ビアンエッセイ♪

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■22306 / ResNo.40)  すこしづつ…U-38
  
□投稿者/ 桃子 一般♪(21回)-(2018/07/20(Fri) 14:14:25)
    翌日 コウちゃんは 出かける時より 日焼けして帰ってきた。

    「泳いだの?」

    「ううん…泳ぐには まだ早くて…足だけ(笑) 日焼け止め塗ったんですけどね…」

    「なんか…ちょっとワイルドになった?(笑) 来週には あっちこっちで噂になってたりして…(笑)
     で!今日のお店…予約は7時なんだけど…その前に『駅裏』に寄ることになったから…
     コウちゃん 汗流したら すぐ出発できる?」

    「了解です」


    コウちゃんが浴室に向かったのを確認して MadamにLineを入れた。

       順調です

    返事はすぐに来た。

       こちらも 整いました


    1時間後…

    『駅裏』で 6年振りの親子対面が行われた… 
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■22307 / ResNo.41)  すこしづつ…U-39
□投稿者/ 桃子 一般♪(22回)-(2018/07/20(Fri) 14:19:35)
    昨夜 帰ってから Madamに電話をしたのは 私だ。

    「国木田さんが 明日もこっちに滞在しているなら 夕方5時頃 駅裏に来てもらうようお伝えください!
     もし 迷ったら「美味しいコーヒー飲む機会 逃したくないでしょ」って(笑)」

    Madamは

    「それって…」

    「はい コウちゃんに コーヒー淹れさせます(笑)
     今度…なんて言ってたら いつになるかわからないですから…(笑) 善は急げ です」

    「恭子さん…ありがとう…由美子には 絶対来るように言うから…あとは 任せます」



    コウちゃんは スタッフの出入り口を使っている。

    お店のドアに「貸し切り」の札が出ていることには気付いていないハズだ。

    店内には Madamと国木田さんが居るだけだった。

    いつもと違う店内の雰囲気に 怪訝な顔をするコウちゃん…

    奥のテーブルに座っていた国木田さんが 振り向いた。

    一瞬の間のあと

    「なんでここに…」

    つぶやいたコウちゃんに Madamが言った。

    「詳しい話は あとでちゃんとするから…こちらにコーヒーひとつお願い」

    「あっ はい…っていうか…マスターは?」

    「居ない…オーダーは ヒロのコーヒーだから…」

    「えっ? 自分 まだ お客様にお出ししたことは…」

    「大丈夫! 私の古い友人だから(笑) お代は頂かないけど その代わり 練習台になって って言ってある」

    「そうですか…で 何を?」

    「『駅裏オリジナル』をお願いします」

    国木田さんが 凛とした声で言った。

    「少々お待ちください」



    コウちゃんは いつも部屋で淹れてくれる時と同じように

    真剣で 優しいまなざしで コーヒー豆と向き合った。

    コーヒーのドリップの音と絞ったBGM以外は 何も聞こえなかった。

    「お待たせしました」

    「ありがとうございます」

    国木田さんの言葉を背中で受けながら コウちゃんは カウンターの中に戻ってきた。

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■22308 / ResNo.42)  すこしづつ…U-40
□投稿者/ 桃子 一般♪(23回)-(2018/07/20(Fri) 14:22:36)
    「どう?」

    「美味しい♪」

    「でしょ?」

    「うん…ありがとう…」

    「お礼なら 私じゃなく 恭子さんに…」

    「えっ?」

    「昨夜 あの後 電話くれて とにかく国木田さんを呼び出してって!
     もし渋ったら『美味しいコーヒー飲む機会を一生逃しますよ』って脅せって(笑) ねっ?」

    「一生なんて言ってません…それに 脅せだなんて…」

    「でも そんな迫力感じたけど?」

    「まぁ…気持ちは…それに近いものが…」

    「でしょ?(笑)」

    Madamとのやりとりを聞いていた国木田さんが

    「そうだったの…本当に ありがとう…」

    コウちゃんが 国木田さんの顔を見て言った。

    「自分は ここで元気にしてます。これからも ここで元気にやっていきます。
     また こっちに来ることがあったら 顔を出してください。
     その時には 練習台ではなく ちゃんと お代を頂けるようになってますから…」
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■22309 / ResNo.43)  すこしづつ…U-41
□投稿者/ 桃子 一般♪(24回)-(2018/07/20(Fri) 14:27:17)
    帰る国木田さんを外まで見送ったMadamが お店に入ったのを見て

    「どういうことか 説明してもらいましょうか!」

    コウちゃんが口火を切った。

    「恭子さんが 1枚噛んでいるのはわかりました。でも…接点がみつかりません」

    「簡単なことよ。昨夜 ウチで一緒に食事したの…」

    Madamが 何でもない顔をして言った。

    「なんで? どうしたら こういう組み合わせになるんですか?」

    「普通に考えたらわかるでしょ…親が子どものことを心配して 様子を見に来たって…」

    言葉に詰まるコウちゃんを見るのは 久し振りだった…

    「まさか 思いもしなかったとか?」

    どうやら 図星だったらしい…

    「あんたねぇ…いきなり卵から産まれたわけじゃないでしょ(笑) 産んでくれた人がいたから 今 ここに居るんでしょうが…」

    「はぁ…」

    「そりゃ…大抵の場合 産んでくれた人と育ててくれる人は同じだけど 何かの拍子で
     そうならない親子なんて 世の中には 山ほどあるでしょ…中には 会いたくても会えない状況に
     なった人だっている…たまたま あんたの場合は 別れることにはなったけど
     会えなくなったわけではない…会いたくなって会いに来た…それだけのこと… 何か 文句ある?」

    「文句はないけど…」

    「けど?」

    「どうして 恭子さん…」

    思いが言葉にならないコウちゃんを見たのも 久し振りだ…

    「ヒロじゃなく 恭子さんを呼んだか?」

    「うん」

    「そりゃ 子どもが付き合っている人が どんな人か 気になるのは 当たり前でしょうが…
     話には聞いてても ホントにいい人かどうか…6歳も年上なんて たぶらかされてるんじゃないか…
     ここは ひとつ 私が 相手の本性を暴かなくっちゃ…って決死の覚悟で乗り込んできたのよ(笑) 」

    「それで?」

    「本性を暴くどころか 我が子の『人を見る確かな目』に圧倒されただけ(笑)
     どんなに難癖つけても ひるむことなく堂々としてて…全然 太刀打ちできなかった(笑)
     それどこころか 二度と会うことは叶わないって思ってた我が子との再会まで 演出してくれて…
     完全に 頭が上がらなくなったかも(笑) 」

    「そんなにすごかったんですか?」

    コウちゃんが 私に話を振った。

    「ううん…そんなことない…」

    「恭子さん 謙遜し過ぎ(笑)
     『私は 宏海さんのことは どんなことでも知りたいです
      でも…それは…宏海さんのタイミングで 話してくれたらいいんです…』って言い切った姿は
      ヒロにも見せたかったな(笑)
     そのあとのひとことが…
     『国木田さんが 手放してくれたおかげで 宏海さんに会えました』
     テレビドラマみたいだった(笑)」

    Madamの言葉に コウちゃんも 少し 落ち着きを取り戻したみたいだった。
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■22310 / ResNo.44)  すこしづつ…U-42
□投稿者/ 桃子 一般♪(25回)-(2018/07/20(Fri) 14:29:59)
    「それが どうして 今日 ココに来ることになったんですか?」

    「 Madamが『ヒロのコーヒー飲みたいね』って言った時 国木田さん ちょっと寂しそうだったの…
     “この人はヒロ君が淹れたコーヒー 1度も 飲んだことが無いんだ…”って思ったら
     どうしても 1杯飲んでほしくなって…」

    「そうだったんですか…」

    「うん…」

    Madamが 私達が お店に到着した時の国木田さんの様子を話してくれた。

    「ホントは ヒロに会うのは怖いって…でも コーヒーを飲んだら…この先 二度と会えなくても
     生きていく支えになると思って来たって…」

    お店を出た国木田さんからの伝言は

    「今度は ちゃんとお客として来ます」だった。

    「そうですか…じゃ…こっちからも伝言お願いします…
     いきなり来られると 動揺するので 前以て連絡お願いしますって… (笑)」

    「わかった(笑) ちゃんと言っとく…これからデートでしょ…楽しんできなさい(笑)」
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■22311 / ResNo.45)  すこしづつ…U-43
□投稿者/ 桃子 一般♪(26回)-(2018/07/20(Fri) 14:32:06)
    2人で『駅裏』を出た。

    車のエンジンをかけながら

    「昨日 ビックリしたでしょ?」

    コウちゃんが言った。
    「うん…あたし…一生分 驚いた気がする(笑) まさか お母様に会うなんて…想像してなかったもん…
     でも…コウちゃんの御両親は マスターとMadamの方が しっくりする…不思議だね(笑)」

    「それだけ 自分も馴染んできた ってことでしょうか?…
     ところで恭子さん! 我々は 何処へ向かえばいいんですか?」

    「ごめん…お店は予約してないの…コウちゃん 何食べたい?」

    「何でもいい?」

    「うん」

    「冷製パスタとスープ!」

    「それって…」

    「はい(笑) コレを食べないと 夏が始まりません( *´艸`) 買い物した方がいい?」

    「ううん…大丈夫…」

    「じゃ 帰りましょう(^^♪」

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■22312 / ResNo.46)  すこしづつ…U-44
□投稿者/ 桃子 一般♪(27回)-(2018/07/20(Fri) 14:35:34)
    食事の後…

    「まだ早い時間ですね(笑) 恭子さん 何か呑みます?」

    「今日は アルコールはダメだよ」

    「えっ?」

    「えっ じゃないでしょ(笑) たまには 肝臓も休めなさい(笑)」

    「はいはい…どれ…お茶でも淹れましょうかねぇ…恭子さんも飲みますか?(笑)」

    「ありがと♡」

    「優しいんだか優しくないんだか…(笑)」

    「こんなに優しい人は 居ないと思うけど?(笑)」

    「そういうことにしておきましょうかねぇ…」

    「不服?」

    「いえいえ とんでもございません(笑) 奥様 お茶がはいりました(笑)」


    2人で ソファを背もたれにして フローリングに座った。

    コウちゃんの肩に頭を乗せる…私の一番好きな瞬間だ。

    ふいに コウちゃんが 思い出し笑いをした。

    「どうした?」

    「いや…Madamの言葉を思い出して…」

    「えっ?」

    「国木田さんに言い切った ってやつ…(笑) ホント 生でみたかったなって」

    「バカ! 必死だったんだからね(>_<) 」

    「でも Madam は 負けてなかったって…(笑)」

    「そんなこと ないない(笑)」

    「ホント?」

    「うん…勝ち負けじゃなく…ただ…あたしが コウちゃんをどう思っているか 正直に伝えようって…
     それが ちょっと 強気に…(笑)」

    「そっか…」

    コウちゃんは 急に真顔になって

    「恭子さんのお陰で 久し振りに国木田さんに会えました。ありがとうございました」

    「そんな…」

    「だって…あんなだまし射ちのアイディア考えるのって 恭子さんくらいっすよ(笑)」

    「コウちゃん それ ほめ言葉になってないっ!」

    「フフフ(^^)」

    「バカっ! …シャワーしてくるっ」

    コウちゃんは ただ 笑っていた…
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■22313 / ResNo.47)  すこしづつ…U-45
□投稿者/ 桃子 一般♪(28回)-(2018/07/20(Fri) 14:37:33)
    リビングに戻ると コウちゃんは ダイニングテーブルで ノートパソコンを開いていた。

    「課題?」

    「合宿のレポート(^^♪ 来週提出なんで ちっと まとめておこうと思って…」

    「呑んだくれていたわけじゃないんだ(笑)」

    「8割は 呑みだったんですけどね(笑) 残りの2割が…」

    「そうなんだ…あんまり 遅くならないようにね(^^♪」

    「了解っす」

    「よっし できたっ」

    コウちゃんが 声を出したのは 1時間後だった。

    「終わった?」

    「はい(^^♪ あとは プリントするだけです…シャワーしてきますっ」

    「うん」
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■22314 / ResNo.48)  すこしづつ…U-46
□投稿者/ 桃子 一般♪(29回)-(2018/07/20(Fri) 14:40:20)
    コウちゃんが寝室に戻ってきた。

    「やっぱ ココがいちばんホッとします(笑)」

    ベッドに大の字になりながら言った。

    「眠れなかった?」

    「枕が変わったら眠れない ってタイプじゃないんで(笑) 睡眠は取れてました(^^♪ でも…」

    「でも?…」

    コウちゃんの伸ばした右手に頭を乗せながら訊いた。

    「去年も 同じこと思ったんですが…落ち着かなかったです(笑)」

    「うん…あたしも 落ち着かなかった…どこに頭を置いたらいいのかわからなくて…(笑)」

    3日ぶりのコウちゃんのキスは いつもと変わらない優しいキスだった。

    コウちゃんの舌が 私の下唇を舐める…この瞬間が 私は 好きだ。

    わずかに出来た隙間から覗く私の舌を コウちゃんは見逃さない。

    優しく 力強く入ってくる。

    私は 自分からコウちゃんの舌を迎える。

    どちらが自分の舌かわからなくなる…

    コウちゃんは 普段 口数が多い方ではないけれど ベッドの中では 饒舌だ。

    激しくしてほしい時は 激しく 優しくしてほしい時は 優しく…

    何も言わなくても 私の欲求を満たしてくれる。
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■22315 / ResNo.49)  すこしづつ…U-47
□投稿者/ 桃子 一般♪(30回)-(2018/07/20(Fri) 14:43:52)
    突然コウちゃんの動きが止まった。

    体を離して 静かに言った。

    「恭子さん 何かありました?」

    「えっ…」

    「なんか ヘンに力が入っているような気がします…」

    (このコには隠し事出来ないな(笑) )

    「何がってわけじゃないんだけけど…」

    「うん…」

    「ねぇ…コウちゃん…」

    「はい?」

    「いいや…やっぱりいい!」


    こういう時 コウちゃんは いつも 静かに待っていてくれる。

    「ねぇ…」

    「はい」

    「あたし達のセックスって どうなのかな?」

    「へっ? すみません…素っ頓狂な声になってしまいました(^-^;」

    「裏返ってたね(笑)」

    「いつから そんなこと 考えてたんですか?」

    「ずっと考えていたわけじゃないの…実は…木曜日に 和美とランチしたのね…」

    「はい…」

    「で…そんな話になって…」

    「うん…」

    「週に…何回…とか…」

    「うん…」

    「誘うのはどっちだ…とか…」

    「うん…」
    「彼女の話聞いてたら…ウチとは全然違うなって(笑) あたし…求めすぎてるのかなって…
     そもそも組み合わせが違うから 比べるのはヘン ってわかってるんだけど…」

    「うん…」

    「あのね…正直言うとね…昔 お付き合いした人とは…」

    「うん…」

    「こういうものなんだろうなってカンジで 淡々としてたの(笑)
      全てにおいて そうだったから…最後は 愛想尽かされちゃったんだけど…
     コウちゃんとは…好きな時にキスして くっついて…あたし コウちゃんのこと 貪ってるよね…」 

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