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■7282 / 親記事)  メタモルフォーゼ
  
□投稿者/ hime 付き人(92回)-(2013/10/03(Thu) 08:38:24)
    「変化、って意味なの」
     店の名の由来を聞かれるたびに、辻本利美はそう答えることにしていた。
     実際には少し違う。
     ドイツ語の「メタモルフォーゼ」は「変化」の他に「変態」という意味がある。
     この「変態」は昆虫が幼虫から成虫へと成長することを指す言葉で、サナギを経るものは完全変態、そうでないものは不完全変態と呼ばれる。
     経営するバーの名前に『メタモルフォーゼ』を選んだのは、「変化」していきたいという意味の他に、辻本利美自身の性癖が「変態」と呼ぶほかはないことにも由来していた。
     利美は若い女の子に性的に虐められることを何よりも好んだ。
     と言っても、現実にそんな女の子が現れるわけもなく、妄想の世界でだけの話ではあるのだが。
     男に抱かれるときも、頭の中でのそれは美少女が身につけたペニバンだった。
     ただ、雰囲気からも滲み出る「女好き」のオーラは次第に利美から男を遠ざけ、『メタモルフォーゼ』、略して『メモゼ』は女ばかりの店になった。
     そこにある夜、利美にとっての運命の女が現れた。
     紫のワンピースに淡い金色の髪を流しつつ、立ったままジンをストレートで注文し、カウンターに座ると声も立てずに涙をスウッとほおに流した。
     そしてストレートのジンを三杯、一気に流し込み、立ち上がると、隣に座っていた女同士のカップルの一人の胸ぐらを掴んで、その頬を平手打ちした。
     店の雰囲気は凍り付いた。
    「ごめんなさい」
     謝ったのは打たれた女だった。
    「ここは払っておいて」
     そう言ってその女は『メモゼ』を後にした。
     打たれた女はカウンターに突っ伏して号泣し続けた。(新しい話だよ。感想待ってるね)
     
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■7285 / ResNo.1)  NO TITLE
□投稿者/ 美咲 一般人(16回)-(2013/10/04(Fri) 00:22:54)
    早いですね!早速新作なんて(笑)
    でも待っていました!!

    でも、知らなかった!メタモルフォーゼが、そんな意味だったなんて!
    私も変態ですが…(苦笑)
    続き楽しみにしています!

    (携帯)
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■7286 / ResNo.2)  メタモルフォーゼ2
□投稿者/ hime 付き人(93回)-(2013/10/04(Fri) 08:29:01)
     打たれた女は美咲といって、メモゼの常連だった。
     あまり良い噂は聞いたことがない、どちらかと言えば尻軽な女だった。
     あるとき、美咲と一夜を共にしたという女が、利美にこっそりと耳打ちして、
    「あの子はやめた方が良いわ。変態よ」
    「変態?」
     利美は心の中でゾクッとしながら、平静を装って聞いた。
    「お尻を舐めようとするの」
    「お尻?」
    「アナルよ、アナル」
     利美のゾクッはドキドキにかわった。
    「最初、間違えたのかと思ったの。でも、あんまりしつこいから、「そこ違う」って思わず言っちゃったの。そしたら「大丈夫、ここも開発してあげるから」って。私、思わず突き飛ばしちゃったわよ。で、私が「ごめん」って謝ったら、その口でキスしようとするの。もう一度突き飛ばして、それでおしまい。ホントに、どうかしてるわ、あの子」
     その美咲が今、カウンターに突っ伏して泣いている。
     正体なく酔わせて部屋にお持ち帰りしたら……
     利美の胸は怪しく高鳴った。(続くよ。感想待ってるね)
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■7287 / ResNo.3)  himeさん
□投稿者/ 美咲 一般人(17回)-(2013/10/04(Fri) 14:36:29)
    面白いですね!
    私を酔わせて持って帰って虐めて鳴かせてください!!

    (携帯)
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■7288 / ResNo.4)  メタモルフォーゼ3
□投稿者/ hime 付き人(94回)-(2013/10/06(Sun) 11:31:26)
    「泣いてたって仕方ないじゃない」
     美咲と一緒に来ていた女の子が冷たく言った。
    「ホントに好きなら追いかけたら? あのゲージュツ家を」
     芸術家、という言い方に明らかな悪意がこもっていた。
    「女の下半身こそ、神の作った最高の芸術作品って言ってたわよね」
    「だから、私、モデルかと思ったの」と美咲は泣き崩れた顔で言った。
    「モデルじゃないの?」
    「モデルなら、私、こんなに泣いたりしない。直接見られるのはあの人だけだから」
    「モデルじゃないって? だったら、何?」
    「展示物そのものになれって……」
    「展示物?」
    「そうよ。あそこを丸出しにして、台の上に……」
    「裸で、ってこと?」
    「服は着ていても良いの。ただ、脚を開いて、あそこだけ丸出しで……」
    「何? まさか、それがあのゲージュツ家の作品なの?」
    「ニューヨークで認められたんだって」
    「それはちょっと……」
    「でしょ」
    「でも、なんでアンタなの?」
    「私のあそこは芸術的に美しいんだって」
    「はぁ?」
    「すごく均整がとれてて……」
     利美はもう正気で聞いてはいられなかった。
     展示物になる!
     晒し者になる!
     想像しただけで、もう立っていられないほど感じてしまうのだった。(続くよ。感想待ってるね)

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■7289 / ResNo.5)  NO TITLE
□投稿者/ 美咲 一般人(18回)-(2013/10/07(Mon) 00:27:05)
    言い回しに感じてしまいます!

    続き楽しみにしています!

    (携帯)
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■7290 / ResNo.6)  メタモルフォーゼ4
□投稿者/ hime 付き人(95回)-(2013/10/07(Mon) 09:26:49)
    「どこに展示するの?」と利美は話に割って入った。
    「そうでしょ、ママ、絶対無理よね」と美咲のツレは言った。「わいせつ物何とか罪になっちゃうよ」
    「一般公開じゃなくて、女性だけの、それも会員しか入れないギャラリーでやるんだって」
    「そんなギャラリーあるの?」
    「探してるんだって」
    「だったら」と利美は胸の高鳴りを押さえて言った。「ここでやったら?」
    「ここで?」
     美咲とツレは声を合わせた。
    「いやだぁ」と美咲は言った。「なんだか、もう、やる方向に話が進んでっちゃってる。私はイヤよ、そんなの。どこでやろうと」
    「でも私見てみたい、ゲージュツ家が感動するような均整のとれたあそこ」
    「さっき見なかったの?」
    「お布団の中じゃん。見えるわけないわ。味はしっかり覚えたけど」
     女の子達の放縦な会話に、利美はもうついて行けなかった。
     その放縦の輪に自分も入って行けたら……どれほど……
     けれど、すべては妄想に終わるのだった。
     これまでは……(続くよ。感想待ってるね)

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■7291 / ResNo.7)  メタモルフォーゼ5
□投稿者/ hime 付き人(96回)-(2013/10/08(Tue) 08:22:39)
    「私も……」と利美は一歩を踏み出した。「見てみたいな、そんなに綺麗なものなら」
    「やだぁ、ママ」と美咲は笑った。「そんな、ママなんか、見飽きちゃってるでしょ」
    「そんなことないよ。実は私、女の子のそこ、見たことないの」
     これは事実だった。
     え? という感じで、美咲とツレとは顔を見合わせた。
    「ママって、ストレート?」
    「ストレートじゃないと思うんだけど、経験は、実は男性としかないの」
    「女の子とのエッチは……」
    「実は一度も……」
    「それはもったいないわ」と急に上から目線で美咲が言った。
    「うん。もったいない」とツレも同調した。
    「ねえ、これからマリナのスタジオに行かない?」
    「え? ゲージュツ家の?」
    「今晩からニューヨークのはずだから、空いてるはずよ」
    「でも、鍵くらい……」
    「大丈夫、私、留守を任されてるの。鍵も持ってる。あそこ、色々あるから楽しめるよ〜ねえ、ママ、店がはけたら一緒に遊ぼうよ」
     脳の芯が痺れそうな興奮に、利美は、
    「そ、そうね。そうしようか」と答えるのがやっとだった。
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■7299 / ResNo.8)  NO TITLE
□投稿者/ 美咲 一般人(19回)-(2013/10/08(Tue) 22:42:58)
    この後どんな風に楽しんで遊ぶのか楽しみです!
    ドキドキしちゃいますよ( ´艸`)

    (携帯)
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■7307 / ResNo.9)  メタモルフォーゼ6
□投稿者/ hime 付き人(97回)-(2013/10/10(Thu) 08:44:23)
     芸術家はアメリカ人とのハーフで永瀬マリナといった。
     一目見たら忘れられない美形で、その容姿は利美の目にも焼き付いていた。
     それにしても……
     このアトリエの異貌は……
    「これがゲージュツなんだから、聞いて呆れるわ」
     と美咲のツレ、江崎キラは言った。
     利美もその手の本を読みあさったことがあったが、現物を見るのは初めてだった。
    「これ、『鉄の処女』だったよね」
     イラストや写真では見たことのある、鉄で出来た人形のような拷問具だった。
     人形は縦に二つに割れ、中に人間を入れ、閉じると、内側に無数に生えた釘が全身を貫くという恐ろしい拷問具だ。
    「でも、良く出来てるよね。ここの血の跡なんか、本物みたい」
     え?
     と、利美は思った。
    「これ、本物じゃないの?」
    「違いますよ」と美咲は笑った。「全部複製です。複製というか、マリナのでっち上げというか、妄想というか、作品ですよ」
    「これ、全部?」
    「全部」
     ハリツケや木馬や壁を飾る貞操帯や、怪しげな人工ペニスや巨大な浣腸器も……
    「全部、ゲージュツ家の妄想ですよ。で、美咲はどれに架けられて展示されそうになったの?」
    「これこれ」と美咲は産婦人科の例の検診台のようなオブジェを指した。
     普通の検診台の脚の間に鏡が取り付けてある。
    「この鏡は拡大鏡で、あそこが顔の大きさくらいに大写しになるのよ。いくら自分のものだからって、正直、イヤになるよ」
    「やってみてよ。座ってみて」
    「イヤよ。私だけ何て。そうだ、じゃんけんで決めない? 負けた人がパンティ脱いでここに座るの」
    「いいかも。それで、その子が今日のオモチャになるのよ」
     勝手に決めないで! という言葉を利美は生唾と共に飲み込んだ。
     ジャンケンポン!
     美咲とキラはチョキ、利美はパーだった。
    「さ、ママ、脱いで、ここに座って」
     利美の頭の中は真っ白になった。(続くよ。感想待ってるね)
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