| 外見は豪華客船にしか見えないその船は、しかし特殊な積み荷を積み、月曜の夜に出港して何処にも寄港せず、金曜の朝、港に戻ってくるのだった。 エスメラルダ号…… 名前こそ美しいこの船は、陰ではこう呼ばれていた。 拷問船 この船には反政府活動に関わった女達が乗せられ、活動のすべてを白状するまで、特殊警察に尋問を受けるのだという。 もちろん、尋問という名の、残虐な拷問である。 国際的な批判を避けるため、大洋上に出るのだという。 女達の叫び声は船底に消え、そこで何が行われているのか、誰も知らない。 噂では、積み荷の女達のほとんどがこの過酷な尋問に耐えきれず、金曜までに死んでしまうのだという。 そしてそのまま海の藻屑…… 生き残っても、それはつまり組織を売ったということで、待っているのはかつての仲間たちからの凄惨なリンチ…… エスメラルダ号……またの名を「絶望の船」という。 Mもまた、この絶望の船の積み荷となった。(新しいお話だよ。感想待ってるね)
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