□投稿者/ 那智 一般人(3回)-(2005/09/23(Fri) 00:42:27)
| 2005/09/23(Fri) 00:47:38 編集(投稿者)
きっかけは些細な事だった。
久しぶりに会った私の大好きな彼女は、まるで知らない人のようだった。 すらっとしたパンツに、可愛らしいブラウスを付けて、 あの頃は決してする事のなかったお洒落な髪形に、自然と映えるお化粧をして。 話す内容も、興味のある事も、何もかもがあの頃と違っていた。
「学校はどう?」 いつものお店でパスタを食べながら、柔らかい微笑を浮かべた彼女が問い掛けてくる。 「特に何もないです。もう直ぐ文化祭があるくらいかな・・・。ちぃちゃんはどうです?彼氏とか、出来ました?」 投げかけられた質問に、イマイチ気の効かない答えと、それから冗談混じりな質問を返す。 そしたら彼女は、頬を膨らませて『出来る訳ないでしょ!』と返してくれ、二人で苦笑する。 私が過去の記憶から、彼女から帰って来る答えは無意識にそんな風だとめついていた。
しかし予想は大きく外れて、彼女は困ったように笑って言った。 「彼氏はまだいなけど・・・今度デートするの」 嬉しそうに、頬を染めて。
私は途端に悲しくなった。 そして、心の中にモヤモヤとしたものが湧き上がってきた。 「・・・そうなんですか。良かったですね」 大好きな彼女のオメデタイ話に、とびきりの笑顔で祝福の言葉を述べる。 ・・・が、その顔は引きつっていて、声は酷く無機質なものとなった。 自分でも、その自覚があった。
それ以来私は酷く不機嫌だった。 彼女は色々話してくれたけれど、私はただ機械的に相槌を打つだけで。 別に悪気があってやっている訳ではなかったけれど、 私の中に沸き起こった残酷な気持ちが、私の心をどんどん壊していった。
そして、次第に会話はなくなっていった。
お別れの時。 私の中の残酷な気持ちは消えて、無性に悲しくなっていた。 彼女はもう新しい相手を見付けたのだ。 一緒に笑って、泣いて、ご飯を食べて、不安や悩みも全部共有出切る人を。
「私は・・・・・」
消え入りそうな声で切り出すと、彼女が困ったように私の顔を覗き込んでくる。
「イラナイですか?」
自分で言った言葉に、酷く傷付いたような気がした。 目の奥から、ポロポロと弱い涙が溢れてきて。
その時初めて自覚した。
友達としてじゃなくて。
「特別な好き」を彼女に対して持っているのだと。
そんな私に、彼女は今までに見せた事のないような怖い顔をした。 腕を強く引き、力に任せて私を何処かへ連れて行く。 突然の事に私は怖くなって、ただ引っ張られるままに付いて行った。
人気のない場所。 押し付けられた背中は冷たく、逃れられないようにしっかりと捕まれた手首はヒリヒリと痛んだ。 「ちぃちゃん・・・?」 震える声で名前を呼んでみたけれど、彼女は顔色一つ変えず、私の視線を捕らえた。 私は、蛇に睨まれたカエルのように動けなくなってしまった。
と、次の瞬間、唇に柔らかいものが触れる。 其れが彼女のものだと理解するのに、軽く30秒は掛かっただろう。 「・・・・っつ!」 慌てて離れようとするが、力が入らずどうする事も出来ない。 抗議しようと口を開けば、温かい物が口内へ忍び込んできた。 「ふぁ・・・やっ・・・」 絡め取られる舌に、唾液に、体の力はどんどん抜けていく。 厭らしい唾液の絡む水音と、自分のものとは思えない声が嫌に響いた。
「・・・ふ・・・ぁ・・・はぁ、はっ・・・あ・・・」 漸く離された唇は、空気を求めるように喘ぎ、火照った体は蕩けてその場に崩れ落ちた。 朦朧とする頭は、事を理解できずにグルグルと混乱を深めていく。 「・・・ちぃ・・・ちゃ・・・」 収まりきらず、口から零れ落ちた唾液を縫う事も忘れ、私は彼女を見上げた。
だが彼女は何も言わず、そのまま足早にその場を去って行った。 酷く傷付いた表情で、何か言いたげに私を一瞥して。
何カガ壊レル音ガシタ・・・・・
|
|