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「何で今まで言わなかったのかな〜?啓!答えなさい」
昼休みの屋上は、自由気ままな生徒達で賑わっていて、その一角で私は説教を受けていた。
『……ごめんなさい』
「親友じゃないの!?大事な事じゃないの!?」
『本当にごめん。ミカの思いを壊したくなくて』
松音茜の彼氏が、歩美を苦しめていた事、松音茜が私に告って来た事を隠していた。
それは、大ファンであるミカのイメージを壊させない為。
でも、大学の情報屋が持ち出したのは、松音茜の彼氏の存在…。そこから彼氏の素性なんかが分かり、芋づる式に松音茜がバイである情報までが表になったのだ。
そして…私は松音茜に告られたとして一躍有名人になり、ミカの耳に入ってしまった。
「大体ね〜、茜さんは大ファンだけど、啓の方が好きなんだからね?心配するじゃん!」
『ありがとう。ミカマジごめんね』
「それより!啓がこんなに有名になったら…」
ミカはそこから耳元で話し始めた。
「啓が女の子好きなのもバレちゃうんじゃないの?」
確かに…あれだけ親が事件をもみ消したのにも関わらず情報屋は何処から見つけるのか、的確な情報を流す。私がそういう人間だと言うがバレるのも時間の問題だ。
『ま、いいんじゃない?もう隠すのもめんどくさい』
これが、私の意見。
他人に何を思われても関係ない。今は歩美の事ばかりが頭を渦巻いているのだから。
「もぅ〜…本人がこんな脱力系じゃ、心配して損した〜」
『でも…もしバレたら私とは離れてなよ?ミカも変な風に見られてしまうんやから』
「バーカ!そんなんで離れるかい!最後まで付き合わせろ!」
ミカはあっかんべーをして、笑っていた。
何だかとても心強い。
ミカが居てくれるから、私はこんなにも堂々としていられるんだよ?
ミカありがとう。
心の中で呟いた。
(携帯)
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