□投稿者/ sweet. 一般人(2回)-(2009/05/03(Sun) 00:24:02)
| 彼女・・・・・紺野瑠花は今日で20歳になった。 一人で過ごす、大人になった瞬間、1日。
両親はデザイナーの父親と、モデルをしている母親。 2人とも多忙で世界各国を飛び回り、最後に会ったのがいつか分からないほど会っていない。
かといって、電話やメールが届くわけでもなく。
・・・まあ、慣れているんだけどね、とぽつりと無意識に呟く。 淋しい思いはあるけど・・・2人とも自分に興味はないし、私もない。 お互い自分の人生を歩んでいるだけ、自分にふさわしい居場所にいるだけ・・・・。 何の問題も無い、と。
高校生のときから愛用している黒いパソコンの電源をいれ、自分が好きなアーティストのブログの更新状況を確かめる。
今日は1枚の写メ付き。本人と一緒に写っているのは、同じアーティストの友人らしい。同じくらい有名な人だ。 2人ともスタジオっぽい場所をバッグにVサインをし、笑っている。
瑠花は、いつ最後に笑ったのか、頭の片隅で記憶を探りながらメールボックスを開く。
つい3ヶ月前から、瑠花はサイトで出会った1人の人とメールを交換している。 瑠花が興味本位で覗いたレズ系サイトで見つけた人だ。
中性的な顔だしV系が入っているけど、面白いしさりげない優しさがあり、心の広い人だ。 もう既に2ヶ月前に写メは交換していたから、お互いの顔は分かる。 名前は空希・・・・HNっぽいけど、どうなんだろうか。
今日はつい3分前にメールが届いたようだ。
『おはよ・・・さっき起きたよー。朝嫌いだなあ。』
ついそのメールを読んで、クスと淡い微笑が浮かぶ。 ・・・誕生日の事教えてるけど触れないな・・・忘れてるんだ・・・・・・。
ちょっと悲しくなった自分に驚いた。 だって、今まで他人に興味が持てなかったから・・・初恋もまだだ。 自分でも冷めている人間だと思う。
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