| 2007/02/14(Wed) 04:20:10 編集(投稿者)
「お名前、何ていいますのん?」
彼女がこの学校にやって来たのは、半年前のこと
隣のクラスで、同じ美術科
関西から来たというその娘は、他クラスとの合同授業で同じ班になった私に、屈託のない笑顔で問い掛けてきた
「……笠原。笠原 椿」
その笑顔と、初対面なのに物怖じしないテンション
あまり人と会話をするのが得意でない私はその雰囲気に圧され、質問に答えるまで少し間をおいてしまった
「かさはら つばき……椿ちゃんか」
うんうん、と頷いて
ええ名前やね、と またあの笑顔で此方を見る
今時めずらしい、幼い子供のような表情
「うちは相田 たまきっていうねん。仲良うしたってなぁ」
口元を緩めて笑う
その顔があまりにも無邪気で、穏やかで
初対面で硬くなっていた気持ちが、ほぐれていくのを感じた
分かりやすく言えば、脱力系
「よろしくね、相田」
初めて交わした握手
きっと、あのとき
彼女の笑顔に釣られて、私の顔も綻んでいたのだろう
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