ビアンエッセイ♪

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■22175 / inTopicNo.1)  アヤナミ1
  
□投稿者/ いちこ ちょと常連(76回)-(2017/01/18(Wed) 23:27:43)


    女性専用車両は、その日混み合っていた。
    ドアに押し付けられるように、髪の長い女子大生っぽい娘が立っている。
    その後ろには制服姿の女子高生が、その娘に覆い被さるようにいる。
    女子大生っぽい娘は、気分がすぐれないのか上気した頬をして俯いている。
    その娘は眉を八の字にして、苦しそうな顔になる。
    やがてイヤイヤをするように顔を振ったり、
    咳を我慢するように、口を手で覆ったりしている。
    電車が停車駅に近づくころ、その娘は震えだしスッと視界から消えた。
    電車が止まり人々が降りてゆくと、その娘が床に座り込んでいる。
    熱っぽい潤んだ瞳で女子高生を見上げている。
    女子高生は何事か話しかけ、バイバイをして降りていった。

    その女子高生、アヤは痴漢することにハマっている。
    きっかけは付き合っていた彼女の浮気だった。
    女が彼女と裸でいる現場に遭遇したのだ。
    アヤは彼女に合鍵を投げつけ、部屋を飛び出した。
    その帰り道、ムシャクシャした気持ちで電車に乗ったら混んでいた。
    ギュウギュウ押されながら気づくと、
    前に立っている女がさっきの女に良く似ていた。
    アヤはイラつく気持ちを何の関係もないその女にぶつけた。
    そっとその女のお尻を撫
    ビクッとして振り向くが女子高生が立っているので首を傾げるだけだ。
    今度はもっと大胆に強く撫で上げる。
    またビクッとして振り向くと、アヤが冷淡な笑みを返す。
    女は慌てて目をそらすと俯いてしまった。
    アヤはスカートの中に手指を滑らせ、女の内腿を撫で上げた。
    女は俯いている。アヤはしばらく内腿で遊んでいたが、
    いよいよアソコに触れようとしたら、女の手がアヤの手を抑えた。
    アヤはもう片方の手で女の手を外し、下着の上から触った。
    女から、んっ と声が漏れる。
    もしかしてこの女、あたしに触られて感じてるの?
    何度か割れ目に沿ってなぞり、前の方を探りクリを爪で引っ掻いた。
    カリカリと引っ掻く度に、ビクビクと女が反応する。
    意外にもアヤは興奮していた。
    ウサばらしで始めたことだったが、相手を支配しているようで興奮した。

    こうしてアヤは痴漢にハマった。特に年上が好きだった。

    そしてその娘に出会った。

    続く




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■22176 / inTopicNo.2)  アヤナミ2
□投稿者/ いちこ ちょと常連(77回)-(2017/01/21(Sat) 23:32:14)

    ある日の夜、電車に乗ったアヤはいつものように獲物を探していた。

    いたっ!白いワンピースを着た大人しそうなお姉さん。
    ドアの前に立ち、本を読んでいる。ショートボブのうなじが白い。
    アヤは人混みを掻き分け、そっと背後に忍び寄る。
    いつものように手の甲でそっとお尻に触る。
    しかし、んっ‥と声が出そうになったのはアヤの方だった。
    そっと触れた途端、ビリっと電気が走った気がした。
    それは相手も同じようだった。ビクッとなった。
    今のは静電気?確かめるようにお尻を撫でるとまたもピリッと。
    な、なに?まるで相手の感覚が流れ込んでくるような?
    アヤが尾骶骨から背骨に沿って、指で撫で上げた途端、
    そのひとはビクビクと反応して膝が折れた。
    一方アヤも鋭い快感が全身を駆け抜けた。
    その瞬間、アヤは窓に写った彼女の目と目が合った。
    見つめ合うふたり。どれほどの時間だったのだろう。
    電車が駅に着き、そのまま彼女は降りて行った。
    アヤは目で彼女の姿を追った。
    すると彼女も何度も振り返り、やがて人の波に消えてしまった。
    それ以来、アヤは彼女の姿を探し続けた。
    同じ時間帯の電車に乗ったり、時間をずらしたりした。
    しかし一週間が経っても会うことができなかった。

    そんな時、アイツがやってきたのだ。そう、浮気症の彼女だ。
    彼女は現役のT大生で、アヤの家庭教師。名前はレイと言った。
    アヤの両親は娘を心配して、女子学生を家庭教師に選んだのだが、
    まさかその女子学生が娘の貞操を奪おうとは想像もしていなかった。
    彼女は背が高く、髪型はベリーショート、気さくな性格で
    年上だが時折見せる はにかんだ笑顔にアヤのほうが夢中になった。
    でも付き合うとけっこうゲスな所があった。
    とにかく手当たり次第口説き、すぐに関係を持ってしまう。
    そのことに何の罪悪感も感じていないからタチが悪い。

    続く




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■22178 / inTopicNo.3)  アヤナミ3
□投稿者/ いちこ ちょと常連(78回)-(2017/01/28(Sat) 01:07:14)

    とにかくアイツはやってきた。

    「なにしに来たんだよ!帰れよっ!」
    「なにって、勉強教えに来たんだけど?」
    「もう会いたくない!別の人に替えてもらうから。」
    「それは無理。もう前金でもらっちゃったからね。ほらっ、始めるよ。」
    「うー‥‥。時間が来たら、さっさと帰って。」
    「はいはい。」

    しかたなくアヤは問題集を広げ、解き始めた。
    しばらくは大人しく教えていたレイだったが、
    座っているアヤの後ろに回り込むと、いきなりギュッと抱き締めた。

    「ちよっ、なにすんだよ!」
    「この前はごめん。もう二度としない。愛してるんだ、アヤ!」
    「離せよ、信じない。何回目だと思ってるんだよ!」
    「そんなこと言わないで。愛してるのはアヤだけなんだ。本当だよ。」
    「嘘だっ、離せよっ。」
    じたばたするアヤを押さえつけて
    「嫌だ、離さない!」
    とそう言いながら、レイはアヤの耳朶を甘噛みして、首筋に口づけをする。

    「や、やめっ‥‥あっ‥‥」

    だめだ、負けちゃだめだ、そう思いながら体から力が抜けていく。
    レイは首筋にキスの雨を降らせながら、器用にブラウスボタンを外していく。

    「ちょっ、な、なにしてる?あっ、や、やめっ。」

    レイは胸元からいきなりブラの下へ手を潜らせる。

    「もう勃ってるよ、アヤちゃん!」
    「ち、ちがっ‥‥、くっ‥‥」
    「ほらっ‥ほらっ‥、どう?」
    「くっ、ぜ、ぜんぜん‥気持良くないからっ。」
    「本当?こっちはどうなってるのかな?」
    「えっ、だ、だめっ、触るなよっ。」

    バタバタして逃れようとするが、レイの右手はアヤのスカートの裾から
    スルスルと膝から内腿へ移動してとうとうソコに到達する。

    「やっ、ソコは‥‥アァッ。」
    「やっぱり!すごいよ、アヤちゃん!」
    「アンッ‥‥アンッ‥‥アンッ‥‥」
    「かわいいっ、愛してる!」

    そう言ってくちびるを奪い、深いキスをするレイ。
    気付けばベッドで全裸にされて何回も‥‥

    レイは既に服を着ている。アヤはベッドの上で裸でうつ伏せになっている。
    レイはアヤの背中に口づけをして、

    「アヤ、愛してる!」
    「ハァ‥ハァ‥、今度浮気したら殺すから!」
    「いいよ。アヤが殺して!待ってるから。」
    そう意味深な言葉を残し、去って行った。


    アヤはまだ白いワンピースの彼女を探していた。
    アイツが来てから、さらに一週間が経っていた。
    もう会えないかもと諦めかけたころ、たまたま乗った電車に彼女がいた!
    今日も白いワンピースだ。
    その日は空いており、二人がけ席の窓側に座っていた。
    アヤは、はやる気持ちを抑え、ゆっくりと近づいた。
    心臓のドキドキが彼女に聞こえないか心配になるくらいだ。

    続く
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■22179 / inTopicNo.4)  アヤナミ4
□投稿者/ いちこ ちょと常連(79回)-(2017/01/31(Tue) 22:44:25)



    自分でもびっくりするくらい緊張していたのだろう。声がかすれた。

    「あ、あの、隣いい?」

    彼女はこちらに気づいていないのか、無視された。
    もう一度少し大きな声で聞いた。

    「あのっ、と‥」

    言いかけたら、彼女がこちらを向いて驚いた顔をした。

    「あの、隣いいかな?」

    アヤは隣の席を指差して聞いた。
    彼女はポッと頬を赤らめて、小さくコクンとうなづいた。
    か、かわいいっ。アヤは腰掛けると、なんと言って話しかけようか悩んだ。
    しばらくお互いなにも話さないまま時が過ぎて行く。
    電車が揺れた時、お互いの肩と肩がわずかにくっつく形になった。
    すると触れたところからさざなみのように暖かいものが拡がってゆく。
    あっ、まただ。なんだろう?この感じ。
    アヤは興奮していた。ジワリと身体の中心が熱を持つ。
    彼女を見ると窓の方を向いていて、表情は分からなかった。
    ふと気づくと彼女の片手が二人の間にある。
    アヤは電車の揺れに合わせ、自分も二人の間に手を滑らせた。
    アヤの小指が彼女の小指に触れた。
    彼女はピクリとしたが、手をどかすことはしなかった。
    彼女を見ながら彼女の小指に自分の小指をそっと絡ませた。
    彼女は、あ と言うように口を開いたが、やはり手はそのままだ。
    ああ、このまま時が止まればいいのにとアヤは思った。
    何も話さなくてもいい。しばらくこのままでいたい。
    しかし時は無情にも過ぎてゆく。アヤの降りる駅名がアナウンスされる。
    これから塾に行かねばならないのだ。本当はこのまま乗って居たかった。
    今を逃せばまた会えないかもしれない。
    けど駅に着くと条件反射のように立ち上がってしまった。
    その時、なぜか後ろにガクンと引き戻された。
    振り向くと、なんと彼女がアヤの袖を掴んでいた。
    彼女は瞳を潤ませ、仔犬のように見上げていた。

    続く





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■22181 / inTopicNo.5)  アヤナミ5
□投稿者/ いちこ ちょと常連(80回)-(2017/02/04(Sat) 22:34:58)

    アヤはストンと腰を下ろした。彼女は慌てて手を離して頬を赤らめた。
    もう塾なんか行っている場合ではなかった。

    「ウチ アヤって言うんだ。おねぇさんは?」

    すると彼女はカバンからメモとペンを取り出して渡してきた。
    そして自分の耳を指して、両手でバツを作る。
    アヤはびっくりして、メモに書いて見せた。

    《ごめん、気がつかなくて。ウチはアヤ。高校二年生。おねえさんは?》
    《私はろう者です。名前はナミです。》

    それから二人は筆談で色々と話した。
    ナミは二十歳で定職はなく、実家でバイトしながら暮らしている。
    今日も図書館で蔵書の整理のバイトに行くところだ。

    《えっ、図書館??さっきの駅 そうじゃなかった?》
    《えっ?ごめんなさい。アナウンスが聞こえないから。》
    《だから、窓の外をみてたのね?次の駅で降りよう。》

    コクンとナミが頷いた時、列車が停車した。
    アヤはナミの手を取り急いで降りたら、
    向かいのホームにちょうど列車が来たところだ。
    アヤ達は走って階段を駆け上がり、向かいのホームへ急いだ。
    ギリギリ間に合い、二人して笑い合った。
    それから二人で図書館に行き、アヤはそこで勉強して時間を潰した。
    帰り道、お互いのメールアドレスを交換した。
    ナミは意外にも携帯を持っていた。通話はしないがメールで必要らしい。
    それからはメールで連絡しあい仲を深めた。
    そして週末にデートをする約束をした。
    アヤはデートのつもりだが、ナミがどう思っているのか定かではない。
    ナミは自作で絵本を出すことが夢らしく
    絵本専門店に行きたいらしいのだ。
    週末が待ちどおしかった。
    しかし楽しいデートの前に、アイツの家庭教師の時間があった。

    続く

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■22182 / inTopicNo.6)  アヤナミ6
□投稿者/ いちこ ちょと常連(81回)-(2017/02/11(Sat) 18:24:45)

    レイは時間通りにやってくると、いきなり抱きついてきた。
    思わず身体を硬くするアヤに御構い無しで強く抱く。

    「アヤ、会いたかったよ。元気だった?」
    「うん、まぁ。」
    「ねぇ、この間 塾サボったでしょ。どうしたの?」
    抱きしめながら聞いてくる。
    「えっ、気分転換だよ。うっさいな!ちゃんと勉強してるよ。」
    「そう?なら、今から気分転換しない?」
    そう言って首筋に唇を押し付けてくる。
    いつもならこのままなし崩しにしてしまうアヤだがこの日は違った。
    レイを強く押し戻して言った。
    「やめてっ!‥‥ごめん。勉強しないと。」
    「そう‥‥何かあった?」
    「べ、別になにもないよ。勉強する気になってるだけだよ。」
    「ふ〜ん。まぁ、いいか。そうだ、今度の週末にウチに来ない?」
    「ごめん、週末は友達と勉強の約束あって。また誘って。」

    その日レイは真面目に仕事をして帰っていった。
    そしていよいよ週末の日、アヤはウキウキしながら待ち合わせ場所に向かった。
    駅前のロータリーで待ち合わせだ。
    改札を抜けると彼女が待っているのが見えた。

    「ナミー!」
    叫んでから気付いた。そうか聞こえないんだった。
    その時ナミに近づく男がいた。げっ、ナンパだろうか。
    「えっ?」
    なんとナミの方から男に手を振った。
    男はナミに近寄ると身振り手振りで話しかけている。
    ナミも盛んに手を動かして答えている。あれが手話?
    アヤが立ち止まって見ていると、ナミがアヤに気づいて満面の笑みで手を振った。
    アヤも慌てて振り返した。ナミは男に手話で何事か伝え、
    男はナミにバイバイと手を振り、去っていった。

    《だれ?》
    《同じ学校だった子だよ。久しぶりに会ったの。》

    アヤは羨ましかった。あんな風にナミと話せたら。

    続く

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■22190 / inTopicNo.7)  アヤナミ7
□投稿者/ いちこ ちょと常連(82回)-(2017/02/19(Sun) 22:48:39)

    絵本専門店に着くと、ナミは嬉しそうに絵本を物色し始めた。
    アヤは全く興味がなかったが、すぐに絵本の世界に魅了された。
    子供が読む物という固定観念があったアヤだったが、
    実際に手に取って見ると、様々に嗜好を凝らした絵本があった。
    絵が立体的に飛び出す仕掛け絵本や、文字のない絵だけの絵本、
    またシンプルなお話なのに深い物語だったり
    大人が手に取ってもおかしくない本がたくさんあった。
    こんな世界があったなんて!アヤは感動していた。

    《ごめんネ。私の趣味に付き合わせて。退屈だったでしょう?》
    《ううん、楽しかったよ。絵本って素敵だね。むしろ感謝してる。》
    《良かった!》
    《なにを買ったの?》
    《小川未明の『赤い蝋燭と人魚』》

    ナミは絵本を見せてくれた。可愛らしいがどこか寂しげな絵の本だった。

    《どんなお話なの?》
    《悲しいお話。でも絵を描いている人が好きで集めてるの。》

    そう言っているがどこか思い詰めたような顔をしている。
    それから二人は無言で歩いた。お互いの手の甲が微かに触れている。
    アヤは勇気を出して、そっと握りしめた。
    するとナミもぎゅっと握り返してきた。その時、

    「アヤーっ。」

    驚いてアヤが振り向くと、レイが手を振って近づいてくる。
    アヤはパッと手を離して、守るようにナミの前に立った。

    続く







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■22191 / inTopicNo.8)   アヤナミ8
□投稿者/ いちこ ちょと常連(83回)-(2017/02/22(Wed) 23:27:41)

    「珍しいとこで会うね。今日は友達と勉強するって言ってなかったっけ?」
    「あっ、それはこれから。こ、この子はナミ。耳が聞こえないんだ。」
    「そうなんだ!よろしく!ナミちゃん。」

    そう言って手を差し出す。ナミはコクンと頷き握手した。
    アヤは急いでナミにメールする。

    《この人は家庭教師のレイさん。》

    ナミはそれを読んで改めてペコリと頭を下げた。

    「なんて紹介した?」
    「家庭教師をしてもらってるって。」
    「それだけじゃないよね?!」

    レイは不敵に微笑むと、アヤの手を取り引き寄せ、
    腰に手を回すといきなりキスをして来た。

    「えっ、やっ‥んん〜。」

    アヤは両手で強くレイの身体を叩き、逃れようとするが、
    レイは力を込め、更に身体を密着させ離さない。
    ナミは目を見開き、両手を口にやり見ていたが、くるっと回ると走り出した。
    それを横目で捉えたアヤは、無理やり離れると追いかけようとした。
    が、レイが手首を掴かみ離さない。

    「ナミー!離せよっ!離せっ!チクショー。」
    「これでちゃんと伝わったと思うよ!」
    「うるさいっ!」
    「人には浮気を責めるくせに、自分はいいの?」
    「違う‥‥浮気じゃない。本気なんだ。」

    呆気にとられたレイを尻目に、アヤは走り出した。
    どこへ行ったのだろう。
    アヤはキョロキョロしながら、急いでメールする。

    《どこにいるの?》

    結局、ナミとはそれきり連絡がつかなくなった。
    彼女が何処に住んでいるのか聞いてなかったし、
    何度メールをしても返信はなかった。

    続く







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■22192 / inTopicNo.9)  アヤナミ9
□投稿者/ いちこ ちょと常連(84回)-(2017/02/26(Sun) 11:58:07)


    ナミは自分の部屋で、『赤い蝋燭と人魚』を
    胸に抱きしめ、何度も振動する携帯を見つめていた。
    ああ、やっぱり無理だったんだ。耳の聞こえない私が恋などと。
    私はこの絵本の中の人魚だ。
    この人魚のように人との違いを恥じて、閉じこもっていれば良かったんだ。
    そうすればアヤと出逢う事もなかったのに

    母親が入ってきた。この人は父の再婚相手だ。
    身振り手振りで下へ来いと言っている。食事なのだろう。
    私はこの人を、どうしても好きになれない。でも感謝はしている。
    しかしナミは、母親が階段を降りながら呟いた言葉は聞こえない。

    「あぁー、めんどくさい。早く独り立ちしてどっかへ行かないかねぇ!」

    レイはイライラしていた。
    あの日、アヤの態度がおかしかったので後をつけたのだ。
    友達にしては年上な感じの娘と会い、本屋に入っていった。
    その後二人の間の空気を敏感に感じ取ってしまった。
    二人は明らかに好き合っていた。実は自分はアヤとは遊びだった。
    アヤが誰を好きになろうが関係ないはずだった。
    だが自分がここまで動揺するとは思っても見なかった。
    なんとかして二人の関係を壊したかった。なんとかして。

    ナミは迷っていた。アヤからは再三メールが届く。
    内容は、とにかくもう一度会ってほしいと切々と訴えている。
    確かにこれっきりは辛い。会ってちゃんと話をしよう。
    そう決心すると、もう一度会うとメールして、場所と時間を決めた。
    当日、ナミは出会った時の白いワンピースを着て出かけた。

    続く





引用返信/返信 削除キー/
■22218 / inTopicNo.10)  アヤナミ10
□投稿者/ いちこ ちょと常連(85回)-(2017/03/05(Sun) 08:40:11)

    アヤに会いに行く途中のナミを、レイは偶然にも見かけた。
    どこへ行くんだろう?
    なんの迷いもなくレイは彼女の後をつけた。
    そして彼女がデパートのトイレに入る時、強引に一緒の個室に押し入った。
    驚き怯えるナミの唇に人差し指を立て、携帯に文字を打ち込み、見せた。

    《静かにして!あたしを覚えてる?》

    ナミはコクコクと首を縦に振る。
    「そう、なら話は早いわね。」
    そう言うといきなりナミのおっぱいを握りつぶすように強く掴んだ。
    苦痛に歪むナミの顔に、またも携帯を見せる。

    《あたしとアヤは付き合ってるの。二度とアヤに近づかないで!》

    涙を浮かべながらもナミは、首を縦にすることも横に振ることも出来なかった。
    それを見たレイはナミのスカートをめくり、
    素早く下着を膝まで下げてしまった。
    慌てて元に戻そうとするナミの両手首を掴んで頭の上に持っていくと
    いきなり乾いたソコに指を突き立てた。

    「あー‥‥あー‥‥。」
    ナミは悲鳴ともつかない声を上げ、痛みを訴えた。
    涙をこぼすナミにレイは携帯を見せる。

    《もし会ったら、アヤにもひどいことをするかも。》

    そしてレイは出て行った。ナミはその場で泣き崩れた。
    ヒリヒリして痛い!トイレットペーパーで拭いて確認すると出血していた。
    ナミはもうアヤとは会えないと思った。脅しに屈するのは悔しいが、
    自分は汚れてしまったと思った。
    それにアヤが酷い目にあうのはもっとイヤだった。
    泣きながらアヤにメールした。

    続く





引用返信/返信 削除キー/
■22219 / inTopicNo.11)   アヤナミ11
□投稿者/ いちこ ちょと常連(86回)-(2017/03/12(Sun) 22:20:18)

    レイは彼女から引き抜いた指を見て、ひどく後悔した。
    どうしてこんなことしちゃったんだろう?
    しかしもう取り返しがつかなかった。

    一方、待ち合わせ場所で待っていたアヤは、ナミからのメールに戸惑った。

    《やっぱり会えません。私のことは忘れて下さい。
    あなたは何も悪くありません。すべて私の我が儘です。ごめんなさい。》

    訳がわからなかった。急いで返信する。

    《今、どこにいるの?意味がわからない。とにかく会おうよ。》

    ‥‥‥‥けど、それきりだった‥‥‥

    数年後、アヤは大学も卒業して介護の仕事に就いていた。
    ナミとのことは、心の奥深くにしまい込み忘れるようにした。
    あれからレイとは別れた。もっとこじれるかと思ったが、
    レイは意外にすんなりと別れを受け入れた。
    介護の仕事を目指したのは、ナミとのことが影響している。
    障害のある人の少しでも役に立ちたかったのだ。
    大学では何人かの女性と付き合ったが、長続きしなかった。
    そんなある日、介護関連の情報誌を眺めていた時、
    小さな記事に目が釘付けになった。それは新人絵本作家の紹介だった。
    その作家がろう者なので紹介されていた。
    アヤが気になったのは、その作家の名前だ。『アヤナミ』。
    もしかして?!
    ネットで検索してみると、顔写真はなかったが、女性であることがわかった。
    代表作は、『人魚の涙』。

    続く


引用返信/返信 削除キー/
■22220 / inTopicNo.12)  アヤナミ12
□投稿者/ いちこ ちょと常連(87回)-(2017/03/18(Sat) 09:18:53)
    2017/03/18(Sat) 09:21:05 編集(投稿者)


    ネットで早速購入しようとしたら、サイン会の告知が目に入った。
    会えるかもしれない!?そうすれば、ナミかどうかが判る。
    日付を確認すると仕事の日ではあるが、早く終われば間に合いそうだ。
    アヤはその時に購入することにした。

    その日、アヤはイライラしていた。仕事が終わらないのだ。
    結局、一時間以上遅れて会場に着いたら、すでにスタッフが片付けていた。
    スタッフに聞いたら、どこにいるのかわからないという返事だった。
    呆然とするアヤの周りで、スタッフ達が騒々しく机や椅子を運んだりしている
    その時だった。スタッフ達の向こうの一番奥の扉からナミが出てきた。
    やっぱりナミだ!
    アヤはすぐに気がつき、近づこうとしたがスタッフが邪魔で近づけない。
    声をかけようが相手は聞こえないのだ。

    その時ナミがこちらを見て、立ち止まった。
    アヤは、右手の人差し指と中指を立て、顔の前で横に向ける。【もう一度】
    そして右手と左手の人差し指を立て近づけ
    今度は右手の親指と人差し指であご髭を触る仕草をする。【会いたかった】
    ナミは驚いた表情を見せ、両手を口に当て涙を流した。
    そして胸の前で両手の親指と人差し指を二回チョンチョンと合わせた。【私も!】
    やがてスタッフ達が、演技を終えた役者のようにいなくなると、
    ふたりはお互いに向かって走り出した。
    きつく抱き合うふたり。
    そしてどちらからともなく、くちびるを合わせた。
    ナミの舌は言葉を発しないけれど、雄弁に気持ちを伝えてきた。
    【好き、好き、大好き!!】

    おわり




完結!
引用返信/返信 削除キー/
■22221 / inTopicNo.13)  感想
□投稿者/ みな 一般♪(1回)-(2017/03/18(Sat) 14:00:21)
    とっても面白かった。
    また、ぜひ書いてくださいね♪
引用返信/返信 削除キー/
■22222 / inTopicNo.14)  Re[2]: 感想
□投稿者/ いちこ ちょと常連(88回)-(2017/03/23(Thu) 23:18:22)
    ありがとうございます!
    今回はエッチ少な目でした。
    過激なのはSM小説の方で書いています。
    よろしければそちらもどうぞ。(o^^o)
引用返信/返信 削除キー/
■22385 / inTopicNo.15)  Re[3]: 感想
□投稿者/ タイム 一般♪(2回)-(2020/08/07(Fri) 12:24:54)
    構成がとても魅力です。
    純愛・・憧れちゃいます。
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