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■6092 / 2階層)  愛され姫
□投稿者/ のあ 一般人(3回)-(2009/08/08(Sat) 20:54:00)
    少し離れて響の腕を見ると、白い新しい包帯が巻かれていた。これは響が巻いたものではなく、緑歌と同じ立場である寿が巻いたものらしい。
    多分鞭か何かを昨夜受けたのだろうが、防音対策が完璧なために何も聞こえない。
    しかし、そんな事は関係無いかのように怪我については触れなかった。




    2人してベッドに腰掛け、何度か笑いあうと2人で後ろに寝転んだ。
    そこからは白い天上しか見えないが、その天上の1部を指差して響が言った。




    「あそこの染み、私がここに来た時は無かったの。いつの間にできたのかな」




    響が来たのは、響が12歳の時。今から4年前の事だ。翡翠はその1年後に連れて来られた。
    その時には他に、確かーーーーミカサと梨絵という同い年くらいの少女がいたが、何故か途中で消えてしまった。
    響と翡翠が2人を見たのはただ1回ーーーー連れて来られたときに2人が並んでこちらを見ていた、昼間のその時だけだ。
    声も知らず、性格も何も知らない。今の彼女達と同じように伸びた黒髪と、黒い瞳が印象的な2人だった。
    もう、何もかも希望や未来は捨て、絶望と諦めを浮かべた顔で、哀れむような悲しそうな顔で見つめられた。




    「さあ・・・・・私のほうがもっと分からない」




    くすりと自傷気味に笑ってゆっくりと目を瞑った。暗闇が広がるが怖くなってすぐに目を開けた。
    右横をふと見ると、響と視線が絡み合ってまた笑った。笑顔でいられるのは今だけだ。




    「ねえ、響はここに来てから、1度も外へ出ようと思わないの?」


    「思わない、無理だから。出れたとしても、その先連れ戻されない保証は無い」


    「そう・・・・・・そっか」


    「翡翠は思う?もう3年くらいはいるでしょう?翡翠以来、誰も来ないし」


    「思わないよ。出るなら堂々と響と出たいな」


    「ありがとう、翡翠。私も翡翠と出たいよ」


    「ありがとう・・・・・・響」




    それからオレンジ色の光が窓から差すまで、2人で話して少し眠り、笑い合った。
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