| 言葉も出せず、私は固まったまま。
しばらくそうしていると、なんとか落ち着いたみたいで 腕の中の理子が静かな声で私に尋ねてきた。
「ねぇ 未樹にはきょうだいっている?」
「・・姉が一匹いるよ」
「何よ、一匹って」
理子はくすくす笑い出して、 抱きしめた腕から小刻みに振動が伝わってきた。
「仲良し?」
「ほぼメイドかなぁ」
義理だとは言わなかった。 チホ姉のこと。
「未樹がメイド?」
「うん
ジュース持ってきてとか おなかへったとか アイロンかけてとか 朝六時に起こしてとか 宇多田ヒカルのモノマネしてとか 芸人ネタやってとか
・・?
んっ?
そんなに笑える??!」
泣いているからじゃない背中の揺れ。
あ・・ほっとする。
「うん だって、だって モノマネって〜
似てるの?」
「らしいよ」
「え〜 やってやって」
「絶対イヤ」
「やってよ〜」
声が明るくなったから 嬉しかった。
私が何かしら言って、それで元気になってくれるなら
それでいいじゃない。
それだけで
いい
反応が嬉しい。
満たされてく感覚。
与える快感。
もっともっと
笑ってよ
(携帯)
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