SMビアンエッセイ♪

HOME HELP 新規作成 新着記事 ツリー表示 スレッド表示 トピック表示 発言ランク ファイル一覧 検索 過去ログ

■881 / 2階層)  蒼い月と君と僕 3
□投稿者/ 沙羅 一般人(4回)-(2004/10/24(Sun) 23:41:15)
    「何、飲んでる?あぁ、モカか・・。おいしい?何飲もうかなぁ・・」
    (なんか・・、ずっと前から知り合いみたいな雰囲気・・)
    注文に行った後姿を見つめて思った。

    戻ってくると、タバコを出して、いい?と言うような仕草をした。
    黙って頷いた。タバコは吸わないけど嫌ではなかった。
    ゆっくりとタバコに火をつける様子を見つめていた。

    煙の向こうの顔が笑っていた。一番印象に残っている気がする。

    何を話したか覚えていない。顔が高潮していた気がする。
    耳まで赤くなっているような気がして下を向いてしまった。

    「で?」と、よく顔を覗きこまれた。
    「これから、どうしようか?映画でも観る?」
    「・・・・」
    「う〜〜ん。食事には早いよなぁ・・」
    「・・・」
    「買い物でもする?」
    「・・・・・」
    「どうしたい?」

    改めて聞かれると何も思いつかない。

    ただ、この空間は緊張と心地よさが同居しているようで複雑な気持ちだった。

    逢えて嬉しかった。もっと、近くに感じたいとも思った。

    少しの沈黙の後、目を見ながら言われた。

    「どこか、ゆっくりできるところに行こうか」

    頷いたのか、下を向いたのかわからない。けれど、席を立っていた。
    一緒に駅の中を並んで歩いた。
    人にぶつかりそうになると、先に歩いて行く後姿に懸命について歩いた。

    彼女が人ごみの中に消えてなくなりそうな気がした。


    ヴァーチャルな世界に戻りそうな気がした。


    電車に乗ると、ドアの付近に立った。
    「今日は何時に起きたの?」
    「7時くらい・・」
    「そうなんだ。早いなぁ」
    「はい・・」
    「はいじゃなくて、うん、でいいよ」
    笑いながら話してくれた。緊張を解くようなやさしい声で。

    「昨夜、あんまり眠れなかったから・・」
    「なんで?緊張して?」
    「はい・・、あ・・うん」
    「緊張しなくていいのに・・。って言っても無理か」
    「うん。無理・・」
    「そっか」

    少し笑えた気がした。

    どこの駅に行くのか、どこに行くのか聞けなかった。
    黙ってついて行くしかない雰囲気だった。

    怖くはなかった。でも不安でいっぱいだった。

    自分自身に自問自答していた。
    (本当にいいの?これでいいの?)


    でも、それを自分も望んでいたのかもしれない。


    小さい駅に降りた。駅を出るとすぐにホテルがたくさん並んでいた。
    カップルが公園でも歩くように、歩いていた。
    少し歩いて、明るい感じのホテルの自動ドアを開けた。
    部屋の写真が並んでいた。空いている部屋を指差し言われた。
    「この部屋でいいかな」
    黙って頷いた。部屋の写真のボタンを押すとフロントから鍵が出てきた。
    「いらっしゃいませ。ごゆっくり」

    女の子同士で後ろめたい気がして、彼女の後ろに隠れてしまった。

    部屋に入ると、石鹸のようなお風呂のような独特の匂いがした。

    大きなベットをまともに見られなかった。
    いきなり、現実を突きつけられたような気がした。

    小さい黄色いソファがあり、さらに部屋を狭くしているようだった。
    ソファに並んで座った。TVのスイッチを付けていた。
    TVを見る余裕はない。ただ、黙って流れている画面を見ていた。

    画面を見ながら話しかけられた。

    「こんな所に来てまずかったかなぁ・・・」
    彼女は、自分自身に言っているような感じだった。
    自分と逢ったことを否定された気がした。

    「そんなことないです」と言ってしまった。


    「そう?」ふいに言った言葉に驚いているように顔を見つめられた。

    「ちょっと、買い物してくる。すぐに帰ってくるから待ってて」
    急に立ち上がり出て行ってしまった。
    あっけにとられていると、ベットの側の電話が鳴った。
    慌てて出ると、フロントからだった。
    「お連れ様が出かけられたようですが」
    「あ、はい。頭が痛くて薬を買いに・・・」
    「あぁ。そうですか。わかりました。」
    咄嗟に言えた嘘だった。こんなホテルは色々あるんだろうなと思った。
    電話を切った後、私ってすごい・・。と思ってしまった。

    10分位で彼女が帰ってきた。コンビニの袋を持っていた。

    「ごめん、急に」息が荒いような感じだった。

    急いで帰ってきたのかなぁと顔を見ていると、頬を触られた。
    「ごめんね」
    手の暖かさを感じた。首を横に振った。

    胸の高鳴りと恥ずかしさで言葉がでなかった。

    ゆっくり顔が近づいてきて、やさしいキスをされた。

    抱きしめられた。肩に手を回して答えた。


    肩越しに、コンビニの袋からロープを見てしまった。



    目を硬く閉じて、強く抱きしめ返した。

記事引用 削除キー/

前の記事(元になった記事) 次の記事(この記事の返信)
←蒼い月と君と僕 2 /沙羅 →蒼い月と君と僕 4 /沙羅
 
上記関連ツリー

Nomal 蒼い月と君と僕 / 沙羅 (04/10/19(Tue) 18:34) #867
Nomal こんばんは♪ / 海斗 (04/10/19(Tue) 23:08) #868
Nomal 蒼い月と君と僕 2 / 沙羅 (04/10/21(Thu) 00:07) #870
│├Nomal 初めまして☆ / sei (04/10/22(Fri) 06:57) #871
│└Nomal 蒼い月と君と僕 3 / 沙羅 (04/10/24(Sun) 23:41) #881 ←Now
│  └Nomal 蒼い月と君と僕 4 / 沙羅 (04/10/31(Sun) 10:14) #948
│    └Nomal 蒼い月と君と僕 5 / 沙羅 (04/11/08(Mon) 00:40) #1020
│      └Nomal 蒼い月と君と僕 6 / 沙羅 (04/11/18(Thu) 02:16) #1039
│        └Nomal 蒼い月と君と僕 7 / 沙羅 (04/11/23(Tue) 15:33) #1070
│          └Nomal 蒼い月と君と僕 8 / 沙羅 (05/01/06(Thu) 23:25) #1345 完結!
Nomal 感想です♪ / キョウ (04/10/28(Thu) 04:52) #904
│├Nomal もしかして… / 藍香 (04/10/29(Fri) 02:21) #919
││└Nomal ありがとうございます。さっそく新しいエッセイですが・・・ / 沙羅 (04/10/31(Sun) 10:39) #950
││  ├Nomal Mのコの気持ち / ひかる (04/10/31(Sun) 13:45) #951
││  │└Nomal Mのコの気持ちって・・・・ / 沙羅 (04/10/31(Sun) 17:03) #952
││  │  ├Nomal 意味不明でスミマセン / ひかる (04/11/02(Tue) 22:36) #987
││  │  └Nomal 沙羅さん初めまして。 Mの子の気持ちですか? / 有希 (04/11/01(Mon) 01:46) #953
││  └Nomal 感想&Mの子の気持ち / ゆう (04/11/16(Tue) 00:25) #1031
│└Nomal また会えてよかった。 / あき (04/11/12(Fri) 22:52) #1030
Nomal NO TITLE / 匿名 (04/11/16(Tue) 17:40) #1032
Nomal 凄く… / A (04/12/27(Mon) 07:49) #1289

All 上記ツリーを一括表示 / 上記ツリーをトピック表示
 
上記の記事へ返信

Mode/  Pass/

HOME HELP 新規作成 新着記事 ツリー表示 スレッド表示 トピック表示 発言ランク ファイル一覧 検索 過去ログ

- Child Tree -