□投稿者/ 綾瀬 一般人(2回)-(2009/05/13(Wed) 17:26:17)
| 2011/05/15(Sun) 01:21:31 編集(投稿者)
常連客や店子とお互いの仕事の話や恋愛話に花が咲き、気が付けば深夜1時を廻っていた。 「そろそろ行こうかな、お会計で」伊織はもう一人の店子であるナナに合図した。 ナナは勢いよく駆け寄った。「え〜!!行っちゃうんですか!?無理ですっもっと遊んでくださいよぉ」甲高い声で甘えたように言うナナも伊織のファンの一人だ。 「はい、はい。また来るからさ」いつも懐いてくるナナの肩をポンとたたいた。 頬を膨らませて渋々ナナは伝票を計算し始めた。 その時、お店の扉が開いた。 カウンターにいる客が扉の開いた音に反応して一斉に入り口に目をやった。 一気に視線が注がれている事に戸惑いながら、女性が一人入ってきた。 「あ、あの、一人なんですけどまだ営業されてますか?」 伊織も入り口に目をやった。 細身で肌の色は透き通るように白く、長い髪は栗色に艶めき、パッチリした瞳に小さな赤い唇。 少し離れていてもわかる程、愛らしいお人形の様な容姿。 「うちは朝までやってる店だから、どうぞ!どうぞ!」 ナナが笑顔で答えた。 初めてGARAGEにきた彼女は他の常連から一番遠いカウンター席の端にちょこんと座り、グラスシャンパンを注文した。 あまりの存在感を示す彼女に常連客の視線は釘づけになった。 伊織はようこに「もう少し飲んでいくわ」と耳打ちし、席を立った。 やっぱりね・・・完全に伊織のタイプだわ ようこはそう思いながら手をひらひらとした。 「こんばんわ。隣いい?」 「あっ、はい・・」 突然声をかけられ戸惑いながらも彼女は頷いた。 「伊織と言います。よろしくね。お名前聞いてもいいかな?」 「杏奈です。」 並んで話す二人に周りは惚れ惚れする程お似合いだった。
杏奈は見かけに寄らず結構なペースでお酒を飲んだ。2時間程たつと白い肌はピンクがかり、大きな瞳は潤んでいた。 「あの、もし良かったら今日これから家に来てくれませんか?最近ちょっと人恋しくて・・・」 伊織は驚いた。今まで何度となく女の子から誘いを受けているが、彼女は誘ってくるタイプに全然見えなかった。 お人形の様に可愛らしい杏奈に一目惚れした伊織は連絡先こそ聞きだそうとは思っていたものの、今日どうこうするつもりは全くなかった。 「うん、いいよ」伊織は驚きながらも承諾した。
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