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■5066 / inTopicNo.41)  ノア様
  
□投稿者/ 琉 一般人(28回)-(2007/12/30(Sun) 21:11:41)
    どうも初めまして。お読みいただき、ありがとうございます。
    そして、更新が遅くなってすみません。
    今夜は忘年会だったので、少しテンションが高いです(笑)
    今年ももう終わりますね。
    年内に更新できるのは、これが最後になりそうです。
    このお話が完結するのはまだ先ですが、
    今後もお付き合いいただけると嬉しいです。

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■5067 / inTopicNo.42)  (15)
□投稿者/ 琉 一般人(29回)-(2007/12/30(Sun) 21:32:34)
    「そろそろ行きましょうか?」

    生徒会長のこの掛け声で、來羽たちはとりあえずここを離れることになった。
    「この洗いものは…?」
    お茶を飲み干したカップは、未だ三人の手元に残ったままだ。
    ここは保健室という公共施設の一つのため、当然生徒である
    自分たちが洗って然るべきのはず…
    だが。
    「あ、良いのいいの」
    全員分のカップを下げようとする來羽の手を制止しながら、
    会長は鞄を手渡してきた。
    「え、でも…」
    「貝原先生がやってくれるから」
    まだ心残りな來羽の言葉を遮ったのは、いつの間にか帰り支度を済ませた円だった。

    従姉だもんね…

    何でもここの校医はカウンセラーの資格も持っているらしく、
    頻繁に相談に来る生徒がカフェのように利用するほど人気の場所らしい。
    あの妖しげな薬を取り交わすほどの間柄ならば、
    身内でなくともおそらく代わりに洗うくらいはしてくれるだろう。

    「はい、來羽ちゃんは自分の鞄を持って。
    私は編入要項、桐生さんはスーツケースを運ぶの手伝ってあげるから」
    そう言ったきり、会長はさっさと歩いて保健室から出ていってしまった。

    「あ、あの…」
    二人きりになるのはあまりに気まずくて、來羽はしどろもどろになりながら
    円に話しかけてみる。
    「ほら、うちらも早く行くよ!」
    一方の彼女は、あくまで飄々とした態度を崩さないまま、
    先導をきって來羽を出入り口まで歩かせた。

    保健室の外は西日が差し込んできて、もうすっかり夕方と化している。
    急がないと、この学校には門限はないものの、あまりに遅くなると
    理由を訊ねられるくらいはするらしいから。
    フワッ…
    來羽の鼻いっぱいに甘いローズの香りが広がる。
    思えば、ここは薔薇の花園の真っ只中だ。

    この香り…

    少し違うような気もするが、甘くツンとした独特のあの麻酔薬のような香りだ。
    もしかして…保健医はこの場所で原料を抽出でもしているのか。
    「痛っ」
    一輪の薔薇に触れようとした來羽の指を容赦なく棘が襲う。
    『綺麗な薔薇には棘がある』
    こんな当たり前のことですら忘れていたなんて…
    今日はあまりにいろいろなことがあったから疲れているのかな、
    などと考えながら來羽が指から流れる血を拭おうとした瞬間、
    横からそれを制止したのはまたしても円だった。
    「舐めたら治るわよ、こんなの」
    彼女は、怪我をした來羽の指をそのまま自身の口に運んだ。

    きれい…

    何気ないこんな仕草にも、見とれてしまう。
    サラサラ揺れる黒髪と、真っ白な肌と、そして彼女が口に含んだ真紅の鮮血が
    あまりに幻想的で、來羽はどうして良いのか分からなくなり戸惑った。
    「いまは指だけ消毒してあげる」
    そう告げたままにんまりと微笑んだ円は、身を翻して一本の抜け道を歩いていく。
    その言葉の真意を図りきれないまま、來羽は顔が熱くなるのを感じた。

    「ほら、早くいらっしゃい」
    もう遥か遠くの方から生徒会長の声が聞こえる。
    薔薇の香りが辺りに充満するこの花園を抜け進み、三人は校舎を後にした。
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■5074 / inTopicNo.43)  お久しぶりです!
□投稿者/ 籠女 一般人(3回)-(2007/12/31(Mon) 20:08:41)
    更新ありがとうございます(^o^)1週間ぐらい空いてしまうと続きを書いてくれない人たちが多いなか更新ありがとうございます(^O^)v体に気をつけて頑張って下さい(#^.^#)

    (携帯)
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■5078 / inTopicNo.44)  籠女さま
□投稿者/ 琉 一般人(30回)-(2008/01/03(Thu) 19:04:23)
    明けましておめでとうございます!
    そして、お返事ありがとうございます。
    年明けしても、忙しくてなかなか更新する時間がもてそうにないので、
    お正月休みのうちにできるだけ進めてみました。
    最近、このお話は三章構成にしようかなと考えたりしてます。
    まだ手探りで書いているので、何ともいえませんが。
    でも、一度始めたからには最後まで責任を持って完結させるので、
    その辺はご安心ください。
    それでは、籠女さまにとって本年が良い年でありますよう
    願っております。

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■5079 / inTopicNo.45)  (16)
□投稿者/ 琉 一般人(31回)-(2008/01/03(Thu) 19:18:27)
    黄昏の夕日が一層眩しく映える小高い丘の上に、その建物は佇んでいた。

    『サ・フォス女学園中高等部寮』

    煉瓦造りの外壁に高々と掲げられている表札には確かにそう書いてある。
    50階はあるような超高層マンションを思わせる外観に、
    どこかシックで落ち着いたモダンな高級ホテルを連想させる内装が
    融合した近代的な建物だ。
    学生寮というからには、この学校の歴史からすると相当の老朽化を覚悟していたのに、
    予想外にも明るく清潔感溢れる吹き抜けのロビーに來羽は圧倒されていた。

    ピピッ…
    先を歩いていた二人は、何やら薄いカードのようなものを鞄から取り出し、
    厚い壁で出来たゲートを開こうとした。
    「ほら、生徒手帳出して」
    円に言われてから気づいたのは、彼女たちが持っていたのは例の生徒手帳だったことだ。
    「じゃ、私は先に入っているから。
    來羽ちゃんは、そこのディスプレイに手帳をかざしてね」
    ウイィィン…
    何重にもガードされた重厚な門が、一つひとつ開いていき、
    その間を生徒会長は颯爽と歩いていく。
    セキュリティ上、入館時は必ず一人ずつしか入れないからか、
    入場口が全開しても円は足を踏み入れようとはしない。
    しかし、扉が完全に封鎖されたのを確認すると、
    彼女は会長がしたようにカードをパネルに近づける。
    「待ってるから」
    真っ直ぐに伸びた背中から一言、そう発せられた言葉だけを残して、
    円はあっという間に扉の向こうに消えていった。

    今まで付き添ってくれていた二人が一気に居なくなると、
    急にもの寂しく感じるのはどうしてだろう。
    次は自分の番だ、とばかりに、來羽も例のように手帳をパネルにかざそうとした
    …瞬間、突然けたたましいサイレン音が鳴り響いた。
    『ERROR MESSAGE』
    チラリと映った画面の表示を見た途端パニックに陥った來羽は、
    係員をお呼びくださいという続きを読むこともなく、
    その場に突っ伏すことしかできなかった。

    …なんで?…どうして?

    今日もらったばかりの生徒手帳が使えないだなんて。
    貝原先生は、これを返却する際に何か小細工でも仕込んでいたのか。
    泣きたくなる衝動を抑えて、來羽は何故にこのカードが使えないのかと
    いうことだけを悶々と考えていた。

    しばらくすると、守衛さんらしき背の高い女の人が、
    管理室と書かれた部屋から現れ、こちらに向かって走ってくる。
    警備服を着ていることから、彼女は…ここの関係者だろうか。
    藁にもすがる思いで、來羽は目の前の女性に助けを求めた。
    「あの、すみません…エラーが」
    もしかしたら、心細くてすでに涙声になってしまっていたかもしれないが、
    相手の女性は気にすることもなく、にっこりと笑いながら逆に謝ってきた。
    「ああ、ごめんなさいね」
    彼女が話すには、編入生である來羽のパーソナルデータが
    本部からまだ送信されていないのだそうだ。
    「これを直接入力するには、専門的な知識も技術も必要なの。
    私では…チョットね」
    力不足で申し訳ないとでも言うように、頭を垂れる彼女に仰天したのは來羽の方だった。
    「いいえ、とんでもない」
    もとはといえば、こんな変な時期に転入してくる自分こそ…と
    自らを苛む気持ちでいっぱいになりかけた時に、
    警備員さんらしき女性が予期せぬ提案をもちかけた。
    「じゃあ、今晩はあの部屋で泊まることになってしまうけど…」
    「え?」
    それは、いまさっき彼女が飛び出してきた管理室に他ならなかった。
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■5087 / inTopicNo.46)  (17)
□投稿者/ 琉 一般人(32回)-(2008/01/06(Sun) 07:20:06)
    「や、それはちょっと…」
    「まあまあ、そう言わずに。晩御飯くらいはご馳走してあげるから、ね?」
    そういう問題ではないというのに、警備員さんはもうすっかり乗り気で、
    來羽を中に連れ込もうと手を握ったまま離そうとしない。
    けれど。
    「いえ、今日は歓迎会が予定されているので…」
    來羽にだって、そう簡単に引き下がるわけにはいかない理由があるのだ。
    放課後、生徒会長から直々にそういったお話があったことは、
    そそっかしい來羽もよく覚えていた。
    歓迎会にまさか主賓が居ないなんて失態、許されるはずがない。
    何とか言いくるめてでも、この場を切り抜けないと
    この後の学園生活にも大きく関わりそうな不安から、
    來羽は必死で言い訳を探した。

    「歓迎会ねぇ…明日にすれば?」
    しかし、警備員さんもなかなか侮ることができない。
    『ああ言えばこう言う』の要領で、ことごとく言い返してくるので、
    來羽は危うく今夜は寮に入れないことを覚悟しかけた…そんな時だった。
    「分かりまし…」
    「その必要はありません」
    あまりに急展開すぎる申し出に戸惑った來羽の返事を阻んでまでしゃしゃり出たのは、
    もう中に入ってしまったはずのあの人の声だった。
    「…桐生さん」
    そう呟いたのは、來羽だけではない。
    後ろで今まさに來羽の腕を掴んで引っ張ろうとしていた警備員の彼女もまた、
    円の登場に驚きを隠せないでいた。

    「どうして…?」
    いま入ったばかりで、もうとっくに居なくなってしまったと結論づけていたのか、
    彼女の顔は少しばかり強張っているようにも取れる。
    「同室の彼女が遅いので、再度退館したんです」
    そう言ったまま、円は來羽を強引に引き寄せた。

    わっ…ち、近い!

    こんなに密着するのは…おそらく昼休み以来だ。
    相変わらず彼女は見目麗しくて、來羽が憧れている自慢の黒髪も
    よりサラサラに磨きがかかっている…ように見えるが、
    険しい表情から本人の機嫌はさほどよろしくないらしい。
    「それより、柔道部の練習を終えたばかりのはずの
    蛭田先生こそ、何でここに…?」

    彼女、先生だったのか…

    道理で女性にしてはがっちりしたたくましい身体つきをしていると…
    なんて來羽が考えこんでいる間にも、円は質問するのを止めようしない。
    「しかも、その服…警備服ですよね?
    先生って今日、見回りの当番でしたっけ?」
    彼女たちの会話から、來羽にも段々と事情が読めてきた。
    彼女…蛭田先生は、その立派な体格から体育教師か何かで
    柔道部の顧問をしていて、おまけにこの学校では教師が
    この管理室の監視を当番制で引き受ける任務がある、
    というところだろうか。

    一方で、焦ったのはもう少しのところで來羽を管理室に入れようとしていた
    蛭田の方だった。
    彼女は、若干眉をつり上げながら、従来の説明を繰り返そうとする。
    「いや、気持ちは分かるんだけどね。本日中に彼女のデータを
    打ち込まないことには我々に手段は…」
    「あります」
    あくまで円は強気のようだ。
    しかも、未だに機嫌が悪そうな表情が崩れる気配はない。
    來羽をその場に立たせたまま、彼女は自ら管理室に乗り込み、
    一言だけこう呟いた。
    「私が入力しますから」
引用返信/返信 削除キー/
■5088 / inTopicNo.47)  更新お疲れさまです!
□投稿者/ 籠女 一般人(5回)-(2008/01/07(Mon) 07:56:00)
    あけましておめでとうございます(^o^)
    今年も頑張って下さい!ストーリーの続きが毎度気になってしょっちゅうこのサイトを見てます(^0^)
    とにかく体に気をつけて頑張って下さい(^-^)

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■5185 / inTopicNo.48)  籠女様
□投稿者/ 琉 一般人(33回)-(2008/01/21(Mon) 02:05:29)
    こんばんは。そして、またまたコメントをお寄せいただき、
    ありがとうございます!
    頻繁に見に来てくださることは、私にとってもこの上ない光栄です。
    そのわりには…更新が滞りがちで申し訳ないです(汗)
    突然ですが、籠女さまは裏表(もしくはギャップ)がある人は好きですか?
    個人的な好みとしては、結構そういう人に面白みを感じるので、
    登場人物にも大いにそれらを反映させています。
    今後も、ストーリー内では良い意味で裏切っていけたらと考えていますので、
    お付き合いいただければ幸いです。

引用返信/返信 削除キー/
■5186 / inTopicNo.49)  (18)
□投稿者/ 琉 一般人(34回)-(2008/01/21(Mon) 02:12:44)
    …知らなかった

    まさか、彼女にこういう才能があっただなんて…
    瞬きする間もないくらいの速さで何やら難しそうな文字列を
    機械に向かってタイピングする円は、両親がIT関連会社を経営していて、
    彼女自身もバリバリの理系少女らしいことを來羽は初めて知ることとなった。

    「終わりました」
    ものの数分で作業を終了させると、円はそのまま來羽の手を引き、
    管理室からさっさと出ようとする。
    「ま、待って」
    咄嗟のことだったので、來羽にもすぐには状況がつかめないでいたのだが、
    蛭田が何とか呼び止めようとしていることだけは分かった。
    「まだ、何か?」
    氷のように冷たい視線で一瞥する円からは、
    教師への敬意などというものは微塵も感じられず、
    むしろ疎ましげな感情を露骨に表現しているようだった。

    「そんなに恐い顔しないでよ…中に入る前に、
    ちょっとこの用紙に記入してもらうだけだから」
    そう言って蛭田が差し出したのは、この寮に初めて入る生徒には
    必ず書いてもらっているというアンケートのような一枚の紙だった。
    名前と学年、クラスに部屋番号…誕生日や趣味まで、
    これといって特に何てことないよくある質問事項だ。
    「あ、じゃあ、いま記入しま…」
    鞄から筆箱を、筆箱からボールペンを取り出し、
    來羽が早速書き始めようとしたその時…
    円はそれを邪魔するように横から紙を奪い取った。
    奪い取るだけではない。
    彼女はそれをさらに真ん中からビリビリと音を立てて破ってしまったのだ。
    見るも無残なただの紙きれとなってしまった用紙をゴミ箱に捨てて、
    円は再度來羽の手を取り、一緒に来るよう促した。

    「待ちなさい!」
    当然のことながら、焦った蛭田は声を荒げて抗議してきた。
    「これは、新寮生には必ず書いてもらう決まりなのよ?
    こんなことして…どうなるか分かっているの?」
    今回ばかりは、彼女の言い分が正しい…はずだったのだが、
    円自身はそんなことで怯むことはなかった。
    「なら、直接理事長にお伝えください。
    一年の桐生がくだらないと話していました、と」
    言いたいことはそれだけか、と再度確認するように睨み返して、
    円は再び身を翻して室内から出て行った。
    今度は來羽の身体を掴むことなく。
    でも、來羽も何となく気まずい雰囲気から解放されたくて、
    自らの意志で管理室を飛び出した。
引用返信/返信 削除キー/
■5216 / inTopicNo.50)  (19)
□投稿者/ 琉 一般人(35回)-(2008/01/30(Wed) 01:04:54)
    「今度は、あなたから先にお入りなさい」
    円の声が吹き抜けのロビーに反響する。
    蛭田はもう、管理室から追いかけてくることはなかった。

    …何故だろう

    恐いこわい体育系教師から解放されたばかりだというのに、
    來羽はそれよりもはるかに勝る別の安堵感に包まれていた。
    彼女に見守られている。
    その事実が、來羽には何よりも心強く感じたのかもしれない。
    じっとりと手に汗を握りながら、來羽はそっと生徒手帳を
    再び専用ディスプレイにかざした。

    ピピッ…

    今日中には不可能だと言われたエラーの解除が、
    円が行なった数分の作業だけで見事達成できたのだ。
    ウイィィン…
    次々と開かれる門の厚さは、まるで銀行かどこかの金庫室にでも
    通じているかのようだと來羽は歩き進みながら感じていた。

    ま、眩しい…

    最後の扉が開かれた瞬間、來羽は思わず眼を細める。
    目映いばかりに視界をいっぱいに埋め尽くしたのは、
    神々しく光り輝くシャンデリアの明かりのようだ。
    それまで居た外の世界をナチュラルでモダンだと表現するなら、
    内部はまさにゴージャスに彩られた中にもクラシカルが見え隠れする
    一種独特な世界観が拡がっていた。
    それまで持っていた鞄の重さを忘れてつい落としそうになる來羽に、
    更なる追い討ちが待っていたのは、そんな時だった。

    「早乙女來羽さんですよね?」

引用返信/返信 削除キー/
■5217 / inTopicNo.51)  琉さんへ☆
□投稿者/ みぃ 一般人(1回)-(2008/01/30(Wed) 19:31:20)
    初めまして☆
    感想とか書いていいのかなと思いつつ書いてみました(笑)

    いつも楽しく読んでます♪
    すごく読みやすいし、次々続きを読みたくなるくらい楽しいです♪♪


    また、いつでもいいのでのんびり書けるときに続きを書いてください(*^□^*) 
    でわ、失礼しました☆

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■5227 / inTopicNo.52)  みぃ様
□投稿者/ 琉 一般人(36回)-(2008/02/02(Sat) 18:19:10)
    初めまして。感想をお寄せいただき、ありがとうございます。
    いまでこそ私も自分で書いた話を投稿なんぞしてみたりしていますが、
    実はこっそり他の方のお話を読む方が好きなんです(笑)
    更新されていないか頻繁にチェックするので、本当は頑張ってほしいと
    お伝えしたいのですが、感想ってどう書けば良いか分からなくって…
    でも、自分の中でひっそりと敬愛しています(笑)
    そんなわけで、貴重なご意見を伺えるのは、私にとって本当に嬉しいです。
    今後もご期待に添えるよう、なるべく早い投稿を目指します。

引用返信/返信 削除キー/
■5228 / inTopicNo.53)  (20)
□投稿者/ 琉 一般人(37回)-(2008/02/02(Sat) 21:01:40)
    中に入った來羽がまず思ったことは、出入り口であるはずのこの場所に、
    何故こんなに人がいるのだろう、ということだ。
    端正な顔立ちをした少女たちが、みな一様にこちらを向いている。
    ある者は間近に立っているにも関わらず興味深げに眼を凝らしてみたり、
    また別の者は遠くから背伸びしたまま首を長くしてみたりと、
    十数人程度の女の子がとにかく我先にと押せおせ状態だ。
    近隣にも有名なサ・フォス女学園の灰色のタータンチェック柄がよく映える
    ワンピースタイプではない制服を着ている子がいるように見えるのは…
    おそらく中等部の生徒だろうか。
    そういえばここは、『中高等部寮』と確かに表示されていたはず。
    つまりは、高等部以外の生徒が歩いていたとしても何ら不思議ではないということだ。

    「早乙女さん?」

    ふと目の前の一人に声をかけられた。
    見ると、彼女は先ほども來羽の名前を確認するように話しかけてきた高等部の生徒だった。
    彼女のいまの話し声のトーンだと、來羽が何も言わないまま黙っているので、
    再度合っているのか確かめるかのような言い方だ。
    「はい」
    彼女は誰なのか、何で自分の名前を知っているのか、
    どうしていきなり声をかけてきたのか…訊きたいことは山ほどあったが、
    自分が早乙女來羽である以上はということで、來羽は尋ね返した。

    「ああ、良かった。ちょうどあなたをお待ちしていたのよ、私たち」
    やわらかく微笑むのは、口調からたぶん上級生だ。
    この学校の制服には学年の違いを示す印はない。
    だから、中等部か高等部かの見極めるならともかく、
    あくまで物怖じしない話し方や落ち着き払った態度から推測するしかない。
    彼女は後ろに数人の生徒を引き連れて、來羽を待っていたと言う。
    面識のないはずの上級生がわざわざ待っていたということで、
    來羽の顔が心なしか強張ったその時…また別に横から口をはさむ生徒が居た。

    「ちょっと待って!早乙女さんを待っていたのは、うちの方が先よ」
    これまた上級生だろうか。
    先ほどの女生徒は眼鏡をかけていて、長くて真っ直ぐな髪にほっそりとした体型が
    いかにも文系のような印象を受けるのに対して、
    こちらの彼女は背が高い上に全体的な肉付きが良い筋肉質な体型をした
    蛭田そっくりのいかにも体育系という印象を受ける。

    「何ですって?あなたたちなんてほんの今さっき着いたばかりじゃない」
    彼女たちが何者にせよ、目の前で繰り広げられている状況は
    決して安心できるものではない。
    むしろ、何だか雲行きが怪しくなってきたと感じるのは來羽の気のせいでは
    ないはずだ。
    彼女たちのちょっとしたいざこざが次第にヒートアップするうちに、
    來羽を囲む人だかりは更なる輪をかけていった。
引用返信/返信 削除キー/
■5253 / inTopicNo.54)  NO TITLE
□投稿者/ ゆみ 一般人(1回)-(2008/02/11(Mon) 00:20:56)
    とても楽しみにしてます。
    頑張ってくださいねP

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■5279 / inTopicNo.55)  ゆみ様
□投稿者/ 琉 一般人(38回)-(2008/03/03(Mon) 23:10:55)
    初めまして。久しぶりの更新になって申し訳ないです。
    少しずつですが、今後も書き続けるので
    どうか見守っていただければと思います。

引用返信/返信 削除キー/
■5280 / inTopicNo.56)  (21)
□投稿者/ 琉 一般人(1回)-(2008/03/03(Mon) 23:15:14)
    「はいはい、そこの二人。熱心な部活勧誘も良いけど、
    それは歓迎会が終わってからしてね」
    ポスターらしきものを筒状に丸めた紙で二人の上級生の頭を軽く突きながら
    そこに参戦してきたのは、どこに行っていたのか生徒会長だった。
    「でも、会長…」
    「『でも』じゃない。彼女のお迎え役は立候補しなくても
    もう決まっているの」
    そう言ったきり、背後から來羽の肩を急に力強く引っ張る手が伸びてくる。
    「わっ」

    この感覚…
    前にも…あった

    気がつくと、來羽はやっぱり円の腕の中に居た。
    サラサラ揺れる彼女の髪と、背中を包む柔らかな身体が、
    來羽の鼓動を加速させるには充分な刺激となった。
    けれども、円はというと…來羽を人質にとった犯人のように、
    じっと先輩たちを睨みつけたまま動かない。
    可憐な年頃の少女たちが威嚇しあうように立ち並ぶその場は、
    美しくもありさながら戦慄のようでもあった。
    少なくとも來羽にとっては、居心地の良いものではなかった。

    「こら、ただでさえ時間ないって言ってるのに…」
    苦笑いしながら沈黙を破ったのはまたしても生徒会長だった。
    彼女は、どうにかこうにかその場を取り持ちながら、
    來羽と円の二人に早く部屋に戻るよう告げる。

    「あっ、ちょっと、待ってよ!」
    來羽の戸惑いの声も空しく響かないまま、
    円は片手にスーツケース、もう片手に來羽の手を強く握り、
    勢いよく寮の廊下を突き進んでいった。
引用返信/返信 削除キー/
■5283 / inTopicNo.57)  (22)
□投稿者/ 琉 一般人(2回)-(2008/03/09(Sun) 22:16:46)
    「ねえ…ちょっと」
    來羽の声もいまの円に届くことはない。
    彼女は、こちらを見ることなく一心不乱に
    長い廊下を直進していく。
    引きずられるように歩く來羽の方向からは
    窺い知ることはできないが、
    おそらく…眉間に深いしわをよせて。

    ああ、もう…

    すれ違う生徒に、ちょっとした注目を浴びる。
    彼女たちは、今日の昼休みに一年二組であった出来事を
    知っているのだろうか。
    ふと、來羽の頭をそんな不安が過ぎった。
    女子校の噂は伝わるのが速いと聞く。
    知り合って間もない、ルームメイトの女の子二人が
    出会い頭にキスをした、だなんて
    女子校でなくとも噂の的になりそうな恰好のスキャンダルだ。

    「痛っ!ちょっ…」
    急に來羽の手を握る円の力が強くなった。
    彼女は、來羽の抗議を受け付けようとはせず、
    ひたすら廊下を歩いていく。
    時折、立ち止まったかと思えば、
    エレベーターに乗るだけのためだったりと、
    無駄な行動は一切しない。
    まるで何かにとり憑かれたかのように無言だったが、
    何故か二人が女生徒とすれ違う分だけ円の握力は増していった。
    そんな彼女に、來羽はついて行くだけで精一杯の状態が続き、
    次第にそれはイライラとした感情へと変化した。

    「もう、いい加減に放してよ!」
    我慢の限界に達した來羽は、ついに円の手を振り払って立ち止まった。
    「…何なの?」
    やっとの思いで出てきた声は弱々しくて、
    とても怒りを表現しているようには見えない。
    それは、來羽自身も分かっていた。
    でも、このまま引きずられるように歩いていくのは
    何故だかあまりに恐く感じられて、來羽なりのささやかな抵抗だったのだ。

    少しの沈黙の間、円の反応を気にしていると、
    彼女はおもむろに背を向け一つのドアの前に立った。
    「部屋、着いたわよ」
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■5285 / inTopicNo.58)  お久しぶりです
□投稿者/ 籠女 一般人(1回)-(2008/03/10(Mon) 10:00:21)
    更新お疲れさまです(^o^)
    色々とお疲れでしょうが完結を目指して頑張って下さい(^O^)v

    (携帯)
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■5287 / inTopicNo.59)  籠女さま
□投稿者/ 琉 一般人(3回)-(2008/03/11(Tue) 23:54:34)
    こんばんは。そして、お気遣いいただきありがとうございます。
    三章構成のため、まだまだ完結には程遠いですが、
    ゆっくりでも着実にお話は進めていくつもりです。
    春先で、何かと体調を崩しやすい季節ですので、
    籠女さまもお気をつけください。

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■5288 / inTopicNo.60)  (23)
□投稿者/ 琉 一般人(4回)-(2008/03/12(Wed) 00:05:13)
    「307…号室」

    一階は総合エントランスロビーになっていて、
    二階には食堂や談話室、ジムといった娯楽施設がひしめいている。
    三階以上は寮生の部屋になるわけだが、
    やはり年功序列が息づく伝統校。
    学年があがるにつれ、高層階の部屋が優先してあてがわれるシステムらしい。
    來羽と円の相部屋となる部屋は、この307号室で間違いないようだった。

    ガチャ…

    静かに開いたドアの向こうには、幻想的な夜景が出入り口のこちらからでも
    よく確認できるほどにキラキラと輝いていた。
    さすがは丘の上に建てられているだけはあって、
    寮室からは絶景ともいえる眺めが見事である。

    「わぁ、綺麗!」
    大都会ほどではなくとも、そこそこ栄えている商業都市ともなれば
    その黄昏は格別だ。
    まだほんの少し夕焼け空に街の明かりが一つ増え、二つ増えとしている光景に
    來羽は見とれ、いつの間にか辺りはすっかり夜の闇に包まれた。

    「あ、いけない…」

    こんなことをしていると、歓迎会とやらが始まってしまう。
    來羽がやっと自分の不手際に気づき、
    部屋の電気をつけようと手を伸ばした時…ふいに後ろから
    誰かに抱きしめられた。
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