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■14217 / inTopicNo.1)  スマイルストリップ
  
□投稿者/ mama' 一般♪(1回)-(2006/04/17(Mon) 01:09:42)
    我ながら
    ぶきっちょだ


    みっともないことだ
    わかってる


    でも

    残り半年の学校生活

    少しでも……

    言葉を交わしたくて?
    なにかがが欲しくて…?


    ううん

    違う

    そんな計算
    する余裕なんてなかった

    あぁ、この問題を作ったのも印刷したのも
    先生なんだな…そう思ったらたまらなくて

    思考が止まった


    杉山先生…

    ううん…眞子先生



    眞子先生…



    また、前みたいな笑顔が見れたらいいのに。

    前みたいに頭をなでて。

    たとえ髪が絡まったって構わないから。
    子供扱いするななんて、
    もう…怒らないから。


    眞子先生…。



    その日出した
    私の答案

    「7番・倉山理子」

    出席番号と名前だけの…。



    (携帯)
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■14218 / inTopicNo.2)  スマイルストリップ 1
□投稿者/ mama' 一般♪(1回)-(2006/04/17(Mon) 01:14:50)
    配られた答案用紙に、
    「仲田未樹」
    と。自分の名前を書いて。
    カリカリ問題を解くものの、私はどこか上の空だった。
    休憩時間のトイレで、誰かが言ってたセリフがまわる。

    「男なんて単純。
    その気にさせるなんて簡単だよ。」

    なんでもね、知っているような顔して言う子、いるけどさ。まぁ、単なる自意識過剰でもないと思うわけで…。
    そういう意味では、私も"男"そのもの。

    私こそ、まさに“単純で簡単な”イキモノだから。

    だってさ。

    瞳うるませて
    真っ赤な顔して
    声なんてかすれちゃって

    やばいんだって、

    あれは反則だよ。

    可愛く見えない訳がない。
    可愛く見えちゃうんだよ。

    単純に、さ。
    ソノ気に…なるじゃない?

    世間では、これを「遊び人」っていうらしい。
    昨日。親切な下級生がそう指摘してくれたおかげで、やっと私も自覚した…ような気がする。

    ……仲田先輩がそんな遊んでたら、好きなのに転校してったマミがかわいそうです。
    もっと真剣に考えて下さい!!

    初対面だった、名前すら知らない子の言葉だけが残ってる。

    …遊んでるわけじゃないんだけどなぁ。

    どれ位ぼんやりしてたのか…

    キーンコーン♪
    カーーンコーーン♪


    テスト終了の合図が鳴った。

    ―――と、同時に私は席を立つ。
    一番後ろ座席の生徒が、縦列全員の答案を回収する役目なのだ。
    チラチラ見えてしまう。その答案達の一部一部………。



    あれっ??



    一瞬目を疑った。


    白紙



    まっさらの






    (携帯)
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■14219 / inTopicNo.3)  スマイルストリップ 2
□投稿者/ mama' 一般♪(2回)-(2006/04/17(Mon) 01:20:36)
    答案そのものは何くわぬ顔して教卓においてきたものの、
    しっかりチェックしてしまった。

    「7番 倉山 理子」

    私から見たら、ほんとにおかしい位いつも笑顔で
    明るい…優等生。

    へぇ…こんな子でも
    こういうことしちゃうんだ。

    これが、その時の感想。


    直接言葉を交わしたことも記憶にはない。仲が悪い訳でもないけれど、もちろん親しい訳でもない。
    そんな、クラスメイト。


    ま。それ位の関係だったんだよね。

    その時までは…さ。



    さて、二教科目。
    彼女の背中を目で追ってしまう自分。


    これもやるのかな?


    教科は同じく英語。

    手は、動いてる。



    はたして…

    結果は?



    ぼんやりと眺めてたら、むくむくと…

    芽生えた好奇心。

    白紙で提出か…


    ふーん。




    そのまま
    MONOの消しゴムで。
    私も答えを消した。


    ぐるりと見渡すと、
    同じセーラー服の群れが
    同じように必死にシャーペン走らせていて。

    悪いけど笑ってしまった。

    へぇ…。
    こんな眺めもあったんだ。

    それ位の感覚で、

    仲田未樹と、名前だけ残った


    真っ白な答案を出した。



    彼女の行為に、どんなわけがあるのかも知らずに。





    (携帯)
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■14236 / inTopicNo.4)  スマイルストリップ 3
□投稿者/ mama' 一般♪(3回)-(2006/04/18(Tue) 15:35:07)
    呼び出されたのは翌日の放課後だった。

    英語担当、杉山眞子。
    別名、鉄の杉山。もしくは杉鉄。

    堅いのよ。とにかく。
    隙がない。
    冗談通じない感じでね。
    いっつも無表情だしさ。

    呼び出されたときは、しまった…って。思った。

    うーん。

    まさか、倉山さんににつられてやりましたなんて、かっこ悪いことは言えないしな…。

    もっともらしい理由を考えねばと、ない頭ひねってたら。後ろから声をかけられた。


    倉山理子さん?


    そんなに




    にらむなよ。





    (携帯)
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■14237 / inTopicNo.5)  スマイルストリップ 4
□投稿者/ mama' 一般♪(4回)-(2006/04/18(Tue) 15:40:14)

    「なんで?」

    いきなり廊下までひっぱり出され、間髪いれずに倉山理子の問い詰め口調。

    真剣そのものって顔してさ。
    おかげでこっちは、変な余裕が出ちゃうじゃない。

    「そっちこそ、なんで?
    どうして白紙?」

    腕組みしながら柱にもたれる。
    と…
    みるみるうちに…

    あれ?あれれ?

    「なんで仲田さんが知ってるのよっっ!」

    うるんだ瞳
    …真っ赤な顔
    ……かすれた声

    そのまま、くるりと背を向けて、足早に歩き始めた。

    「ちょっと!ついてこないで!!」

    「いや…だって行き先同じだし」

    呼び出されたLL教室は校舎の端。誰もいない中。スタスタと歩く優等生の後ろを、私が早足で追いかける感じ。

    ゴム底の上履きを鳴らし、
    茶色い髪を揺らして、
    いかり肩なのは…、ん?私のせいか。

    改築を重ねた古い校舎は、所どころ継ぎ目に段差がある。
    肩までの髪とセーラーの襟がその度に舞い上がって、のぞいたうなじにさえ朱がさしてるように見えた。

    「…好きなヤツのことでも、考えてた…?」

    ―ピタッ

    と、音がしたような気がした。立ち止まる倉山理子。

    あぁなんて分かりやすい…

    「仲田さんには…」

    言葉の途中だった。

    「早く中に入りなさいっ!」

    げっ。出た!杉鉄っ。



    いつの間やらLL教室到着。





    (携帯)
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■14258 / inTopicNo.6)  スマイルストリップ 5
□投稿者/ mama' 一般♪(5回)-(2006/04/20(Thu) 15:34:05)
    長机に仲良くならんだ二枚の問題用紙の片割れを、優等生は仲悪さげにひったくった。
    やつは、ライティング。
    私は、グラマー。

    「解いたら提出するように」
    と、用件だけを述べて。
    杉鉄はLL教室の音響部屋へ。

    広い階段教室の中に、二人きり。

    ん…。

    意識してるのは、私だけみたい。
    彼女はさっそくテストに取り掛かったように見えた。

    ふーん。

    夏の濃い緑をバックに
    あっ…
    なかなかに可愛い子だったんだなぁ…。

    ん…。


    手持ちぶさたなシチュエーション。

    おうっ…
    フデバコないや…

    「…倉山理子さん?」

    眉だけがピクンと動いた。

    「シャーペン貸して〜」

    視線も合わさず、彼女の横に転がされたシャーペンと消しゴム。

    んー。

    そばまで行って、受け取る。
    あれ?

    ……???!


    答案には、

    濡れたあと。



    「……嫌われたぁ…っ」



    表情はみえなかったけど。
    一言で充分。


    あぁ…相手は杉山先生か。





    (携帯)
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■14259 / inTopicNo.7)  Re[1]: スマイルストリップ
□投稿者/ 彩 一般♪(2回)-(2006/04/20(Thu) 17:25:46)
    続き楽しみにしてます☆
引用返信/返信 削除キー/
■14274 / inTopicNo.8)  スマイルストリップ 6
□投稿者/ mama' 一般♪(6回)-(2006/04/21(Fri) 15:38:39)

    でも。
    ほんとのびっくりは、その後にやってきた。

    「解かなきゃ」

    猛然と…そんな言葉がぴったり。
    目をこすり、スンッと鼻を鳴らして
    シャーペンを手に
    問題を解き始めた。



    なんなんだ…こいつ。



    元々優等生の答案と。
    一夜漬け劣等生の答案。

    見比べて杉鉄はため息をついた。

    白紙答案の結末は、意外なことにたった三回の補習だけ。

    なぜか問い詰めも説教すらもなかった。


    今回の答案で成績をつけると言ったその表情には、いつものような冷ややかさはなく…むしろ人間的。
    戸惑いや迷いが透けて見えて。

    拍子抜けしてしまった。


    ある意味…無罪放免。




    理由はあなたにあったんだね。

    理子。




    (携帯)
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■14275 / inTopicNo.9)  スマイルストリップ 7
□投稿者/ mama' 一般♪(7回)-(2006/04/21(Fri) 15:41:11)

    「失礼しました。」

    一礼して教室を出る倉山理子の後ろを、軽い会釈のあと追いかけた。

    私達のクラスの教室は、すっかり空っぽで、さすがにテストあけの今日は
    運動部の掛け声も吹奏楽部の演奏も聞こえない。
    しんと静かだった。

    「これ…ありがとね」

    シャーペンと消しゴムを返すと、きついまなざしでにらまれた。

    「言わないでね…。」

    「は?」

    「なんで白紙で出したのか…知らないけど、
    先生を困らせたいわけじゃないから。」

    「…」

    「補習もちゃんと出て。」

    「いいじゃん。好きな相手と二人っきりかもだよ?
    むしろ私がさぼった方がさ、倉山さん的にはラッキーなんじゃない?」

    イスの背もたれに寄り掛かるように逆向きに座りながら言うと、つかつか寄って来て…
    優等生の平手が
    パチンと頬にとんだ。

    思わず、私も手が出る。

    反撃の手を掴むと、あいた手で胸の辺りを叩かれた。

    「仲田さんのそういうとこ大キライ。
    いっつもいい加減で、適当で。」

    「はぁ?」

    「後輩とっかえひっかえ遊んで…もて遊んで…」

    力の入った両手を、私がつかむような格好になった。

    そのまま勢い余って床に崩れる。

    そばの机やイスがガラガラ倒れた。





    (携帯)
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■14276 / inTopicNo.10)  彩さん
□投稿者/ mama' 一般♪(8回)-(2006/04/21(Fri) 15:44:20)
    どんなの楽しみにしてもらえてるんだろ…と
    にまにま嬉しく読みました。書き込みありがとうございます。

    (携帯)
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■14281 / inTopicNo.11)  mama'さん
□投稿者/ saya 一般♪(1回)-(2006/04/22(Sat) 19:18:49)
    なんだか好きなお話です(*^_^*)続きを楽しみにお待ちしております♪

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■14283 / inTopicNo.12)  sayaさんへ(予告付き…笑)
□投稿者/ mama' 一般♪(9回)-(2006/04/23(Sun) 05:21:55)
    書き込みありがとうございます。好きだなんて…わが子にそう言ってもらえて嬉しいです(^-^*)

    この先は…未樹の胸がはだけるドキドキシーンが出て来るかも。もちろんお相手は…。
    週明けにチマチマ更新してきたいなと思ってます。
    また読んで下さいませm(__)m

    (携帯)
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■14293 / inTopicNo.13)  スマイルストリップ 8
□投稿者/ mama' 一般♪(10回)-(2006/04/25(Tue) 16:07:10)
    2006/04/25(Tue) 16:11:09 編集(投稿者)

    「真剣になったことなんてないんでしょっ」

    そのままの体勢で、彼女は泣き始めた。

    静かな教室に倉山理子の泣き声だけが響く。

    泣きながら叩かれた。

    握り拳が当たるけど。

    そんなものより、その言葉の方が私には痛くて…手から力が抜けた。


    なぜ痛いのか。
    同じ言葉を、ついこの前も言われたはずなのに
    なぜ今になって刺すような痛みが走るのか。

    私には分からなかった。

    わからないのに
    わからないのに

    あれ…

    涙が出てくる…。


    もつれた腕が絡まって、倉山理子の床を着いた手が、私の襟元を引っ張った。

    プチプチ…ッ

    ホック留めのリボンが
    セーラーの襟が
    一気に開いて…大きく胸元をはだけさせ…

    ぎょっと我に返って距離を置いた彼女が、その涙に気付いてしまった。


    「押し倒される側になったの…初めてかも」


    ゆがんだ口元のまま余裕ぶったって、ごまかせるわけじゃないのにね。




    (携帯)
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■14294 / inTopicNo.14)  スマイルストリップ 9
□投稿者/ mama' 一般♪(11回)-(2006/04/25(Tue) 16:19:51)
    2006/04/25(Tue) 16:23:41 編集(投稿者)


    「優等生が泣いてばっかだから、私にまで移ったじゃん…」

    「………。」

    何も言わず倉山は立上がり、申し訳なさそうに涙目で私を見た。

    「そんな顔するなよ。なんて言っていいか分かんなくなる。」

    すそを払って私も立ち上がった。


    …真剣になったことなんてないんでしょ

    いつもいい加減で…


    あなたみたいな人、大嫌い!


    あぁ…でも……


    「補習にも行くし。
    だから、泣くな。

    誰にも言わないから。」

    言えないよ。

    「秘密にして…くれる?」

    するよ。

    本気。



    視線だけでうなずいて、
    顔をあげる。

    安堵する頬のゆるみを見て
    この恋の秘密を分かち合うのは、
    私が初めてなんだと
    自覚した。



    それは、ちくんとしたトゲを伴う自覚…。



引用返信/返信 削除キー/
■14298 / inTopicNo.15)  スマイルストリップ 10
□投稿者/ mama' 一般♪(12回)-(2006/04/26(Wed) 16:02:03)

    「…良かったぁ……」


    涙目で笑った彼女を見たら

    はたかれたことも
    罵られたことも

    どうでも良くなる。


    やっぱり…単純なイキモノらしいよ、私。


    慌てて邪な感情を振りほどくと、なおも無邪気な笑顔の倉山理子。


    そんな顔されちゃうとさ…

    自然に、右手が出た。

    びくっと首をすくめる優等生の頭をくしゃくしゃっと

    なでた。

    あらら
    顔が真っ赤…

    「やっぱりふざけてるじゃないっっ」


    叫ぶ声が教室に響く。

    叩こうとする手をよける。

    「また、押し倒す気〜?」


    更に

    赤くなって…





    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■14299 / inTopicNo.16)  スマイルストリップ 11
□投稿者/ mama' 一般♪(13回)-(2006/04/26(Wed) 16:05:07)

    「やっぱりっ!
    一瞬だけ、いい人かもって思ったのにっ
    仲田さん、本当に本当にっ
    まじめに補習でる気あるの?」

    倉山理子が眉を上げて怒るのとは対照的に、私は自然と笑ってた。

    声上げて…。


    「未樹って呼んでよ。」

    よけながら…一気に言った。
    「かたっ苦しいし?
    まじめに授業受けたこともないのにさ
    補習の間中そう呼ばれてたら、さすがに…さぼりたくなるかも?」


    ぐっと…言葉に詰まったあと。
    一言返ってきた。

    「なら…私のことも優等生って呼ばないでよ…」

    「わかった。じゃあ…」



    理子。



    初めて呼んだ時、ちょっとびくっとしてたね。

    あ…そういえば、クラスの子はみんな
    倉ちゃんとか
    呼んでたんだっけって気付いたんだ。

    特別感ってやつ?

    なんだかこんな関係も悪くないって思えたんだよ。


    ん…。
    悪くない。

    むしろ…新鮮でいいじゃない。




    (携帯)
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■14312 / inTopicNo.17)  スマイルストリップ 12
□投稿者/ mama' 一般♪(14回)-(2006/04/28(Fri) 15:27:38)
    そして初日。

    無難に補習を終えた私たち。

    他にも赤点組が数人が参加してたけど、なんだかジロジロ見られて居心地悪い。
    それもそうだ。
    私達は一番上のAクラスで。
    受験必須の英語に赤点なんて、ありえない。
    アルファベット順にそういうクラス編成なんだ。

    「そういえば…未樹。あの答案でよくウチのクラスにいるね?」

    …だいぶわかってきたんだけど。
    理子はにこやかなふりして、実は毒舌でストレートな物言いをする。

    「入試、トップだったし…」

    「はぁ?昔はまじめだったんじゃん。じゃぁなんで?」

    「んー。第一希望に落ちたらどうでも良くなって…かな。」

    どこ?って理子が聞いて来るから、正直に言った。私にしてはそんなことも珍しい。

    ウチの県内でトップクラスの偏差値…東大合格数がウリのまじめ校。
    基本的に中高一貫だから、高校からの入学はかなりの高倍率になる。

    IT成金なウチの両親の趣味だった。

    「そこ…私も中学入試で落ちてる。
    おんなじとこ落ちたんだね。私達。」

    ちょっと顔をしかめ、理子はうつむいた。

    「ウチのお姉ちゃんが通ってた…。」

    今イギリスの大学にいるんだけどね。
    と…。独り言みたいな声で付け足した。

    「ふ〜ん。」

    何気ない風を装ってうなずく。


    お姉さんの存在…。

    それは理子のウィークポイントなんだと、すぐに理解できたから。




    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■14313 / inTopicNo.18)  スマイルストリップ 13
□投稿者/ mama' 一般♪(15回)-(2006/04/28(Fri) 15:37:51)
    行きに近所のパン屋で買ったメロンパンをかみしめ、コーヒー牛乳で流し込む。
    なにせ育ち盛りの女子高生。
    すぐにおなかが減る。

    横にいる理子は、カロリーメイトに野菜ジュース。
    健康なんだか不健康なんだか分からないメニューだった。
    補習後の教室に二人。
    窓の外を眺め、むしゃむしゃ間食する私達。


    「私、お姉ちゃんみたいになりたかった…

    お姉ちゃんみたいになれたらいいのに…」

    うつむいたままの理子。

    …ん。

    「いいじゃない。

    理子には理子の賢さがあるし…」

    それにと、言葉を足した。

    「理子かわいいじゃん?」

    にっと笑って顔を寄せ、


    頭をなでた。


    「んね?」

    かがみ込む私と上目づかいの理子の視線が合う。
    手からカロリーメイトのかけらが転がり落ちる。

    と…たちまち理子の罵声がひびいた。
    しかも大音響で。

    「ほ〜ら。怒ってる顔もかわいいよ〜。」

    笑いながら。

    「信じらんないっ。
    いっつもそうやって口説いてるんでしょ?」

    背中をぽかぽか叩かれる。

    こういうやり取りが好きな私は、少しエスっ気があるのかもしれないや。
    いや…罵られて楽しいんだからエムなのかもね。



    「ん?元気でた?」

    振り返って、笑いかける。

    髪が表情を隠してて…
    サラサラなびくネコッ毛がきれいだった。

    「…髪がくしゃくしゃになったじゃない。」

    文句を言いながら、手櫛ですく
    消え入りそうな小さな声を背中に聞いた。



    そして終わる初日。




    (携帯)
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■14343 / inTopicNo.19)  mama’さん
□投稿者/ saya 一般♪(2回)-(2006/04/30(Sun) 17:11:10)
    予告つきメッセージ
    あざす!(笑)
    個人的に理子という名前が
    すごく好きです。
    かわいくっていいですねぇ♪
    二人が仲良くなっていく様に
    少しどきどき
    ちょっとニヤニヤしながら
    読ませていただきました。
    また続きを楽しみにしています。

引用返信/返信 削除キー/
■14390 / inTopicNo.20)  スマイルストリップ
□投稿者/ mama' 一般♪(16回)-(2006/05/08(Mon) 18:32:01)
    2006/05/08(Mon) 19:16:33 編集(投稿者)
    2006/05/08(Mon) 18:51:41 編集(投稿者)

    ものごとの始まりはいつだって気分が浮き立つ。
    上手くいかないことすら、ちょっとしたハプニングとして楽しめる感じ。

    理子のフグみたいな膨れっつらなんて、思い出しただけで笑ってしまう。

    自宅のベランダで冷たいジンジャーエールを飲みながらにやけてると、姉が帰って来た。

    「未樹ティただいまぁ〜」

    ふにゃけた声で抱き付いて来て、私の手からグラスを奪う。

    「つまらんモノ飲んどるのぉ〜」

    そばの瓶を綺麗なジェルネイルの指先でつまみ上げる。

    「空っぽ」

    「はいはい」


    あやすように脇から手を差し込んで座らせ、一旦キッチンへ。

    持ってきたグラスを一気に飲み干して、…濡れた上目遣い。
    「もっと。」

    この人は、こういう仕草がひどく似合う。
    私は苦笑しつつ、片手のピッチャーでおかわりを注いだ。中で、つぶれたクシ切りのライムが踊る。

    「未樹ティ…ホストみたい。」

    「チホ姉、飲み過ぎ…酔っ払いのお客様は入店拒否で。」

    グラスを取り上げると、頬に柔らかな二の腕の感触がきた。

    「…ごめん〜ん」

    そんな酔っ払いの行動すらかわいいと思ってしまう。



    女の子は
    …可愛いイキモノ


    刷り込んできた元は、確実に私の姉。

    って言っても義理なんだけどね。

    ウチは14のときに再婚してる。
    お互い小さい頃を知らないし、血のつながりもないから余計なんだと思う。

    素直に、可愛いと思うんだ。


    「未樹は、パパ似だよね…きっと。
    女泣かせな顔だちだもん。」

    私の前髪をかき上げながらつぶやく。


    うん。
    そうだよ。

    この外見で生まれたこと、感謝してます。


    でも、最近もて余し気味なんだ。

    大嫌いとか言われちゃうし
    ひっぱたかれるし…
    罵られるし…


    「未樹ちゃん…顔がニヤけてるよ?」

    「え?…ほんと?」


    口元に手をやる。


    「本当。」

    人差し指を私の唇にあてて、チホ姉はジッと私を見た。



    「好きな子でも出来たの?」



    ごめん。

    大爆笑。


    チホ姉、それはありえないよ。



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