| 翌日、夕方から彼と会うことになった。 今のままじゃ結婚なんて考えられない。。 きちんと彼には伝えよう。
家を出るまでの時間、昨日のことを思い出していた。
“ 欲情 ”
気になって携帯で検索した結果。 手首にキスするのは、欲情を示す合図。
咲希は何食わぬ平気な顔で私をドキドキさせる。 でも、自分から求めて手を繋いだりして、私のほうが欲情してたのかも・・・
とにかく、昨日限定の恋人だったから、あんな大胆なことが出来たのかも。
なんて・・・咲希の気持ちを知ってるのに、私ってひどい。
それでも、自分の立場を考えると、そうやって気持ちにブレーキをかけるしかない。 咲希なら若いし魅力的だから、すぐにまた好きな人くらい出来るだろう。
夕方、気の進まないまま彼と会った。 彼が予約してくれていた個室のお店で、夕食をした。 久しぶりに会って、嬉しそうな顔をする彼に、なかなか言い出せないでいた。
「りこ、今日はこの後もう少し一緒にいられる?」
「あっ、うん・・・でも、明日は朝早いから早めに帰るね」
「りこに触れたい」
「・・・うん」
「抱きたい」
「・・・・」
真剣な顔で見つめられて、言葉がすぐに出てこなかった。 そんなに愛しそうにされると、どうしたらいいのかわからなくなる。
でも、 心は変わらなかった。
気持ちを落ち着かせてから、彼に打ち明けた。 仕事を辞めるなんて考えられないこと、だから結婚は出来ないこと、それから・・・好きな人がいること。
彼は黙って聞いていた。 しばらく沈黙の後・・・
「・・・そいつに、もう抱かれた?」
「あの、そういう関係じゃないの・・・ただ、私が好きなだけだから。」
「・・・待つよ。」
「えっ?」
「今はめちゃくちゃ腹立ってるけどね。でも、りこを他の奴に渡したくない。」
「・・・・」
「そんな困った顔するなって。俺が勝手に待つだけだから(^_^)」
「だって・・・」
「勝手に待つくらい、自由だろ?」
「でも。。。(>_<)」
「何かあった時は頼ればいいからさ」
彼はほんとお人好し過ぎる。 幸せになって欲しいのに。 全部、私のせいだ・・・。
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