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■6993 / 親階層)  女神の島
□投稿者/ hime 一般人(17回)-(2012/12/28(Fri) 10:51:14)
     もしあの時引き返していれば、とか、もしあの時点で思いとどまっていれば、とかいう節目が人生にはいくつもあるものです。
     私の場合、最初の「もし」は中学入学式での恵里香との出会いでした。
     もし恵里香と席が隣になっていなかったら……
     絶対にこんなことにはならなかったでしょう。

     恵里香は私などとは違い、豪邸から運転手付きの車で送られてくるようなお嬢さんでした。
     しかも目の覚めるような美人です。
     私達はすぐに仲良くなりましたが、私の家に恵里香を呼ぶことは一度もありませんでした。
     学校の帰りに一緒に車で恵里香の豪邸に行き、そこからまた車で送ってもらっていたのです。
     最初のうちは二人の話題も他愛のないものでしたが、やはり年頃の女の子です。
     関心も話題もセックスに移っていきました。
    「オナニーってしたことある?」と恵里香に聞かれました。
    「ないよ。それって、男の子がすることじゃないの?」
    「違うわよ。女の子もするのよ」
    「うそ。恵里香は?」
    「しないけど……」
    「でしょ。そんなの変だよ」
    「でも、オナニーってセックスの練習でしょ。やっとかないと、濡れなくて本番ですごく痛いんだって。濡れないと麻酔無しの手術みたいなんだって」
    「ちょっと止めてよ、怖いじゃない」
    「怖いでしょ。だから、二人で練習しようよ」
    「何の?」
    「セックスの、よ。もちろん」
     思えばここが二度目の「もし」でした。
     もしここで恵里香の提案を一笑に付していたら……
     私はここにいなかったでしょう。

    「オナニーする前には手をきれいに洗いましょうって書いてあるよ」
     少女向けのちょっとエッチな雑誌の記事を恵里香は見せてくれました。
     私達は石けんできれいに手を洗い、ベッドに置いた雑誌を読みながら、パンティに手を入れました。
    「クリトリスって、わかった?」
    「わかんない。あ、これかなぁ」
    「私、まだわかんない。そんなのあるのかなぁ」
    「ええっと、クリトリスを柔らかに擦ってみましょう、だって」
    「もう見つけたの?」
    「わかんないけど……たぶん」
    「気持ちいい?」
    「全然。やっぱり違うのかなぁ」
    「ねえ、ちょっと触らせてもらっていい? 自分のだけじゃわからないし」
    「いいよ」
     そう言って、私は恵里香の手を受け入れたのです。
     おそらくここにも「もし」が隠れていたのでしょう。
     私達はオナニーを飛び越していきなりセックスの世界に足を踏み入れたのです。

     それからは「練習しよ」が私達の合い言葉になりました。
    「やっぱりムードも大切よね」
     などと、恋人同士のように抱き合い、キスをして、まだ膨らみきってはいない胸を揉みあって切ない声を上げ……
     いつのまにか私が男役になっていて、恵里香をベッドに押し倒すのでした。
     半年も「練習」を繰り返した私達は、もうこれだけで充分濡れてしまっています。
     互いの蜜壺で湿した指で敏感なボタンを柔らかく揉みしだくと、どうしても切ない声が出てしまうのでした。
     そして恵里香は私への愛撫を続けられなくなり、
    「ごめんなさい、して……」
     と両手を私に回し、キスしてくるのです。
     私は恵里香が逝くまで柔らかい愛撫を繰り返します。
     その頃の私達は、恵里香が一度逝けば終わりだと思っていましたから、「練習」時間も短く、他愛のないものでした。
     私は逝ったことさえありませんでした。
     恵里香が私の下で逝くのを感じるので充分だったのです。
     この関係が三年近く続き、私達は高等部に進みました。
     制服もブレザーに替わり、少し大人になった感じがしたものです。
     そんなある日、「練習」しながら恵里香が言ったのです。
    「ねえ、何か入れてみたい。だって、セックスってそういうものでしょ」
    「ダメだよ。処女膜が破れちゃうよ。処女膜は置いておかないと」
    「そうだよね。でも、もっと、犯されてるって感じも練習しておかないと」
    「お尻にでも入れてみる?」
     軽い冗談のつもりで私は言いました。
    「アナルセックスって言葉があるくらいだし。やってみようか」
     恵里香は四つん這いになり、お尻を差し出しました。
     もうそんなことは二人の間では平気になっていたのです。
     私はかねて用意していた避妊具を人差し指につけ、目的のそこに触れました。
     けれどそこは堅く締まっていて、とても外からのものを受け入れるようではありませんでした。
    「ダメだよ。入らないよ。力入りすぎてる。リラックスして。好きな子の名前でも呼んでみたら」
    「そうよね。●●くぅん……」
     と恵里香はその頃あこがれていた男の子の名前をつぶやきました。
     私も、
    「恵里香、大好きだよ。ここに入れさせてくれ」
     と男口調で言いました。
    「入れて、お願い」
    「いいんだな」
    「入れて。犯して。恵里香のアナルを犯して」
     堅いつぼみが少しほどけたような感じがして、意を決して指に力を入れると、第二関節まで一気に入りました。
     うぁぁ……と恵里香は動物のような声を上げてのけぞりました。
    「どうしたの? 痛いの?」
    「わかんない。どのくらい入ってる?」
    「第二関節まで。もっと入れる?」
     ここにも「もし」があったと思います。
     ここでもし引き返していれば……

     恵里香はすぐに指だけでは満足しなくなりました。
     次は避妊具に入れたビー玉です。
     これを、クリトリスを刺激しながら一つずつ押し込んで、二十個も入れたら今度は引き出すのです。
     一個出すたびに、恵里香は声をあげます。
     それは鶏のようだったり、オオカミのようだったり、とにかく人間の声ではありませんでした。
     このころには私もこの「練習」が面白くなってきて、次に入れるものを百均で探したりするようになりました。
     百均はそんな目で眺めるとちょっとしたパラダイスでした。
     恵里香がいちばん喜んだのは、何に使うのかわからないひょうたん型の金具でした。
     真ん中に穴が空いてるので、ひもで一列につなげ、お湯で人肌に温めて避妊具に入れ、まるでアナルバイブのようにして犯すのです。
     これを入れながら、
    「恵里香のアナル、良く締まってるね。大好きだよ」
     と男の口調でささやくと、恵里香はさらに動物のような声を上げたのでした。

     そうこうするうち、もう受験の季節になり、恵里香は地元の短大に、私は東京の大学に進んで、二年の間、一度も会うことはありませんでした。
     やはり、もう十八になり、それなりに大人になれば、あの「練習」の異常さに気付きます。
     なにしろ最後の一年間は、汚物がつくのがイヤだからと、私は恵里香に「練習」の前に浣腸を強いるのが常になっていました。
     嫌がる恵里香にイチジク浣腸を焦らしながら差し込み、最低でも五本は入れました。
     もちろん最後はトイレに行かせてあげましたが、きちんと十分間、クリトリスを刺激して何度も逝かせながら我慢させるのは、今考えれば浣腸プレイ以外のなんでもありません。
     そういう変態性に気付いてしまえば、「練習」は消え去るべき過去であり、忘れ去るべき記憶にほかなりません。
     卒業を良い機会に、私達は別れたのです。
     私は東京でボーイフレンドも出来て普通にセックスをして、淡い快楽も知りました。
     恵里香にどんな恐ろしいことが起こっているかもしらずに……

     恵里香に再び会ったのは成人式でした。
     今から思えばこれは恵里香の罠だったのですが、私は友人たちから大量にお酒を飲まされ、正体なく酔っ払ってしまい、恵里香の車に乗せて貰いました。
     そして気付けば……あそこにいたのでした。
     女神の島に。

     気付いたとき、まず見えたのは天井の見慣れない蛍光灯でした。
    「起きたわね」と声をかけられ、そちらを見れば、白衣の女性が立っていました。
     これがゆきちゃんとの出会いでした。
    「今日から三日間、あなたの世話をするわ。私のことはルカって呼んで」
    「ルカ?」
    「そう。ここではホーリーネームで呼び合うことが規則なの」
    「ここ?」
    「そう。女神の島よ」
     そう言ってルカことゆきちゃんはベッドを操作して私の上体を起こしました。
     気付くと私は両手両脚を拘束され、手には点滴を受け……
    「違和感あるわよね。尿道カテーテルもしてるから。酷く酔ってたからね」
    「私、アルコール中毒で……」
    「違うわよ。あなたは悪魔世界から救出されたの」
    「悪魔世界?」
    「そう。これからオリエンテーションとイニシエーションを行います」
     そう言って、ゆきちゃんは部屋から出て行きました。
     ヴン、と音がして、目の前のモニターに電源が入りました。
     ただの壁かと思っていたそれは、巨大なモニターでした。
    「悪魔世界の不都合な真実」
     という文字が浮かび……
     それから映し出された映像の数々は今でも脳裏に焼き付いています。
     ブレイン・ウオッシング、あるいは洗脳の始まりでした。
     女にとっての地獄があるなら、まさにこの映像がそうで、しかもこれはすべて事実を編集したものでした。
     身代金を払わない両親に送りつけた、誘拐した姉妹のうち一人をもう一人の前でレイプして残虐になぶり殺すビデオに始まり、そこに映し出される女はただ殺されるための存在でした。
    「今でも世界では、こうやって女が殺されている」
     悲しげなナレーションに私は本当に泣き、
    「彼女らのために祈りましょう」
     と言われれば本当に祈りました。
     このとき私は三日間飲まず食わず一睡もせず、この残虐ビデオを見せられたのでした。
     点滴には特殊な向精神剤が入れられていて、脳自体がおかしくなっていたのです。
     最後の方は、ごく普通のセックスビデオだったのに、もう、男そのものに嫌悪を催すようになっていて、そのような男に身体を許すこと自体、許せない行為のように思え、画面に向かって怒りの言葉を投げつけたほどでした。
     男は女を殺す。
     残虐に殺す。
     頭の中を男への嫌悪と、男に身体を許す女への怒りが渦巻いていました。
     長い長いビデオが終わり、ゆきちゃんが入って来たとき、私は号泣しました。
     ゆきちゃんは私の拘束を解くと、やさしく抱きしめてくれました。
    「大丈夫よ。ここにいれば殺されない。あなたは悪魔世界から救われたのよ」
     私は本当に、心からの涙を流しながら、ゆきちゃんに抱かれていたのです。
     そこ、女神の島がどれほど恐ろしい、おぞましい場所であるかも知らないまま……(レズビアン・エロティック・ホラーだよ。心臓の弱い人は読まないで)

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