| 荷造りをする四季の姿を見つめながら
実感がない不思議さに僅かな疑問を残しつつ
あれがない、これがない、入れたか入れなかったかとキャリーにぎゅうぎゅうに物を詰めるいつもより少し違う四季に笑っていた。
パンパンになったキャリーの上に乗ってパチンパチンと鍵をかける姿を見て ドラマみたいなことやる人初めて見たと、また笑った。
小学校低学年生程の重さのキャリーを引っ提げて玄関をでた。
もちろん私が持って。
力持ちだから。
深夜にキャリーのタイヤ音が響かないように持ち上げて歩いていたけど さすがに坂はきつくて「住民の皆さんごめんなさい」と言いながら結局大通りまで引いて歩いた。
タクシーを捕まえてトランクを開けてもらったが、運転手が降りてこないのを見て
田舎と違うのねと、都会の殺伐さに少し物悲しさを感じながらネオン街のソウルバーを目指した。
ソワソワを隠しながら流れていく光を眺めながら
一度行こうと言って流れたバーはどんなところか、また一緒に行こうと言ってくれた場所に期待と好奇心と嬉しさを混ぜて
茶色い看板を目指した。
重いキャリーを必死こいて持ち上げて階段を上がり、四季がドアを開けた瞬間
あ、閉店?
オイ待てコラ。デジャビュ?じゃなくて御苑の二の舞じゃねぇのか。階段また降りるのかっ。と笑い堪えきれず
二人で笑い飛ばした。
駅の近くにしよ。と駅に向かって歩き手頃な居酒屋を見つけた。
始発まで数時間過ごす居酒屋で座ったのは格子を挟んで、濃厚なキスを繰り返す外人カップルと苦笑いの外人のツレ1人の隣だった。
お疲れさま〜と乾杯した後
あてもない話しを始めた
(携帯)
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