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■21229 / 2階層)  恋唄 第二章 3
□投稿者/ sakura 一般♪(10回)-(2009/01/14(Wed) 23:42:18)
    「美味しい!ホント、美佐子さんは料理上手だね。」
    アップルパイを頬張りながら喋るサイに、美佐子は思わず吹き出した。
    「サイって、時々すごく子供みたい。」
    「あなたに比べれば子供です。」
    「あっ、ひど〜い!」

    サイは肩を押す美佐子の手を、そっと掴んで引き寄せる。
    肩を抱く。
    その手が髪を撫でる事はあっても、そこから降りることはない。

    サイは美佐子を抱かない。
    抱けない。

    唇を重ねるのが、二人には精一杯で、それ以上の愛情表現はなかった。

    指を絡ませ、もたれ合って、他愛のない話をする。
    そんなひと時が、この上なく幸せな瞬間だった。

    「最近ね、娘がとっても反抗的なの。一時は落ち着いてたんだけど・・・。でも、彼女にもちゃんと心があって、きっと何か、壁を越えようとしてるのね・・・。」
    「うん。誰にもそんな時期があるよ。美佐子さんも・・・いや、美佐子さんはなさそうだね。」
    「あっ。また私を世間知らずだって馬鹿にして〜っ。」

    自分よりも年上で、結婚していて、おまけに子供まで産んでいる。
    それでも、サイには美佐子が可愛くて愛しくてたまらなかった。

    「そろそろ・・・時間だね。」
    いつも美佐子が切り出す。
    サイの事を、あまり引き止めてはいけない気がしている。
    「そだね・・・。また来てもいい?」
    「うん・・・たくさん来て・・・。」
    お互いを確かめるように、自分に刻み込むように、唇を重ねる。
    「じゃ・・・。」
    唇を離すのは、いつもサイの方だった。

    いつまで続くのだろう・・・

    そう思うと、訳もなく恐ろしくなり、サイは振り返ることも出来ず早足で美佐子の家を後にする。
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