| 2009/01/15(Thu) 08:26:57 編集(投稿者)
私が書いた手紙の内容は さんさんたるものだった。
バカみたいに何度も綴られた 「愛してる」
こんな物を読んだって きっと彼女は喜ばない。
『サムッ』 と言いながら 肉厚な唇の端を上げ 微妙な顔で微笑む 彼女の姿が容易に想像できた。
だから私は 私の想いの丈を込めた この手紙達を 最後の最後まで 彼女に渡す事はなかった。
私は私の勝手な想像で 彼女が欲する言葉をしまい込み いつしか 彼女から笑顔を奪ってしまっていた。
けれど私は 私の「愛してる」 という一言で 彼女を縛るのが嫌だったんだ。
いつも自由でいて欲しかった。
私も自由でいたかった。
だから私は 自分の気持ちを伝える手段を 持たなかったんだ。
バカみたいな悪循環。
後悔しても今更。
そう これはもう終わった恋の話。
私は私の気持ちを 捨て去るように 渡せなかった手紙たちを 丸めてゴミ箱に捨てた。
あれから六年
記憶は未だ 捨て去れないままなのだけれど。
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次のお題は『記憶』でお願いします。
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