| 自分の中のS性に気がついたのは、女の子と付き合うようになって だいぶ経ってからだった。 『みゅう』と付き合ってからだったと思う。 深く愛するようになったと思う。 それからは、好きになって付き合う子とは必ずSMをするようになっていた。
「SM」を止めて、普通に愛したいと悩んだ時期もあった。
そんな時、彼女と出会った。
彼女とは、ビアンサイトのチャットで知り合った。 PCで仕事をしている時に何気なくチャット部屋を取り、画面を見ていると 間もなく、彼女が入室してきた。
『こんばんは』 『はじめまして』
いつも通りに挨拶から始まり、年齢や住んでいる場所を話した。 間もなく、彼女が切り出した。
『私、自分の身体はどうでもいいんです』
何と言って良いのか、答えに窮した。 『そうなんだ』 それから、彼女は自分の中の強いM性を訴え始めた。 もちろん、経験も多少あり、その中で後悔もあったと言った。
『家に帰ってから、アザを見ると、何やってるんだろうって思います』
彼女は何を求めているのだろう。
何を探しているのだろう。
自分のS性について、今までの経験を少し話した。 彼女はチャットの中で同じ考えを示した。
『携帯でメールしようか』 思い切って書いてみた 『う~ん・・・携帯は・・』 『そうだよね。不安だよね。私書箱に書いてくれればいいよ』 『わかりました』
そうして、彼女と付き合いが始まった。
何故に彼女は自虐的なのだろう。
何を求めているのだろう。
その訳を無性に知りたい衝動があったのは事実だった。 彼女に興味を持った自分をわかっていた。
もっと、彼女の事を知りたい。
もっと、彼女と話したい。
私書箱で何回かのやり取りをしたが、自分の欲望を抑えられなかった。
もっと、もっと、彼女の事を知りたい。
携帯のアドレスを書いてみた。 果たして、携帯にメールがくるのか心配だった。 彼女は警戒心が強く、あまり自分の日常を話したがらない印象を受けたからだ。
1日が経った。2日が経った。携帯にメールは届かなかった。 ちょっと、急ぎすぎたかな。やっぱり無理かと思っていた。
3日目にメールが来た。
「怖い、不安でいっぱいです」
短いメールだった。
|