| 十六の時に母親を事故で亡くし、父親は私が十八の頃、五十五歳で再婚した。 再婚相手は二十二歳。 まさに娘と言っていいような若い女性だった。 しかも恐ろしいほどの美人だった。 なぜ彼女、優華が、資産家だけれど凡庸な父と結婚したのか、その目的が金にあることは明らかだった。 父と優華は夜になると地下室に籠もり、朝は私が大学に行く頃まで起きてこなかった。 そんな生活が二年も続いた。 そして父は仕事中に脳梗塞で倒れ、寝たきりになり、一月で息を引き取った。 最期の言葉も何も無かった。 悲しみに暮れるある日、私の部屋に優華がやってきた。 アンタがパパを殺したのよ、とそんな目で睨んでやった。 「来て。見せたいものがあるの」 「何よ?」 「来ればわかるわ」 優華は地下室の鍵を指先でクルクルと回した。 地下室に入ったことはなかった。 私は優華に従った。 ※ ムン、と異様な匂いが鼻についた。 後でそれが、汗と精液と愛液と排泄物の混じり合った匂いだと知った。 灯りがつけられた。 私は「アッ」と声を上げた。 噂では聞いたことのある、でも実際に見るのは初めての、鞭や、巨大な注射器や、様々な大きさの人工ペニス、その他その他、何に使うのかわからないものが壁に掛けられていた。 そして天井からは鎖。 磔台。 木馬。 床はタイル張りで、排水溝も。 その隣にベッド。 「お父さんがどんな趣味だったか、わかるでしょ」 私は頭を振った。 振って、振って、振りまくった。 「私が毎晩、どんな目にあってたか」 私は泣きながら頭を振った。 「これから毎晩、その身体に教えてあげる」 「い、嫌よ」 「嫌って言えるのかしら? あなたの後見人は私なのよ。私のサイン一つで、あなたは路頭に迷うのよ。大学だって、あんな授業料のバカ高いお嬢様学校、ヤメなきゃならなくなるのよ」 「嫌、嫌……」 「私の本当の目的はあなただったの。あなたをここで責めさいなむことだけを夢みて、あなたのために、少しずつ、こういう器具を買い揃えたの」 「な、なぜ?」 「おねだりするのに、恥ずかしくもなんともなかった。だって、あなたのお父さん、男としてはもう終わってたの。こういう器具を使わないと女を満足させられなかったのね」 「もう、もうヤメて!」 「覚悟なさい!」 その言葉を合図にしていたかのように、とてつもない体格をした女が二人、地下室のドアを開けて入って来た。 そしてあっと言う間に私は全裸にされ、天井と床の鎖に、X字に拘束された。 胸も、下も、何にも隠せなくなった私の身体を、優華は舐めるように眺め回した。 「素敵ね、素晴らしいわ。とりあえず、今日は金曜だから、日曜までに腫れが退くくらい、お尻を徹底的にやって」 そう言ってベッドの上に横たわった。 「始めて」 風を切る音と共に、お尻に火のような痛みが走った。 ヒュン、ヒュン! 連続した音と激痛が走った! 何度も何度も! 痛い! キャァァアァアアァ…… 「痛い?」 優華が聞いた。 「痛い! ヤメて、こんなこと!」 「いいわぁ、さあ、ドンドン続けて」 ヒュン、ヒュン、ヒュン…… 連続して左右から! 叫ぶ、叫ぶ、泣きながら叫ぶ! 見れば優華はベッドの上で自分の胸を揉みしだいているのだった。 いつの間にか全裸で! そして自分の指を股間へ…… オナニー? オナニーしてるの? 私が鞭打たれるのを見ながら? そこへもう一人、優華とそっくりな女が入って来た。 鞭の嵐が止み、私は荒い息をやっとの思いで整えた。 「やってるわね、ああその子?」 「そう。私たちの共有財産にしましょ」 そう言って優華はその女に抱きつき、ゆっくりと服を脱がせた。 女が全裸になり横たわると、優華はその上に、それも股間に頭を埋め、自分の股間を女の顔に押しつけた。 「始めて」とくぐもった声がした。 鞭が始まった。 ベッドの上の女達は妖しげに身もだえを始めた。 卑猥な音が聞こえてきた。 互いのそこを、舐め合ってる! 私が鞭打たれるのをオカズに! 私は泣きながら叫び、叫びながら泣いた。 泣いて許しを乞うた。 痛い、あまりに痛い! 二人の全裸の女は上下を入れ替わりながら、妖しく汗にぬめ光る身体を絡み合わせ、同時に痙攣して絶頂を訴えた。 鞭の嵐はやっと止み、お尻に薬が塗られるのがわかった。 私は泣いて、泣いて、泣きじゃくった。 見れば、足下のタイルには水たまりが出来ていた。 「お漏らししたのよ」 「お漏らしするところも、素敵だったわ」 二人は顔を見合わせて、目を閉じると、ウットリとした表情で唇を重ねた。(続く)
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