


    と、奏音の頭をぽんっと叩いた。




    この子もバスケ部なんや。
    なんか女の子らしいのに意外やな。




    はーい!と先生に返事をして


    『行こっ、さくら!』


    と手を引っ張られた。




    【さくら】?




    それを言うなら【さくらい】やし、今まであまり名字で呼ばれた事もない。




    部室に向かう途中も、ずっと手は繋がれたまま。




    150cmしかない奏音の歩幅は小さくて、私はいつもの半分位の速度で歩いた。




    呼ばれ方、つっこみたいけど…別にいっか。




    『桜がついてたからさくらね!
    あ、でもさくらいとカケたとかやないけんね!』




    まるで心の声が聞こえてたかのようなタイミングで奏音が私を見上げながら言った。




    なんとなく不安だったのだが、とりあえず身の毛もよだつギャグではなくて良かった。




    『じゃあアレがもし梅の花やったら、私はうめって呼ばれてたん?』


    と聞くと


    『ううん、お梅。』


    と真顔で言われた。




    思わずフっと笑ってしまうと、やっぱり奏音は真顔で


    『いや、梅子かな。』


    と言い直した。




    桜で良かった…




    そうこうしてる内にバスケ部の部室に着いた。




    中に入ると、何人かの部員達が着替えている所で、奏音は皆におはよ〜と言ってその中の1人の所に歩み寄った。




    『あや、こちら転校生の櫻井颯ちゃん。
    今日から部員追加で!』




    すると、笑顔満開で




    『まじで!?
    ばり綺麗やし!!
    てか背ぇ高っっ!!
    うちこれでもキャプテンやけん(笑)
    3年の池田亜也です!ヨロシクね!!』




    さらさらなショートカットでスレンダーな、いかにも女子バスです!みたいな亜也が、いきなりトップのテンションで自己紹介をしてくれた。




    そして、奏音が


    『とりあえず今日は見学でもしていきぃ?』


    と、また手を握って体育館まで連れていかれた。

    (携帯)
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■19545 / inTopicNo.7)  - 6 -
□投稿者/ Y 一般♪(7回)-(2007/08/01(Wed) 06:11:29)
    意外だと読んだ通り、奏音はバスケ部のプレイヤーではなく、マネージャーだった。




    部員達が着替えて体育館に到着する前に、部活動が円滑に始められる様、奏音の指示でマネージャー陣がテキパキと効率よく準備を進めている。




    女子バスのマネージャーは3年生が2人と2年生が3人の計5人。




    何でこんなにマネージャー多いんかな…?





    そんな疑問が解消されるのはこれから約5分後。




    ゾロゾロと体育館に入って来たプレイヤー陣の数に圧倒される。




    さっきニコニコ挨拶をしてくれた亜也を筆頭に、ざっと40人以上はいそうな大軍隊。




    そういえば、体育館広いし、他の部活が使用する気配もない。




    九州って、そんなにバスケ部が人気なん?


    『全員揃った〜?』


    亜也の問掛けに、ハイ!!っと各々元気のいい返事をする。


    『じゃ〜今日は始める前に、美人新入部員の紹介するけん!
    皆見とれないよーに(笑)』


    こっち来て、という様に手招きをされて亜也の隣に行くと、私より少し背の低い亜也が肩を組んで


    『はい、今日からうちの彼女の〜…って違うね(笑)
    今日2-Cに転校してきた………えーっと…んー……ナントカ颯ちゃんです!!(笑)』


    一斉に部員達が笑って亜也の人望のあつさを物語る。


    『櫻井です。よろしくお願いします。』


    それだけ言って頭を下げると、亜也が始め〜!と言ってウォーミングアップが始まった。




    その様子をぼーっと眺めていると、マネージャーの1人が話しかけてきた。


    『颯ちゃん…やったっけ?
    私は3年の早川まなみ。女子バスのマネージャーリーダーやけん、分かん事があったら何でも聞きぃね?』


    妙に大人っぽいというか、ほんまに高校生?
    っていう位の色気を持ち合わせた人。
    透けるように白い肌と華奢な体で、何故か笑顔がどことなく寂しそうなのがまた大人の女っぽさを強調させる。




    生まれて初めて




    女性に…というか、人にドキっとした瞬間だった。




    そしてこの出会いが、最初で最後であろう私の、命をかけた大恋愛の幕開けだった。

    (携帯)
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■19546 / inTopicNo.8)  - 7 -
□投稿者/ Y 一般♪(8回)-(2007/08/01(Wed) 07:02:38)
    私の横に立って
    前を向いたまま
    ゆっくりと、静かなトーンでまなみが喋り出す。


    『部員が多くてびっくりしたでしょう?

    うちの高校はバスケが有名やけんね、お陰様で体育館も占領させてもらいよるっちゃけど、その分練習はキツイし、朝練だってどの部活よりも早いし、亜也も普段はあんなんやけどバスケとなったら鬼になるけん、毎年入ってくる沢山の新入生も3ヶ月後には半分残ってたらいい方なんよ…(苦笑)

    見ての通りこの大人数やから、レギュラーになれずじまいで高校生活が終わる子達も沢山おるし。

    今んとこインターハイ7連覇中やけん、亜也も特に自分がキャプテンをつとめる今年は負けるワケにいかん!って意気込んどるみたいでね。

    やけん、練習でキツイ事言われるかもしれんけど、本人も悪気はないけん、颯ちゃんがバスケ好きならやめんでね?』


    遠い目をして、そう一通り話すまなみは、まるで亜也の年上の奥さんみたいやった。




    確かに、経験者から見てこの学校のバスケのレベルが高いのは一目瞭然で、まなみの言うように、亜也も先程とはまるで別人の様に大声で怒鳴ったりもしている。




    ただ、その分ナイスプレーには大袈裟な位褒めちぎっている。




    バスケだと、こういう熱さも苦にならない。




    私の人生で、バスケだけは譲れない。




    唯一、颯が自分の中に熱いものを感じられるのも、バスケをしている時だけだった。




    それでも周りからはクールにプレイしている印象を持たれんねんな。




    『安心して下さい。
    バスケ好きなんで、やめませんよ。
    低血圧なんで、朝は危ういけど。』




    私も前を向いたまま返事をする。




    すると、まなみは顔だけこっちを向いて、ありがとうと微笑んだ。




    時折、亜也がこっちを見てニッコリ笑う。




    女子校は初めてやし、ただでさえ恋とか愛とか良く分かれへん上に、同性同士やけど…




    でもなんとなく




    亜也とまなみがお互いに好意を持ち寄っているのは、分かる気がした。




    ただ、それ以上の事は気にならないし、知りたいとも思わない。




    私には関係ないし




    別に同性愛に偏見もない。




    もう一度言うけど




    私は人に興味がない。




    はず




    やねんけどね。




    あの寂しそうな笑顔の理由が




    ほんの少しだけ、気になったのも事実。

    (携帯)
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■19547 / inTopicNo.9)  マジおもしろい
□投稿者/ 希深 一般♪(1回)-(2007/08/01(Wed) 07:32:22)
    博多弁のって珍しいけん、読みよったらハマってしまった☆頑張って最後まで続けてください(((^^)

    (携帯)
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■19548 / inTopicNo.10)  希深さん♪
□投稿者/ Y 一般♪(9回)-(2007/08/01(Wed) 15:23:17)
    コメントありがとうございます(´`●)!
    実は初めての試みなんで、ちゃんと書けてるかかなり不安やったんでめっさ嬉しいですK
    感想や応援を頂けると、やる気倍増です☆
    まだまだ長くなると思いますが、最後まで頑張るので見届けてやって下さい♪
    また感想聞かせて下さいね(*^_^*)

    (携帯)
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■19549 / inTopicNo.11)  - 8 -
□投稿者/ Y 一般♪(10回)-(2007/08/01(Wed) 15:54:57)
    数日後




    学校や練習にもぼちぼち慣れてきた頃に、腕試しと言って参加させられた3 ON 3で、颯は部員の度肝を抜く事になる。




    颯のバスケの腕前は、もう既にプロチームからのスカウトの声がかかる程の実力。




    ゲームが終わると、亜也が興奮しながら駆け寄ってきた。


    『颯っっ!すごいやん!!
    うちにバスケ教えて!!(笑)』


    昔から、バスケで褒められるのはほんまに嬉しい。




    容姿とか、成績とか
    そんなんは全然何とも思わんけど、バスケだけは素直に嬉しい。


    『ありがとうございます。』


    自然と顔がほころぶ。




    すると、奏音も寄って来て


    『さくらバリかっこ良かったばい!!』


    と言ってタオルをかけ、冷たいお茶をくれた。




    一休みする為に腰を掛け、汗を拭いて束ねていた髪のゴムを解く。




    腰ほどにまであるストレートで綺麗な髪がさらっと落ちる




    颯の髪は、いわゆるバージンヘアー。




    色は元々、程よく明るめな栗色なので染髪はした事がない。
    それに、パーマやエクステなんかもした事がないので、毛先ですら全く傷んでなくて、天使の輪がくっきりとある。




    『さくらの髪、やっぱ綺麗やね。』




    奏音がそう言った時


    のんちゃ〜ん!!


    と、怪我をした部員が向こうから奏音の事を呼んだ。


    『呼ばれてんで、【のんちゃん】。』


    麦茶片手に指を差すと


    奏音は、丸い目を更に丸くして


    『初めてやん!名前呼んでくれたの!』


    と照れたように笑って、呼ばれた先に走って行った。




    そう言われてみれば
    人を呼ぶ時は、大概決まって、なぁ…とか、あのさ…とか。




    そもそも自ら話しかける事は滅多にないけど。




    せやけど、あんな風に喜ばれたらどこか嬉しい気持ちがしないでもない。




    小動物みたいな不思議ちゃんが照れてる所が可愛いかったから、これからはたまに呼んでみよう。




    そんな事を、体育館の入口から見える空を見ながら考えていた。




    絵に書いたような青と白。




    今日は風も弱いから
    雲の動きも遅い。




    しばらくじーっと見ていると、寝てまいそうになったから




    あかんあかん、と軽く頭を振って、冷たい麦茶を一気に飲み干した。

    (携帯)
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■19550 / inTopicNo.12)  - 9 -
□投稿者/ Y 一般♪(11回)-(2007/08/01(Wed) 17:00:58)
    『いい顔で笑えるやん?』


    背後から突然聞こえた声にビックリして振り向くと、まなみが立っていた。


    え?という顔で返事をすると


    『バスケしてる時。
    いい顔で笑えとったよ?
    颯は愛想笑いしかできんのかと思いよった(笑)。』


    なんやねん、それ(笑)


    『人間なんでね。
    そりゃ楽しけりゃ笑いますよ。』


    背中越しに答えると
    まなみはフフっと小さく笑って、私の髪を結わえだした。


    『綺麗な髪ね。
    颯に似て真っ直ぐって感じ。』


    女性の手付きというのだろうか、手ぐしで優しく頭を触れられているのが、なんか妙に心地いい。




    こんな風に触れられるのは、初めて。




    いや、小さい頃おかんにしてもらってたんかな?




    だからなんだか懐かしい様な、安らげる様な気持ちになるんかな。


    『私、ひねくれてますよ。』


    そう言った自分の声が、穏やかな声に感じた。


    『真っ直ぐよ、颯は。
    羨ましいくらい…。
    人って素直な人の前やったら素直になれるのが不思議やね。』


    後にいるから確かではないけど




    そう言ったまなみの手と声は小さく震えているような気がした。




    でーきたっ。
    そう言って頭を撫でられる。


    『ありがとうございました。
    無理して笑うのは疲れますからね。
    その分たまには泣いてあげないと可哀相っすよ。
    先輩しゃがめば私で隠せますから。
    私、ここにいますから大丈夫ですよ。』




    ………………っ……
    ちょっと…ゴメン……
    颯っ…ありがとう…




    まなみは声を殺して泣いていた。




    何があったのかは知らない。




    ただ、亜也はご機嫌だから亜也と何かあった訳ではない………と思う。




    とか、珍しくちょっと他人を気にしてる自分と
    さっき柄にもない様な事を言った自分に
    少し笑いそうになった。




    励ましの言葉をかけたりするのは不得意だ。




    だから、もうこれ以上かける言葉は見つからない。




    後ろで私のTシャツを掴んで泣いているまなみの為に、温かい言葉ってゆーやつを一生懸命考えてみてんけど、あかんかった。




    だから左手を後ろに回して、そのTシャツをかたく握る手を、片方だけ取って軽く握ってみた。




    すごく強い力で握り返してきたから
    私も力を強めた。




    その繋いだ手におでこをつけて泣いているまなみ。




    私、最後に泣いたのいつやろう。

    (携帯)
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■19551 / inTopicNo.13)  - 10 -
□投稿者/ Y 一般♪(12回)-(2007/08/01(Wed) 21:57:36)
    帰りの電車で、クラスは違うけど同じ学年で同じバスケ部らしい美帆という子に話しかけられた。


    『櫻井さん、今日すごかった〜!
    美帆ね、高校からバスケ始めたけんまだ全然ダメダメっちゃんね〜…;;
    最初はね、ぶっちゃけ亜也先輩目当てで入ったんやけど(笑)
    今は純粋にバスケが好きやけんやりよーっちゃん!
    櫻井さんはバスケしよる時別人みたいよね!?』




    一見スポーツになんか興味なさそうな出で立ちの彼女。




    茶色い巻き髪に、化粧バッチリのつけまつ毛で
    いかにも女子高生!!
    って感じの子。




    でも、喋ると中身はすごく素直ですれてない良い子なのは分かんねんけど。




    『ありがとう。
    バスケ楽しいやんな?
    これからもヨロシク。』




    ぶっちゃけ頭の中の半分は空腹が占めてて




    あとの半分はそれによる眠気がMAXの状態。




    今日は変な事もあったし、もう頭とか気を使える気がしなくて、わざと会話が終わるように発言をしてしまう。




    最低やろ?
    うん、私が一番知ってる。




    ごめんな、美帆ちゃん…?やったっけ。




    ほんの少しの罪悪感を感じながら、フォローするにもどうしていいか分からないから、日が暮れたばかりの窓の外を黙って眺めていた。




    すると


    『良かったぁ……。』


    横から漏れるような声で聞こえてきた言葉。




    …え?
    聞き間違いかな?




    隣にいる美帆に視線を落とすと、美帆もこっちを向いてニコニコしている。




    何でこの子笑ってんねやろ?


    『本当はね、櫻井さんに話しかけるの少し怖かったっちゃん。(笑)
    やけん、話しかけても無視されたらどーしようって思いよって…;;
    でもバスケすごいし、どうしても友達になりたくて、嫌われてもいいけん話しかけてみよう!って思ったと。
    でもちゃんと話してくれたけん!
    良かったぁぁぁ……って思って。。;;;』




    な、なんか…




    更に罪悪感。




    確かに良く怖いだの、近付き難いだのは言われる。




    だけど別に自分では普通にしてるつもりやし、無理して笑うのはもう沢山。




    人を避けて生きてきたのは、私だ。




    でも、こんなに真っ直ぐ向き合ってくれる子に何て失礼な態度を取ってしまったんやろう…と反省して、今の自分にできる限界の笑顔で笑ってみた。




    美帆は何度もありがとうと言っていた。

    (携帯)
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■19552 / inTopicNo.14)  - 11 -
□投稿者/ Y 一般♪(13回)-(2007/08/02(Thu) 01:58:12)
    あれから美帆は安心した様に喋り続け、気がついたら連絡先も交換していた。




    私より2つ前の駅で、しつこい位に手を振りながら降りて行く美帆に手を軽く挙げる。




    次の駅に着く頃には、滅多に鳴らない私の携帯が鳴る。




    【受信メール】
    差出人:佐伯 美帆
    件名 :初メール↑↑

    本文 :ちゃんと届いとーかいな(≧▽≦)?
    みぽりんだよん♪
    今日は勇気出して颯ちんに話しかけて良かったぁ〜☆
    明日も朝練頑張ろうね(^O^)!!




    メールからでさえ伝わってくるこのハイテンション…




    素晴らしいよ。
    私も少し位は見習うべきなんかな?




    ちょい待ってな、想像してみる。




    うん、ナイ。




    そんな私を私は知らない。笑




    悩んだ結果




    【そうやな。私朝苦手やからはよ寝るわな。おつかれ。】




    と返信をして、携帯を閉じた。




    家に着いてリビングに直行すると、珍しくおかんがソファ-に座って寝ていた。




    起きてる時とは別人の様な子供みたいにあどけない寝顔。




    ブランケットをかけると、目を覚まして


    『あ、帰ってたん。
    おかえり。』


    と、こめかみを両手で抑える。




    元々偏頭痛持ちで低血圧やからこの人の寝起きはいつもこんな感じ。




    私が朝弱いのも、綺麗にこの人の血を継いだから。




    それにしても、久しぶりに見たおかん…
    また痩せた。




    どうせまた無理してるんやろう。




    『うん、珍しいやんこんな時間に家おるなんて。
    ちょっとスケジュール詰めすぎなんちゃう?
    もーちょい体の事も考えな、えぇ年やねんから。』


    冷蔵庫から取り出したジャスミンティーをコップにふたつ注いで、その内の一つを手渡しながら言う。


    『ガキは黙って飯食って育ってりゃえーねん★』


    そう言って受け取ったジャスミンティーを一口飲んでテーブルに置く。




    煙草の箱が空だったようで


    『一本ちょうだい。』


    と、16の娘に平気で言う。




    これが、私のおかん




    バリバリのキャリアウーマン




    俗に言う新鋭産業の女社長。

    (携帯)
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■19553 / inTopicNo.15)  - 12 -
□投稿者/ Y 一般♪(14回)-(2007/08/02(Thu) 02:27:11)
    まぁ…それで持ってる所が私もさすがこの人の娘。




    吸いかけのKOOLを


    『あげるよ。』


    と投げる。


    『さんきゅ〜♪』


    と火を点けて一口吸うと


    『うわ!これメンソールやん?!
    私メンソール吸われへんし!!

    ほんま16年も娘してんのに親の事何も分かってへんわ〜……はい、これ返す。

    煙草カートンで二つ買って来といて?
    あんたのそのマズイやつも買ってきてえーから。

    ほな私自分の部屋でちょっと睡眠取ってるから、ご飯できたら起こしてな♪。』




    そう言ってリビングの隣にある自分に入って行く。




    。。。。。はぁ。。




    どっと疲れた。




    大きく一つため息をついて、とりあえずおかんがソファーで飲んでいたらしきワインを片付ける。




    まだ結構残ってたから
    一口飲んでみると
    想像以上に渋みが強くて吐き出しそうになった。




    だから嫌いやねん、年代物のワインは。




    ラベルを見ると1963年物。




    これは、亡くなったおとんの生まれ年だ。




    おかんが、しんどい時や寂しい時に1人で泣きながら飲むのを知ってる。




    ワガママやし、自分勝手やし、デリカシーないし、子育て放棄してるし、無理ばっかりするどうしようもない女性やけど




    本当はすごく繊細でもろい人なのも分かってるから、私もできるだけ心配をかけないようにやってきたつもり。




    よし、しゃーないから今日はあの女性の好きなフレンチにしてやろう。
    なんか凹んでるみたいやし。




    料理の腕ならその辺のシェフには負ける気がしない。




    なんてったってうちの女王様は舌が肥えていらっしゃいますからね。




    そりゃあ鍛えられましたとも、自分は卵焼きひとつ作られへんくせに。




    小さい頃から、いつも沢山の料理本を買ってきては、これが食べたい♪って言って来る。



    まぁ…
    食べたい

    イコール

    作れ
    なわけで、勉強するには不自由ない程の教科書が揃ってるという訳ですよ。




    テキパキと主婦業をこなし、久々に親子でディナーなんてしちゃって、晩酌に付き合わされた後、お風呂に入ってやっと就寝。




    こう言うのもなんやけど、学校から帰っておかんがいると私のいつもの生活ペースが乱れる。笑




    ベットに入って時計を見るともう2時近かった。




    もうムリ…
    眠い。

    (携帯)
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■19554 / inTopicNo.16)  - 13 -
□投稿者/ Y 一般♪(15回)-(2007/08/02(Thu) 03:51:15)
    AM 5:50


    携帯が鳴ってる。




    アラームや。
    起きなあかん…




    ………あれ?
    アラームってこんな音やったかな?




    目を閉じたまま、手探りで携帯を探す。




    見つけて画面を開くと、やはり鳴っていたのはアラーム音ではなくて着信音。




    でもコンタクトを外しているから誰からの着信か見えない。




    こんな時間に電話をかけてきそうな知り合いなんて1人もいないので、まだ8割方脳は眠っている状態で、とりあえず不審に思いながらも出てみる。




    『はい』


    「もっしぃ〜♪」


    『………。』


    「あれ?もしもし〜?
    もしもぉ〜し??」


    『…だれ?』


    「あ、起きてた!美帆だよぉ〜(笑)
    分かるぅ??」


    ………ミホ?
    何か知ってるけど誰やっけ?


    …………………
    あぁ、昨日の。


    『何?』


    「モーニングコール♪
    朝苦手っちゃろ〜??
    やけん起こしてみたと!」


    あと10分寝れたのに。
    つか頼んでへんし…
    いや、でも昨日遅かったからいつものアラームの音じゃ起きられへんかったかもしれんしな。
    とりあえずお礼言っとくべき所やろ、ここは。


    『あぁ、そーなん。
    ありがと。ほな。』


    電話を切ると
    大きく背伸びをしてベットを出る。




    身支度をしてリビングに行くと、テーブルの上に走り書きのメモが置いてあった。




    【煙草吸い過ぎ注意!
    今日の夜は中華がいい!
    あと、会わせたい人がおるからご飯多めに作っといてな!】




    昨日私が寝てからも1人でまだ飲んでたくせに、もういないとは……ほんまタフな人。




    つか、会わせたい人って…




    彼氏かな?




    とうとう来たか。




    別に父親の記憶があるわけではないし、親やからって恋愛するのは自由やと思う。




    おかんが再婚したいと言うなら別にしたらえぇと思うし、反対はせーへん。




    けど、なんやろうこの気持ちは。




    寂しいとかじゃなくて、心のどこかで拒否したくもなる。




    きっと一番の理由は
    この家に他人が一緒に住む事になるのが嫌なんやと思う。




    ずっとおかんと2人やったし、おかんはバリバリに働く人やから、家では1人で過ごす事が多かった。




    小さい頃は寂しいと思った事もあるけど
    今はそれが心地良い。




    男性と住んだ事がない私。




    上手くいく訳ない。

    (携帯)
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■19555 / inTopicNo.17)  - 14 -
□投稿者/ Y 一般♪(16回)-(2007/08/02(Thu) 04:37:41)
    朝からちょっと既に疲れ気味。




    学校に着くと、奏音が膨れっ面でやってきた。


    『さくらのアホ!』


    ……はい?
    状況が全く理解できない。


    とりあえず携帯で時間を確認してみたが、朝練に遅刻しているわけじゃないし。


    すると


    『ノンが一番にさくらの番号聞こうと思いよったのにぃ!!!
    美帆に先越されたし!!!』


    そう言って私の手から携帯を奪い、奏音が自分の番号とアドレスを登録している。




    あっけに取られていると、美帆がやって来て


    『朝起こしちゃってごめんね…;;
    もしかしてもう少し寝れる時間やった…?
    さっき颯ちん起こした話をしてたら、ノンちゃんヤキモチ妬いちゃったんだよね〜(笑)』


    奏音は登録した自分の携帯にワンコールをして、今度は自分の携帯に私の名前を登録している。




    ストレッチをしながらその作業を見てると、必死な姿が面白くて笑けてきた。


    『なん笑いよーと!
    笑いごとじゃないっちゃけんね!!』


    と、顔を真赤にして携帯を私に返し、他の部員に自分の携帯を自慢気に見せていた。




    オンナノコって、分からない。




    もくもくとウォーミングアップをしていると、まなみが


    『朝からモテモテやぁ〜ん☆』


    と冷やかしてきた。


    『良く分かんないです。』


    正直に言うと、まなみは笑いながら


    『颯らしい♪』


    といって、私に背を向けた。


    『昨日は…ありがとう。
    颯の手暖かかった〜。
    突然でビックリしたでしょ?!
    ごめんね…もう大丈夫やけん!』


    そう言って振り向いた顔は、やっぱり寂しそうに笑っていて…


    『心が冷たい人は、手が暖かいらしいですよ。』


    そう答えると、今度は本当に楽しそうに笑った。


    『今、いい顔で笑ってますよ。』


    昨日、まなみに言われた台詞をそのまま返す。




    まなみは、ありがとうと言って亜也の元に走って行った。




    皆、それぞれ色々あるんやろう。




    私も、朝から色々考えたしね。




    中華かぁ……




    おかん、まさか今度は中国人とか?





    まぁそれは冗談として……
    あの女性、確か中華はそない好きではなかったはずやねんけどな。




    恋ってすごいですね。




    私は誰を好きになってもニンジンは好きになれへんと思うけど…なんて考えていると



    『始めるよ〜!』


    と亜也の声が響いた。

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19556 / inTopicNo.18)  - 15 -
□投稿者/ Y 一般♪(17回)-(2007/08/02(Thu) 06:57:17)
    朝練のある日は、大体2限目まで寝る。




    今日の3限目は体育。




    たっぷり寝て、ちょうど体を動かしたかったからちょうどいい。




    更衣室に行こうとすると、奏音に呼び止められた。


    『ちょっと!さくら!
    どこ行きよーと?!』


    え。だって体育やろ?


    『着替えやけど。』


    すると、やっぱり…みたいな顔をして席に連れ戻された。


    『今日の体育は5月の球技大会についての話し合いって朝のHRでキクちゃんが言いよったやろ!?
    さくらって、もしや天然?(笑)』


    えーまじで。
    つか、天然ちゃうし
    朝のHRとか寝てたから知らんし。。
    まぁ…昨日寝んの遅かったからもう1限分寝ろって事かな。


    『そうやっけ。』


    そう言ってまた机に顔を伏せると


    『またそーやってスグ寝る!!
    やけんそんな背伸びるんよ!!』


    関係ないと思うけど。
    でも確かに私、良く寝る方やったかも。


    『そーかもね。』


    そう適当にあしらうと


    ほら、開き直ってないで起きるっ♪
    と言って頬をつねられた。


    渋々体を起こすと、周りにいた何人かのクラスメイトが【夫婦みたい】と笑っていた。


    『どうせもらうならもっと色気のある嫁がいいな。』


    と珍しくノってみると、奏音にパカパカ殴られた。


    これを期に
    【櫻井さんは怖くない】
    という噂が広まり、今まで話したかったけど怖くて話しかけられなかったという人達が、次々と話しかけてくるようになった。




    球技大会はもちろんバスケで参加。




    奏音はじゃんけんに負けてバレーらしい。




    部活が始まってまでブーブー言ってる奏音を横目に、今日もひたすらバスケに打ち込む。




    帰りにまた美帆と同じ電車に乗り合わせて、色々と質問攻めにされた。




    ネタが尽きたらしく
    美帆にも質問出して♪
    と頼まれたので


    『中華料理で何が好き?』


    と聞くと


    『え!?そんな質問!?
    え〜っとねぇ、炒飯にエビチリかえて食べるのが好き!』


    という事で、我が家の晩ご飯は炒飯とエビチリになった。
    野菜がないから、もう一品八宝菜か青椒肉絲でも作ってスープでも作ればえーかな。


    なんでなんで??
    と聞かれたから


    今日の晩ご飯決めてなかったから、と言うと
    それは質問じゃない!
    と拗ねていた。






    (携帯)
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■19557 / inTopicNo.19)  - 16 -
□投稿者/ Y 一般♪(18回)-(2007/08/02(Thu) 18:06:32)
    『ねぇ。

    もし美帆が女の子が好きって言ったら、颯ちんはどう思う……?』


    いつになく大人しいトーンで真面目に聞いてきたから、私が答えるまでの時間、美帆が緊張しているのが伝わってきた。


    『別に。
    ふーん、って思う。』


    すると驚いたような顔をして


    『本当に?!
    引かない?!?』


    と問い詰めてくる。


    『なんで引くの?』


    と聞き返すと


    『気持ち悪いって思う人もいるから…。』


    と悲しそうな目で呟く。


    『別に誰が誰好きになろうがその人が幸せならいんちゃう?
    同性同士でも、年が離れてても、犬とネコでも、本人らが好きならそれが恋愛やろ。』


    美帆の頭をクシャクシャっと撫でながらそう言うと、美帆は目に涙をいっぱい溜めて


    『これ、嬉し涙やけんね!!』


    なんて言いつつ
    鼻を真赤にして、泣きながら笑ってた。


    『髪も顔もぐちゃぐちゃやで。』


    電車の窓に映る美帆を指さすと
    美帆は急いで髪を整えながら


    『私ね、やっぱり亜也先輩が好きっちゃん。』


    と、小さい声で言った。




    私が無言のまま頷くと、美帆はそれを窓越しに確認して話を続けた。


    『昨日も言ったように、バスケを続けてるのは純粋にバスケが好きやけんったい。

    でも、亜也先輩が他の人と戯れてたりすると…どっかで苦しくなっとる自分もおると。

    美帆なんて先輩の何でもないのに、ヤキモチ妬いてしまいよーっちゃん。

    …おかしいよね。。?』


    部活中に亜也が戯れてる姿を見るとしたら、相手は1人しかいない。


    『まなみ先輩に?』


    そう聞くと、美帆は目を丸くして私を見上げ


    『なんで分かると!?
    美帆、まなみ先輩に変な態度取りよる!?』


    って聞いてくる。


    『いや、そうじゃなくて。
    亜也先輩が戯れてんのなんてまなみ先輩とぐらいやん?
    私はまだ苦しくなる程人を好きになった事がないから美帆の気持ちは分かれへんけど、別に好きでいたらいいと思うよ。
    好きになったらあかん人なんてこの世におらんやろ。』


    そう言ってもう一度美帆の髪をぐちゃぐちゃにしてみる。




    もぉ…っ…やめてよぉ………っ……。


    と言いながら大粒の涙をぽろぽろと流し、必死に髪を直す。


    そして美帆の最寄駅に着き、降り際に笑顔で


    『颯ちんカッコイイよ!
    ありがとう!!』


    と言ってまた大きく手を振っていた。




    さ、帰って中華だ。

    (携帯)
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■19560 / inTopicNo.20)  - 17 -
□投稿者/ Y 一般♪(19回)-(2007/08/03(Fri) 02:42:00)
    家に着く頃に、美帆からのメールが来た。


    差出人:佐伯 美帆
    件名 :おつかれ♪

    本文 :今日は本当にありがとう!
    美帆ね、今日初めて人に女の子が好きって告白したっちゃん。。
    イケナイ事なんかと思ってずっと言えんやった。
    でもね、なんか、なんとなく颯ちんには言えるような気がしたんよ。
    颯ちん、たいがいの事じゃ驚かなそうやし(´`●)*・。゜★(笑)
    なんか、颯ちんって空気みたい!!
    スッキリさせてくれて本当にありがとう☆
    亜也先輩の事、頑張るけん応援してね!




    カミングアウトか。




    そういえば、色んな人に数々のカミングアウトをされた気がする。




    どうやら私の性格上
    【黙って聞いてくれる人】
    が欲しい時には最適らしい。




    まぁ、確かにその全てに驚きはしなかった。




    それにしても、美帆が何に感謝しているのか全く分からない。




    まーいっか。




    つか、空気みたい…って……。




    存在感ないって事か?




    まぁ…なくていいねんけど。




    ごちゃごちゃ考えてる内に料理の下準備ができた。




    温かいものを食べさせてやりたいから、調理は帰ってきてからにしよう。




    で。おかん…達、はいつ帰ってくんねやろ?




    電話してみるべきか…




    いや、その内帰ってくるやろ。




    下準備した材料を冷蔵庫に入れてソファーに寝転がる。




    携帯を開いて美帆に何てメールを返そうかな…と考えていた所に電話がかかってきた。




    着信 : 沢田 奏音




    『どしたん?』




    「でたっ!!」




    『いや、そりゃかかってくりゃ出るやろ。』




    「そっか、そやね(笑)」




    『で…どしたん?』




    「んっとね〜………
    さくらの声が聞きたかっただけ!」




    『…………。』




    「なんちって☆
    明日の朝練なくなりましたの連絡ばい!(笑)」




    『あぁ…そなんや。
    わざわざありがと。』




    「本当は本当やけど。」




    『え…?』




    「本当は、少しだけ本当。
    さくらの声、聞きたかったんよ?」




    返事に困る。




    ノるにノれへん。




    ボケか?本音か?
    九州ギャグか?




    「あ〜!返事に困っとーやろ!!(笑)」




    『うん、困ってる。』




    「ばか正直。
    じゃあ明日ね!
    おやすみ!!」

    (携帯)
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