ビアンエッセイ♪

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■22209 / ResNo.10)  すこしづつ…U-10
  
□投稿者/ 桃子 ちょと常連(54回)-(2017/03/01(Wed) 15:54:57)
    週明けの月曜日

    ルームシェアの件で Madamから電話をもらい コウちゃんに内緒で ランチタイムに会うことになった。

    Madamに

    「本当にヒロでいいの?」と 訊かれた。

    「はい」

    反対されるかも…と思ったけど 気持ちは揺るがなかった。

    「あの子と違って 恭子さんは 普通の恋愛が出来るでしょ?
     それに…こういう言い方は良くないけど…恭子さん ひとり娘 さんでしょ?
     おウチのこと考えたら…」

    「そうですねぇ…家のことはともかく…もし 普通の恋愛をしていたら…お母さんになって…
     ひょっとしたら おばあちゃんになる可能性もあるかもしれません…
     正直 ヒロ君が 初めて…と言う訳ではありませんし…若い頃は そういう未来を考えていました…」

    「だったら…」

    「本当なら そちらの方がいいというのはわかっています…でも…それだと 私 幸せじゃないんです…」

    「えっ?」

    「これからの時間を 一緒に過ごしたいのは ヒロ君だけですから…」

    Madamの目を見て言った。

    (これで反対されたら コウちゃんに言おう…)

    Madamは ニッコリ笑って

    「これから 恭子さんとは どんな関係になるのかしら?(笑)」

    「えっ?…」

    「恭子さんのご両親にとってヒロは どんな立ち位置? 」

    「それは…両親は 私よりも ヒロ君の方が ホントの息子みたいだ って言ってます…(笑)」

    「じゃ 決まりね(^^♪ 末っ子のお嫁さん ってことで…(笑)
     恭子さん…ひとつだけ 姑からアドバイスをしてもいいかしら?」

    「はい」

    「そんなに緊張しないで(笑) 『朝食は一緒に』ってことだけだから…
     前の晩 大げんかして…そのまま朝食がバラバラだと お互い 謝るキッカケを無くすでしょ
     でも…一緒のテーブルに着くと…どちらからともなく「ごめん」って言いやすくなるから…ね
     最初が肝心だから…初日に「これが我が家のルールです!」って ビシッとね(笑)
     ついでに「行ってきますのチュー」も 付け加えるといいかも(笑)
     主導権は 握った者勝ちだから 負けちゃダメよ(笑)」

     なんともたくましい姑だ(^-^)
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■22210 / ResNo.11)  すこしづつ…U-11
□投稿者/ 桃子 ちょと常連(55回)-(2017/03/01(Wed) 15:55:38)
    『我が家のルール』は コウちゃんと話し合って決めた。
     *朝食は 在宅する限り 必ず一緒に摂る
     *寝室は別々にしない
     *食事の支度は 私
       後片付けとゴミ出しは コウちゃん 
       掃除・洗濯は 手の空いている方がする
     *家計管理は 一応 私

    「ウチ…家賃ナシなんで 光熱費と食費の折半 ってことで…」
    コウちゃんが アッサリと言った時…耳を疑った。
    「家賃ナシ って…ココ 賃貸だよね?」
    「はい(^-^)」
    「だったら…」
    「でも 自分…オーナーなんで…(^^;」
    「それって…この部屋の?」 
    「と言うか…このマンションの…(^^;」
    「どういうことか わかるように 説明してくれる?」
    元々は 去年の3月まで この部屋に住んでいた「会社会長のじいちゃん」が オーナーだったらしい…
    「で その じいちゃんが 南の島に移住したんで もらい受けたんです」
    というのが コウちゃんの説明…
    「そんな…子犬をもらうようなカンジで 言われても…」
    「ですよねぇ(笑) 」

    そのまま相続となると いろいろややこしいことになるから
    コウちゃんが 成人した時に しかるべき収入がコンスタントに手元に届くようになっているらしい…
    「詳しいことは よくわかんないですけど まぁ 地道に暮らせ ってことです(^^;」


    「おじいさんの会社って?」
    コウちゃんが 口にしたのは 誰もが知っている大手建設会社だった…
    「ちなみに じいちゃんは マスターの親父さんです」
    (って…それは…)
    「本来なら じいちゃんが 自分のことを気にしてくれるのは おかしな話なんです…
     邪険に扱われて当然なんですから…なのに…孫には平等に…って言ってくれて…」
    「そうだったんだ…」
    コウちゃんが この部屋に来たのは
    おじいさんの「空けておくのはもったいない」の ひとことだったらしい…(笑)

    「あれっ?でも…去年まで この部屋に居たのは『鈴木のおじいちゃん』だったよ?
     あたし 何度か挨拶したことあるもん…」
    「鈴木は ばあちゃんの旧姓です(笑)」
    茶目っ気のある鈴木のおじいちゃんが ウィンクしている姿が 目に浮かんだ…

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■22211 / ResNo.12)  すこしづつ…U-12
□投稿者/ 桃子 ちょと常連(56回)-(2017/03/01(Wed) 16:00:05)
    バレンタインの時期が来た。

    引っ越しは 2月14日に決めた。

    父の荷物は 実家に送り 自分の荷物は 少しづつ新しい部屋へ運んだ。

    元々 家具付きの部屋なので 身の回りのものだけを運べばよかった。

    勤め出してから初めて 1週間の有給を取った。

    夕方 コウちゃんが帰って来る頃には 部屋は すっかり片付いていた。

    「ただいま…」

    「おかえり(^-^)」

    「なんだか ずっとここに居るみたいなカンジですね(笑)」

    「うん 私もそんな気がする(^-^) コウちゃん それ…」

    コウちゃんは 有名お菓子ブランドの紙袋を持っている。

    「恭子さんへのチョコ 預かってきました(笑)」

    「えっ…?」

    「よくお店で 宿題している女子中学生グループ覚えてますか?」

    「うん」

    「彼女たちからです。恭子さんに渡してほしいって…」

    「えっ?…」

    「手紙も入っているそうです」


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■22212 / ResNo.13)  すこしづつ…U-13
□投稿者/ 桃子 ちょと常連(57回)-(2017/03/01(Wed) 16:02:16)
    中を見てみると 箱の上に 封筒が…封を開けると かわいい文字が飛び込んで来た。

     『ヒロさんの彼女さんへ
       私たちは『駅裏』で 中1の時から ヒロさんに 学校の宿題をみてもらったり
       わからないところを 教えてもらったりしています。
       お店が終わった後 遅くなっても ヒロさんは 嫌な顔ひとつしないで
       理解出来るまで 教えてくれます。
       おかげで メンバー全員 希望の高校への進学が決まりました。
       ヒロさんは 私たちが頑張ったからだ と言ってくれますが
       私たちは そんな私たちを見ていてくれるヒロさんが 居てくれたから 頑張れました。
       この間 ヒロさんの『元気の素』は 何か って訊いたら…
       「彼女」って教えてくれました。
       彼女が居てくれるから 自分は自分の場所でベストを尽くすことが出来るって…
       普段 プライベートの話なんて 殆どしないヒロさんが ハッキリ言ってくれました。
       ホントは 彼女さんとの時間を もっともっと 大切にしたいはずなのに…
       「大事な時だから」って 私たちを優先してくれたヒロさんと それを受け入れてくれた
       彼女さんに 感謝しています。
       私たちも これから ヒロさんのように「元気の素は好きな人」って胸を張って言えるような
       パートナーを見つけます(^-^)
       ちゃんとご挨拶もしたことないのに こんな失礼な手紙を送ってごめんなさい。
       チョコ…食べてもらえると嬉しいです♪

                                      駅裏 女子中学生一同』


    「希望の高校に決まってよかったね」

    「うん…頑張ってたからね…」

    「コウちゃん 大変だったでしょ?」

    「ううん…恭子さんが居てくれたから…」

    コウちゃんは 手紙に書かれているのと同じことを言っている。

    でも…私は 特に何もしていない…

    「私…こんなに嬉しいありがとうは 初めてかも…」

    「うん…」

    「お互いを そんなに知らなくても ありがとう って言えるって…すごいね」

    「恭子さんの人柄だと思う…」

    「コウちゃんじゃなくて?」

    「最近 ヒロを あんなに柔らかくしたのは誰だ?って話が出てる って知ってた?(笑)」

    「この間 Madamがちらっと…」

    「そういうことです(笑)」

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■22213 / ResNo.14)  すこしづつ…U-14
□投稿者/ 桃子 ちょと常連(58回)-(2017/03/01(Wed) 16:04:21)
    食後のコーヒーを飲みながらソファに2人並んで座った。

    「去年の秋から 色々 忙しかったですね(笑)」

    「ほんと…バタバタしたね(笑)」

    (告白して クリスマス・お正月…お互いの家族に紹介して…引っ越し…)

    「去年のバレンタインなんて…」

    「何してたんですか?」

    「ミカとふたりで ラーメン食べてた(^-^)」

    「ラーメン?」

    「うん…『寒い夜は チョコよりもラーメンだ〜』って…2軒 ハシゴした…(^^;」

    コウちゃんは 可笑しそうに笑っている。

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■22214 / ResNo.15)  すこしづつ…U-15
□投稿者/ 桃子 ちょと常連(59回)-(2017/03/01(Wed) 16:07:52)
    「ところで コウちゃんのチョコは?」

    「えっ?」

    「1個も貰わなかったの?(笑)」

    「貰うの前提ですか?(笑)」

    「誰かにあげるイメージはないでしょ?(笑)」

    「ゼロってことはないですけど(笑) チョコは『駅裏』に置いてきました」

    コウちゃんの話によると…

    毎年 食べきれないほどのチョコをもらうのだそうだ。

    そのチョコで Madamが ブラウニーを焼いて お客様に試食としてお出しするとのこと。

    「ホントは 自分で焼くといいんだけど…なんせ量が多いから…(笑)
     お店で作業する方が 効率がいいんです…」

    「多いってそんなに?」

    「まぁ…友チョコ ってやつですけどね…(笑)」

    「友チョコ以外は?(笑)」

    「そりゃ…恭子さんから貰ったチョコは 誰にも公表しませんよ(^-^)」

    「ごめん…あたし…何も用意してない…」

    「謝られると困ります(笑)」

    「えっ?」

    「自分も同じですから…」

    そう言うと コウちゃんは 私をジッとみた…

    「もう永久に返品不可だよ…」

    「わかってます(^-^)」

    2人の顔が近づいた時…

    「お風呂が沸きました」…機械的な声が流れた。

    思わず 吹き出してしまった。

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■22215 / ResNo.16)  すこしづつ…U-16
□投稿者/ 桃子 ちょと常連(60回)-(2017/03/01(Wed) 16:09:49)
    「コウちゃん 一緒に入ろ!」

    「えっ いきなりっすか…」

    「ビビった?」

    「はい…」

    「フフフ…ウソだよ〜」

    「勘弁してください…(>_<)」


    コウちゃんが お風呂から出てきた。

    ベッドサイドに腰かけている私を見て にっこり微笑んだ。

    「寒くないっすか?」

    「大丈夫…」

    「電気 全部消します?」

    「うん…」

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■22216 / ResNo.17)  すこしづつ…U-17
□投稿者/ 桃子 ちょと常連(61回)-(2017/03/01(Wed) 16:12:02)
    コウちゃんが 先にベッドに入った。

    伸ばした右腕に頭を乗せた。

    コウちゃんの掌を右の乳房の上に置いた…

    コウちゃんは 驚いたみたいだったが…私は 気付いていないフリをした。

    「コウちゃん…」

    「ん?」

    「前から訊こうって思ってたんだけど…」

    「何ですか?」

    「もしかして…気付いてた?」

    「ん?」

    「その…」

    「ひょっとして…デコキス?」

    「うん…」

    「確信はなかったんですけどね…」

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■22217 / ResNo.18)  すこしづつ…U-18
□投稿者/ 桃子 ちょと常連(62回)-(2017/03/01(Wed) 16:14:25)
    あれは…まだ コウちゃんに告白する前の頃だ。

    一緒に出掛ける約束をしていた日の朝…

    部屋のドアを開けたのは 2人同時だった。

    「おはよう」

    「おはようございます」

    コウちゃんの声がいつもと違った気がした…

    (あれっ?)

    腕を組んで歩き出した時も 何かが違った…妙に呼吸が早い…

    (もしかして…)

    コウちゃんの額に手を当てたら…びっくりするくらい熱かった。

    「コウちゃん!」

    「はい?」

    「熱あるんじゃない?…」

    「えっ?まさか…」

    「いいから とにかく 一回 部屋に戻ろう!」

    有無を言わさず 戻った…

    リビングのソファに崩れるように座ったコウちゃんに

    体温計の場所を聞き…計ったら…

    デジタルは 39.6℃ を表示していた。

    (このバカ…何考えてるの!)は 胸にしまって…

    「とにかく 着替えて すぐ寝なさい!」

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■22231 / ResNo.19)  感想
□投稿者/ 涼 一般♪(1回)-(2017/05/23(Tue) 21:02:32)
    とても読みやすく、スラスラ読み進められました。続き楽しみにしています。

    (携帯)
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