| 土曜日になるまでの間、何も考えないように遅くまで仕事に集中した。
でも時々浮かんでくる光景。
あの後、二人はどこへ行ったのだろう・・。 何時くらいに帰宅したんだろう・・。
咲希が誰とどうしようと、私には関係ないことなのに。 何だか、心の中がモヤモヤする。
約束の土曜日。
行こうか、やめておこうか、迷っていた。 でも、断るにしても咲希の連絡先を知らないことに気付いた・・・。 そんな訳で、言われた待ち合わせ場所まで行くことにした。
咲希はデートだって言ってたけど、どこ行くんだろう。 どんな服装で行けばいいのかな・・ 行き先だけでもきちんと聞いておけば良かった。
とにかく悩んでいる時間はあまりなかった。 カジュアル過ぎず、着飾り過ぎないように、シンプルなベージュのワンピースを選んだ。
駅に向かうと、咲希はすでに待っていた。
「ごめんね、待たせて」
「行こっか。」
「どこへ行くの?」
「内緒」
「えっ?・・・も〜秘密が多いんだから(笑)」
「少し、歩ける?」
「うん、大丈夫だよ」
2、3分ほど歩いた所には駐車場があった。 咲希は車で来ていたようだ。
「あなたの車?」
「うん、そうだけど?」
「高校生って、免許取れたっけ?」
「取れるよ。もう18歳だからね。」
「そっか。そうだよね・・いい車だね。ご家族の?」
「自分のだよ。先生を乗せる為に必死にバイトして買った。」
「えっ?」
「なんてね(笑)」
「・・・・ も〜 あなたは冗談ばっかりなんだから(笑)」
「(笑)。 じゃ、出発するよ」
「うん」
咲希の運転は上手だった。
何だか行き先も告げられず、正直、ドキドキもしたし、子どものように少しワクワクした気分でもあった。
でも、いいのかな・・生徒の車に乗せてもらってお出かけなんて。
制服ではない咲希は、全く学生には見えなかった。 ラフな感じに着崩した上下細身のスーツ、さりげなく首から下げてる長めのアクセサリーもクールで似合ってる。 スタイルが良いし海外のモデルさんみたい。 こんな綺麗でクールな子なら、そりゃあモテるよね・・・ 私なんかとデートしてていいのかな・・
ふとこの間の女性のことがまた頭に浮かんだ。 咲希の運転する車に、彼女も乗ったのかな・・
気になる。。。 でも、大人げないから、聞かない。
しばらくの間、ドライブは続いた。
|