| その日 私のイライラは 最高潮に達していた。
「ご機嫌ナナメなのは 最近あの子の姿を見ていないから?」
昼休み 同僚のミカに 痛いところを突かれた。
「そんなこと ないけど…」
返す言葉が 空しかった。
「仕事 終わったら ごはん 食べに行く?」
「ううん…今日はやめとく…また今度誘って(^^;」
(冷蔵庫にあるもので 適当に済ませて お風呂に入って さっさと寝よう)
ミカの誘いを断って 真っ直ぐ帰宅した。
ありあわせの材料で炒め物を作り 半端に残っていた大根でお味噌汁を作り
ごはんだけは 炊きたてのナンチャッテ食卓を整え
(あたし なにやってんだろ… 明日は なんか 美味しいものでも食べに行こうかな…)
お箸を持った瞬間 インターフォンが鳴った。
(今頃 だれ?)と思いながら
「はい…」
不愛想な応答をした。
「お忙しい時間に申し訳ありません。隣に引っ越してきた坂本と言います。」
聞き覚えのある声が飛び込んで来た。
(えっ?うそ?…)
職場でも見せたことないほど動揺したが そのまま表に出すわけにもいかず
「お待ちください。今 開けます。」
取り繕って ドアを開けた。
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