ビアンエッセイ♪

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■22198 / inTopicNo.1)  すこしづつ…40
  
□投稿者/ 桃子 一般♪(43回)-(2017/03/01(Wed) 14:34:20)
    「そうなんだ…ねっ きっかけは 何だったの?」

    「私が 押しかけました(^-^)」

    「ホントに? さっきの話 ホントのことだったの?」

    「はい…」

    「何処がよかったの?」

    「どこって…」

    「だって…アレだよ(笑) マイペース過ぎるほどマイペースで…愛想もない…」

    お姉さんの目は なかなか厳しい…

    「私…図書館に勤めているんですけど…
    3年前 そこで ヒロ君を見かけたのが最初でした…
    はじめは 同僚たちと『カッコいい人が来た〜』って 陰で盛り上がってたんです…
    で…気がついたら…いつも 目で追いかけてました。
    だけど…親しくなるキッカケなんて 何処にもなかったんです… ただ 見てるだけで…
    それが変わったのは…
    去年の春 ヒロ君が 私の隣の部屋に引っ越ししてきてからです…
     それから『駅裏』で アルバイトしていることを知って…
    少しづつ …押し切りました(^-^)」

    「そうだったんだ…あの子 口数少ないでしょ? それが気になって…」

    お姉さんの目には コウちゃんは どんな風に映っているんだろう…

    「私のおしゃべりに ヒロ君が 合せてくれてます(笑) それに…」

    「なに?」

    「ヒロ君との沈黙は 心が落ち着くと言うか…安心出来るんです」
    「そう…」

    お姉さんが 初めてホッとしたような顔になった。

    「今度『駅裏』のぞいてみたらいいわよ(^.^) ウチでは見せたことのない顔してるから…」

    Madamが 助け船を出してくれた…

    「ガキんちょが ひとり暮らし始めて最初の冬に こんなステキな人と 帰って来るとは…
     31歳と29歳 何やってんだろ…完全に 先を越されてしまった…」

    お姉さんの言葉が 微笑ましかった…

    「言いたいコト言って…って呆れてる?」

    Madamが 笑いながら訊いた。

    「いえ…ヒロ君が 末っ子扱いされているのを見て ちょっと安心しました…
     普段は 一匹狼 ってカンジですけど(笑) 」

    「あの子 外では 狼の毛皮をまとった狼 ってカンジだもんねぇ」

    お姉さんも Madamの言葉に納得しているみたいだ。

    (まんま 狼 って(>_<) )
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■22197 / inTopicNo.2)  すこしづつ…39
□投稿者/ 桃子 一般♪(42回)-(2017/03/01(Wed) 14:28:25)
    「ヒロ! 今日のすき焼き 食べていくよね?」

    キッチンに立ったお姉さんの声に コウちゃんが 私を見た。

    (どうする?)

    (任せる)

    「うん…よろしく」

    「あのう…何か お手伝いさせてください…」

    思わず言ってしまった。

    Madamが

    「じゃ 甘えちゃおうかな」

    お姉さんが エプロンを貸してくれた。

    キッチンで 野菜の準備をしながら

    Madamとお姉さんが

    「ヒロ よく笑うようになったよね」

    と 盛り上がっていた。

    「去年の夏くらいからよ…」

    「それって 佐々木さんのお陰?」

    お姉さんに訊かれた。

    「いえ そんなことは…」

    「大いにあるわよ(^.^) 」

    Madamが 言った。


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■22196 / inTopicNo.3)  すこしづつ…38
□投稿者/ 桃子 一般♪(41回)-(2017/03/01(Wed) 14:24:44)
    「正月に言ってた ご両親に会うって…」

    お兄さんが コウちゃんに訊いた。

    「うん…」

    「なんか言われた? 罵倒されたり 張り倒されたり(笑)」

    「別に…特には何も… ご両親 驚いてたけど…」

    「そりゃ…驚かない親はいない と思うよ…」

    「うん…でも…」

    「何?」

    「お父さんが『これからは2人で遊びに来い』って言ってくれた…」

    「ほんと?」

    「いや 直接言われたわけじゃないけど…」

    お兄さんが 再び 私を見た。

    「はい…私が1人で帰ったら ウチには入れないそです(^-^)」

    「そんなこと言ってもらえたんだ…よかったな」

    「うん」
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■22195 / inTopicNo.4)  すこしづつ…37
□投稿者/ 桃子 一般♪(40回)-(2017/03/01(Wed) 14:21:25)
    リビングでは マスターと コウちゃんのお姉さん・お兄さんが迎えてくれた。

    「その顔だと コイツ 何も言ってないみたいですね (^-^) 」

    マスタ−が 言った。

    「ハイ…今の今まで何も…」

    「言葉の足らないヤツで 本当に申し訳ない…」

    「いえ そんな…」

    「ようこそ…」

    お姉さんが お茶を出してくれた。コウちゃんの笑顔は お姉さん似だ…

    「お邪魔します」

    「ゆっくりしていってね(^^♪」

    「ありがとうございます…」

    「えっと…佐々木さんでしたっけ?」

    お兄さんが 声をかけてくれた。

    「はい…よろしくお願いします」

    「そんなに固くならないで(^-^)」

    (と言われても…)
     
    「ところで こんなキレイな彼女 どこで見つけたのかな?」

    お兄さんが コウちゃんに訊いた。

    「図書館で声かけられた…」

    お兄さんが 私を見た。

    「ホントです 先に声をかけたのは 私です…」

    「コレ 偏屈だから 大変でしょ? 佐々木さん 苦労してない?」

    コウちゃんは 困った顔でお茶を飲んでいる…

    「いえ 全然…いつも 楽しんでます(^-^)」 

    マスターとMadamは 何も言わず 微笑んでいる…
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■22194 / inTopicNo.5)  すこしづつ…36
□投稿者/ 桃子 一般♪(39回)-(2017/03/01(Wed) 14:18:40)
    土曜日…コウちゃんの実家に向かった。

    「どうしよう…緊張してきた〜」

    「大丈夫ですよ(笑)」

    (コウちゃんも ウチへ来てくれた時は こんな風だったのだろうか…)

    (いや…あの時 コウちゃんは ひとりだったから…あたしの緊張とは 比べ物にならない…)


    15分後…到着。

    コウちゃんは インターフォンを鳴らし

    「ヒロです…」

    「おかえり〜(^-^)」

    玄関のドアを開けてくれたのは…

    『駅裏』のマスターの奥様だった。

    (えっ Madam?…ってことは マスター?)

    「フフフ 驚いた? さっ 入って!」



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■22193 / inTopicNo.6)  すこしづつ…35
□投稿者/ 桃子 一般♪(38回)-(2017/03/01(Wed) 14:15:23)
    コウちゃんのスマホが鳴った。

    「うん…」

    「わかってる…」

    「そんな 勝手に決められても…」

    「あ〜ハイハイ…じゃ あとで 連絡します…」

    (ひょっとして お母さん?)

    「実家からでした…」

    「お母さん?」

    「はい…」

    「コウちゃん 随分 ぶっきらぼうになるんだね(^^♪」

    「そんなことはないと思いますが…(笑)」

    「お母さん なんて?」

    「今度の土曜日 この間 挨拶に行った彼女と一緒に遊びに来いって…」

    「一緒にって…あたし?」

    「他に誰がいます?(笑) 」

    「今度の土曜日って 明後日じゃない!…心の準備が…間に合わない…」

    「やめときます?会いたくないって言ってた って伝えときます(笑) 」

    「バカ…」
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■22189 / inTopicNo.7)   すこしづつ…34
□投稿者/ 桃子 一般♪(37回)-(2017/02/19(Sun) 01:15:23)
    夕食は 実家から貰ってきた ハムをステーキ風に焼いた。

    「ねぇ ホントにいいの?」

    「ん?」

    「部屋…」
    「もちろん(^-^) ひとつは寝室 もう1部屋をプライベートで使ってください…」

    「コウちゃん…」

    「はい?」
    「寝室は 一緒がいい(^-^)」

    「あっ…うん…はい…」

    コウちゃんの 照れた顔が 可愛かった(^^♪

    「お父さんの休暇が終わる前に ちゃんとご挨拶した方がいいですかねぇ…」

    「『娘さんをください』みたいな?(笑)」

    「いきなり ソレっすか?…先ずは ルームシェアの許可じゃないですか?(笑)」

    「え〜言ってくれないの?(笑) 」

    「それは 何れまた…ってことで…」

    「なんだ つまんない…」


    実家に電話をしたら…

    「ヒロ君に迷惑をかけないように」で終わってしまった…

    この様子だと 『娘さんを…』の出番は無いかもしれない…(笑)

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■22188 / inTopicNo.8)  すこしづつ…33
□投稿者/ 桃子 一般♪(36回)-(2017/02/19(Sun) 01:13:13)
    新年最初のお出かけは 不動産屋さん巡りだった。

    今の部屋は 父と折半で家賃を払っているが

    定年まで 日本に帰ることはないと決まったので

    次の更新はしないことにしたのだ。

    コウちゃんと離れるのは 本望ではないけれど…

    ひとりで 家賃を賄えるほどの高給取りではない…

    そこは 冷静に考えなければならなかった。

    3月末の期限までに 新しい部屋を見つけなければならない。

    これからしばらくは 部屋探しが続くことになる…

    コウちゃんは 黙って聞いていた。


    午後から 2件の物件を回ったが…どれも 少しずつ 納得が出来ず…

    何も決められなかった。

    「付き合ってくれてありがとう…」

    「いえいえ…」
    「焦らないで探すね…」

    「それがいいと思います(笑)
    ところで ひとつ お薦め があるんですけど 行ってみます?」

    「今から?」

    「はい(^-^)」

    初めての道を コウちゃんのナビで走って 着いた所は…今のマンションだった。

    駐車場に車を止めて コウちゃんを見た。

    「トイレ・バス・キッチン・リビングは共同で
     恭子さんが自由に使える部屋は2部屋しかないけど…  
     ここで待ってるんで 見終わったら電話ください(^-^)
     部屋は 815 カギはこれです(^-^)」

    815は コウちゃんの部屋だ。

    「何も見なくていい! ここに決める!」

    「一件落着ですね(^^♪」
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■22187 / inTopicNo.9)  すこしづつ…32
□投稿者/ 桃子 一般♪(35回)-(2017/02/19(Sun) 01:09:33)
    「おはようございます(^-^)」

    コウちゃんの声で 目が覚めた。

    「おはよう」

    「食事の支度が整いました(笑)」

    「えっ…」

    「軽くですけどね(笑)」

     テーブルには クロワッサンとサラダが 用意されていた。

    「何時に起きたの?」

    「20分くらい前かな…」

    コウちゃんが カフェオレを淹れながら言った。

    「全然 気がつかなかった…」

    「よく眠れましたか?」

    「うん…コウちゃんは?」

    「爆睡でした(^^;」


    「コウちゃん 今日 付き合ってほしいところがあるんだけど…」

    食事をしながら 切り出した。

    「何処へでもお供します(*^-^*)」

    「じゃ 1時間後に駐車場で!」

    「了解しました」
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■22186 / inTopicNo.10)  すこしづつ…31
□投稿者/ 桃子 一般♪(34回)-(2017/02/19(Sun) 01:06:55)
    シャワーを浴びたら 目が冴えてしまった。

    (コウちゃん もう寝たかな?)

    さすがに 本気で寝込みを襲うことは出来ない(笑)

    ぼんやりと窓の外を眺めながら 夜が明けるのを見ていたら

    コウちゃんから Line が届いた。

       起きてたら コーヒー 飲みに来ませんか?

    (うそっ…なんで…)

    すぐ 部屋を出た。

    リビングに入ると シャワーの後の 少しさっぱりした顔のコウちゃんが

    笑顔で マグカップを手渡してくれた。

    「来ちゃった…」

    「呼び出しちゃった…寝てた?」

    「ううん 起きてた。なんか眠れなくなっちゃって…」

    「そっか…」

    「うん…Line ありがとう…ちょうど コウちゃんのこと思ってた時だったから
    ビックリした(^-^)
     なんでわかったのかなって…」

    「それはね…自分も 恭子さんに『会いたい』って思ったからです(笑)
     ずっと一緒に居て 会いたいもヘンですけど…(^^;」 

    「そっか…」

     コウちゃんの言葉を真似した。全てが府に落ちたような気がした。

    「コウちゃん!」

    「ん?」

    「あたし 今なら もう1回 眠れそうな気がする…」

    「うん…ベッド行く?」

    「帰れって言わないの?」

    「言った方がいいっすか?(笑)」

    「ヤダ!」


    2人でベッドに入った。

    「改めまして おやすみなさい(笑)」

    コウちゃんは 黙って右腕を出してくれた。

    私も黙って 頭を乗せた。

    先刻 眠れないと思ったのは この右腕が無かったからだ…と気がついた。

    そのまま 朝まで ぐっすり眠った…

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■22185 / inTopicNo.11)  すこしづつ…30
□投稿者/ 桃子 一般♪(33回)-(2017/02/19(Sun) 01:00:43)
    夜更けに目が覚めた。外はまだ暗い。

    コウちゃんの胸に耳を当てると 規則正しいリズムが響いてきた。

    心臓の音だろうか…呼吸のリズムだろうか…

    「何か聞こえますか?」

    コウちゃんの声がした。

    「ごめん 起こしちゃった?」

    「いえ…」
    「ここ 何処だかわかる?(笑)」

    「すみません 後片付けもしないで…」

    「気にしないで(笑) こうやって 寝込み襲わせてもらったから…」

    「えっ?」

    「ジョーダンよ (まだ)何もしてない…ちょっと 右腕を借りただけ…」

    そう言って もう一度 コウちゃんの腕に 頭を乗せた。

    「重かった?」

    「いえ… なんか 気持ちよく熟睡してました(^^;」

    体の向きを変えたら 視線が重なった。

    コウちゃんの体を ゆっくりと仰向けにした。

    それにつられて 私の体が コウちゃんの上に乗った。

    お互いの視線はそのままだ。

    ゆっくりと コウちゃんの方へ体を倒した。

    唇が重なった瞬間 目を閉じたのは 2人同時だった。

    あの夜の公園での優しいキスとは違う 何かが2人の間に流れた。

    (まだ流されちゃいけない…)


    「コウちゃん…部屋に帰った方がいいよ」

    コウちゃんより先に言った。

    「そうします」

    多分 コウちゃんも同じことを考えていたと思う。

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■22184 / inTopicNo.12)  miyaさんへ
□投稿者/ 桃子 一般♪(32回)-(2017/02/19(Sun) 00:55:53)
    コメント ありがとうございます。

    これからも よろしくお願いします(^^♪
引用返信/返信 削除キー/
■22183 / inTopicNo.13)  NO TITLE
□投稿者/ miya 一般♪(1回)-(2017/02/12(Sun) 19:54:02)
    物語に引き込まれ、あと言う間に読んでしまいました。
    続きを楽しみにしています^^
引用返信/返信 削除キー/
■22180 / inTopicNo.14)  飛鳥さんへ
□投稿者/ 桃子 一般♪(31回)-(2017/02/02(Thu) 14:24:07)
    感想 ありがとうございます。

    今後もよろしくお願いしますm(__)m

引用返信/返信 削除キー/
■22177 / inTopicNo.15)  感想です
□投稿者/ 飛鳥 一般♪(1回)-(2017/01/22(Sun) 17:50:44)
    とても面白く
    すごく感動しています。
    続き楽しみにしています♪
引用返信/返信 削除キー/
■22156 / inTopicNo.16)  すこしづつ…29
□投稿者/ 桃子 一般♪(30回)-(2016/11/09(Wed) 15:26:14)
    2016/11/09(Wed) 15:27:08 編集(投稿者)

    母の電話を切ったあと 改めて コウちゃんの寝顔を見つめた。

    (19歳になったばかりだと言うのに…キミのその落ち着きは 何処からくるのかなぁ…)

    (でも…) 玄関での後ろハグ を思い出した。

    (キミだって…酔って眠ってしまうほど緊張してたって思っていいのかな?…充電』って言ってたよね?)


    片付けが終わっても コウちゃんは 起きる気配が無い。

    どんな夢を見ているのか…表情は 楽しそうだ…起こすのも なんだか…だったので そのまま寝かせることにした。

    マットレスを敷いて コウちゃんを転がした(笑) 枕に頭を乗せて 掛け布団をかけた。

    そして…私も そのままもぐりこんだ。コウちゃんの右腕を枕にした。
引用返信/返信 削除キー/
■22155 / inTopicNo.17)  すこしづつ…28
□投稿者/ 桃子 一般♪(29回)-(2016/11/09(Wed) 15:22:48)
    おせちをつまみながら 日本酒を飲んだ。珍しく コウちゃんが 酔った。

    口数が少なくなった分 笑顔になって そのまま 静かに寝てしまった…

    あどけない寝顔を見ていたら 母から電話が入った。

    「坂本クンに会えた?」

    「うん。今 一緒にいる…」

    「今日のこと なんか言ってた?」

    「会わせてもらえてよかったって…」

    「それだけ?」

    「うん…お父さんが「これからは 2人で遊びに来るように」って言ってくれたことを伝えたら
     すごく ホッとしてたけど…あとは 何も…」

    「そう… 今日 お父さん 坂本クンに 何も言えなくなっちゃったの…」

    「えっ?」


    「2人の付き合いを認めたら 孫の顔を見ることができない って 言ったら…
     坂本クン 何て答えたと思う?」

    「そんな…」

    「子どもは 父親と母親の下に生まれてくるべきであって 不自然な形は考えていないって…
     恭子が 子どもを望むなら 別れは恭子が決めることだって 言ったの…
     2人で話し合うんじゃなくて 決定権は 恭子が持っている って 言い切ったの…
     カッコよかったわよ(*^-^*) 私も もうちょっと若かったら…(笑)」

    「やめてよね(>_<)」

    「冗談よ(笑) それとね…坂本クン…」

    「なに?」

    「お父さんに 一度も お父さん って言わなかったの…」

    一瞬 母の言っている意味がわからなかった。

    「ほら ドラマなんかで よくあるでしょ 『おまえに お父さんと呼ばれる筋合いはない』ってやつ…
     お父さん 自分が おじいちゃんに やられたから 坂本クンに リベンジするつもりだったのに
     坂本クン 最後まで『佐々木さん』だったの…完全に お父さんの負け…(*^-^*) それからね…」

    「まだ 何かあるの?」

    「お父さん 坂本クンが帰る時 見送りに出なかったでしょ?」

    コウちゃんは 何も言わなかったけど 私は 気になっていた。

    「それ すっごく気になってた…どうしてなの?」

    「お父さん 立てなかったの」

    「えっ?」

    「慣れない正座で カッコつけちゃったから…」

    「なに それ? 足 しびれたってこと?」

    「そう(笑) 坂本クン それに気付いてね…
    『恭子には黙っていてください』って言って帰ったの…
    『黙っておきます』じゃなく『黙っていてください』 この違いわかるわよね?
     お父さん…坂本クンの前で ボロボロだったんだけど 最後のひとことに グッときたみたいで
    『恭子のこと 本当に大切に思ってくれてるんだな』って…
     親にとって それ以上のことってないからね…いい人に出会えてよかったね」

    (だから コウちゃん 顔を合わせないように お茶も飲まずに帰ったんだ…)

    「うん。ありがとう…」

    「じゃあね…これからは 1人で家に帰ってきても入れてあげないからね(笑)」


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■22154 / inTopicNo.18)  すこしづつ…27
□投稿者/ 桃子 一般♪(28回)-(2016/11/09(Wed) 15:18:43)
    2016/11/09(Wed) 15:19:08 編集(投稿者)

    部屋の前で コウちゃんを待った。

    しばらくすると エレベーターから コウちゃんが降りてきた。

    コウちゃんは 俯いていて 私に気がついていない。

    「コウちゃん!」

    足を止めたコウちゃんは ビックリした顔で

    「どうしたんですか?」

    「帰ってきちゃった…」

    「えっ…」

    「寒かったでしょ…中に入って…」

    「うん…」
     
    ドアを閉めて…部屋に上がろうとしたら…コウちゃんに 後ろから 抱きしめられた。

    「コウちゃん?」

    「ごめん…ちょっとだけ…このまま…」

    「うん…」

    「よしっ エネルギー補給 完了(^-^)」

    コウちゃんが 離れた。

    「どうしたの?」

    「いや…ちょっと 充電(^^;」

    「それだけ?」

    「うん(笑)」
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■22153 / inTopicNo.19)  すこしづつ…26
□投稿者/ 桃子 一般♪(27回)-(2016/11/09(Wed) 15:16:21)
    翌日 コウちゃんは 時間通りに来てくれた。

    和室に案内し 2人で 両親を待った。

    しばらくして両親が部屋に入って来た。

    コウちゃんは 座布団を外して 挨拶してくれた。

    「恭子さんとお付き合いをさせて頂いている 坂本 宏海 と言います」

    「恭子の親です」

    父の方が 緊張しているように見えた。

    「恭子は 席を外しなさい」

    「えっ…」

    コウちゃんは 私を見ることなく 落ち着いた表情で 父を見ていた。

    その横顔が

    「大丈夫」と 言っていたので 私は リビングに戻った。

    しかし 何も手につかず 廊下を ウロウロするだけだった。


    1時間後

    コウちゃんが部屋から出てきた。

    「どうだった?」

    「うん…伝えたいことは 聞いて頂けたと思う…」

    「コウちゃん お茶…」

    「ありがとう…でも 今日は これで失礼します…」

    「そんな…」

    「大丈夫だから…」

    両親は 見送りに出てこなかった。

    「駅まで 一緒に…」

    「今は おうちに居てください…」

    「なんか 色々 ごめん…」

    「大丈夫 (^-^) いつかは通らなくっちゃいけなかったんだから…
     こっちこそ 新年早々 押しかけてかけてしまって…ご両親によろしくお伝えください」

    コウちゃんは 何事もなかったかのように 穏やかに 帰って行った。

    リビングに戻ると 母が アレコレ荷物を作っていた。

    「お母さん 何してるの?」

    「あんた いつまで ボーッとしてるの? コレ持って サッサと帰りなさいっ!」

    「えっ?」

    「坂本クン ひとりで帰らせて平気なの?」

    「だって…大丈夫だから 家に居ろって…坂本クンが…」

    「大丈夫なわけないじゃない…
     ひとりで 受けて立ったのよ…それが どんなことか…
     今から 車で走れば 坂本クンより早く着くでしょ…さっ…早く…」

    「わかった…」

    10分後…

    「じゃ 帰るね…おせち ありがとう…」

    珍しく 父が玄関まで見送りに来た。

    (コウちゃんの時は 出てこなかったクセに…)は 顔に出さず

    「帰ります」とだけ 挨拶した。

    父は

    「これからは 坂本クンと2人で遊びに来なさい」

    とだけ言って 奥に引っ込んだ。

    母は 何も言わず笑顔だった。
引用返信/返信 削除キー/
■22152 / inTopicNo.20)  すこしづつ…25
□投稿者/ 桃子 一般♪(26回)-(2016/11/09(Wed) 15:12:02)
    新年2日の夜 コウちゃんに電話した。

    「コウちゃん…」

    「どうしました? 何があったんですか?」

    普段通りのつもりだったのに…声だけでわかるのだろうか…

    「ごめん…」

    声を聴いている内に 涙が出てきた。

    「話せますか?」

    「うん…父が …リング見て…誰からもらったんだ って しつこく訊くから
     付き合ってる大学1年の子にもらった って言っちゃった…」

    「お父さん びっくりしたでしょうねぇ…」

    コウちゃんの声は いつも以上にのんびりしていた。
     
    「うん。女の子だって言ったら ふざけるなって怒鳴って…そのあとは とにかく  会わせろって…しつこくて…年明け早々 グチっちゃってごめん…」

    「いやいや…大変な年明けにしちゃって…ごめんなさい」

    続くコウちゃんの言葉は 意外なものだった。


    「3が日の間は 遠慮した方がいいのかもしれないけど…
     そんなこと言ってる場合じゃないっすね…明日 佐々木家のご都合は?」

    「明日は 何の予定もないけど…」

    「だったら 明日の午後1時半に お邪魔します」

    「大丈夫?」

    「大丈夫っすよ(^.^) いきなり 取って食われることはないでしょ(笑)
     それに…恭子さん ひとりで泣かせるわけにはいかないじゃないですか!」

    「そんなこと…」

    「ない ってことないですよね(笑)」

    「なんでわかった?」
    「う〜ん…なんとなく…(^-^) とにかく 明日 お父さん 捕まえといてください(笑)」

    「うん…ごめんね…ありがとう…」
引用返信/返信 削除キー/

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