| 気が付くと私は違う病院のベッドで寝ていた。 顎の下がかなり痛むし、ガーゼのようなものが貼られている。 「やっと目を覚ましてくれた。どう、すごく痛む感じ?」 左側に先生らしき女性が立っていて、私に聞いた。 「痛いです。…。ここって、私がいた病院じゃないですよね?」 「うんうん。また後で詳しく説明するけど、前の病院で使用した抗生物質が あなたの体に合わなかったの。それで、私たちの病院に移されて来たって訳。」 「……。」 先生はマスクをしてるから目しか見えないけど、すごく綺麗な目をしてる。 一瞬、痛みを忘れた。 「明後日、お母さんと妹さんが来てくれるから、それまで少し不安かも知れないけど、頑張ってね。」 「はい。…。」 私の主治医はこの人なのかな。かなり、タイプ。どうしよう。 「今は若干、麻酔が効いてる状態。今後、あまりにも痛みを感じるなら鎮痛剤を出します。看護師の人に声を掛けて。」 「はい。」 それだけ言うと、先生は足早に何処かに行ってしまった。 顎の下が痛いけど、私はラッキーなのかも。 あんな綺麗な目の人に生まれて初めて出会えた。 一目って惚れって本当にあるんだ。 マスクを取った顔が見たい。 私は病院で何を考えてるんだろう。 そう冷静に考えたら、少し可笑しかった。
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