SMビアンエッセイ♪

HOME HELP 新規作成 新着記事 ツリー表示 スレッド表示 トピック表示 発言ランク ファイル一覧 検索 過去ログ

[ 最新記事及び返信フォームをトピックトップへ ]

■4990 / inTopicNo.21)  最高に楽しい!
  
□投稿者/ 静馬 一般人(1回)-(2007/11/25(Sun) 23:21:01)
    ホントに楽しくて毎日更新されてるかチェックしてます(笑)
    忙しいと思いますが頑張って下さい!続きが楽しみです!!

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■4995 / inTopicNo.22)  静馬さま
□投稿者/ 琉 一般人(16回)-(2007/11/26(Mon) 20:52:11)
    初めまして。楽しみにしていただき、ありがとうございます。
    毎日チェックしてもらえるだなんて、作者冥利に尽きます。
    私自身も、このサイトに限らずいろんな方の作品をマメに
    読みにいったりするんですよ。
    …そんなことしている時間があるなら、更新しろって話ですが(汗)
    まだ少し先のお話まで保健室編です。
    果たして、來羽は貝原先生の誘惑から逃れることができるのか!?
    ご注目していただけると嬉しく思います。

引用返信/返信 削除キー/
■4996 / inTopicNo.23)  (10)
□投稿者/ 琉 一般人(17回)-(2007/11/26(Mon) 21:18:47)
    カチッ…
    手元が軽くなったからといって、まだ痛みが治まったわけではない。
    案の定、來羽の手首はうっすらと赤くなっていた。

    「60、59、58…」
    校医は自分の腕時計を見ながら、さっそく残り時間を計っている。
    まるで鬼ごっこでもしているつもりだろうか。
    しかし、いまはそんなことはどうでも良い。

    逃げなきゃ…

    まだ意識がはっきりしない來羽だったが、
    そのことだけはぼんやりとした頭にも響いていた。
    でも。
    どうしてだか身体が動かない。

    何もしないって言ったのに…

    どうやら、彼女が言う何もしないという意味は、
    現状維持とほとんど同義語らしい。
    その証拠に…校医の左手は未だ來羽の制服の中にあって、
    もう一方の右手は、來羽の髪の毛を手櫛で梳いている。
    ぬいぐるみのように懐に抱きかかえられ、人形のように寵愛される。
    いまの來羽は、言葉すると…そんな表現がぴったりだった。

    「…あら、逃げないの?もうすぐ30秒よ」
    ご丁寧にも忠告してくれる彼女からは、溢れんばかりの自信が感じられた。
    おそらく、この体勢から逃れられるものなら逃げてみろ、と挑発しているのだ。
    一刻も早くこの場から去らないと、今度こそ何をされるか分かったもんじゃない。
    …なのに。
    頭では分かっているのに、手足が麻痺していても軽く腹筋しながらなら
    立ち上がれるはずなのに、來羽の身体は全くいうことをきかない。
    体重を預ける心地良さに、麻酔薬とは違う彼女から香る甘いあまいローズの匂い、
    さらに頭を撫でられ髪を触られる気持ち良さが、快感とは別次元のまどろみを誘う。
    とろんとした眼で瞼を擦っていると、
    あっという間に5秒前になっていた。

    「5、4、3、2、1…はい、残念でした」
    再び校医は羽交い絞めにし、休めていた左手を再稼動しようと
    いきり立ったのを合図に、來羽は大慌てした。
    だが、こうなってからどんなに後悔しても、もう…遅いのだ。

    …ずるい

    催眠術と格闘しているような一分だった。
    曲がりなりにも、彼女は医師なのだ。
    よくよく考えてみなくとも、勝負は始めからついていたのかもしれない。
    「私のせいだとでも言いたそうね…」
    校医は、気に入らないといった表情で、來羽をますます追いつめる。
    「仮に…私が何らかのからくりを仕組んでいたとしても、
    手錠をほどいて自由に逃げられる時間を与えた時間がある以上、
    そこにあなたの意志が全くなかったとは言わせないわよ?」
    イタイところを突かれた。
    けれども、本当は…自分でも分かっている。
    こんな状況は耐えられないと毛嫌いしておきながら、
    いざ鳥かごの扉を開けられても、このままここに居られたら…
    と願った瞬間が確かに存在したのだ。

    気まずくなって來羽が黙りこんでいる間にも、
    彼女は次々と行動を仕掛けていた。
    セーラー服は脱がされ、スリップの紐は肩から引きずりおろされ、
    ブラジャーの留め金までも外されると、剥き出しになったのは肩だけでなく、
    徐々に小ぶりな胸もあらわになる。
    すかさず彼女は、大胆にも直に乳房に触れ、ゆっくりと揉みこんできた。
    「うっ…んっ」
    初めての感触に戸惑いながらも、來羽は湧きあがる刺激に流されるまま、
    自然と声が出ていた。
    「声を我慢しなくても良いのよ」
    別に我慢しているわけではないのに、彼女にはくぐもって聞こえるらしい。
    しかし、本人が気づかないうちに手は握りこぶしを作り、
    涙目を堪えるように固く瞑っていたことから、やはり無理しているだろうか。

    校医の手は、次第に早さを増していった。
    指の腹だけでなく、爪も間接も筋肉もその五本の全てで
    まるで蛇が貪るかのように喰らいついて放さない。
    「んあっ、あっ」
    一際甲高い声がこだまする。
    著しい來羽の変声に、校医も嬉しそうに応えた。
    「そう…素敵になってきた」

    自分の声じゃないみたい…

    來羽は、自らの頬が火照るのを感じた。
    顔だけではない。
    首も肩も鎖骨も胸も…
    彼女に触れられたところからじんわりと熱くなる。
    「まだご不満かしら?」
    皮肉るように、彼女は煽り行為を続ける。
    不満なんて…いまの來羽が言えるわけないのに。
    「なら、もっと素直になりなさい」
    そう告げたかと思ったら、來羽はまたも彼女に押し倒されていた。
    首から上が、枕に深く沈む。
    シーツもカバーも全て清潔な白で統一されているはずなのに、
    この部屋に漂うのはただただ猥雑な空気だけだった。
    驚くのは、彼女の常習性だ。
    制服を脱がされた時にも思ったが、全てにおいて素早いのは、
    女の子を扱うことに手慣れているとしか來羽には考えられなかった。
引用返信/返信 削除キー/
■4997 / inTopicNo.24)  更新ありがとうございます!
□投稿者/ 静馬 一般人(2回)-(2007/11/26(Mon) 22:55:18)
    お疲れさまです!さっそく読ましてもらいました(^o^)保健室の先生にも少しときめいてしまいます(>_<)そしてあの黒髪の美女の同級生との絡みも少し気になります(私の勝手な考えですが(^^;)
    これからも頑張って下さい!応援してます!

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■5000 / inTopicNo.25)  静馬様
□投稿者/ 琉 一般人(18回)-(2007/11/27(Tue) 15:56:20)
    こんにちは。お返事、ありがとうございます。
    物語のだいたいの構想は決まっているのですが、
    つなぎの部分をどうするかが難しい…と痛感しております。
    黒髪の少女は…どうなるでしょうか。
    でも、近いうちにまた登場する、ということだけはお約束できます。
    何ていったって、ハーレムですから(笑)
    來羽になったつもりで、この学園の生活を満喫していただければ幸いです。

引用返信/返信 削除キー/
■5001 / inTopicNo.26)  (11)
□投稿者/ 琉 一般人(19回)-(2007/11/27(Tue) 16:06:17)
    本当は、最初に押し倒された時に思い切って訊いておくべき
    質問だったのかもしれないが、我慢できずに來羽は校医に尋ねた。
    「先生ッは…女の子が好き…なんです…か?」
    「ええ、好きよ」
    唇を重ねながら、ためらいもなく彼女は即答してくる。

    やっぱり…

    疑いが確信に変わっても、自然と納得できる節がそれまでいくつもあったからか、
    來羽は比較的落ち着いていられた。
    「じゃあ、逆に訊くけど…あなたは女の子が嫌い?」
    今度は校医が質問を投げかけたが、來羽は言葉に詰まってすぐには答えられなかった。
    好きか嫌いか。
    対極な二文字のはずが、実は表現が難しい。
    好きではなくても、即嫌いだと言い切れるわけではないからだ。
    「そ、そんなこと…」
    自分の天秤にかけたことがない。
    というか…これまでそんなこと考えたことがなかった。
    だって、そういう風に刷り込まれて育つから。
    でも。
    「嫌いじゃ…ないです」
    途切れとぎれの答えになったが、それが來羽の本心だった。
    幼い頃から、近所には優しく勉強を教えてくれる憧れのお姉さんがいたものだし、
    中学生の時に部活で指導した可愛い後輩とはいまでも連絡を取っている。
    それは、慕情が入り混じった友情で、同級生たちの仲良しグループとは
    異なる感覚で接していたことだけは間違いない。
    昔もいまもそしてこれからも…きっと來羽は潜在的に女性を慕っていくのだろう。

    「結構」
    それこそが求めていた答えだったかのように、
    彼女は嬉々として來羽の額や頬に軽くキスした。
    でも、こちらはそれだけでは納得できない。
    嫌いじゃないからといって、ならばイコール恋愛対象に
    なるくらい好きかといったらそうではないわけで…
    そんな來羽を煮えきらないモジモジした態度を
    いとも簡単に覆すかのように、校医は鼻で笑った。
    「好きになるわよ、きっとね。だって…」
    その後に続く言葉を、彼女はこっそり耳打ちして伝えた。
    「ここは、そういう○○を持った生徒しか入れないんだから」
    生憎にも、來羽には何とかを持った生徒という肝心のなにかの部分が
    ゴニョゴニョとしか聞こえず、さっぱり意味が分からなかった。

    …これ以上、入学条件を設けているっていうの?

    ただでさえ、編入試験の要項も肩が脱臼しそうなほど分厚い冊子だったというのに。
    中にはずっしりと文字だけが並んでいて、宣伝ムードがまるで感じられなく、
    それだけでお気軽に受験しようという気持ちが失せた生徒は数知れない。
    ようやく願書を提出しても、翌日に書類審査で落選したって話もザラだ。
    運良く通過できても、お次は圧迫面接のオンパレード。
    大概の受験生は合格に漕ぎつける前に自信をなくしてしまう、
    ときに悪魔のような一面を持つ学校なのであった。
    正直、來羽はこの学校は本当に人を採る気があるのか、とすら思ったほどだ。
    だから、未だに自分がここに居ること自体信じられず、
    この学校の全貌が掴めないでいた。

    「自信をもちなさい」
    慰めるかのように、絶妙のタイミングで校医が声をかける。
    職業柄だろうか。
    彼女は、人の心の隙間を見つけるのが巧い。
    患部に最適な治療を施すように、來羽のいまにも崩れそうな
    自尊心をここぞというところで修復してくれる。
    …ただ、その分敵に回すと粗探しをされて随分な痛手を負うのだが。
    「あなたは、理事長が推薦したほどの生徒なんだから」
    そうだった。
    來羽の後ろ盾には、強力な味方がいるではないか。
    扇動とは恐ろしいもので、鼓舞されている側は一人だけで盛り上がっていると、
    応援しているはずの味方が傍で何をしていてもあまり気にならない。
    ツツツと人さし指を押し当て、唇から喉もと、鎖骨、肋骨と続けてなぞったら、
    次第にそれは乳房へと伸びていく。
    來羽は、両手で胸をガードすることも忘れて、独りでに呆けていた。
    いや、もはや忘れているのではない。
    抗えなくなるほど、巧妙な校医の罠にかかってしまったのだ。
    潔白なはずの空間に、これまでどれくらいの女生徒がここに連れ込まれ、
    淫靡な世界の虜になったのだろう。
    瞳と閉じると、たくさんの少女たちが感化させられていく様が浮かび上がってくる。
    ある者は苦しみ抜いた先に善がり叫び、また別の者は迂闊に喜んだものの
    最後には額に脂汗を滲ませるほど激痛と闘ったり…
    実際にその場に居合わせたわけでもないのに、來羽の身体は体内の血液が
    全て沸騰したかのように熱く、下半身にはじんわりと滴り落ちる何かを感じた。

    白衣の下のタイトスカートから長くて綺麗な脚が伸びてくる。
    網タイツをしている彼女の脚は、やがて來羽の股に滑りこむように
    ゆっくりと割り入ろうとする。
    脚だけではない。
    腰から胸にかけてのなだらかなくびれが大人の女性の曲線で、
    自分とは違う成熟したオンナを感じる。
    …きっとこれに群がる男性は数知れない。
    でも、彼らがどんなに欲しても、彼女は手に入らない。
    そんな彼女がいま…自分を所望している。
    どうしようもない優越感と彼女の色香にドキドキしながら、
    來羽は次第に警戒を解いていった。

    ああ、もういいかな…

    何だか頭の中がふわふわしてきた。
    もう考えることにも疲れてきた。
    痺れるような甘い香りに包まれ、
    身体は、彼女が口づけた箇所から高揚する。
    このまま彼女に身をまかせてしまっても、悪く…ないかもしれない。
    そう思って來羽が深く息を吸い込んだ瞬間…

    ギイィィ…

    厚みのある奥の扉が、鈍い音をたてながらゆっくりと開いていった。
引用返信/返信 削除キー/
■5002 / inTopicNo.27)  NO TITLE
□投稿者/ 静馬 一般人(3回)-(2007/11/27(Tue) 18:31:51)
    お疲れさまです!またまたさっそく読ましてもらいました(≧▽≦)扉が開いて入ってきたのは誰か!?展開がホントに気になりますね〜(>_<)
    寒い日が続きますが頑張って下さい!!

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■5005 / inTopicNo.28)  文章うまい
□投稿者/ ながさわ 一般人(1回)-(2007/11/29(Thu) 14:21:29)
    文章うまい超うまい

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■5007 / inTopicNo.29)  静馬さま
□投稿者/ 琉 一般人(20回)-(2007/11/30(Fri) 16:33:05)
    こんばんは。そして、お待たせしました(笑)
    扉の向こうの待ち人は、静馬さまの予想通りだったでしょうか?
    まだ來羽の長い一日は終わりません…ので、
    見守っていただければありがたいです。
    最近、本当に寒い日が続きますよね。
    私はうがい手洗いをこまめにやって、何とか保っています。
    静馬さまもどうか体調にはお気をつけください。

引用返信/返信 削除キー/
■5008 / inTopicNo.30)  ながさわ様
□投稿者/ 琉 一般人(21回)-(2007/11/30(Fri) 16:36:29)
    初めまして。お褒めの言葉を、ありがとうございます。
    過去に書いた文章に誤字や間違いを見つけると…冷や汗ものです。
    何回か目を通してから投稿するよう心がけてはおりますが、
    それでも素人のためミスを連発してしまいます。
    今後もそういったことはいくらでもあるはずですが、
    何卒ご容赦の上、お付き合いいただけると嬉しく思います。

引用返信/返信 削除キー/
■5009 / inTopicNo.31)  (12)
□投稿者/ 琉 一般人(22回)-(2007/11/30(Fri) 16:53:43)
    「冗談きついですよ、センセ?」
    壁にもたれながら優雅にこちらを見据えるのは、
    この学園の生徒のようだった。
    これまた身長170cmは余裕でありそうなスレンダー美人だが、
    ここでは珍しいほど短めのセミロングの髪型だ。
    たぶん…來羽より少し長いくらいだろう。
    驚くべきは、その肌の白さだ。
    もともと色白な女生徒が多いこの学園の中でも屈指のきめ細かい
    もち肌が遠目からでもよく分かる。

    何一つ言い訳など出来ない証拠が揃った現場を見られた後ろめたさから、
    來羽は脱がされた制服や下着を鷲掴みにして前を隠した。
    これ以上、誰かに裸を見られるなんて恥ずかしい。
    しかし、そんな來羽をよそに、目の前の少女は
    ずかずかと部屋に入っていき、校医に向かって堂々と発言した。
    「困りますよ、先生。この子がどういう生徒か知っているでしょ?」
    一方で、注意を受けた校医の方はというと…
    ゲームオーバーを認めるかのように、両手をあげ降参のポーズをとった。

    …どういうこと?

    彼女は一体、何者なのか。
    凛とした佇まいや落ち着き払った行動から、
    おそらく上級生であるだろうことは分かる。
    でも、どうして一介の生徒が権威ある教職者に意見することができるのか、
    來羽は目を白黒させながら、そんなことだけを考えていた。

    「…まったく。私だって、まだ味見をしていないんですからね」
    「ごめんごめん。でも、ほら…つい、ね」
    前の二人は、何かコソコソ言い合っている。
    聞こえていないとでも思っているのだろうが、片言くらいなら
    案外ここまで響くのだ。

    味見…?

    心当たりがないわけではないが、それでもこういう予感は的中しないでほしい。
    それにしても、この学園は随分と教師と生徒の壁が薄いみたいだ。
    もちろん全ての教員がそうではないかもしれないが。
    すると、入室してきた上級生らしき生徒は、二人の会話に聞き耳をたてていた
    來羽の方へ向き直り、改めて自己紹介した。
    「初めまして、サ・フォス女学園高等部生徒会長の湊千影です。
    あなたが一年二組に転入してきた早乙女さんね。
    今日は寮を案内してあげることになっているので、迎えに来ました」

    生徒…会長

    それは文字通り、生徒会役員の最高幹部を意味していた。
    生徒会長が直々にお迎えにあがるなんて…
    こんなに歓迎されているとは知らなかった。
    來羽は密かな感動を覚えつつ、彼女の振る舞いにぼーっと見とれていると、
    会長は無言で思いもよらない行動をとった。
    「あの…何でしょう?」
    顎を軽く持ち上げられた來羽は、不安になって恐るおそる尋ねてみる。
    「いや、噂には聞いていたけど…本当に可愛いなと思って。
    寮の学生たちは、來羽ちゃんの歓迎会をやるって張りきっているから、
    早く紹介してあげないとね。
    あ、でも…とりあえず着替えてくれるかな?
    そのまま行くと寮生が大騒ぎしちゃうから」

    そうだった…!

    恥じらいを押し殺しつつも、來羽は言われたとおりブラやスリップを身につけ、
    乱れていたセーラー服を元通りに着なおした。
    その間、他の二人は背中を向けるといった一応の配慮をしてくれたが、
    特に校医にはすでに赤裸々に見られてしまったため、
    あまり関係がないような気もする。
    最後にネクタイを結び終えるのを待っていたかのように、
    会長は再び來羽に一緒に来るよう告げた。
    学習用品や鞄は、すでに教室から運びこまれたという。
    そういえば、理事長室までスーツケースなどの大型手荷物も
    受け取りに行かないといけない。
    何だってこの学園は日曜のうちに引越しをさせてくれなかったのか…
    ここへは身体一つで届けられたので、特に忘れ物を心配する必要もなく、
    來羽は早々と退散することにした。

    まだ少しここでやる仕事があるとかで校医は同行しなかったが、
    入り口までは見送ってくれた。
    「また、いつでもいらっしゃい」
    そうやってヒラヒラと手を振りながらの校医の微笑みが、
    來羽には逆に恐ろしく感じた。

    いつでもって…

    ここでお世話になる二度目があっては困る。
    部屋を出て新たに判明した事実は、この密室は地下室だったことだ。
    道理で窓がなかったはずだ。
    扉の外には『特別治療室』と書かれてあるが、実験室に名前を変更した方が
    妖しげなこの部屋にはぴったりだと思う。
    螺旋階段を上り、ようやく地上へと続くドアの前までたどり着くと、
    その向こうには眩いばかりの光に満ちていた。

    ここは…?

    プラネタリウムのような半球体のクリスタルガラスで出来た天井が美しい。
    地下室とは対照的に、窓だけで構築されている開放的な場所である。
    「ここが本来の保健室よ」
    会長の話に、來羽は驚きを隠せなかった。
    それもそのはず…部屋の外には一周を薔薇の花々が囲んでいて、
    まるでどこかの王室の庭園にでも迷いこんだよう。
    思わず息を呑む絶景に目を奪われながら、
    來羽はふらふらと壁際まで近寄ろうとした拍子に…
    すれ違いざま、誰かと肩がぶつかった。

    「あ…」
    そこに居たのは、意外な人物だった。
引用返信/返信 削除キー/
■5010 / inTopicNo.32)  おもしろい!
□投稿者/ りっぴ 一般人(1回)-(2007/11/30(Fri) 23:25:15)
    私もながさわさんと同感ですよ。とても読みやすい文章だと思います。

    期待してます。がんばって下さい。

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■5012 / inTopicNo.33)  りっぴ様
□投稿者/ 琉 一般人(23回)-(2007/12/02(Sun) 04:26:48)
    初めまして。読みやすいだなんて、恐れ入ります。
    書いている本人は、本当に普通のつまらない人間なのですが(汗)
    なるべくご期待に添えるよう、頑張ります。

引用返信/返信 削除キー/
■5013 / inTopicNo.34)  (13)
□投稿者/ 琉 一般人(24回)-(2007/12/02(Sun) 04:38:12)
    なんで…

    どうして彼女がこの場所に居るのだ?
    來羽の脳裏には、激しいフラッシュと共に、
    昼間のキスシーンが鮮明に映し出された。
    どこまでも澄んだ漆黒の瞳にサラサラと揺れる緑の黒髪、
    そして鳥肌がたつほど整いすぎた顔立ち…
    間違いない。
    彼女は…昼休みに口づけを交わしたあの美少女だ。
    時間はもうすぐ五時を回ろうというこの黄昏時なら、
    部活動をしていない一般生徒はとっくに寮に帰っているはずなのに。
    怪我をしている病人には到底見えないため、
    來羽にとっては余計と不思議でならなかった。

    「熱っ!ちょっと、急に飛び出してこないでよ」
    見ると、彼女の手元には淹れたばかりと思しき紅茶の入ったティーカップが数個、
    お膳に乗せられて運んでいる最中のようだった。
    カップからは朦々と湯気が立ちこめている。
    「ご、ごめんなさい…」
    長くて美しい指先が火傷してしまったかと焦って、
    來羽は彼女の手に触れるようとした、そんな時だった。
    「あら?ちょうど良かった、紹介するわね。
    彼女…桐生円さんは、寮であなたと同室になるルームメイトよ」
    ようやく追いついた会長が、タイミングよく間に入ってくる。

    るーむめいと…って

    「えぇっ!?」
    仰天する來羽を放ったらかしに、会長は延々と説明を続ける。
    「まあ、もともとうちの寮は二人用だからまだまだ充分な余裕はあるのだけれど、
    今年の一年生の大半が一人部屋として使い始めちゃってね。
    転入生が来ることが決まった時、部屋割りをどうしようか思案していたら、
    何故か一人部屋の彼女たちみんなで争奪戦を始めてしまって…
    …どうしてかしら?
    それで結局、決着は持ち越しになったのよね。
    とりあえず仮の同室者として桐生さんが選抜されたってワケ。
    あ、でも、あなたラッキーよ。
    桐生さんといえば…一年生の中ではダントツの成績を誇る才女だから、
    困ったことがあれば、いつでも彼女を頼れば良いわ」

    争奪戦…

    それは、まさしく聡美が話していたもう二つめのキーワードの
    『取り合い』に他ならない。
    一体、どんな決め方をしたのかは甚だ疑問だが、
    それでは決まらなかったというのだから、
    あまりに過酷で壮絶な戦いだったか、
    または余程くだらなかったかのどちらかだろう。
    それにしても、同室になる相手がよりによって彼女だなんて…
    初対面でキスをしてくるような女の子だ。
    何だかとんでもない寮生活が待っているような気がして、
    來羽の内心は不安でいっぱいだった。

    「ほら、二人とも仲良く、ね?」
    そう言いながら、会長は向き合う二人の手を取って、
    互いに握手させるような格好で促した。
    おそらく、生徒会長は今日の昼休みの一件を知らない。
    來羽は首を竦めて怯えながらも、言われたとおり挨拶した。
    「あ、どうもこんにちは。転入生の早乙女です。
    これからご迷惑をおかけしますが、どうかよろしくお願いしま…」
    「会長」
    來羽の話を遮って、円は会長へと声をかけた。
    「ご要望どおり、理事長室から彼女の残りの荷物を運びました」
    彼女の後ろのテーブルには、あの重い編入要項パンフレットが
    連絡事項のプリントと一緒に山積みになって置かれていて、
    さらにその下にはチャック柄のスーツケースが横たわっていた。
    紛れもなく、けさ理事長室に預けた來羽の手荷物だ。
    「あ、ありがとうございま…」
    慌ててお辞儀をしようとする來羽を、今度は会長の言葉が遮った。
    「まあ、ご苦労さま」
    「いいえ。同室の者として、当然ですから。
    …それより、ちょうどお茶を淹れたんです。
    ちょっと休憩して行きませんか?」
    会長はそうね、なんて笑いながら、二人でさっさと
    奥の洋卓の方へ歩いていってしまった。

    無視…されてる?

    歓迎されていると喜んだばかりで実はやっぱり違ったのかと、
    ならくの底に突き落とされるような仕打ちに來羽は再び沈みかけていると…
    「あなたもね」
    けれど、こちらに振り向いて円がさりげなくそう言ってくれた言葉だけは、
    確かに耳に入った。
引用返信/返信 削除キー/
■5014 / inTopicNo.35)  はじめまして(^_^)/
□投稿者/ 籠女 一般人(1回)-(2007/12/02(Sun) 20:43:40)
    いつも楽しく読ましてもらっています(^^ゞドキドキしながら続きも楽しみに待っていますので頑張って下さい(o^v^o)

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■5036 / inTopicNo.36)  籠女さま
□投稿者/ 琉 一般人(25回)-(2007/12/11(Tue) 21:08:18)
    こちらこそ、初めまして。応援していただき、ありがとうございます。
    本当にいつも、ちまちまとゆっくりな更新ばかりで申し訳ないです。
    これから年末に向けて忙しくなるので、
    ますます更新が滞りがちになることが予想されますが、
    まずは第一章の完結を目指してぼちぼち頑張ります。

引用返信/返信 削除キー/
■5037 / inTopicNo.37)  (14)
□投稿者/ 琉 一般人(26回)-(2007/12/11(Tue) 21:15:54)
    「で?」

    カップに注がれた真っ赤な紅茶を一口飲んでから、
    生徒会長は突如尋ねるように円に質問を投げかけた。
    「ですから、その話は以前お断りしたように…」
    「やっぱり生徒会には入ってくれないの?」
    …そうそう。
    生徒会に入ってほしいとかいう類の話だった。
    彼女たちを含め、この学園の生徒の会話は次からつぎへと話題が変わるのが速すぎる。
    これが女子校特有の怪奇現象なのだろうか。
    せっかくの茶話会も、いまの來羽にとっては、何を言うこともなく
    ただただ二人の話についていくだけで精一杯のティータイムとなっていた。

    「でも、あなたのほどの才能に満ち溢れている新入生がもったいない…」
    ため息混じりに心底残念そうに呟く会長の話によると、
    この天才的美少女の…桐生円は、高等部入学から半年以上経ったというのに、
    未だにどこの部活・委員会にも所属していないのだという。
    驚くことに、彼女は一学年主席という輝かしい成績だけでなく、
    体育で測定した短距離のタイムが、並みいる強豪を押さえて校内上位に
    くいこむほど抜群の運動神経に加えて、さらには数多の芸能プロダクションから
    これまで何度もスカウトの依頼を受け続けている経歴の持ち主であるらしい。
    これだけ有能な新入生が、特に部活動に精を出すわけでもなく、
    はたまた委員会や課外活動に熱中するわけでもない
    甘んじた学園生活を送っているとなれば、
    宝の持ち腐れ状態で会長が嘆き悲しむのも無理はない。

    …いったい、何を考えているの?

    頭の回転が速い人の行動とは、時として考えが読めないことがある。
    來羽などは、まさにその典型的パターンにはまりやすい人物なのだった。

    「別に私が入るまでもなく、生徒会にはすでに優秀な人材が
    いくらでも揃っているじゃないですか」
    特に、私の親友とか…と円は名指しして思い当たる人物の名前を
    ことごとく列挙していった。
    なるほど、彼女の身近な友人には生徒会役員が居るということか。
    「もちろん、若林さんもうちの一員としてよくやってくれているわ」
    会長はワカバヤシさんのフォローをするかのように、
    慌てて名指しされた生徒を庇いたてた。
    「だから、その…あなたはとても若林さんと馬が合うようだし。
    将来は、あなたたち二人で…今後の生徒会を引っ張ってくれたら、と
    私は考えているのよ」
    「遠慮します。私はいまの生活で充分満足しているので…
    生徒会だって、第二書記や第三会計まで居れば充分ではないですか?」
    一刀両断で返事するかのように、円はキッパリと断った。
    彼女の態度ときたら…何もそこまではっきり言わなくてもと、
    部外者である來羽がやきもきしてしまうほどである。

    「生徒会がここまで頼んでいるのに引き受けないなんて、
    よっぽどいまの生活が楽しいのか…それとも」
    生徒会長はそこまで一息で告げ、さらに來羽を向きながらこう続けた。
    「それほど新しく来た転入生のお世話に忙しいのかしらね?」

    えっ?…わ、私!?

    その矛先がこちらに向けられたことで、関係ないと思っていた來羽は萎縮してしまう。
    「彼女は関係ありません」
    事実だから仕方ないのだが、それでもこれから同室となる相手に関係ないと
    言い切られてしまうと、それはそれで心寂しく感じてしまうものだったりする。
    「それに…彼女はもう貝原先生とお楽しみだったようですし?」
    「…見ていたんですか!?」
    どこか棘のあるような口調で円はニヤニヤしたままそう呟いたが、
    その言い方が來羽にとっては許せないものだった。

    見ていたなら、助けてくれたって良いのに…

    彼女たち二人の会話を聴いていて、何となく分かった。
    円は最初の荷物を運んだときに、地下室の來羽を目撃して、
    さらにその後、再度理事長室へ向かっているうちに会長がやってきた、
    というわけだったのだ。
    保健医と生徒会長以外にも肌を見られていたかもしれない不安が募り、
    來羽は恥ずかしさと怒りで顔を歪めた。
引用返信/返信 削除キー/
■5038 / inTopicNo.38)  待ってました(^o^)
□投稿者/ 籠女 一般人(2回)-(2007/12/12(Wed) 00:06:09)
    更新ありがとうございます!毎日チェックしながら首を長くして待ってました(^v^)ホントに楽しいお話ですね\(^O^)/これからも頑張って下さい(^o^)

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■5046 / inTopicNo.39)  NO TITLE
□投稿者/ ノア 一般人(1回)-(2007/12/22(Sat) 15:55:11)
    はじめまして☆彡
    いつも楽しく読んでます♪
    忙しいとは思いますが、続き楽しみにしてますので頑張って下さぁいッ(・∀・)

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■5065 / inTopicNo.40)  籠女様
□投稿者/ 琉 一般人(27回)-(2007/12/30(Sun) 21:08:29)
    こんばんは。お返事、ありがとうございます。
    クリスマスも終わってしまいましたね。
    ケーキの食べすぎで、お腹周りが気になるところですが、
    少し制限しながら年越ししようかと考えているところです。
    さて、お話はようやく学生寮へと移っていきます。
    この後、どんな人物が登場してどんな展開が待っているのかは…
    来年のお楽しみのいうことで(笑)
    それでは、良いお年を。

引用返信/返信 削除キー/

<前の20件 | 次の20件>

トピック内ページ移動 / << 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 >>

[このトピックに返信]
Mode/  Pass/

HOME HELP 新規作成 新着記事 ツリー表示 スレッド表示 トピック表示 発言ランク ファイル一覧 検索 過去ログ

- Child Tree -