| 美人はみんな似たようなものだけど、ブスはそれぞれにブスだ。なんてことを言う人がいるが、それはそうかもしれない。 美里のブスかげんはと言えば、それこそ絵に描いたような、いや、絵にも描けないブスで、なんで自殺しないのか不思議だと思えるほどだった。 だれも口には出さないけど。 私と智恵美はティーン雑誌の読モと言う名の実質的なモデルを続けているくらい容姿には自信があったし、実際、仕事も来ていた。 母子家庭だったから、高校生の私が生活を支えているようなものだった。 で、ある日、智恵美が言った。 「私、銭湯に行ったことがあるからわかるのよ。今がいちばん綺麗なの。二十歳になっちゃうと、もう駄目。体の形なんか崩れていっちゃうのよ。ね、だから、ヌード、撮っておこうよ、二人だけで」 どこで撮るか。 街外れのラブホで、ということになり、私が男装して入った。 智恵美のヌードは信じられないくらい美しかった。 智恵美も私を綺麗だと言ってくれた。 二人とも、一糸まとわない姿で、キャーキャー言いながら写真をとりあった。 冗談で抱き合い、キスもして、それも撮った。 それで終わり、のはずだった。 ところが翌日、放課後、美里が私のところに来て、写真を見せた。 ビデオを紙焼きしたらしいそれには、男装した私と智恵美が写っていた。 室内で、全裸の私と智恵美が写真を取り合う様子も。 抱き合って、キス…… 私は震え上がった。 「このホテル、私の家が経営してるのよ。昨日はたまたま私がフロントでね。ビックリしちゃった、あなたたちが入ってくるなんて。売れっ子モデルの二人の全裸写真、しかもレズ! 写真雑誌に高く売れるでしょうね」 そう言うと、美里はカエルのような口で舌なめずりした。 「智恵美ちゃんにはもう言ってる。あとでうちのホテルに来るのよ」 頭の芯が真っ白になり、脚が震えた。(続く)
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