SMビアンエッセイ♪

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■2522 / inTopicNo.61)  NO TITLE
  
□投稿者/ げじ 一般人(1回)-(2005/10/02(Sun) 01:18:54)
    素敵なエッセイですね(*^_^*)更新楽しみにしていますo(^-^)o頑張って下さいね☆私にもこんなに素敵なお姉さまが欲しいです…(*^^*)

    (携帯)
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■2523 / inTopicNo.62)  初めまして♪
□投稿者/ 雅 一般人(49回)-(2005/10/02(Sun) 02:14:40)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    げじさん♪初めまして。
    読んでいただいて、お褒めの言葉まで・・ありがとうございます。(^o^)/
    頑張って更新していきますので、これからも応援よろしくお願いします♪

    お姉さま・・
    なんかほんと好きな響きです(笑)


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■2524 / inTopicNo.63)  逢瀬の痕37
□投稿者/ 雅 付き人(50回)-(2005/10/02(Sun) 03:26:00)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    それから、数日後 ------


    ピンポーン

    お姉さま、帰っていらしたのかしら・・。


    「あっ・・恵子さん・・」


    そこには恵子の姿があった。


    「こんばんは。ちょっといいかしら?」


    真里菜は、慌てた様子で、


    「どうぞ・・。散らかってますけど。」


    恵子は、部屋の中を見回し、ソファに腰かけた。

    煙草に火をつけ、フーっと大きく息を吸い込んだ。

    真里菜は慌てて、灰皿を出して、インスタントコーヒーを入れる。


    「どうして、連絡をくれないのかしら?お願いしてあったと思うんだけど」


    真里菜は、黙っていた。何て答えたらいいのか・・真里菜の頭は混乱していた。


    「で、サーヤは元気なの?」


    「はい。今のとこ落ち着いていらしゃいますよ。」


    「なら良かったわ・・。直接サーヤに会おうかと思ったけど、貴女に話たい事もあ

    って。」


    真里菜は、恵子にコーヒーを出した。

    恵子は、フレッシュをたっぷりと入れ、カップを口にした。


    「私ね・・。サーヤをアメリカへ連れて行こうかと思っているのよ。」


    真里菜は驚いた顔で、恵子の顔を見た。


    「どうしてですか?」


    「今度アメリカでね、いい治療がでたらしいのよね。その医者にサーヤを

    診せたいって思っているのよ。その準備もあるしね。」


    真里菜は、絶句した。

    お姉さまが・・アメリカへ・・。

    治療な為と言われれば、真里菜は何も言えなかった。

    自分の無能さを思い知らされる・・。


    「でも・・。」


    真里菜は、その先の言葉は言えなかった。


    「貴女も、サーヤに少しでも可能性があるとしたら、それに賭けたいって思うでし

    ょ?分かってほしいのよ・・。」


    真里菜は、黙ってうなづいた。

    確かにそうだ・・。助かるものなら、助けたい・・。


    「これで、サーヤの事は忘れてちょうだい。」


    恵子は、鞄の中から小切手を取り出し、真里菜に手渡した。


    真里菜は、驚きの表情を隠しきれなかった。

    恵子は、真剣な眼差しで、真里菜に言った。


    「貴女がいれば。サーヤはアメリカに行くことを拒むかも知れないわ。

    あの子は、今を大事にしたい・・そうこないだも言ってた。

    でもね、可能性が少しでもあるなら、私はあの子を治してやりたい・・。

    そう思っているのよ。

    だから、分かってほしいの。そんなに貴女たち、日もたってないでしょ

    う。今なら、貴女にとっても傷が浅くて済むわ。」


    真里菜は、目の前が真っ暗になった。

    私に、お姉さまを忘れろと・・・。

    真里菜は、じっと一点を見つめてただ、呆然と恵子の話を聞いていた。


    「3000万用意してあるわ。これで、家を借りるなり買うなりして、早急に

    ここを引き払ってちょうだい。そして、貴女の勤めている会社の社長は、私の親し

    い人なの。だから、もう話はつけてあるから。」


    「会社?話って・・」


    恵子は、新しい煙草に火をつけながら、真里菜に言った。


    「心配しないでいいわ。仕事なら、いくらでも紹介するつもりよ。

    ただね、完全にサーヤの前から消えてほしいのよ。」


    ゆっくりと煙草の煙をはいて、恵子は話を続けた。


    「これも、サーヤの為だと思ってちょうだい。」


    「でも・・、お姉さまが何とおっしゃるか・・」


    恵子はいきなり強い口調で言った。


    「だから、消えてほしいって意味が分からないの?」


    真里菜は、何も言えなかった。


    「貴女も、サーヤを愛してるんでしょ?それなら分かってくれるわよね。」


    恵子は、再びつけたばかりの煙草をもみ消して、立ち上がった。


    「2週間後の飛行機を取ってあるの。1週間の余裕は貴女にも必要でしょう。

    これ以上、貴女に言うことはないわ。

    それと、仕事だけど、明日数社の会社パンフ届けさせるから、その中から決めて

    くれたら、すぐ話はつけるから。」


    恵子は、そういうと、そのまま玄関を出て行った。

    真里菜は、何も考えられなかった。

    後から後から、涙が溢れてきて、立ちすくんだままだった。

    部屋では、カチカチと時を刻んむ時計の音だけが響いていた。


    (つづく)
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■2525 / inTopicNo.64)  逢瀬の痕38
□投稿者/ 雅 付き人(51回)-(2005/10/02(Sun) 05:03:22)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    真里菜は、どうしていいのか分からなかった。

    涙が止まらない・・。

    そうだ・・。歩さんに相談しよう・・。

    真里菜は、部屋を飛び出して、そのまま歩のスタジオへと向かった。

    だいたいの場所はわかったが、詳細までは覚えていない。

    もしかしたら、電話帳・・・。

    駅の公衆電話のタウンページを開く。

    これだ。「Sutadio Sara&Mera」

    早速、携帯電話に入力して、電話をかけてみる。


    「あの・・歩さんお願いしたいのですが・・」


    「もしかして真里菜ちゃん?」


    電話をとってくれたのは、歩さんだった。

    歩の声を聞いて、真里菜は、声が詰まって、泣き出した。

    ただならぬ状況に、歩は、駅まですぐ向かうからと言って電話を切った。


    数十分後、歩が車で現れた。


    「お待たせ。乗って。」


    真里菜は、助手席に乗った。


    「どうしたの?急に。サーヤの具合悪くなった?」


    真里菜は、一気に我慢していた感情を出して、歩の胸で泣いた。

    歩は、黙って真里菜の背中を撫でていた。


    少し落ち着いてから、真里菜はゆっくりと、今日起こった全てを歩に話した。

    歩は、ただ黙って、真里菜の話に耳を傾けていた。


    「あのさ・・」


    歩は暫く考えてから、話だした。


    「まさか、そういう手でくるとはね・・・恵子のやつ・・」


    「どうしたらいいのか・・分からなくて・・」


    「ん・・。もう手遅れかも知れないね・・。」


    歩は、車を止めたまま、考え込んでいた。


    「もう、真里菜ちゃんのことは、既に調べつくされてるってことでしょ・・。

    恵子の事、サーヤから聞いてたんだけど、どうも腑に落ちない事があって、

    今、調べているところだったのよね。」


    「調べる?」


    真里菜は、歩の目をじっと見ていた。


    「んとね、まず病気のことなんだけど・・・。確かにサーヤは医者に宣告された

    んだけどね。その医者は、どうも恵子と繋がってるみたいなのよね。

    サーヤって、天涯孤独になっちゃってるでしょ、だから、気になってその医者を

    訪ねていったのよ。病状も知りたかったしね。」


    歩は、吸っていい?と真里菜に断って、煙草に火をつけた。


    「そしたらさ、その医者と恵子らしい女が、病院の駐車場で話をしているのを

    聞いてしまったのよ。」


    「どんな話だったんですか?」


    「それがさ、沙耶さんの件ですけど、うまく説明つけときましたからっていうの

    よ。沙耶って言う名前で、あれっと思って聞き耳立ててたんだけどね。

    そしたら、恵子らしい女が、お金渡してるの見ちゃったのよね。

    そして、その後、私、担当医に面会したんだけど、やっぱりその医者だったの

    よ。これは・・って思った訳。」


    「それって、病気が嘘かもってことですか?」


    「病気の嘘は、できないと思うんだけどね、あんなに大きな病院で、そういう事

    は不可能に近いと思うのよ。でもね、その後の説明なのよね。嘘があるとすれ

    ば。」


    恵子は、車のシートを倒して、横になりながら、話をつづけた。


    「サーヤによれば、担当医から、結構難しい病状で、治療するには、すごく金額

    がかかりますって話でさ。だから、身元引受人みたいな人を連れてこいって言った

    らしいのよね。そのままほっといたら1年持ちませんよって。

    それって、何か変だと思わない?」


    「・・・・・」


    「お金の事なんて、言う医者いるかな?って思わない。そんな大変な時にさ。


    それで、結局金出してくれる人連れてこいってことでしょ?結局はさ。」


    「それって、恵子さん?」


    「そうなる訳でしょ?なんか、うまい話なような気がして仕方ないのよね。」


    「でも・・どうしてそんな事・・」


    真里菜は、考え込んだ。


    「サーヤね。一緒に暮らそうって前から言われてるのに、それだけは拒んでいたの

    ね。それに、親の借金の話だけど、一生懸命お金貯めて、恵子に少しづつ返

    していてったのね。そんなことしないでいいから、一緒に住もうって言われてたみ

    たいだけど。今回の病気の件でも、サーヤ、頼らなかったのよ・・恵子をね。

    だから、治療もまだしてない状態で、医者は急かしてるらしいわ・・。

    確かにほっといたら、もっと病状進むだけじゃない。。」


    「早く治療しないと・・・、ほんとに・・・」


    「そうなの。だから、私が引受人でって話もしたし、それか他の病院で診てもらえ

    っていったんだけどね。そしたら、サーヤ、もう人に迷惑はかけたくないからって

    治療を拒んでいるのよ。それなら、今したい事して、後悔しないように生きたいっ

    て。」


    真里菜は、佐々木の気持ちも分かるような気がした。


    「それにね・・あの鎮痛薬・・」


    「恵子さんの渡してるお薬?」


    「そう。あれも知り合いが大学病院にいててね、調べてもらったのよ。

    あれ、普通でも処方してくれる薬らしいのね」


    「えっ?」


    真里菜は驚いた。


    「担当医は、サーヤにかなり弱い鎮痛薬しか出してない。恵子の仕業だと思うけど

    ね。」


    「じゃ、今回のことは・・」


    「自分の傍で置くための口実だと思うわ。サーヤへの執念は、相当なものなんだと

    思うわ。」


    「でも・・病気が本当なら、早く治療しないと・・」


    「そうなのよ。だから、サーヤにその事全部話したんだけど・・。」


    歩は、大きなため息をついた。


    「恩人には違いないからって・・サーヤ・・。」


    「どうしたら、お姉さま治療を受けてくれるのかしら・・」


    「私にも判らないの・・。結構頑固なとこあるから・・。それにしても

    恵子のやつ・・金にもの言わせて、何てひどいことするのかしら・・」


    真里菜は、黙ったまま、佐々木の事を考えていた。

    お姉さまにとって一番いい方法は何だろうと・・。


    「明日、サーヤに会う約束してるから、もう1回サーヤと話してみるけど・・・

    真里菜ちゃんからも、話した方がいいんじゃないかと思う、私。」


    真里菜は、黙って考えていた。


    いきなり、携帯電話が鳴った。佐々木からだった。

    真里菜は、取らないでそのまま携帯を伏せた。


    「サーヤじゃないの?早く帰ってやりな。心配するよ。」


    真里菜はうなづいた。

    歩は、真里菜のマンションの近くまで車で送ってくれた。


    「じゃ、私の携帯番号言っとくから、何かあったら連絡ちょうだい」


    そう言って、車は去っていった。


    真里菜は、考えていた。


    どうしたらいいんだろう・・・。


    (つづく)

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■2527 / inTopicNo.65)  NO TITLE
□投稿者/ げじ 一般人(2回)-(2005/10/02(Sun) 22:44:11)
    雅様 お返事ありがとうございますm(_ _)m 更新してらしたので、早速拝見させて頂きました(*^_^*) このエッセイはSMエッセイはもちろんですが、各登場人物とマリナのやりとりなどがドラマ仕立てな感じがして好きです(-^〇^-)ドラマのシナリオを読んでる感じです!!これからも陰ながら…応援しながら更新楽しみにしていますので、頑張って下さいm(_ _)m

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■2528 / inTopicNo.66)  逢瀬の痕39
□投稿者/ 雅 付き人(52回)-(2005/10/03(Mon) 00:46:24)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    「電話したのよ。ご飯作りかけでほったらかしだから、何かあったんじゃないか

    と思って心配したじゃない」


    佐々木は心配した表情で、真里菜を見た。


    「ごめんなさい。ちょっと友達がそこまで来てたから。」


    「友達って、恵子さんのこと?」


    真里菜は、はっとして、佐々木を見た。


    「部屋の匂い。来たんでしょ?恵子さん。」


    私、煙草吸わないし、それにこの独特の香り・・ガラム。

    こんな煙草吸ってる人少ない・・。


    「ええ。来られましたよ。で、お姉さま・・少し話しがあるんです。」


    佐々木は、黙って、ソファに腰かけた。

    真里菜は、上着を脱いでそっと、佐々木の隣へ座った。


    「聞いたのね?病気のこと・・。」

    佐々木は、少しうつむいて静かに言った。


    「あの・・。私がこんなこと言っていいかどうかわからないんですけど・・」


    真里菜は、恵子さんが来て何を言ったのか、そしてどうしていいのかわからず、

    歩さんのとこへ相談に行ったこと・・・。そして、歩さんが恵子さんと医者を

    疑っていること・・。

    ゆっくりと、話していった。


    佐々木は、ため息をついた。


    「とうとう、貴女のとこにまで、恵子さん・・」


    考え込むように、下を向いている。


    「ごめんなさいね。会社まで、辞めさせられることになっちゃったのね・・」


    「私はいいんです。どこでも何でもしてご飯くらい食べれますから。でも

    お姉さま・・。病気をこのままにしておかれるっていう方が、大変だと思うんです

    よ。確かに恵子さんは恩人かも知れませんけど、お姉さまの命があってこそだと

    思うんです。それに・・・」


    真里菜は、足元に、涙が流れ落ちて、言葉が詰まった。

    佐々木は、そっと真里菜の肩を抱いて、頬を寄せた。


    「お姉さまぁ、死んじゃうなんて・・いなくなるなんて・・ウゥゥゥ」


    真里菜は、佐々木の腕の中で、押し堪えるようにして、泣いた。

    佐々木のこの温かい腕のぬくもり・・。

    髪を撫でてくれる、この優しい指・・。

    佐々木はただ、黙ったまま、真里菜を温かく包み込んだ。



    「あのね・・今から話すこと聞いてくれる?」

    佐々木は、真里菜を抱きしめたまま、ゆっくりと話し出した。


    「私ね、真里菜に会えた事、そして、こうして腕の中に抱きしめられるっていう

    こと、本当に幸せだったと思っているの。

    でも、もし私がいなくなってしまったら・・・真里菜の悲しみを思うと

    ああするべきじゃ、なかったんじゃないかって本当に悩んだわ・・。

    でも、今こうしていることのできる幸せを、そして、私が、本当に幸せだったって

    事を、真里菜に覚えておいてほしかったの・・・。」


    「そんなの、忘れるわけないじゃないですか・・。絶対忘れない・・」


    佐々木は、フフフと笑って話しを続けた。


    「私ね、この数年間、ずっと恵子さんに仕えてきたの、忠実にね・・。

    でも、全てを奪われてしまったら、私の存在がなくなってしまうような気がして、

    それで恵子さんの家で暮らすっていう事だけは、拒みつづけてきたの。

    ほんとは、他の人を見る事は許されない事・・。そう思って、恵子さんだけ

    に尽くしてきたつもりなの。

    でも・・真里菜・・。貴女だけは、特別になってしまった・・・。」


    「お姉さま・・・」


    「だから真里菜・・。今までの思い出を忘れないでほしいの。何があっても。」


    そう言って、佐々木は、真里菜を強く抱きしめた。


    「治療は受けるつもりよ。安心して。さ、ご飯はどうなっているのかしら?」



    真里菜は、佐々木の胸の中から、離れようとしなかった。

    だって、このまま離してしまったら、お姉さまは、遠くへ行ってしまいそうな気が

    したから・・。


    佐々木もそのまま、真里菜を抱きしめていた。

    大事に・・そして愛しく・・。


    (つづく)
引用返信/返信 削除キー/
■2529 / inTopicNo.67)  ありがとうございます♪
□投稿者/ 雅 付き人(53回)-(2005/10/03(Mon) 01:42:36)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    感想ありがとうございます♪
    温かい応援ありがとうございます。めっちゃ嬉しいです♪(関西弁ですみません)
    ほんと、励みになります♪
    頑張って更新しますので、これからもよろしくお願いします。ペコリ

引用返信/返信 削除キー/
■2531 / inTopicNo.68)  逢瀬の痕40
□投稿者/ 雅 付き人(54回)-(2005/10/04(Tue) 23:06:43)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    その夜、二人は愛しあった。

    激しく唇を貪り、そして柔らかい乳房に痛い程吸い付き、浮き上がる血斑・・

    そして、千切れるかと思う程、固くなった乳首に歯を立て・・・

    全身を、快感が走り、その度に縛られた縄は、真里菜の肉体へと容赦なく悔い込ん

    でいった。

    真里菜の手首はうっ血し・・

    更に広がる快感の調べは、佐々木の指と舌によって奏でられていった。

    まるで真里菜の身体に、刻印を刻み込むように・・・。


    真里菜は、そのままぐったりと眠りについた・・。

    佐々木の温かい肌の温もりを感じながら・・・。



    ==========================


    次の日の朝


    真里菜はカーテンの間から差し込んでくる光によって、目が覚めた。


    隣には佐々木の姿はなかった。


    「お姉さまっ!」


    真里菜は、ベッドから飛び起き、叫んだ。

    真里菜は、少し開いたベランダのカーテンの隙間から、佐々木の姿を見つけた。


    朝の光に照らされている佐々木の姿は

    余りにも白い肌が、輝いて見えて・・

    清々しい表情で、空を見つめる姿は、

    余りにも透き通っていて・・

    今にも、溶けて消えてしまいそうな・・・


    真里菜は、ベランダの扉を開けることができなかった。

    ただ、固まったまま、その姿を見つめていた。


    「おはよう。」

    真里菜の姿に気づいた佐々木は、ベランダの扉を開けた。

    そっと真里菜の手を取り、二人で空を眺めた。

    ひっそりとした街並みと、雀のさえずり・・

    まだ明けたばかりの太陽は赤みをさしていて、照らされた赤い雲と青空がとても綺

    麗だった。

    佐々木は、そっと真里菜の手を引き寄せ、赤黒く刻み込まれた縄の痕にキスした。

    佐々木の舌が、縄目を確認するように・・

    それだけで、真里菜の身体は、熱っていった。

    真里菜は、このまま佐々木と、何処か誰も知らないところへ

    消えてしまいたいと思った。


    そのまま、佐々木の腕に抱かれ・・・

    何度も何度もベッドで愛し合った・・。

    そして、そのまま眠りに落ちてしまった・・・。


    (つづく)

引用返信/返信 削除キー/
■2534 / inTopicNo.69)  逢瀬の痕41
□投稿者/ 雅 付き人(55回)-(2005/10/05(Wed) 00:56:59)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    どれくらい眠ったのだろう・・

    真里菜が目覚めた時には、そこに佐々木の姿はなかった。

    ベランダにもいない・・

    玄関の靴もない・・。

    そのまま、真里菜は佐々木の部屋へ行ってみた。

    玄関のドアの鍵は開いていた・・。


    「お姉さま?」


    佐々木はいなかった。

    部屋は特に変わった様子もなかった。

    近くのコンビニにでも行ったんだろうか・・。


    真里菜は、待った。

    ずっと待った。

    夜になった。

    でも、佐々木は帰ってこなかった。

    真里菜は、一旦自分の部屋に戻ってみた。

    もしかしたら、お姉さまがいるかも知れない・・。


    でも、やはり佐々木の姿はなかった。

    ふと、真里菜は、電話の横に目がとまった。

    そこには、無造作にメモが置かれてあった。



    真里菜


    私を忘れないで・・・



    「お姉さまぁっぁぁ」


    真里菜は、探す宛てもないのに、スリッパのまま家を飛び出した。

    駅にも行ってみた。

    いない・・・。

    お姉さまの行き着けのスーパーや、コンビニにも行ってみた。

    どこにも佐々木の姿を見つけるはできなかった。

    真里菜は、途方もなく、ただ歩き続けた。

    飼い主のいなくなった忠犬のように・・。

    目の前は、涙でかすんで、何も見えない・・。


    真里菜は、そのまま家へ帰った。

    もしかしたら、戻ってきているかも・・。

    かすかな期待に賭けた。


    ガチャっ

    佐々木の部屋のドアを開けた。


    「真里菜ちゃん!」


    そこには、佐々木ではなく、歩の姿があった。


    「ウァァァーン、歩さん・・」


    真里菜は、そのまま歩の胸の中に飛び込んだ。

    歩も、そっと真里菜の肩を抱いていた。


    「サーヤから電話があったの。真里菜をよろしくって。」


    「お姉さまから、電話が?今何処にいらっしゃるの?」


    歩は黙ったままだった。

    真里菜は、歩の目を真剣な眼差しで見つめ、


    「ご存知なんですよね?教えてください。歩さん」


    歩は、少し考えて真里菜に言った。


    「サーヤは、故郷へ行ったよ。その後、北海道に行くらしい。」


    「故郷って、どこですか?」


    歩は真里菜の目を見つめて言った。


    「真里菜ちゃん。今はサーヤをそっとしておいてあげてほしいんだ。

    やっと治療を受ける気になったんだ・・サーヤ。

    サーヤの気持ちを判ってやってほしいんだよ。真里菜ちゃん。」


    「ひどいよ・・お姉さま・・。私に黙ってそのままいなくなるなんて・・」


    歩は、真里菜を引き寄せた。


    「我慢しなくていいよ・・真里菜ちゃん。」


    真里菜は、歩の胸の中で、大声で泣いた。

    声にならない唸るような声で・・。

    涙が溢れて、止まらなかった・・。

    歩は、ただ何も言わず、真里菜の頭を撫でた。


    「真里菜ちゃん。暫く私の家にいなさい。」


    「私、ここにいます・・ずっとここで待ってます・・。」


    「ダメなんだよ。後、数日もすれば、恵子にバレるだろうから、気がつかれない

    うちに、ここを出ていったほうがいいよ。何されるか分かったもんじゃないから

    ね。その事も、サーヤに頼まれているんだ・・。」


    「でも・・」


    「さ・・。早く用意して。」


    「明日の朝じゃダメですか?」


    「構わないけど・・手伝おうか?」


    「いいです・・。たいした荷物もないから大丈夫です。」


    「じゃ、取り合えず荷物まとめておいてね。明日朝8時に向かえにくるから。」


    そう言って、歩は部屋をでていった。


    真里菜は、独り部屋を見渡した。

    外は、どしゃぶりの雨が降っていた。その雨音が部屋の中に響いていた。

    真里菜は、佐々木と出会った日の事を思い出していた。

    あの日も雨だった・・・。

    真里菜は、白いシーツの敷かれた、柵のあるベッドに横になった。

    そう・・

    ここでお姉さまに初めて、首輪をつけてもらった。

    お姉さまに愛されて、

    お姉さまに、全てを委ねた・・・。


    真里菜は、ふと手首を見た。

    まだ、赤黒い縄の痕が残っていた。

    真里菜は、その痕に舌を這わせた。

    今朝の余韻が甦ってくる。

    痛みの残る乳首・・・。

    身体に残された痕は、まだ佐々木を覚えている・・。

    真里菜の目にまた、涙が溢れてきた・・。

    私は・・

    私は・・

    何処に行けばいいか分からない・・

    飼い主のいなくなった迷い犬。

    いいえ・・

    私は、捨てられた

    野良犬なんだ・・。


    真里菜は、ただ独り

    大声を張り上げるようにして、泣き叫んだ。

    「お姉さまぁぁぁー」


    (つづく)
引用返信/返信 削除キー/
■2535 / inTopicNo.70)  逢瀬の痕42
□投稿者/ 雅 付き人(56回)-(2005/10/05(Wed) 02:33:26)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    真里菜は、部屋に戻って、荷物をまとめた。

    恵子に渡された小切手を封筒に入れ、切手を貼ってポストに投函しにいった。


    次の日、真里菜は、一身上の都合でと、会社を辞めた。

    会社の上司は、上から話が通っているようで、辞める事に対して何も言わなかっ

    た。


    それから、歩のスタジオで働く事になった。

    真里菜は、歩の助手として、写真技術を学んで行こうと決めた。


    その後、真里菜は、マンションを引き払わなかった。

    歩の家で居候だったので、お給料をマンションの家賃に回すことができた。

    はじめは、歩は、もったいないし、引き払ったら?といったけど、頑なに真里菜が

    拒むので諦めた。


    その後、歩から、恵子が有名女優を囲ったらしいという話を聞いた。

    ようやく、恵子から逃れれたような、そんな気がした。


    ある日、仕事を終えて、片付けしていると歩が近づいてきた。


    「あのさ、実は私、学生時代の時、サーヤに告白したんだ。」


    真里菜は、びっくりした。ここ1年・・あの人の名前が歩さんの口から

    でる事はなかったから・・。


    「でね、見事に振られてさ。でも、それからほんとの親友になったんだよね。

    お互いに女が好きってのが、わかったんだよね。」


    「歩さんも、女性が好きだったんですね。」


    「そそ。やっぱわかっちゃってた?ウフフ」


    「明日から1週間、真里菜ちゃん、出張だからね。」


    「えっ?いきなりですか?構いませんけど。」


    「今から、用意しといて。綺麗に撮ってくるんだよ。」


    「私が撮るんですか??でも・・まだそんな腕ないし・・」


    歩は、笑顔で言った。


    「今回は、SM撮影じゃないから、自分の思うように撮ってきてごらん。これ、チケ

    ットと場所ね。」



    真里菜は、次の日、飛行機で札幌に入った。

    住所しか書かれていないので、タクシーに乗って、その住所を渡す。


    「細かいことは、分からないけど、多分、ここ、病院じゃないかな?」


    真里菜は、ハッとした。

    もしかしたら・・

    もしかしたら・・・


    タクシーを降りて、病院の敷地に入った。

    緑の美しい病院で、広い芝生に、大きな木の植え込み。


    その大きな木と木の間には、ベンチが置かれている。

    芝生では、患者さんが、看護婦さんに連れられて、散歩をしたりしている。


    真里菜は、ゆっくりと、大きな木の並木道を歩いて、病院の建物へと歩いて行っ

    た。


    「ずいぶん、遅かったのね。ウフフ」


    真里菜は、声のするベンチを振り返った。


    聞き覚えのある、あの声・・・


    そこには、佐々木の姿があった。

    ベンチの横に、トランクを置いて・・。


    真里菜の目から、涙が溢れてきた。


    「お姉さま・・」


    佐々木がすっと、ベンチから立ち上がり、真里菜の前へと歩いてくる。


    「逢いたかったわ・・・真里菜」


    「お姉さまァァァァ」


    真里菜は、佐々木の胸に飛び込んだ。

    余りの勢いで、佐々木は少しよろめいて、そして真里菜を抱きしめた。

    真里菜は、今まで押し堪えていた感情が溢れてくるかのように、

    佐々木の胸で、大声で泣いた。

    この1年間、忘れたことのなかった、お姉さまの温かい胸で・・。


    佐々木は、そっとポケットから赤い首輪を出して、

    真里菜の首につけた。


    「チョーカー風でとっても可愛いわよ。ウフフ」


    佐々木は、嬉しそうに真里菜の目を見つめながら言った。

    入院が長かったからか、一段と肌が白くて、透き通って見えた。

    そよぐ風が、佐々木の髪を柔らかく持ち上げる。


    真里菜は、持っていたカメラを出し、構えた。

    そこには、優しい目の、綺麗な女性が、髪を靡かせて、微笑んでいる。


    カシャッ カシャッ カシャッ


    真里菜は、シャッターを切った。


    「お姉さま・・とっても・・とっても・・綺麗です・・」


    「真里菜。一緒に撮ってもらいましょう。今日の記念に。」


    丁度、歩いていた看護婦さんに、声をかけお願いした。

    快く、その看護婦さんは、引き受けてくれた。


    「ここ押すだけでいいのね?」


    「はい」


    二人は、ベンチに座り、佐々木は真里菜の肩に腕をかけた。


    「はい、いくわよ。ハイチーズ!」


    その瞬間、真里菜は、佐々木に引き寄せられた。


    カシャッ


    看護婦さんは、少しびっくりしたようだったが、にっこりと笑って言った。


    「お幸せに。」


    --------------------------------------


    それから、3年・・。


    真里菜は、歩のスタジオのメインスタッフとして、カメラマンとして

    バリバリ働いていた。

    歩さんも、その世界で、結構有名な女流緊縛師として、毎日取材やら、

    撮影で、忙しい毎日を過ごしている。



    「ただいまぁ〜」

    帰ってすぐ、真里菜は、ソファに寝そべった。

    ソファの前のテーブルの上には、茶色の髪を靡かせた綺麗な女性の写真と、

    あの時、いきなりキスされた二人の記念写真・・

    そして、あの人が好きだった、紅いバラが飾られてあった。


    真里菜は、そっと首につけてある、紅い首輪を指で触れた・・。


    私を忘れないで・・


    お姉さま・・。

    もう、身体に刻まれた、赤黒い痕は消えてしまったけど

    ずっと・・ずっと・・心の中に・・

    貴女を刻み込んで・・

    心の痕は・・

    永遠に・・・。


    Fin
完結!
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■2536 / inTopicNo.71)  あとがき
□投稿者/ 雅 付き人(57回)-(2005/10/05(Wed) 02:37:14)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    今回は、かなり長編になりましたが、
    やっと書き上げることができました。
    長い間、沢山の方々から応援の言葉や、励ましをいただき、
    ほんと、嬉しかったです♪
    良ければ、感想などいただければ幸いです。
    本当に、長い間「逢瀬の痕」お付き合いいただきありがとうございました。

    雅(みやび)
完結!
引用返信/返信 削除キー/
■2537 / inTopicNo.72)  雅さん
□投稿者/ まみ 一般人(1回)-(2005/10/05(Wed) 03:22:43)
    お疲れさまです!
    ラスト‥感動しました(;_;)
    これで終わってしまうのは淋しいですが‥
    雅さんの作品はHシーンでも愛があるから好きです(*^_^*)
    完結、お疲れさまでしたm(__)m

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■2538 / inTopicNo.73)  まみさん、ありがとうございます♪
□投稿者/ 雅 付き人(58回)-(2005/10/05(Wed) 12:08:08)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    最後まで読んでいただき、ありがとうございます♪

    今回SMものでは初投稿、それにかなり長編になってしまいましたが
    その分、書き上げる事が出来たことに、自分でも感動しています。

    これも、読者の方々の励ましや、感想など、沢山の言葉をいただいた
    お陰だと思っています。
    本当にありがとうございました。

    身体の残った痛み・・
    その痕は逢瀬から帰ってきた後も残る、主様の存在を感じる証・・
    最愛の主様が遠くへいらしても、その思い出が身体に刻み込まれる、永遠に心の中に・・
    今回は、そういうSM作品に仕上げる事ができたらと、執筆しました。

    つたない文章で、どこまでお伝えする事ができたかわかりませんが、
    まみさんの心の中に、少しでも残ってくれれば幸いです。

    雅(みやび)

引用返信/返信 削除キー/
■2539 / inTopicNo.74)  イイ!
□投稿者/ (・∀・) 一般人(1回)-(2005/10/05(Wed) 12:29:54)
    すごくヨカッタです(T∀T)ノノ”パチパチ
    ドラマ化したい勢いです!
    お疲れ様でした★彡

    (携帯)
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■2540 / inTopicNo.75)  雅さんへ
□投稿者/ A 一般人(1回)-(2005/10/05(Wed) 13:52:15)
    一気に読ませてもらいました(>_<)最初はエロさに引き込まれて、後からは話の流れとおもしろさにハマりました(≧▽≦)後半になってサーヤがガンで死んでしまう事や、愛した人が余命一年と聞かされたまりなの気持ちを考えると切なくてたまりませんでした↓↓
    文字で書かれているのに、まるでドラマを見ているようにその場の光景が浮かんできました(´ω`)
    最高です★次回作も期待しています(・∀・)b

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■2541 / inTopicNo.76)  (┬┬_┬┬)
□投稿者/ かず 一般人(1回)-(2005/10/05(Wed) 18:43:15)
    とても切なくて心に来るものがありました。それに最後に2人が会えて素敵な思い出を作れて良かった☆
    いつまでも心に刻まれるような関係って良いですよね(^-^)

    (携帯)
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■2543 / inTopicNo.77)  ありがとうございます♪
□投稿者/ 雅 付き人(59回)-(2005/10/05(Wed) 22:57:38)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    長い小説になりましたが、最後までお付き合いいただき
    ありがとうございました。
    ドラマ化なんて、すっごい褒め言葉ですね♪
    ちょっと気恥ずかしいですが(つたない文章で)、嬉しいです♪
    温かい言葉、ありがとう♪

    雅(みやび)
引用返信/返信 削除キー/
■2544 / inTopicNo.78)  Aさんへ♪
□投稿者/ 雅 付き人(60回)-(2005/10/05(Wed) 23:04:09)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    ありがとうございました。
    今回の長編、一気に読まれたとのこと・・
    とっても嬉しく思います。
    エロさは、Aさんのエンジェルには到底及びません。(爆)

    本当に、温かいお言葉、ありがとう♪

    雅(みやび)
引用返信/返信 削除キー/
■2545 / inTopicNo.79)  かずさんへ♪
□投稿者/ 雅 付き人(61回)-(2005/10/05(Wed) 23:17:16)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    感想、ありがとうございました。
    この作品が、かずさんの心に少しでも感じていただけたのなら
    とっても嬉しく思います♪
    本当に長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただき
    ありがとうございました。

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■2546 / inTopicNo.80)  初投稿です…
□投稿者/ 李神 一般人(1回)-(2005/10/06(Thu) 02:44:58)
    今日一気に読ませて頂きました。初めは凄くHですごい!と思いながら読んでたんですが最後は凄く感動的で危うく涙が出るところでした!めちゃめちゃいい作品です!普通に本になっててもおかしくないくらいに…バリバリ感動しました。長編お疲れさまでした。もうファンになっちゃいました(^o^)/素晴らしい!

    (携帯)
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