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■6760 / 3階層)  見えない鎖 3
□投稿者/ ゆん 一般人(5回)-(2012/01/09(Mon) 22:57:30)



    6月になり、梅雨入りも
    近づいてきた頃、
    また歩の付き添いで
    部活が始まる前の
    音楽室に行った。



    そこで、忘れていた
    あの後輩を見つけた。
    やはりその子は
    なぜか皐月の視界に
    他の後輩よりもはっきり
    入ってくる子だった。
    皐月はやはり気になって
    その子をじっと見つめる。
    その子はぼうっとして
    気付いていないようだ。



    「あ、皐月!この子だよ、
     前に言ってた子!」



    突然、礼華が笑顔で
    その後輩の隣から
    皐月に話しかけてきた。
    後輩は一体何の話なのか
    当たり前なのだが
    分かっていないようだ。
    きょとんとしている。



    「・・・・その子?
     速水優ちゃんだっけ」


    「そう、中1の1だよー」


    「よく見たら可愛いな」



    そう、優は目立つような
    外見ではないのだが、
    ちゃんと見てみると、
    皐月的には可愛い部類に
    入る外見をしていた。



    礼華は戸惑う優の手を
    引き、皐月の前に来た。
    初めて優に近づいて、
    皐月は思った。



    「ちっさ」


    「さっきから何気失礼だよ」



    おどおどしている優は、
    身長が165cmある皐月より
    10cm以上は低いようだ。
    中学生になったばかり、
    というのもあるだろう。



    「初めましてー」



    皐月が微笑みを浮かべて
    挨拶をすると、
    優は小さな声で同じく
    初めまして、と
    返してきた。



    「小動物みたい・・・・
     なんかビビってるチワワとか」


    「そ、そんなことないです」



    思わず頭をポンポンと
    撫でてしまった皐月に、
    優は逆らいもせず、
    控えめな否定な言葉を
    やはり小さめの声で
    口にした。



    「あ、もうバスの時間だ、
     じゃあね」



    時計を見ると、
    バスが出発する時間の
    3分くらい前だった。



    (速水優って・・・・
    あの子のことだったんだ)



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