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■19316 / inTopicNo.41)  one phrase
  
□投稿者/ 金丸 大御所(382回)-(2007/06/24(Sun) 02:30:59)
    私は毎夜

    必ずと言って良いほどに

    眠りに落ちる前

    目を瞑り心の中で

    自然と呟く言葉がある


    何故なのかも

    意味もわからないけど

    それは毎夜自然とでてくる


    届いてほしい


    そんな想いもなく

    ただポツリと

    染みるような声



    ただそっと

    気付かぬ声



    幸せな気分になれる呪文のように

    心の中こだまする



    きみが傍に居るのに

    あの夜も呟いた




    幸せな気分になれる呪文のように


    そっとポツリと呟いた


    きみのなまえ

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19325 / inTopicNo.42)  理由
□投稿者/ 金丸 大御所(383回)-(2007/06/25(Mon) 01:40:06)
    2007/06/25(Mon) 01:41:36 編集(投稿者)

    カラオケで
    なごり雪歌うきみが言った


    『綺麗になったね海ちゃん♪』


    一瞬耳を疑ったこの一言


    なんでこんな女らしく

    前より意欲的に

    目指せ綺麗ないい女目指してるか


    きみはもう忘れたみたいだね



    「何か変えてほしいとこある?」

    そう聞いたら

    『ん〜特にないけど、綺麗になったら嬉しいかな』


    あの一言からだよ

    男っぽい格好が大好きな私が

    きみと逢うときは女らしい格好を心がける


    化粧して逢うときは

    案外化粧にうるさいきみにちゃんと見えるように仕事よりも何よりも時間をかけてる

    誰と逢うときよりも

    どこ行くときよりも

    気合いを入れる



    日常でも

    基礎からじゃないとカバーしきれない部分を

    なんとか変えようとしてる


    昨日より綺麗な今日の私

    今日より綺麗な明日の私

    そうありたい





    いつか

    お前が見惚れるような女になってやる


    そう心に刻んでる
引用返信/返信 削除キー/
■19337 / inTopicNo.43)  
□投稿者/ 金丸 大御所(384回)-(2007/06/26(Tue) 02:55:59)
    ふたりで

    嘘つきになることにした

    笑いながら嘘を考えた


    ジワジワと嘘は重みを増すことに

    罪悪感と不安感を覚えながら

    嘘を考えた



    一つを隠す為に

    いくつもいくつも嘘を作る


    二つを隠す為に

    数えきれない嘘を作る



    それを誤魔化すように

    笑いながら。





    嘘って大変だね

    そう呟いたきみ



    そうだね
    でも信じる方の勝ちだよ



    嘘の重み
    罪悪感
    不安感

    そんなものを抱えるより

    疑問もなく信じる方がよっぽど幸せだと思う



    同じものを背負った二人でも

    重みは遥かに違うだろう



    だから

    不安に思うことがある


    嘘をつくことで

    きみは辛くならないだろうか

    前よりもっと

    今よりもっと


    それを承知で

    返事をくれたのかもしれないけど

    想像と現実の差は

    違うかもしれないと

    不安を抱いた



    容易いことじゃないね


    だからといって

    今の状況が嫌な訳じゃない

    我慢してる訳じゃない


    ただ

    一番誰より大変な思いをしているのは

    きみだから


    きみの思うままでいい

    きみの答えに

    私は頷く



    嘘が辛かったら

    言っていいんだよ?


    そしたら私は

    頷いて

    過ごす筈だった日常を送るから



    大丈夫

    そう言うなら

    死ぬもの狂いで嘘を突き通して

    あの場所に行ったら何も考えずに

    何もかも忘れて

    ただ白い砂浜と青い海を見つめたい



    あの場所は

    自由になる為に行くんだよ

    他の理由は私にはないから



    きみの思うままでいい


    私は

    私の思うまま



    ふたり

    ふたりの思うままでいい


    それが

    あの場所に合う考えだと

    そう思うよ

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19381 / inTopicNo.44)  白いクジラ
□投稿者/ 金丸 大御所(386回)-(2007/07/01(Sun) 21:19:39)
    白いクジラは

    海から遠い場所に

    海を焦がれる程

    遠い場所を選びました



    時折白いクジラは

    あの青い海を思い出して

    水色の涙を流します



    帰る道すら知りません

    還る道すら知りません



    置いてきたものも

    残してきたものも

    捨ててきたものもありません

    けれど白いクジラは涙を流します



    恋しいと泣くよりも

    帰りたいと

    還りたいというよりも

    ただ焦がれるのです


    あの青い海を



    白いクジラは涙を流します

    水色の涙を流します


    誰も知らない場所で

    嗚咽にならない声もなく

    ただ涙を流すのです


    帰る道を知る者はいません

    還る道も知る者はいません


    何故なら白いクジラが居た場所など

    誰も知らないからです



    私の帰る海を知りませんか

    私の還る海を知りませんか

    そう誰かに聞くこともできません


    白いクジラも居た場所など知らないからです



    白いクジラは時折

    青い海を思い出しては涙を流します

    水色の涙をポロポロと流します



    誰も知らない場所で

    声もなく

    ただ涙を流します

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19476 / inTopicNo.45)  右か左か
□投稿者/ 金丸 大御所(387回)-(2007/07/15(Sun) 01:25:40)
    『お前は一体なんなんだ?』

    一瞬、なんのことを聞かれているのかサッパリわからず鳩が豆鉄砲をくらったようにキョトンとしてしまった


    「いや、お前がなんなんだって聞きたいけど。(笑)」

    『いや…まぁね。(笑)ほら…お前さ、前に男になりたい、みたいなこと言ってたじゃん』

    「正直…今、男になれるならなりたいよ。でも完璧にはなれないことはわかってるし、今まで積み上げてきたものや経験してきたことで出た結果は自分はタチで、ネコはできない。女なことを認めざる負えないから女として向上していきたいと思ってる。」

    あくまでも自分のこととして話した

    *この意見に異論を唱える人も居るだろうが、この場で分かりやすく述べただけであり他人をどうのこうのとゆうわけではないです


    「でも、お前に関するとわからなくなる。」

    『?』

    「前に話したろ。お前のことを仲良しさんに話した時、「本当四季ちゃんのことになると乙女だね」って言われたの。私笑ってただけで<乙女>ってフレーズを否定しなかった。今までなら全力否定だったのに。」


    笑いながら黙って四季は聞いていた

    「お前に関すると本当にどっちなのかわからないよ。
    確かに今までの恋愛でネコだったこともある。けど、演技ばっかで結局疲れた。
    本当に愛していたのならわからないけど、好奇心盛んな頃のことだし、愛していたのかって言われたら濁すしかない恋愛だった。
    お前とって考えると違うかもしれない。

    でもとりあえず…


    お前とするって想像できないし、想像つかない(笑)」


    『そーなんだよねっ〜あたしも想像できない(笑)』

    「ハブとマングースにはなりたくないね。(笑)」

    「お前とって考えると本当それで萎えるよ(笑)」

    「その時がきたらなるようになるさ〜。」

    『ははっ(笑)』





    今日この会話を思い出して

    ふと疑問に思った


    私は一体なんなんだろう


    私が女であることを認めた最初の理由は

    子供が産めること

    けどそれは無くなってしまった


    毎月の生理

    自分の血を目の当たりにして

    静かな怒りと悲しみが襲う


    そりゃホルモンの関係で無ければ体に影響はくるだろうけど

    こんなもん無ければいいのに

    子供が産めないのにあっても悲しくなるだけだ



    けど女を否定している訳じゃない

    男になれるならなりたい

    けど男になったってメリットなんかほとんどない。




    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19477 / inTopicNo.46)  右か左か-2-
□投稿者/ 金丸 大御所(388回)-(2007/07/15(Sun) 02:01:18)
    男になったら子供作れるかもしれない

    けど子供は手術したってできるようにはならない。望んでいることとは違う。

    女でいること

    私にとっては化粧や服装でしか女であることを表す手段はしたくない

    化粧だって別にしなくてもいい。むしろしたくはない。
    私にとって化粧は自分のためじゃなく、人のため。理由はよくわからないが、そんな気がする。

    服装はただ好きなデザインやライン、自分の骨格や筋肉を綺麗に見せてくれるなら女ものじゃなくたっていい。が、胸やくびれがある分男ものだと腕や肩はいいのにお腹周りがダブついて見える点で外出時の服にほとんど選ばない。そんな理由で女物を着る。



    私には

    子供が産めないと答えが出た時点で

    性別に何も求めなくなったのかもしれない



    私は

    セックスに快楽を求めている訳じゃないのかもしれない

    だから完全奉仕なバリタチとゆうセクシャリティーは性分柄合っているのかもしれない


    Aセクと言われる程性的欲求が少ないのも、それなら合点がいく

    生理前や春先や冬には僅かながらも欲求はあるが、それは本能による繁殖の為の欲求かもしれない。


    僅かな欲求すらもて余し放置するのが私のやり方。



    ある意味まだまだ性に未発達だからこう思うのかもしれない

    でも興味がでない


    右か左か

    白か黒か


    とりあえず

    真っ直ぐ灰色で。


    答えを求めてないのかもしれないけど

    死に際まで中間に居てもそれはそれでいい。


    性別はどちらか

    セクシャリティーは何か


    今はそんなもん何だっていい。

    したいことが出来れば

    したいと思うことを出来れば

    それでいい。



    だから

    時がきたら来たで

    なんとかなるんじゃないか

    そう思う



    時がこなくても

    なんとかなる



    来ても来なくても

    求めても求めなくても

    愛しい人が居れば

    それでいい

    そう思う

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19490 / inTopicNo.47)  セカンド
□投稿者/ 金丸 大御所(389回)-(2007/07/17(Tue) 01:29:54)
    いつも

    一番になりたくなかった

    短距離走も

    いつも途中でスピードを弱めた

    いつからかそれが当たり前になって

    早く走ることを忘れた


    注目されるのが大嫌いで

    いつも誰かの背中を見送って安心していた



    期待されるのも

    注目されるのも

    大嫌いだった



    二番や三番は

    さほど期待も注目もされない

    その楽さが私には心地好かった



    変にプライドが高い私は

    期待に応えられなかった時の自分が醜いように思えて

    それから極力逃げてきた


    一番は

    嫌い


    一番に

    なりたくない


    いつだって

    セカンドがいい


    醜い自分が

    嫌いだから




    いつからか

    一番になりたくても

    なれなくなった



    その時の

    安心感


    その時の

    敗北感






    なりたくないからならないんじゃなく

    なりたくてもなれなくなった

    絶望によく似た安心感






    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19491 / inTopicNo.48)  セカンド-2-
□投稿者/ 金丸 大御所(390回)-(2007/07/17(Tue) 02:06:17)
    今まで

    何かにつけて一番から逃れてきた

    思春期の頃から

    誰かの一番になりかけると

    冷たい言葉を選んだり

    冷たい態度をとったり

    あえて相手が嫌がることをしてきたりした




    私には

    一番になることが恐怖で仕方ないんだ



    最近

    そう気付いた




    セカンドが居ることの安心を

    相手が感じてくれれば

    それで満足になれる



    一番のプレッシャーより

    二番の努力がいい






    なりたくてもなれなくなった事を知って

    時が経ち

    今は二番に可能性を感じるようになった

    不完全だから

    未完成だから

    頑張れることを知った

    一生懸命になれることを知った

    やれることが沢山あるのが

    嬉しくて仕方ない



    一番から逃げてきた私は

    二番の意味を少しずつ得てきた


    だから

    まだ一番にはなりたくない

    セカンドの意味をもう少し知りたい


    セカンドの

    果てしない可能性が

    私の前に現れたばかりだから


    セカンドだからこそやれること

    それに気付いたばかりだから




    長い長い道のりを

    今私は

    スキップしそうな勢いで

    歩いてる



    満面の笑みで

    出来ることを探してる


    目を輝かせて

    出来ないことを探してる




    セカンドでありセコンドで居たい



    一番は君だ

    そう言い続けたい






    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19507 / inTopicNo.49)  0時ちょうどの手紙
□投稿者/ 金丸 大御所(391回)-(2007/07/22(Sun) 00:26:17)
    一分前から携帯とにらめっこ

    そんな私が0時ちょうどに送ったメール


    本文も件名も無しで

    一件の添付画像


    ひらがなで書かれた



    はっぴぃばーすでぃ






    どんな言葉を綴るより

    どんな気持ちを綴るより

    私が一番言いたい言葉

    直接言えないから

    手紙にしようと思いました



    はっぴぃばーすでぃ



    どんな言葉より

    どんな気持ちより

    たった一言


    手書きのはっぴぃばーすでぃ




    紙を何枚も無駄にしました

    ペンを何本も変えました

    何枚も画像を撮りました


    悩み抜いた末に選んだ画像を

    直前まで貴女の携帯に合うように編集して

    アタフタしながら時間と格闘



    伝えたい想いは沢山あるけど



    たった一言


    はっぴぃばーすでぃ





    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19510 / inTopicNo.50)  母への想い
□投稿者/ 金丸 大御所(392回)-(2007/07/22(Sun) 01:33:32)
    貴女のことを想い浮かべると

    時折

    家族への

    特に両親への愛や感謝を考えます


    貴女ほど

    私は自分の母を愛していないだろう

    感謝を自分の母に感じることがほとんど無いことに気付きました。


    私がまだ

    子供だからかもしれません。



    生まれきたことの感謝も

    両親の血液型では生まれない血液型の私は

    どこかでまだ疑っています



    父は

    甲斐性がなく

    彼女を作り

    私が4歳の時両親は別居し

    一緒に暮らした記憶はありません


    月一度ほど父の家に泊まりに行きました

    私にとってその頃

    ビデオを見せてくれる人

    夜遅くまで起きていても怒らない人

    運転が荒い人

    一年に一度

    海やスノーボードに連れて行ってくれる人


    そんな人と父を見ていました。


    でも

    寝る時

    必ず腕枕をしてくれました。

    暑い日も寒い日も腕枕をしてくれました。


    父の彼女と父と私

    川の字になって

    父は両腕が塞がりながらも

    朝起きるまで腕枕をしてくれました。




    母は

    女手一つ4人も育てました

    礼儀や作法

    食べ物に関する知識を教えてくれました



    キッチンドランカーで

    酔っていると昼間より理不尽、傍若無人になって

    次男と私は格好の的でした



    最近

    姉の子供に対する態度を見ていると

    違和感を覚えます

    孫だからかもしれませんが

    講釈を唱える母に怒りがわきます


    姉も兄達も私も

    母が唱える講釈のようには育てられてこなかった筈だと

    違和感と怒り


    嫉妬かもしれません

    でももう

    母に甘えたいとゆう思いは

    絶望を得た瞬間

    消えてしまいました



    感謝より

    母の温もりの記憶より

    育てられた記憶より


    憤りや怒りや諦めが上回っているのだと思います


    私には

    甲斐性が無くて我が儘で暴走運転の父のほうが

    絶望をくれなかった分

    愛しく思えます


    他の兄弟は

    父からの暴力の記憶があるので

    少なくとも姉と次男は

    両親のどちらからも絶望を得て

    私よりも愛情を抱いていないだろうと感じます

    言葉の中に

    愛情よりも憤りや怒りや諦めが多いのです


    次男は母をお母さんとは呼びません

    他人のように名前で呼びます


    確か長男の暴力が無くなった頃


    そう呼び始めました。






    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19511 / inTopicNo.51)  母への想い2
□投稿者/ 金丸 大御所(393回)-(2007/07/22(Sun) 01:49:22)
    家庭事情がうまくいっていない人に

    母は講釈を述べます


    あたしは子供にこうしてきた

    あたしはこうゆうふうに子供を愛した

    あたしはこう躾した



    私を含め兄弟達は

    怒りで聞いていられません



    私達にしたことの記憶は消えたのか

    兄弟内の溝を作ったのは誰か

    長男を選んだことで絶望した次男の気持ちをわかろうともしないのか


    あなたは私達に何を言ってきた

    あなたは私達に何を見せた


    そんな思いが渦巻いて

    眉間にシワを寄せて

    出るのは言葉じゃなく

    ため息



    そんなことにも母は気付きません。



    確かに

    生まれてきたことや

    育ったことに感謝は出来るかもしれません。


    でも

    母として母を愛すことは

    まだまだ今の私には出来ません。



    だからなのか

    貴女と愛される貴女のお母さんが羨ましく思います

    愛していると言えることが

    羨ましいと思います



    愛せず悲しいと思う私に

    いつの日か

    愛していると思える日は来るでしょうか



    変かもしれないけど

    その日を待っている私が居ます



    愛されていると感じる日よりも

    愛していると感じる日を






    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19512 / inTopicNo.52)  母への想い3
□投稿者/ 金丸 大御所(394回)-(2007/07/22(Sun) 01:59:32)
    今聴いている曲は

    母への感謝と愛を歌っています


    この曲を聴きながら

    貴女が浮かび

    貴女のお母さんが浮かびました


    この曲を

    誰より貴女に聴かせたいと思いました


    貴女がこの曲を聴いて

    お母さんを想い浮かべてくれたら


    そう思います



    貴女がお母さんを愛していることを

    私は愛しているんだと思います


    貴女が誰かを愛していることを

    私は愛しているんだと思います



    こんなふうに

    母を愛せる日は来るのかな



    私はずっと

    その日が来るまでずっと

    待ち望んでいます

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19518 / inTopicNo.53)  かぶとむし
□投稿者/ 金丸 大御所(395回)-(2007/07/24(Tue) 02:23:40)
    湿度の高い夜道を自転車で走っていると

    街灯の周りを低い羽音が行き来していた


    自転車を止め

    街灯を見上げた

    眩しさに右目を瞑り左目に見えたのは

    雌のかぶとむし


    街灯にぶつかりながら

    それでもなお光に向かっていった


    数回目の玉砕音の後

    かぶとむしは暗闇に消え

    アスファルトに墜落する音が鈍く響いた



    眩んだ目で下を見回すと

    動かぬ姿がそこにあった


    近づき目を凝らしてみたら

    そこには時間の経った

    亡骸



    力尽き墜ちた末

    他の虫達に身を蝕まれた姿


    一瞬息をのんだ


    気を取り直し

    辺りを見回す


    暗がりに光る背中を見つけ

    拾い上げる



    『木がいっぱいな所に還してやるから』


    そう独り言をかぶとむしに投げ掛け

    タバコに火をつけ

    自転車にまたがった瞬間


    かぶとむしはまた街灯へと飛び立っていった


    すぐ見上げたが

    羽音は遠くに消えていった



    吸い込んだタバコの煙を

    ため息のように吐き出し

    ペダルを踏んだ




    湿った風の中に残ったのは

    鈍い羽音と

    少しヒリヒリするかぶとむしが登った腕

    亡骸の姿




    全てが

    言い様のない虚しさを生んだ






    亡骸のかぶとむしは

    他の命を繋いだのに


    ひたむきなかぶとむしは

    自分の思った道に飛び立ったのに




    私は無力感に苛まれた


    結局

    何一つ出来たことはなかった




    湿った風が

    肌を冷やし

    暗闇は

    何も告げなかった

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■19997 / inTopicNo.54)  月探し
□投稿者/ 金丸 大御所(400回)-(2007/09/09(Sun) 23:13:01)
    120円とタバコとMP3をポケットにつめて

    月を見ようと散歩に出ました


    散り散りの雲間から

    星が時折顔を出します

    肝心のお月さまは

    姿が見えません


    月を探しに

    行く宛もなく歩き出しました



    最近うちの周りには工場が乱立するようになり

    白い箱は目を細めたくなるような光を増やしました


    空がくすみ

    風が流れなくなりました

    光が増え

    星が遠くなりました


    虫や鳥の声が小さくなり

    規則的な音が響きます



    寄り添うように集まった小さな緑の元に

    虫たちは懸命に鳴いています


    子供達は

    外へ遊びに出ることが減ったと聞きます

    テレビゲームが原因ではなく

    頻繁に起こる誘拐未遂や交通事故

    痴漢が増え、遊ぶ場所がなくなってきたことが原因と聞きました


    子供が遊ぶ場所を失って

    大人には信用がありません

    緑は減り続け

    空気と空はくすみます


    生き物たちは行き場を失い

    さ迷い見つけた僅かな緑に肩寄せ合わせても

    やがて人間が迷惑だと

    追い払う為に攻撃します



    子供も虫も生き物も寄り付かない


    そんな世界になりつつあるこの地の上には

    まだ

    風に揺らぐ雲があり

    瞬く星があり

    優しく光る月があり

    深い深い空があります



    ここには海も川も山もありません

    その代わり広い広い空が

    いつも遠くまで見えました


    いまはもう

    空は狭くなり

    色さえ変わってきました


    ここ数年この土地に引っ越してくる家族が増えました

    少子化のため合併で私の母校がなくなると聞いていた話も

    なくなったと聞きました


    でも子供が遊べる場所は

    もうあまりありません




    空はくすんで狭くなり

    子供は遊ぶ場所を失いました

    交通量が増え事故も増えました

    沢山のかぶと虫は姿を消して

    代わりに街灯と工場が増えました

    大人は信用をなくして

    昔は耐えなかった道端での子供の挨拶も

    いまはもうありません

    笑顔をいっぱい浮かべたはしゃぎまわる子供たちが

    いまはもう睨みながら通りすぎていく

    そんな土地になりました



    規則的に響く機械音の消えぬ道を歩きながら

    月を探しました


    月は結局

    見えず終い


    空は風なく

    雲は散り散り

    時折見える星は

    消えそうに瞬いています


    少なくなった砂利道を

    歩く夜でした

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■20016 / inTopicNo.55)  400投稿おめでとうございます♪
□投稿者/ 昴 大御所(406回)-(2007/09/13(Thu) 01:13:15)
http://id34.fm-p.jp/44/subarunchi/

    400投稿突破おめでとうございます


    こちらのエッセイも
    もちろん大好きですが
    お題小説の方も拝読させて頂いています

    『後姿と波音』は
    二つのお題を纏められて
    カッコいいですね



    去年の5月から
    1年と4ヶ月


    400投稿の凄さは私が一番知っています

    400投稿の大変さも
    私が一番知っているつもりです


    金丸さんがずっと見ていて下さったように
    私もずっと金丸さんを拝見していましたから

    400投稿も一つの通過点

    これからもお互いに頑張りましょうね

    決して無理せず
    あくまでもマイペースで


              昴



引用返信/返信 削除キー/
■20054 / inTopicNo.56)  昴様
□投稿者/ 金丸 大御所(401回)-(2007/09/18(Tue) 00:52:29)
    ありがとうございます。

    いやいつの間にか400を迎えていました。当人気付かず(笑
    一度一位になってから良い意味で気が抜けて肩の力も抜けてふにゃふにゃになりました。もう数も順位もどうでもいいや
    そう思っています。
    日々穏やかに楽しく生きています。

    お題小説で本来すべきではないかもしれないあんなことをしましたが…本当に勿体無かっただけなんです(笑
    せっかく書いたのに消しちゃうなんて…いい内容なのに…って勿体無かっただけで書いたのであの投稿は纏まりも何もありません(笑
    まぁ元から纏まりなんてものは私の文章には無いんですけど(笑

    ここは自分が好きで書く所なのに辛くなってしまったら、辛いと気付いてしまったら、辛いと覚えてしまったら意味がないんちゃうかなーとも思っています。

    のんびり
    のほほん と行きたいもんです。

    読むのも書くのも人間ですから。ムラがあって当たり前。

    気楽に気ままにいきまっしょい

    お互いに。



    金丸

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■20156 / inTopicNo.57)  
□投稿者/ 金丸 大御所(402回)-(2007/10/10(Wed) 02:19:54)
    なかなか逢えなくて

    禁断症状の様に君の名前を叫びたくなる。


    やっと逢える

    そんな時はいつも逢う直前まで

    顔合わした途端抱き着いてやろうと思う。

    でもいざ顔合わせると恥ずかしくてそんなこと出来っこないのが現実。

    畏縮したみたいに急に奥手になるのが毎回。

    抱き締めたくて抱き締めたくて

    でも手をつなぐことすら出来なくて

    もどかしいまま



    寂しいのが嫌で突っぱねたり

    君が『帰らなきゃいけないんだ』と言えば

    私は『帰ったらいいよ。』と突っぱねる


    いまいち残念がることが苦手でどう表していいかわからない


    夜メールしていれば

    『早く寝な』と言ってしまう

    メールは嬉しい反面、逢えないことを知らしめているようで

    余計に逢いたくなる。

    そんな時は決まってどうしていいかわからなくて

    逢いたいと思った時に寝ろと言ってしまう。


    秋の顔した空が綺麗で

    君も見ているかな


    秋の肌触りがする風がそよげば

    君もこの風を感じているだろうか


    月が切なさを色濃く灯せば

    君も抱かれているだろうか

    そう想う


    月が姿を隠せば

    君が悩んでいないだろうか

    そう心配してみる



    そんな時はいつだって

    心の中君の名を叫ぶ


    苦しい位心の中で抱き締める



    切なくなるけど嫌じゃないよ

    寂しくなるけど嫌じゃないよ


    逢えなければ切なくなったり寂しくなったりするけど

    決して辛くはならないよ


    地団駄踏むくらい無性に逢いたくなるけど

    辛くはならないよ


    逢えない事と辛さは結び付かないみたいだよ

    寂しさは辛さじゃなくて
    切なさは辛さじゃなくて
    私の中に蕾が生まれるみたいな感じがするよ

    蕾は君と逢えば花開いて

    気付けば花畑になる


    その花は摘まずとも私の手の中にある


    その花は枯れることなく

    綿帽子のように空に舞っていく

    また蕾になる

    そしてまた花が生まれる


    そうやって少しずつ経つ時間に比例して

    花畑が広がっていく


    時折踊るその花達と共に笑うと

    自然と笑顔になる




    枯れることなく

    綿帽子のように空に舞っていく花達


    切なさや寂しさの分だけ生まれる蕾


    気が付けば見渡す限りの花畑



    摘むことなく

    私の手の中で

    幸せそうに揺らいでる

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■20290 / inTopicNo.58)  帰路
□投稿者/ 金丸 大御所(404回)-(2007/11/11(Sun) 18:23:36)
    部屋のど真ん中に黒いキャリー。
    ベッドに腰をおろして出かける準備も済んだ私は何も考えられず、手持ちぶさたにタバコを吸っている。

    この日の為に5キロ痩せて、とても入らなかったSサイズのジーパンを履いた。
    深い緑と黒のボーダーのハイネックを着て、髪もブローした。
    あとはベロアの黒いパーカーを着ればいつでも出発できる。


    本当に行くのかな


    未だに行く実感がわかない。
    開けっ放しの窓から冷たい風が流れてくる。少し寒いけど逆に頭が冴えていいかもしれないとそのまま風を迎えた。

    やっぱり行く前に髪切った方がよかったかな

    若干重たく見えるボブに手グシを通しながら毛先を眺めた。

    まぁ…あんま傷んでないからいいか…。


    あと2時間もしたら電車に乗っている

    緊張からか、少し吐き気がする

    朝御飯以降何も口にしていないから出るものはないけど

    いつも以上に緊張する


    寒い…

    そう呟いて私は窓を閉めた

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■20316 / inTopicNo.59)  ただいま
□投稿者/ 金丸 大御所(405回)-(2007/11/24(Sat) 15:52:46)
    『いってらっしゃいって言ってね。』

    仲良くなった宿の管理人夫婦にそう言った

    『いってらっしゃい』があるなら『おかえり』『ただいま』と答えることが出来る

    別れ際

    『いってらっしゃい。』そう言って笑って手を振りながらタクシーに乗り込む私たちを見送ってくれた

    『いってきます。』笑って私たちも手を振った

    『じゃぁ明日待ってるから〜!』と太陽みたいな笑顔で言った人は

    細道の奥に小さくなっていった。



    駅に着き

    兄弟が迎えにきてくれた車に乗り込んで

    見馴れた道を走っていた

    もう木々が色付いている


    その風景を目にした途端

    あぁ帰ってきてしまったのだと

    無性に泣きたくなった




    私はいつの日か

    またあの島に行きたい

    次は現実逃避じゃなく

    現実を連れて




    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■20319 / inTopicNo.60)  帰路-2-
□投稿者/ 金丸 大御所(406回)-(2007/11/26(Mon) 02:33:02)
    -最初で

    最後になるだろう

    二人きり

    数日間の浮世離れ

    私の夢で

    私の願い

    一度きり

    そう思うなら

    精一杯素直になろう

    どんな自分になるのか想像つかないけど

    ありのまま

    笑いたければ笑えばいい

    泣きたければ泣けばいい

    一度きりなら-




    早めに実家を出た私は

    乗る始発が出る駅にキャリーを置き

    四季の家へ向かった。


    どこらへんからありのままになればいいんだろう

    そんな疑問を抱えながら

    手持ちぶさたで始めた掃除をしていた。


    洗い物も終わって

    とりあえず暇とゆう壁にぶち当たった。

    本の山からいつだか四季にあげたオムニバスの小説を見つけ出して

    ベッドに入り、気になっていた著者の作品を読み返していた。

    鍵を開ける音に間もなく

    四季が仕事から帰ってきた。

    「おかえり。」

    「んぁ。」

    いつも通りで。

    おかえりが言えたことが少し嬉しくて

    一人で笑っていた

    (携帯)
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