| 蛍光灯の光の中、棗の美しい肌が妖しく光る。 『本当に綺麗・・・あなたが学長の物でなかったらどんなに良かったか・・・』
うっとりするように澪華が呟く。 「体は学長の物でも、あたしは心なであげたつもりは無いわ!」
誠意一杯の言葉を言うが,棗の肌に夢中な澪華には聞こえていないようだ。
『さてと・・・いつまでもあなたの肌に触れて喜んでる場合じゃ無いわね。』
そう言うと澪華は棗の目隠し越しに唇を這わせた。 目隠しをしている棗は、次に何をされるか判らない恐怖で身を硬くした。
『怖いの?大丈夫よ。痛いことなんてしないから。』
「こんな事して!後でどうなるか知らないから!」
短い鎖のせいで全く身動きが取れないが、棗は身をよじり誠意一杯の抵抗を示す
『あははは♪そんなの出来る訳無いじゃない』
棗の言葉を嘲笑う。
「澪華なんてこの学校で探せばすぐ分かるわ!例え同姓同名でもあんたの声は忘れない!」
『これが偽名なら?』
冷たい笑い声が棗の耳に障る。
『人の記憶なんて曖昧なものよ。あなた、転校してたった二日でしょ? どれだけの人間に接した?顔、声、名前、一致する人なんてほんのわずかでしょ 例えばその人間が意図的に声を変えていたら・・・・あなた分かるの?』
「そんな・・・・」
分かる訳ない・・・。
嫌な汗が出てきた。 この人物がわざわざそんな事を言うって事は 自分の近くにいた人間の仕業であると言っている様なものだ。
『残りの時間、たっぷり楽しませてもらうわ。』
くく・・・っと笑い、澪華は棗の首筋に吸い付いた。
「いやーーーーーーー!!!!!」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
棗の体から澪華が離れる。 『ふふ♪嫌がりながらよくこんなに濡らしたものね。 所詮あんたは商品なんだから。相手にされてるうちが華よ』
汚れた口元と、指先を拭きながら言う。
『それと、馬鹿な事考えないでね。あなたの卑猥な映像が誰かに見られちゃうかもよ♪』
そう言うと澪華は隠してあったビデオ取り出し、扉を開けて出て行った。 バタンと重い扉が閉まり、長い時間堪えていた涙が溢れ出した
「う・・・・ぁ・・・ああ・・・!」
棗の精神は引き裂かれた服と同様にボロボロだった。
澪華が廊下を歩いていると、前から学長が歩いてきた。
『どうだった?最高の体でしょ?』
くすくすと笑いながら意見を求める学長に、嫌気がさしたような笑いを浮かべて 澪華は小切手を手渡す。
『ええ、本当に。私が欲しいものを無意識に手に入れるあの女・・・私が欲しいのは棗じゃない。分かってるでしょ?』
イライラした口調で言うと、学長は手のひらを差し出した。
『何よ・・・。金なら払ったでしょ?!』
『ビデオテープ♪その行為は私にとって好ましくない事よ。』
『あんたまさか・・・』
監視カメラがあの部屋には設置されていた。 学長にあの部屋を使うよう指示された時から怪しいとは感じていたが。
『抜け目無いわね・・・さすが学長さんね』
嫌味をこめてテープを差し出すと、学長は満足そうに微笑んだ。
『あなたもね、澪華さん・・・・いえ、真琴さん』
フンっと笑いを浮かべ、真琴は学長に背を向けて歩き出した。
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