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■21629 / inTopicNo.1)  歳の差から生まれる心の距離はありますか?
  
□投稿者/ zoo 一般♪(1回)-(2012/09/08(Sat) 23:29:59)
    江藤りこ、35歳、独身。

    見た目には一応気を遣ってる。
    女性らしさを失わないように、お化粧や美容室での手入れなど、怠らないようにはしている。
    背は153センチと小柄だけど、いつもヒールを履いて160センチくらいにはなっている(笑)。



    そんな私は女子高で英語の教師をしている。
    手のかかる生徒もいるけど、基本的には皆よい子ばかりで、毎日充実している。


    プライベートでは、友達の紹介で知り合った同い年の彼がいる。付き合い始めて1年くらい。
    彼を好きかどうかと聞かれると、好きなのかな・・一緒にいて落ち着くし、優しい。
    でも、昔からの友人は私の恋を、ドキドキがなくて刺激がないのはつまらないって言う。


    ドキドキかぁ・・・そんな歳でもないしなぁ。
    結婚も考える年頃だし、やっぱり一緒にいて落ち着けて信頼関係を築けるような相手がいい。



    そう思ってた。
    なのに、私は大きく動揺していた。
    ある一人の存在に。




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■21630 / inTopicNo.2)  2
□投稿者/ zoo 一般♪(2回)-(2012/09/08(Sat) 23:32:40)
    私が受け持つクラスは、卒業を目前にした高校3年生。
    その私のクラスに、私を動揺させる存在がひとりいた。



    彼女の名前は、藤井咲希(ふじいさき)。
    他の生徒に比べて、落ち着いた大人の雰囲気。
    肩より少し長めのサラサラの黒髪ストレート。
    切れ長の綺麗な目で、人の心を見透かしているような視線。
    背は165くらいなのかな?スラッとしていて、綺麗な女の子であり、クールでカッコよくもあって、影ながら咲希に憧れている子は多い。


    3年生のクラス替えで、咲希の担任になった。
    無邪気にペラペラとお喋りする他の生徒と違って、咲希はいつも冷静で物静かだった。
    私からも必要以上に話すことはなかった。


    それに、他の人に対しては笑顔を向けるのに、私には笑った顔を見せたことがない。


    私って、咲希に嫌われてるのかも・・・


    手のかかる生徒よりも、咲希のほうが担任にとっては扱いにくい生徒だ。



    そんな彼女から突然、学校帰りの誰もいない教室の廊下で話しかけられた。





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■21631 / inTopicNo.3)  3
□投稿者/ zoo 一般♪(3回)-(2012/09/08(Sat) 23:35:07)
    「先生、最近何かあった?」


    「えっ、えっ?どうしたの急に?!」


    急に話しかけられた私は、驚いて動揺していた。
    二人きりで話したことなんてなかったし、まさか咲希のほうから話しかけてくるとも思ってなかった。


    そんな動揺している私に、咲希はまた同じことを聞いてきた。



    「何かあったの?」


    「何かって?別に何もないけど・・・私、どこか変??」


    「別に。」


    「・・・・・」


    「何かしんどいことでもあるのかと、気になっただけ。ごめんね呼び止めて。」


    「あ、ううん・・ありがとう。何もないよ」


    「そっか。じゃ。」


    「あ、うん。気をつけて帰ってね」



    突然のことで驚いた。
    しんどいことかぁ・・・なんで咲希にはわかったのかな?疲れた顔してるのかな・・・
    生徒に気づかれるなんてダメだなぁ・・・
    教師失格。。。


    実は、付き合っている彼から、結婚を考えて欲しいと言われた。
    彼の仕事が転勤になる関係で、結婚するなら、仕事を辞めてついてきて欲しいと言われている。教師なら、また別の場所でもやろうと思ったら出来るし・・と。


    本当に彼のことが好きなら、迷うことなんてないはずなのに。


    決断出来ないでいた。




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■21632 / inTopicNo.4)  4
□投稿者/ zoo 一般♪(4回)-(2012/09/08(Sat) 23:37:09)
    数日後、咲希から小さなメモを渡された。


    教室で、生徒がそれぞれ提出する課題を教壇に持ってくる時だった。
    咲希は提出物と一緒に、折り畳んだメモを黙って置いて行った。


    私は他の生徒に見られないように、そのメモをそっとポケットへしまった。



    今度は何?!
    他の生徒もいる手前、私は冷静を装いながらも、また動揺していた。
    咲希は全く何もなかったように知らんぷりしている。


    職員室に戻りメモを開いてみた。



    「放課後、少しだけ時間を下さい。
    みんなが帰った後の教室で。」



    何?!何?!
    何か相談?!
    この間のこともあるし、また何か聞かれる??


    はぁ〜・・・気になるなぁもう。
    それに、みんなが帰った教室って、何時頃に行けばいいんだろう。



    とにかく、放課後になればわかるよね。。。



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■21633 / inTopicNo.5)  5
□投稿者/ zoo 一般♪(5回)-(2012/09/08(Sat) 23:40:24)
    放課後。
    少し時間をあけてから教室に向かった。
    教室には誰もいなかった。


    早すぎた?遅かった?
    それとも、もしかして、からかわれただけ?
    少し待ってみよう。


    しばらくして教室のドアがガラッと開いた。
    振り向くと咲希が立っていた。



    「待たせてごめんね」


    「ううん、それよりどうしたの?何かあった?」


    「とりあえず、コーヒー飲むの付き合って」


    「えっ?・・・あ、うん」



    よくわからないまま、缶コーヒーのプルダブをカチッと開けて手渡された。



    「ありがとう。あっ、お金払うね!」


    「コーヒー代なんていらないよ  笑」


    「ありがと・・・」


    「・・・・」


    何か私から話すべきなのかな?
    咲希から話すまで黙っているべき?
    どうして教師である私のほうが動揺しているの。。。


    「コーヒー好きなの?」


    「うん、好きだよ。」


    「・・・・」


    「・・・・」


    「・・・急にメモくれたから、びっくりした。何かあった?」


    「別に。先生と話したかっただけだよ。」


    「えっ?」


    「呼び出したりしてごめん。予定あった?」


    「ううん、大丈夫。」



    何だかよくわからないまま二人の世間話は続いた。
    気がつくと、教師である立場を忘れそうになるほど、ただ楽しく話している自分がいた。


    「先生の笑った顔が見れて良かったよ。そろそろ帰ろっか。」


    「あっ、うん・・・本当に、何か悩みとかあった訳じゃないのね?」


    「悩みかぁ・・・あるとしたら、先生の笑顔がなくなってたことかな 笑」


    「えっ?」


    「帰ろっか」


    「ねぇ!もしかして、私を元気にする為に呼び出したの?」


    「・・・そうだって言ったら?」


    「・・・・」


    咲希に真っ直ぐ見つめられて、今の私、きっとすごく赤面してる。
    自分の生徒相手に何ドキドキしてるの?!
    おまけに、咲希は女の子だし。
    しっかりしなきゃ、りこ!!


    気持ちを切り替え、教師らしく対応しないと!



    次の瞬間。



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■21634 / inTopicNo.6)  6
□投稿者/ zoo 一般♪(6回)-(2012/09/08(Sat) 23:49:16)
    あのさ、そういう顔されると意地悪したくなるんだけど」


    咲希の腕が私の腰を引き寄せた。


     「ちょっ・・!☆●◇▽※★」



    キスされそうなくらい近い顔と顔。
    どうしよう!!心臓の音が伝わってしまうくらいドキドキしてる。
    咲希の腕に触れてる自分の手が震えていることに気付いた。


    「先生」


    「っっなに?!」


    顔を上げれなかった。
    だって顔を上げたら、キスしちゃうくらいの距離だから。



    「先生、顔真っ赤だけど」


    「っっっ離して!!」


    私は無理矢理、咲希の腕を払いのけて背を向けた。
    自分でもわかるくらい赤面してる。
    心臓が壊れそうなくらいドキドキしてる。


    咲希の目は危険。
    見つめられると、全て見透かされてしまいそう。
    落ち着いた色気のある声でささやかれると、変な気分になってしまう。
    私は教師のくせに何考えてるの!!
    別に、引き寄せられただけで、抱き締められた訳じゃないんだし!



    「コーヒーありがとう。帰るね。」


    それだけ言い残して、私は背を向けたまま急いで教室を後にした。



    年甲斐もなく本気で動揺していた。







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■21635 / inTopicNo.7)  7
□投稿者/ zoo 一般♪(7回)-(2012/09/09(Sun) 09:42:26)
    翌日、なんとか咲希を意識せずに一日を過ごすことが出来た。
    自分は教師なんだから!と言い聞かせて。


    でも、正直言うと、昨日はほとんど眠れなかった。
    だって今まで私には笑った顔も見せない、必要なこと以外は話しかけてもこない咲希が、私の心配?
    咲希の考えてることがわからない。


    生徒にからかわれてるだけ?


    咲希の方は、昨日のことなんか何もなかったかのような素っ気ない態度。


    でも、私を元気づける為に気を遣ってくれたことは事実。
    何より、元気がなくなっている理由をとやかく聞いたりしない所が、咲希の大人な部分だったりする。
    気付いているのに気付かないフリする優しさが、咲希の魅力。


    ふと我に返ると、咲希のことを考えている自分に愕然とする。




    誰に対しても、あんなに慣れた手つきで抱き寄せたりするの?
    私をドキドキさせたのは、ただの意地悪?


    咲希の私生活って?
    恋人は?


    ダメ。。。
    私、何考えてるんだろう。


    自分の生徒でもある、しかも女の子に心が揺れてる!?


    その時、彼女がまた現れた。




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■21636 / inTopicNo.8)  8
□投稿者/ zoo 一般♪(8回)-(2012/09/10(Mon) 09:08:05)
    「先生、ちょっとわからない所があるんだけど、放課後、聞きに行っていい?」


    英語の授業終わり、他の生徒がいる前で言われた。
    授業についての質問なのかはわからなかったけど、他の生徒達もいるし、OKと伝えた。


    昨日のことがあったから、またまた内心では動揺していた。



    放課後。
    職員室に咲希は現れた。
    教科書とノートを持って、明らかに勉強の質問のようだ。


    昨日のことが何もなかったかのように、勉強に対する質問だけだった。
    普段、優秀な咲希なら質問なんて有り得ないのだけど。
    何だか、勉強に対する質問だったことで、気が緩んだ。
    咲希の真面目な姿が少しかわいいと思った。



    「勉強、ありがと。じゃ。」

    「あっ、うん。気をつけて帰ってね。」



    咲希はあっさりと帰ろうとした。



    が、その時、咲希がこちらに一歩近づいた。
    咲希の唇が耳に触れるくらいの距離。



    「今度さ・・・デートしない?」


    「えっ!?!?」


    「・・・・」




    咲希にジッと見つめられる。
    動揺する私を咲希は黙って見ている。


    必死で返す言葉を探した。



    「なに〜急に(笑)。びっくりするじゃない(^-^) も〜先生をからかわないでよね(笑)」


    「・・・・」


    「も〜あなたが冗談なんて言うと、ほんとびっくりするんだから(笑)」





    「・・・・・
     今週末、空いてる?」


    「え?」


    「迷惑?」


    「あ、えっと・・・、急に・・どうしたの?」


    「迷惑?」


    「えっと・・迷惑とかそういうことじゃなくて・・」


    「じゃ、土曜日、空けといて。」


    「・・・・・
     えっ、あっ!ちょっと待って!」




    咲希は振り返ることなく帰って行った。



    一体どうなってるの?!
    デートって、本気で言ってるの?!
    必死で冗談ぽく振る舞ったけど、あんなに吐息が伝わるほど耳元でささやくなんて、ずるい。
    どうしよう。。。自分の生徒にドキドキして振り回されるなんて。


    デートって、どこへ??
    咲希ならデートする相手くらいたくさんいるだろうに、どうして私??
    この間から、からかわれているだけ?!
    休日に特定の生徒と外で会ったりしていいの?!


    頭がパニックでもうダメ。


    今日って、何曜日?
    火曜日・・・か。


    とりあえず、明日また学校で話をすることにしよう。







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■21637 / inTopicNo.9)  9
□投稿者/ zoo 一般♪(9回)-(2012/09/10(Mon) 09:10:21)
    次の日、進路相談など含めて、クラスの一人ずつと面談をする予定があった。
    咲希はもう進路が決まっていたから、本来は特別話すこともないのだけど。
    昨日のことを話す為に、他の生徒と同じように時間を取った。


    面談をする部屋は、教室と違って小さな会議室のようなスペースで行っていた。
    咲希の順番になり、部屋に入ってきた。



    「あなたはもう進路が決まっているから、特別言うことがないわね。あなたからは何か言っておきたいことはある?」


    「いえ、特に」


    「そう、それなら良かった。」


    「・・・じゃ、次の人呼んでこようか?」


    「待って。」


    「・・・・」


    「昨日言ってたことなんだけど」


    「うん」


    「あれは冗談?」


    「生徒が先生とデートしたいって言ったら変?」


    「ううん、そうじゃないけど・・・どうして私なの?あなたなら、デートする相手がいっぱいいると思うんだけど」


    「いるよ。」


    「・・・あっ、そうだよねっっ・・」


    「先生とデートしたいだけなんだけど」


    「う、うん・・」


    「先生、土曜日は桜川駅に13時ね。来る来ないは先生の自由だしね。でも、待ってる。」




    ジッと見つめながら、そう言うと咲希は席を立って出て行ってしまった。


    本気で言われてるんだよね・・?
    土曜日、言われた通りの待ち合わせ場所に行くべき・・?





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■21638 / inTopicNo.10)  10
□投稿者/ zoo 一般♪(10回)-(2012/09/10(Mon) 09:12:43)
    2012/09/10(Mon) 12:50:06 編集(投稿者)
    2012/09/10(Mon) 12:49:35 編集(投稿者)

    翌日。



    相変わらず、みんなの前では私に対して冷たい態度の咲希。
    必要以上に話さないし、ほとんど笑顔も見せない。


    二人になると、強引だけど優しいくせに。


    私って教師のくせに、からかわれてるだけなのかな?
    デートの相手が他にもいることは否定しなかったし・・・



    咲希のことは、軽い気持ちで考えよう。
    年頃の子が色々なことに興味を示すのは普通だ。
    ただ、他の子達より大人びたミステリアスな咲希に、少し動揺しただけのこと。
    大人げないなぁ〜教師のくせに。
    そう考えると、少し冷静になれた。


    彼との結婚についてもそろそろ決断しないといけない時期だし、ね。




    一日の仕事が終わり、そろそろ帰宅しようと駅に向かって歩いていると・・・


    ちょうど誰かの車に乗り込む咲希を見かけた。
    少し離れた場所からだから、咲希は私に気づいてない。
    運転しているのは、咲希より年上の女性?

    その女性は、咲希に優しく微笑み、そっと咲希の髪を触った。
    咲希は、髪を触っていた女性の手を掴み、女性の耳元で何かささやいた。
    それが合図のように、女性は微笑みながら車を発進させた。



    咲希の恋人・・?
    ただの知り合い・・?
    二人の雰囲気は、何だか恋人同士みたいだった。


    何、動揺してるんだろう私。


    デートの相手くらいいるって知ってるのに。


    二人が恋人同士のようだったから・・?
    相手が綺麗な人だったから・・?
    私にもしたように、耳元でささやいたりしたから・・?



    これって、嫉妬?!




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■21639 / inTopicNo.11)  11
□投稿者/ zoo 一般♪(11回)-(2012/09/10(Mon) 23:15:54)
    土曜日になるまでの間、何も考えないように遅くまで仕事に集中した。


    でも時々浮かんでくる光景。


    あの後、二人はどこへ行ったのだろう・・。
    何時くらいに帰宅したんだろう・・。


    咲希が誰とどうしようと、私には関係ないことなのに。
    何だか、心の中がモヤモヤする。






    約束の土曜日。


    行こうか、やめておこうか、迷っていた。
    でも、断るにしても咲希の連絡先を知らないことに気付いた・・・。
    そんな訳で、言われた待ち合わせ場所まで行くことにした。


    咲希はデートだって言ってたけど、どこ行くんだろう。
    どんな服装で行けばいいのかな・・
    行き先だけでもきちんと聞いておけば良かった。


    とにかく悩んでいる時間はあまりなかった。
    カジュアル過ぎず、着飾り過ぎないように、シンプルなベージュのワンピースを選んだ。


    駅に向かうと、咲希はすでに待っていた。


    「ごめんね、待たせて」


    「行こっか。」


    「どこへ行くの?」


    「内緒」


    「えっ?・・・も〜秘密が多いんだから(笑)」


    「少し、歩ける?」


    「うん、大丈夫だよ」



    2、3分ほど歩いた所には駐車場があった。
    咲希は車で来ていたようだ。


    「あなたの車?」


    「うん、そうだけど?」


    「高校生って、免許取れたっけ?」


    「取れるよ。もう18歳だからね。」


    「そっか。そうだよね・・いい車だね。ご家族の?」


    「自分のだよ。先生を乗せる為に必死にバイトして買った。」


    「えっ?」


    「なんてね(笑)」


    「・・・・
    も〜 あなたは冗談ばっかりなんだから(笑)」


    「(笑)。
     じゃ、出発するよ」


    「うん」



    咲希の運転は上手だった。


    何だか行き先も告げられず、正直、ドキドキもしたし、子どものように少しワクワクした気分でもあった。

    でも、いいのかな・・生徒の車に乗せてもらってお出かけなんて。


    制服ではない咲希は、全く学生には見えなかった。
    ラフな感じに着崩した上下細身のスーツ、さりげなく首から下げてる長めのアクセサリーもクールで似合ってる。
    スタイルが良いし海外のモデルさんみたい。
    こんな綺麗でクールな子なら、そりゃあモテるよね・・・
    私なんかとデートしてていいのかな・・


    ふとこの間の女性のことがまた頭に浮かんだ。
    咲希の運転する車に、彼女も乗ったのかな・・


    気になる。。。
    でも、大人げないから、聞かない。


    しばらくの間、ドライブは続いた。






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■21642 / inTopicNo.12)  12
□投稿者/ zoo 一般♪(12回)-(2012/09/16(Sun) 23:59:04)
    2012/11/05(Mon) 09:28:01 編集(投稿者)

    1時間ほどして着いた場所は、都会から離れた高台にある建物だった。


    小さな美術館のようだ。
    こんな場所に美術館があるなんて知らなかった。
    咲希のデートスポットなのかな?


    「ここで写真展をしてるんだけどね。先生にも見せたかったからさ。」


    「そうなんだ。写真好きなの?」


    「素敵なものは何でも好きだよ。」


    「そうね。」



    私たちは建物の中へ入った。
    チケットは既に咲希が買ってくれていた。
    お金を払うと言ったのに、デートだからって拒否された。
    何だか、いつもはクールな咲希がかわいく思えてしまう。


    写真展は、空とか雲、海をメインにしたプロではないアマチュアの人ばかりを集めたものだった。
    私のような素人には、あまりプロとの区別がつかなかったんだけど。


    土曜日なのに人が少なくて静かな場所だった。
    写真をひとつずつ無言で見つめる咲希の横顔は、綺麗だった。


    一通りゆっくり写真展を見終わった。


    「先生には退屈だった?」


    「ううん、そんなことないよ。綺麗な写真を見て、癒された感じ。」


    「そっか。良かった。」


    「連れてきてくれて、ありがとうね」


    「うん
     あのさ、まだ時間いい?」


    「あっ、うん。大丈夫だよ。」


    「じゃ、コーヒー奢って(笑)」


    「うん、いいよ(笑)」


    クールなフリしている咲希に、コーヒーを奢ってと言われただけなのに、何だか甘えられているみたいで嬉しかった。
    見た目とのギャップがかわいくて、つい笑みが溢れてしまう。


    近くのカフェでコーヒーを飲んで、そこからまた車を走らせた。
    高台から少し走った場所に、夕日が綺麗に見える場所があった。
    車を少し止めて、外に出た。


    「こんな綺麗な場所なのに、人が少ないのね」


    「そうだね。たぶん、少し寂しい場所だからかな」


    「寂しい場所?」


    「なんとなく」


    「そうかもね」


    それから私たちは車に戻った。

    もう日が暮れて暗くなり始めていた。



    「先生、疲れた?」


    「ううん、私は大丈夫。あなたは運転してるから疲れたんじゃないの?」


    「先生といるのに、疲れたりしないよ」


    「も〜またそんなこと言う(笑)」


    「あのさ・・・」


    「ん?」


    「手、繋いでいい?」


    「えっ?!
     き、急に、どうしたの?!
     ・・・・・そういうのは誰にでもしちゃダメ。恋人としなさい、恋人と(笑)」


    「・・・・」


    「・・・・」



    少しの沈黙のあと、咲希の左手が私の右手を包んだ。
    離そうとしたら余計に強く繋いだ手を握られた。


    「嫌?」


    「・・・ううん」


    それ以上、何も言えなかった。
    すごくドキドキしていた。
    他の何かを考える余裕がなくなっていた。


    帰りの車の中は、手を繋いだまま二人とも黙っていた。


    家まで送ると言われたけど、近くの駅で降ろしてもらうことにした。

    「先生、お腹減ってるかもしれないけど、今日はここで帰すね。」


    「うん、ありがと」


    「あのさ・・・」


    「ん?」


    「先生の携帯、教えてほしいんだけど」


    「えっ、あ、うん・・」


    車から降りる直前に、お互いの携帯番号とメアドを交換した。


引用返信/返信 削除キー/
■21671 / inTopicNo.13)  Re[12]: 12
□投稿者/ miya 一般♪(1回)-(2012/11/02(Fri) 20:03:13)
    続きがすごく気になります。

    更新、首を長くして待ってます^^
引用返信/返信 削除キー/
■21672 / inTopicNo.14)  13
□投稿者/ zoo 一般♪(13回)-(2012/11/04(Sun) 00:38:41)
    土曜日のデートから数日、学校での咲希は普段通りのクールな素振りだった。


    メアドも交換したけど、メールが来ることは今のところない。


    もちろん私からもしない。


    咲希の車の中で、ひとり動揺していた私がバカみたい。
    手を繋ぐなんて、咲希にとっては何でもないことなんだろうなぁ・・・


    何だか歳の差を感じる。。。


    年甲斐もなくドキドキした自分がバカ見たいで情けない。




    それから数週間、何もなかったかのように日々は過ぎていった。


    極力、咲希を意識しないように平常心を装った。


    でも、正直なところ、咲希が気になって仕方なかった。


    相変わらず咲希は目立つようで、文化祭のこの時期、他校から来る生徒からは注目の的だった。


    咲希が特別、何かをする訳ではないのに、自然と女の子の視線を集めていた。


    そんな中、以前から咲希のことが好きだと言っていた2年生が、咲希に告白する場所へたまたま遭遇してしまった。


    咲希を好きだという2年生は、さすが告白するだけあって、綺麗で色気のある子だった。


    私がその場に遭遇してしまったのは、教員が交代で裏庭などを見回りしていた時のことだ。


    さすがに気まずい。。。


    気付かれないようにしたつもりが、しっかり咲希と目が合ってしまった(泣)。


    私ったらバカ!
    逃げるに逃げられず、校舎に隠れるようにして動けなかった。
    これじゃ立ち聞きみたい!(>_<)


    そんな私のことを知ってか知らずか、咲希は彼女に言った。


    「ありがとう。嬉しいよ。」


    私はそれだけ聞いて、その場から逃げ出した。
    自分には関係ない話のはずなのに、動揺していた。


    二人は付き合うのかな・・・?


    かわいい生徒同士の話だし、自分には関係ないはずなのに。


    動揺していた。


    咲希があの子に優しくしたり、手を繋いだり、抱き締めたり・・・?


    ヤダよ。。。


    これって嫉妬?



    私ったら何考えてるんだろ。

    咲希は少し大人びて落ち着いているけど、たくさんいる生徒の一人なんだから。

    若い子の恋愛は、応援してあげないとっ。





    それから数週間、受験を控えた生徒逹の進路指導や個別面談、講習や職員会議などハードな日々が続いた。

    おかげで、咲希のことを考えずに済み気が紛れた。





    そんなある日、私は久々の体調不良に陥っていた。
    ここ最近の秋の季節と、ハードなスケジュール続きで疲れてしまっていたのは事実。
    でも、生徒には気付かれないように注意していた。

    なのに・・・。











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■21673 / inTopicNo.15)  14
□投稿者/ zoo 一般♪(14回)-(2012/11/04(Sun) 00:43:33)
    一日の仕事が終わり、校門を出て駅に向かうところで携帯が鳴った。


    慌ててバッグから携帯を取りだそうとするけど、久々の体調不良でぼんやりしている為か、動作が鈍くなる。
    やっと取り出した携帯の画面には・・・


    咲希からの着信。


    どうしよう・・・!? 出るべき?!




    「はい、もしもし」


    「先生?」


    「うん、どうしたの?」


    「そのまま駅まで来て」


    「えっ?」


    「今日、予定ある?」


    「えっ?!何、急に!?」


    「そのまま、とりあえず駅のほう向いて」


    「駅にいるの?」


    「うん。
     会いたい」


    「・・・も〜突然どうしたの(笑)」


    「・・・会いたい」


    「・・・・」



    正直、年甲斐もなくドキドキした。


    歩きながら駅に近づいたところで、道路脇に止めた車から降りた咲希が、携帯片手にこっちを見ていた。


    咲希はいつも突然だから、戸惑ってしまう。


    とにかく、携帯の通話を切って咲希の所まで近づいた。


    咲希は私を見るなり助手席のドアを開けた。



    「乗って」


    「どうしたの一体!?」


    「この後、予定ある?」


    「えっ?!別にないけど・・・ほんとにどうしたの急に?!」


    「とりあえず乗って」



    咲希の真剣な顔に何も言えなくなり、とりあえず助手席に乗った。


    そして咲希は、何も言わず静かに車を発進させた。



    さっき携帯で話してる時に言われた「会いたい」という言葉に、私はバカみたいに動揺していた。


    「どこ、行くの?」


    「先生の家」


    「えっ!?!?」


    「・・・・」


    「あの、ん〜と、・・・何かあった??」


    「別に。出掛けるついでに、家まで送るだけ。」


    「・・・・」




    そう言って、咲希は私の手を繋いだ。


    「!?!?」


    「先生、手が熱いね。」


    「あっ、うん。ちょっと風邪引いたのかも・・・」


    「・・・・」


    咲希は指と指を絡めるように手を繋ぎ直した。

    「っっん・・・!」


    咲希の指が絡んでくる感触に、声が漏れてしまった。

    ダメ。。すごく恥ずかしい。(>_<)

    どうしよう。


    咲希はきっと私の今の気持ちをお見通しなんだろうけど、何も言わない。
    いつものクールなまま。
    私ひとりがドキドキしているの・・??



    何を話したら良いかわからないまま、車は私のマンションの前で止まった。






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■21674 / inTopicNo.16)  Re[14]: 14
□投稿者/ miya 一般♪(2回)-(2012/11/04(Sun) 01:06:54)
    更新されてる〜\(^^)/

    最終更新から時間が経っていたので不安だったのですが、
    続きが読めて嬉しいです。
    想像を掻き立てられると言うのでしょうか・・
    次の更新、楽しみにしています^^
引用返信/返信 削除キー/
■21675 / inTopicNo.17)  15
□投稿者/ zoo 一般♪(15回)-(2012/11/04(Sun) 23:01:05)
    「送ってくれてありがとうね」


    車から降りようと、繋いでいた手を離そうとした。
    が、咲希にもう一度捕まえられてしまった。


    「先生の部屋にまで押し入ったりはしないけど。でも、玄関まで送るから。」

    手を繋いだまま真剣な顔で言われた。


    私が何かを言う間もなく、咲希は車から降りた。
    そして、後部席に乗せていた紙袋を抱えて助手席側まで来た。



    「ここ、少しの間だけ車置いてても大丈夫だよね?」

    「あっ、うん・・・
     っていうか、一体どうしたの??」



    「行こっか」

    「も〜聞いてるのに。。。」




    私のマンションだというのに、咲希は私を誘導するかのように、歩き出した。


    「何階?」


    「えっ?」


    「先生の部屋。何階?」


    「あっ、10階・・・」



    咲希はエレベーターのボタンを押した。
    ただ無言でいるのが気まずくて、咲希の持っていた紙袋が何か聞いてみた。

    咲希は軽く笑うだけで答えなかった。



    エレベーターが10階で開き、部屋の前に着いた。
    何がどうなっているのか頭が混乱していた。
    慌ててバッグから鍵を出して、部屋を開けた。



    ぼ〜っとする頭で色々考えていた。

    どうしたらいいの?
    部屋に入ってもらうべき?
    送ってもらったんだし、コーヒーくらい出すべき??

    でも・・・・




    「送ってくれてありがとう。あまり片付いてないけど、コーヒー淹れるから入って。」


    「今日は病人を送ってきただけ。もう帰るよ。」


    「えっ?病人って私のこと・・・?」


    「違うの?」


    「なんだ〜 心配して送ってくれたんだ〜 ごめんね、心配かけて。私なら元気だよ!ありがと(^O^)」


    「・・・・」




    玄関にいる二人に沈黙が流れた。

    咲希にじっと見つめられて、動揺を隠す為に目を逸らした。



    とにかく靴を脱いで部屋に入ろうとした。



    「えっと・・・コーヒー淹れるから。少しなら時間あるでしょ?」





    次の瞬間。





    咲希に抱き寄せられた。

    離れようとしたけど、熱のせいで力が入らなかった。



    「それって、抵抗してるつもり?」


    「・・・・」


    「先生って、無防備だね」


    「・・・そんなことないし」


    「スキだらけだよ」


    「あなたが強引なだけでしょ」


    「・・・・」


    「・・・・」





    「先生、靴履いてなかったら、小さいね」


    「も〜あなたが大きいんでしょ(>_<)」





    もう一度、咲希の腕から離れようとした。

    心臓の音が聞こえてしまいそうなくらいドキドキしていた。





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■21676 / inTopicNo.18)  16
□投稿者/ zoo 一般♪(16回)-(2012/11/05(Mon) 23:48:48)
    咲希は私を抱き締める腕を緩める前に、静かに言った。


    「先生の体、相当熱いよ。明日はちょうど土曜日で学校も休みだし、ゆっくり休んで。」


    それだけ言うと、咲希は優しく私を離し、玄関のドアを開けて出ていった。


    私は、ただその場に呆然と力無く座り込んだ。


    気付くと、咲希が置いていった紙袋が目に入った。
    中を覗いてみると、冷えピタや風邪薬、それからポカリスエットや野菜ジュース、ヨーグルトなど、ドラッグストアで買ったと思われるものが色々入っていた。

    そして、紙切れに“これは先生用”と書かれていた。

    私の為に??

    いつもクールで冷たいフリするくせに。。。
    かわいいことするんだから・・・。


    嬉しい。
    素直にそう思った。


    でも、その後、さっきまで咲希に抱き締められていたことを思い出し、顔から火が出るくらい恥ずかしかった。



    咲希は何考えてるの?
    デートする相手は何人くらいいるの?
    この間、告白された相手とはどうなったの?
    特定の恋人はいるの?

    私は、からかわれているだけ??


    色々なことが次から次に浮かんだ。



    こんなこと考える以前に、私と咲希は教師と生徒。
    おまけに、何歳離れてるの。。。

    私ったら何考えてるんだろう。。。



    でも、あの全てを見透かすような視線と、色気のある低く落ち着いた声で囁かれると、ドキドキするんだもん。。。

    咲希のバカーーー(>_<)


    その日は何もする気力がなく、化粧だけ落とすと、貰った薬を飲んで冷えピタ貼って、倒れるように眠りについた。




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■21677 / inTopicNo.19)  Re[16]: 16
□投稿者/ miya 一般♪(3回)-(2012/11/06(Tue) 01:04:19)
    連日の更新、ありがとうございます<(_ _)>

    いったいどんな結末を迎えるのでしょうか?
    妄想が・・・(#^^#)

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■21678 / inTopicNo.20)  17
□投稿者/ zoo 一般♪(17回)-(2012/11/06(Tue) 10:05:35)

    翌朝、目が覚めると、どうやら熱は下がっているらしく気分は良くなっていた。
    咲希から貰った薬や冷えピタのおかげかな。

    ありがとうね。

    心の中で呟いた。




    翌日の日曜日、久々に彼と会うことになっていた。
    会うことを避けていた訳ではないけれど、仕事が忙しくて時間がなかった。
    大概の場合、時間がないというのはただの言い訳で、会う気分ではなかったというのが本音だと思う。

    結婚・・・踏ん切りがつかない。
    今の学校で教師を続けたいし、離れた地へ着いて行くことにも不安・・・。

    理由はそれだけ・・・??

    もしかして咲希のことが気になってたりするの・・??

    馬鹿げてるよね。
    自分の生徒でもある若い女の子が気になって仕方ないなんて。
    現実をしっかり理解しなきゃ。
    35歳の私と18歳の若者では、何ひとつ話題だって合わないかもしれない。

    10年後、20年後のことを考えると、刺激はないけど優しい彼と結婚したほうが幸せなのかな・・・。

    そんなことを考えながら、彼との待ち合わせ場所へ向かった。



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