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■7467
/ 親記事)
裏切りのエチカ1
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□投稿者/ hime
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ファミリー(186回)-(2013/12/25(Wed) 08:59:20)
私たちには名前もない。
家族もない。
戸籍もない。
いつ殺されて山奥に捨てられても、誰も探さないし、犯人も捕まらない。
だから仲間内の結束は絶対だ。
裏切りは即、死を意味する。
「楽に殺してもらえると思うなよ、あたしらそんなに優しくないからね」
警察で仲間の名前や住所をバラした、通称アキナが仲間に拘束されたとき、その当時ボスだった通称アヤメは言った。
アキナは全裸で土下座しながら、あまりの恐ろしさに失禁した。
「さあ、どうしようか。中国マフィアに売り飛ばすか。連中はこわいよ。こないだの、えーと、何つったかな」
「キヨミ、です」とナンバー2のイクミが言った。
「そうそう、キヨミなんか、最初は普通にマワされて、次はケツの穴でマワされて、最後はヘソのすぐ下に人工のマ●コを開けられて、そこを寄ってたかって犯されたんだってよ。それでも三日間は生きてたんだって。チャイナマフィアは恐ろしいわ」
「……許してください、何でもしますからぁ……」と土下座したままアキナは泣いた。
自分で掘った穴の中で、後ろ手に縛られた全裸が怪しく揺れた。
林道から車を下りて山に入り、一時間も全裸で歩かされ、身体は血まみれになっていた。
そして自分を埋める穴を掘らされ、後ろ手に縛られ、穴に放り込まれ、あとは埋められて死を待つばかりだった。
「まあ、男たちを喜ばせるのも癪だからね。かといってただ殺すのはもったいない。こんな奴でも生まれてきた意味ってものがあるだろ。お前をこの森の虫たちに捧げるよ」
私たちは焼酎で溶いた蜂蜜をバケツ一杯、アキナの頭からぶっかけた。
「運が良ければ助かるだろ。夏だしね」
一週間後、私たちは再びそこに立った。
アヤメとイクミ以外、みんな吐いた。
私たちは吐きながら、気持ち悪い虫の巣と化したアキナを埋めた。
腐肉の異臭は耐えがたく、シャワーを浴びたくらいでは落ちなかった。
生きながら虫に食われて死ぬなんて……
裏切りは絶対に、絶対に許されない。
仲間のみんなと同じように、私も心に刻んだ。
はずだった。
なのに、まさか、この私が……(続くよ。今回はハードだから。心臓の弱い人は読まないで)
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■7468
/ ResNo.1)
裏切りのエチカ2
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□投稿者/ hime
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ファミリー(187回)-(2013/12/25(Wed) 10:47:40)
私たちの仕事というか、なんというかは、パンパン御用達の高級宝飾店での万引きだった。
仲間同士の連係プレイで、あっという間にブツを店外に運び去る。
絶対にその場ではバレない。
被害届が出されたときにはすでにチャイナマフィアを通じて海外に出ている。
完璧な仕事、のはずだった。
どこでどうバレたのかわからない。
アヤメと二人で歩いていたら、いきなり街中で男たちに囲まれ、手帳だの礼状だのを見せられて、
「私ら漢字読めないし」ってシラバックレてたのに、
「いいからいいから」って車に押し込められ、逮捕。
アヤメは全部ゲロった、だからお前もお前の知ってることを全部話せ、それをアヤメの言ってることと付き合わせて一致するなら、本当だろうから、ご褒美にお前だけはすぐに帰してやる。
こんな話を信じた私もバカだった。
けど、実際、アヤメがゲロった内容ってことで聞かされた話は事実だったし、基本、もう捜査は終わっていて、私らの逮捕はただの確認だったんだろうね。
だったら誰でもよかったんだろうし、なんで私なの。
たまたまアヤメといたからなんだろうな。
運が悪いよ。
懲役二年食らって出てきたとて、まだまだ街は焼け野原。
まともな仕事なんてあるわけない。
仕方ない、食うために身体でも売るかな、と安宿に泊まっていたら、どこでかぎつけたのかイクミがやってきた。
「アンタが裏切ったの?」
「とんでもないわ。アヤメよ」
「アヤメは裏切れないわ」
「なんで?」
「取り調べの前に死んだからよ」
「なんですって!」
「隠し持ってたナイフで喉をついたの」
「知らない、私は何も!」
「私たちみたいなのが死のうがどうしようが、警察はかまっちゃいないわ。私たちみたいな戦災孤児の浮浪者のガキが何人どこで死のうが、知ったこっちゃないのよ」
「アヤメが……」
「だからアンタが裏切ったとしか考えられない。さ、来てもらうわよ」
立ち上がって逃げようとしたら、外にはイクミの手下が待っていて、私は寄ってたかって押さえつけられた。
猿ぐつわを噛まされて、縛られ、トラックの荷台に載せられた。
「みんな恨み骨髄なんだ。すぐに殺してもらえるとは思うなよ」
荷台から眺める東京の空はどこまでも青く広がっていた。
闇市を抜け、トラックは田舎町へと入っていった。
まさか、虫に食わす?
私はアキナの最期を想像してゾッとした。
「それだけはやめて、それだけはやめて!」
叫んだが声にはならなかった。(続くよ)
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■7469
/ ResNo.2)
裏切りのエチカ3
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□投稿者/ hime
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ファミリー(188回)-(2013/12/25(Wed) 13:25:57)
ついたのは温泉町の瀟洒な洋館だった。
私は荷台から下ろされ、MPに引き渡された。
「私ら目をつけられてるからね、派手な殺しなんか出来ないんだ。残念だけど、MPの変態共にアンタの始末は任せた。毛唐になぶり殺されるんだな」
イクミはMPから金を受け取っていた。
私は文字通り売られたのだ。
でも、正直、助かった、と思った。
少なくとも虫に食われて死ぬよりはましだろう。
私は縛めを解かれ、トボトボと、通訳の日系人に連れられて部屋へと案内された。
明らかに堅気ではない女達が、私をジロジロと眺めていた。
ああ私もパンパンになるのだ、と思った。
身体を売る覚悟は出来ている。
まだ処女だけど。
通訳のシロシタさんに連れられて入った部屋は思ったより広く、大きな鏡台とダブルのベッドが置かれてあった。
「ここは奥様の部屋です」
そうだろう、まさか、ここが私の部屋のはずがない。
「ここで奥様のお世話をするのが、あなたの仕事になります」
「それだけ?」
「はい。それだけです」
シロシタさんは意味深な笑みを作った。
「すぐに温泉に入って着替えて下さい。食事をすませたら、すぐにお仕事です」
お仕事、はあ、という感じだった。
何もかも別世界で、キョトンとするほかなかった。(続くよ)
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■7470
/ ResNo.3)
裏切りのエチカ4
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□投稿者/ hime
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ファミリー(189回)-(2013/12/25(Wed) 13:44:49)
食事は、もう、戦争前にも食べたことがないような、豪華なものだった。
そしてネグリジェという真っ赤な寝間着も、見たことがない美しさだった。
私は鏡台の前に立ち、うっとりと自分を眺めた。
綺麗……
こんなに自分が綺麗だとは思ってもみなかった。
「オー、ワンダフル」と声がした。
絵に描いたような白人女性だった。
それも若い。
「テイクイッ」と自分も吸ったパイプを薦めてくる。
タバコは嫌いだけど、仕方ない。
軽く吸うと、ハンパじゃない目眩がした。
これはタバコじゃない!
フラフラと倒れ込むと、そのまま奥様が私に覆い被さってきた。
抱きしめられ、唇が重ねられ……
何これ?
ダメ、ダメ、男ならともかく、女なんて、心の準備が……
「アイラブユーソーマッチ」
ネグリジェが脱がされ、丸裸になる。
奥さんも裸になる。
そんな!
そんな汚れた場所を触るなんて!
あ!
何、この感覚?
胸も揉まれる。
声が出る。
「ソーセンシティブ、グレイッ」
あああ、指が、指が、どうして、どうして!
奥様の頭が私のそこに埋まる。
サラサラの金髪が内ももにあたり……
舐めてる?
まさか、私のそこを舐めてる?
ダメダメダメ、絶対ダメ!
逃げようとしてものすごい力で止められる。
触れられ、ネットリと吸われ、敏感な部分が転がされ、声が出る!
ワケがわからない、これがもしかしたら「ヨガル」ってこと?
私、ヨガッてるの?
恥ずかしい、そんな、私がヨガルなんて!
でももう、ヨガリ狂うしかない感覚だ。
私は自分からそこを奥様の口に押しつけ、腰まで使った。
言葉は通じなくても、奥様の求めていることはなんとなくわかった。
私はよがりつつ激しく麻痺した。
「エクスタシー」と奥様は言った。
私はその夜、数え切れないほど「エクスタシー」に落ちた。
初めてなのにそんなことになったのは、あのパイプに秘密があった。
それは非合法の麻薬だった。
洋館は秘密のアヘン窟だったのだ。
もちろんアヘンではなく、他の薬物が使われていたのだったけど。(続くよ)
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■7471
/ ResNo.4)
裏切りのエチカ5
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□投稿者/ hime
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ファミリー(190回)-(2013/12/25(Wed) 14:01:27)
奥様だけではない、何人もの白人女性がやってくるようになった。
私は最初は抵抗があったけど、だんだんと自分からも触れることが出来るようになり、ついには舐めた。
白人女性特有の激しいワキガにも慣れ、むしろこのお仕事を楽しむようにさえなっていた。
そんなある日、シロシタさんが、
「今日はパーティですから」と意味深な目をして言った。
約束の時間に会場に下りていくと、いきなり女性のMPに両脇を拘束された。
奥様やそのほかの女性達が拍手で私を迎えた。
MPは私の服を一枚ずつ脱がしていった。
こういう日が来ることはなんとなくわかっていた。
けど、まあ、殺されはすまい、と思っていた。
恥辱か、苦痛か、そのどちらもか。
とにかく耐えればいいのだ。
戦争で死ぬことに比べれば。
私は会場の真ん中に設営された拘束台に、両手をYの字に広げる形で縛り付けられた。
もう身体のどこも隠せない。
奥様が遊びに使う例の男根を持って来た。
まさか!
そういう趣旨のパーティ?
確かにこれまで誰も、私にそういうことをしては来なかった。
みんなで私を女にするってこと?
「リラーックス、リラーックス」
何人もの女の唇が私の身体を這い回り、もちろんそこにも誰かの舌があった。
何度かの「エクスタシー」に堕とされ、もう頭も朦朧となったところで、いきなり拍手が起きた。
そこに何か違和感があり、奥様は、
「ユーアーントヴァージン」と言い、血に染まったそれを皆に見せたのだった。(続くよ)
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■7472
/ ResNo.5)
裏切りのエチカ6
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□投稿者/ hime
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ファミリー(191回)-(2013/12/25(Wed) 14:11:55)
薬のせいもあって、私は次第にその館の遊びにのめり込んで行った。
女達は皆鞭打ちを好んだ。
革で作った一本鞭を、もちろん手加減してお尻に振り下ろしてやると、泣きながら、おそらく日本語での「もっと、もっと」と言いながら悦ぶのだった。
もちろんその後ではいつもよりも激しく愛し合うのだけれど。
ある日、奥様が片言の日本語で、
「私も、打ってみたい」
私はベッドに横になった。
鞭が振り下ろされた。
お尻に当たり、痛みが走った。
けれど、耐えられないほどじゃない。
むしろ、この惨めさにあそこがジュンとなる。
「もっと」と言ってみた。
胸がキュンとなって、お尻が鞭を求めた。
「もっと、して。もっとお仕置きして」
私は自分に酔って、泣いた。
鞭を受けながら、その惨めさを味わった。
「もっと、もっと、虐めて、お仕置きして」
これだったのだ、と初めて判った。
私もまた、鞭を求める女になったのだった。
私は泣きながら奥様のキスを受けた。(続くよ)
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■7473
/ ResNo.6)
裏切りのエチカ7
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□投稿者/ hime
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ファミリー(192回)-(2013/12/25(Wed) 14:24:01)
崩壊はいきなりやってきた。
薬物の取り締まりが厳しくなり、館の運営そのものが不可能になった。
女達は、奥様ももちろんどこかに消え、私もシロシタさんからけっこうな額のお金を貰って「どこへでも行きなさい」といわれた。
仕方なく街の温泉宿に泊まっていると、三日目に、来た。
私は山奥の穴に転がされ、焼酎で溶いた蜂蜜をぶっかけられ、身体中を虫にたかられているのだった。
いちばん辛いのは、あそこと肛門から毛虫やミミズやクモやゲジゲジが身体の中に入ってきて皮膚の下を這い回ることだった。
私が身体中を掻きむしると、その虫たちは血と一緒に這い出てきた。
あまりのグロテスクに失神しそうになりながら、私は畳を血だらけにして転げ回った。
あまりに続く虫の攻撃に、これは麻薬の禁断症状だと気付き、こっそりとって置いたものを吸うと、やっともとに戻ることが出来た。
そうか、と気付いた。
この薬で、あの洋館とイクミたちとは繋がっていたのだ。
薬はもうほんの少ししかない。
イクミを探さなければ。
イクミを探して薬を貰わなければ、再び禁断症状が!
私は東京に戻り、イクミを探した。(続くよ)
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■7474
/ ResNo.7)
裏切りのエチカ8
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□投稿者/ hime
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ファミリー(193回)-(2013/12/25(Wed) 14:34:03)
車の中で全裸に剥かれ、下ろされた私は山道をそのまま歩かされた。
「バカな女だよ、戻ってくるなんて」とイクミは言った。
「お前の望み通り、虫に食わしてやるよ」
私は東京に戻り、イクミを探して右往左往するうち、禁断症状に何度も見舞われ、そして立ち直った。
立ち直って働いていたレストランに、ある日、イクミがやってきた。
「あんた、私を探してるんだってな」
「違う、もう違う」
「お前が生きてることがどうしても許せないって連中が何人もいるんだよ。落とし前つけて貰おう」
そうして私は車に押し込まれたのだった……
冷たい蜂蜜が髪を濡らした。
「一週間経ったら迎えに来てやるよ。運が良ければ生きてるだろ」
イクミ達は笑いながら去って行った。
足下に、何か、動く気配があった。
私は叫んで叫んで叫んだ。(続くよ)
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■7475
/ ResNo.8)
裏切りのエチカ9
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□投稿者/ hime
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ファミリー(194回)-(2013/12/25(Wed) 14:43:34)
「ここだ、ここだ、ここにいるぞ」
それが森で最後に聞いた声だった。
イクミらの不穏な動きに気付いた警察はきちんと動いていたのだった。
ただし、冬だったこともあり、私は凍死寸前だった。
イクミの仲間は一斉に摘発され、私は警察病院に保護された。
「もう安心して良いわよ」と看護婦さんは言った。
「あなたを誘拐した連中、みんな死刑になるだろうって」
「そうですか」
「山の中にいくつも死体が見つかって」
私もそうなるところだったのだ。
「これから日本は新しく生まれ変わるのよ。女性だって自分で自分の生き方を切り開いて行くの。あなたはもう一度、生まれ変わるのよ」
私は看護婦さんの手を握って泣いた。
「今日はクリスマスよ」と看護婦さんは言って優しく笑った。(終わり。これが今年最後のお話だよ。皆様に良いお年を。そして来年もよろしくね)
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■7476
/ ResNo.9)
メリークリスマス☆
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□投稿者/ 美咲
付き人(53回)-(2013/12/26(Thu) 00:28:55)
すごいハードな話でしたが、最後は綺麗で良かったです!
読んでいるうちに、濡れて……いろいろあって恥ずかしいですがね(苦笑)
また、来年も楽しみにしています!
良いお年をお迎え下さい!
(携帯)
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■No7474に返信(himeさんの記事) > 車の中で全裸に剥かれ、下ろされた私は山道をそのまま歩かされた。 > 「バカな女だよ、戻ってくるなんて」とイクミは言った。 > 「お前の望み通り、虫に食わしてやるよ」 > 私は東京に戻り、イクミを探して右往左往するうち、禁断症状に何度も見舞われ、そして立ち直った。 > 立ち直って働いていたレストランに、ある日、イクミがやってきた。 > 「あんた、私を探してるんだってな」 > 「違う、もう違う」 > 「お前が生きてることがどうしても許せないって連中が何人もいるんだよ。落とし前つけて貰おう」 > そうして私は車に押し込まれたのだった…… > 冷たい蜂蜜が髪を濡らした。 > 「一週間経ったら迎えに来てやるよ。運が良ければ生きてるだろ」 > イクミ達は笑いながら去って行った。 > 足下に、何か、動く気配があった。 > 私は叫んで叫んで叫んだ。(続くよ) >
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