| 2008/01/18(Fri) 14:44:38 編集(投稿者)
『まいったよ。ホテル代は私持ちだし、大事な子猫には逃げられるしで』
ワイングラスを片手に、私は愚痴愚痴と昨日の話しをした。
「チカが悪いんじゃない!まったく、学習能力0ね!」
親友の奈々が私の顔に人差し指を突き出し、これで六回目の説教をする。
「一体、いつになったら本当の恋を覚える気?」
『本当の恋?私はいつだって本気だけど?』
「ちがーう!逃げられた癖に、涙一つ見せない恋は本気とは言わないわ」
それは奈々の勝手な解釈だ。なんて、口にはしなかったけれど、私はいつだって本気だ。
受け手が、それを遊びだと受け取るかは自由だし、私は精一杯の愛は注いでいるつもりだ。
『奈々は、新しい人見つかった?』
「またー話しをはぐらかして!」
奈々はより一層顔を赤くして怒る。
可愛らしくて、幼さの残るルックスに世の中の男性は翻弄されているんだろうな。
『彼氏、いるの?』
奈々の言葉を無視して、質問を繰り返す。
「…いるよ。チカと違って本気で結婚しようって思ってる」
『私ら、25歳だもんね。結婚してもおかしくないか』
自分がビアンだからか、結婚という単語とは無縁であった為に、多少驚く。
『旦那様に奈々を取られるのは、妬けるなぁ』
ふざけた口調で、言うと奈々は照れながら
「チカの世話係りは引き続きやらせてもらうから!」
なんて可愛く言う。 奈々が親友じゃなければ食べてしまうかもしれない。
私が同性愛者ということを知っても、引きもせずに、理解してくれた唯一の女。
高校の時に、私の想い人と離れ離れになり泣いた時も、慰めてくれた親友。
そんな親友に手を出すはずもなく、こうして私からの不規則な呼出しにも来てくれる大好きな親友。
きっと、私が理性を保てているのは奈々がいるから。
でなければ…あの夜、私は理性を失った犯罪者になるところだった。
(携帯)
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