□投稿者/ 鈴 一般♪(3回)-(2005/09/02(Fri) 23:22:14)
| 俺は優柔不断で最低なやつだった。
俺がルリを振って、コウを選ぶきっかけはコウに実際に逢ったことだった。
正直、コウに嫌われるつもりで逢いに行った。素の自分をさらけ出せば必ず嫌われるだろうと。 振る勇気がないから、振られるつもりだったのだ。
メールのやりとりしていたとき、自分に優しくしてくれたのはルリで、厳しかったのはコウだった。だから、コウが苦手になっていた。 今思うと、苦手なだけじゃなく、惹かれてもいたんだと…気づいた。
これからコウと逢ったときのことを伝える…。
ゴールデンウィークを利用して、俺と母親で旅行に行くことになった。旅行先にはコウがいる。母にはコウはメル友だと伝えており、特に問題はなかった。 秋田から名古屋まで…遠すぎる距離。母がいるのは俺にとって吉か凶かよくわからなかった。
「コウ、待たせたぁ!」 待ち合わせ場所に着くなり、俺はコウに抱きついた。まるで、久しぶりに旧友と再会したみたいに。 「やめれ」 母がはしゃいでる俺を注意する。 一方、コウは呆れた態度。そして、離れると冷めてるみたいな様子。メールではよく甘える子なのに…嫌われるつもりできたのに、傷ついてる自分がいた。
目的地に向かうバスの中。 そこにもはしゃいで空回る自分と冷めてるように見えるコウがいた。 「あのさぁ…んだべ?」 「秋田弁わかんないから」 興奮して標準語がうまく話せなくなる俺。呆れたコウ。 最悪な気分だった。隣の人と意志疎通ができないのはこんなにもつらいことだと初めて知った。 焦れば焦るほど標準語がうまく話せなくなる。初めて日本にきたアメリカ人の気持ちってこんなものだろうか?と思う自分がひどく滑稽だった。 楽しいはずの旅行も全然楽しくない。
目的地に着いても俺の空回りは続き、コウがトイレに行ってる間に母と「二人きりで行動すればよかったな」という会話までしてしまった。母にも、俺の空回りの様子ははっきり伝わっていたのだ。まさに俺はこのとき、コウがいなければ親子水入らずの楽しい旅行になっていただろうなと思ってしまっていたのだ。
そして、その日の夜。母はホテルに泊まり、俺はコウの家にお世話になることになっていた。
「すげぇ…」 彼女の家を見ての第一声がこれだった。 彼女は俺にとって金持ちだった。家の中をちょっと見ただけで、身分差を感じて悲しくなった。
(携帯)
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