| 部屋に入り、手首を持って脈を取った清水さんは
小さく息をついて 私の方を振り返り
『大丈夫よ。
今は落ち着いて寝とるだけみたいやけん心配せんでよかよ。』
そう告げた後 念の為に血圧を測り、正常を確認すると 部屋を出て行った。
良かった……
胸を撫で下ろしたはずなのに まだ頭に心臓があるかの様にバクバクいっている。
私はまなみに近付き ベットに腰掛けて
そっと一回頭を撫でた
手が震えている
心も同じように震えている
私が猶予だと思っている【半年】なんてものは、あってないようなもので
冷静に考えれば
人間は皆 明日を迎えられる保証なんてないのに
少なくとも どこかであと半年は…なんて想いに固執して
今2人が置かれている状況を受け入れる事を拒んでいたんやろう。
それと同時に
病気になってからの数年間 ずっと一人で色んな葛藤と闘い続け
毎日…また一つ新しい朝を迎えられた喜びをかみ締めて生きてきたまなみを
私を必要だと言ってくれるまなみを
愛してくれるまなみを
今、この時を一緒に生きてくれているまなみを
本当の意味で支える事なんて、きっとできていなかったんだろう。
「ありがとう。」
顔を近付けて 唇が触れ合う寸前
まなみの息が私の顔にかかる
「……ありがとう、先輩。」
目は開けたまま
私達は重なる
唇から伝わる温度
柔らかい感触
甘い匂い
静かな息の音
あなた独特の味
五感全てがまなみで埋め尽されていく幸せ
『……ん…っ。』
うっすらと目を開いたまなみが
更にまたその目を細めて微笑んだ後
もう一度閉じる
唇を離すと
『もう終わり?』
大人びた声が聞こえたかと思うと
体の奥まで熱くなるキス
『私…どんぐらい寝とった?』
「ほんの少しですよ。」
『本当に??
ごめんね…今飲みよる薬、眠くなるっちゃん。。』
「私、先輩の寝顔見るの好きですよ。」
『……………
寝込み襲うの好きですよ、の間違いやないと?笑』
「誰かさんがエロい顔してるからでしょ。」
(携帯)
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