| 「あっ、あぁっっ…ちょっと、奈緒…。や、め…」
奈緒と呼ばれた彼女は、相手の両手首を押さえつけ、押し倒した状態のまま無理やり唇を重ねて口から言葉を溢れさせないようにした。
組み敷かれた女は、押さえつけら、シャツのボタンを全て外され中のキャミソールとブラの紐が肩から外れていた。
「…七ちゃん、顔がエロい。」 そっと唇を離し、相手の顔をマジマジと見ながら奈緒は組み敷いたままで呟いた。
「……っ」
七ちゃんと呼ばれたのは、七瀬という。 顔立ちや雰囲気は宝塚の男役のようで目鼻立ちが整っていた。 身長も173センチと高く、凛としていて華のあるタイプだった。それもそのはずで、彼女はレズビアン。そして、あらゆる場面で男役になる事が多かった。 その辺にいる男よりも男らしく、そして何処と無く品と色っぽくもあった。 ただ、無口で生来人間づき合いのため孤立しがちであった。 しかし、本人はそれでも満足していたし、理解者が1人でもいれば十分だった。誤解されるよりも群れたりすることの方が苦痛だった。そのぶん、性格もさっぱりしていたし。
そんな男勝りの彼女だが、今は奈緒…増島奈緒の下でいいようにされている。 増島奈緒は素朴なタイプの女の子だ。少し日に焼けて健康的な肌色をしていて、いつも何故か笑顔に見えるタイプの人間だ。 身長は160と高めだが、七瀬の上にいるので少し小さく見える。
七瀬は増島が好きだった。 増島は同じサークルの仲間だった。気がついたら目でずっと追う日々が続いた。
七瀬には絶えず彼女がいたが、それとは全く別のもっと崇高な好きという感情だった。 何より大事にしたいと思っていた。
増島は異性愛者だったので、望みがないのは明らかだった。 だからこそ、友人の立場で増島を大事にしようと思っていた。
誰より理解して側にいたいと思った。
そんなある日、増島の一人暮らしの家に呼ばれた。
大学時代に同じサークルに入り、いつの間にか惚れてしまっていた。
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