ビアンエッセイ♪

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■22390 / inTopicNo.1)  先生と私(仮題)
  
□投稿者/ ゆい 一般♪(4回)-(2020/11/17(Tue) 12:39:08)
    気が付くと私は違う病院のベッドで寝ていた。
    顎の下がかなり痛むし、ガーゼのようなものが貼られている。
    「やっと目を覚ましてくれた。どう、すごく痛む感じ?」
    左側に先生らしき女性が立っていて、私に聞いた。
    「痛いです。…。ここって、私がいた病院じゃないですよね?」
    「うんうん。また後で詳しく説明するけど、前の病院で使用した抗生物質が
    あなたの体に合わなかったの。それで、私たちの病院に移されて来たって訳。」
    「……。」
    先生はマスクをしてるから目しか見えないけど、すごく綺麗な目をしてる。
    一瞬、痛みを忘れた。
    「明後日、お母さんと妹さんが来てくれるから、それまで少し不安かも知れないけど、頑張ってね。」
    「はい。…。」
    私の主治医はこの人なのかな。かなり、タイプ。どうしよう。
    「今は若干、麻酔が効いてる状態。今後、あまりにも痛みを感じるなら鎮痛剤を出します。看護師の人に声を掛けて。」
    「はい。」
    それだけ言うと、先生は足早に何処かに行ってしまった。
    顎の下が痛いけど、私はラッキーなのかも。
    あんな綺麗な目の人に生まれて初めて出会えた。
    一目って惚れって本当にあるんだ。
    マスクを取った顔が見たい。
    私は病院で何を考えてるんだろう。
    そう冷静に考えたら、少し可笑しかった。

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■22391 / inTopicNo.2)  Re[1]: 先生と私(仮題)
□投稿者/ ゆい 一般♪(5回)-(2020/11/17(Tue) 13:00:56)
    先生や看護師の人が会話してる事もある。
    聞きたいと思ってる訳じゃないけど、聞こえてくるんだから仕方ない。
    ある日、私の主治医のY先生が誰かと話していた。
    「N君がいなくて、本当に大変だったんだよ。」
    「なかなか許可が下りなくてさぁ。」
    「そうだよね。あっちの仕事はどうだった?」
    「日本の医療が一番だよ。僕はそう思ったね。」
    「飛行機で13時間掛かる場所にいたなんて、何か不思議。」
    「どこに居たって、僕の気持ちは変わらない。それは知ってるよね。」
    「はいはい。もう、時間だから行かないと。」
    多分先生は今話していた人と付き合ってる。
    あんなに綺麗で聡明な人が一人の筈無いし。
    少し嫉妬してる自分に気づいた。
    私は先生にとってただの患者の一人。
    それは、忘れちゃいけない。

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■22392 / inTopicNo.3)  Re[2]: 先生と私(仮題)
□投稿者/ ゆい 一般♪(6回)-(2020/11/17(Tue) 13:29:55)
    目が覚めたら、Y先生と目が合った。
    先生の目が笑ってる。
    「どうですか、調子は。」
    「問題ないです。」
    待って。こんなタイミングで私が起きる訳がない。
    先生が何かしらの方法で私を起こした。
    それに、何故笑ってるの。
    「明日退院ですね。」
    「はい。」
    すぐ隣にも患者さんが寝てるから、声を掛けて起こさない筈。
    多分…私の体の何処かを触って起こした。
    そう考えると、先生が笑ってるのも納得がいくし。
    違うかな。答えはわからない。
    「何か不思議な…。寂しい感じがします。」
    先生が急に真面目な声で私に言った。
    「どうしてですか?」
    「どうしてだろう。長く一緒にいたからかなぁ。…。」
    「…。」
    どう答えていいか分からなかった。
    一瞬、告白かと思ったけど、そんな訳無いよね。
    今思えば、私も寂しいですと答えれば良かった。
    「長い間、お世話になりました。」
    私が言えたのはそれだけだった。
完結!
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