ビアンエッセイ♪

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■22148 / inTopicNo.21)  すこしづつ…21
  
□投稿者/ 桃子 一般♪(22回)-(2016/11/09(Wed) 14:55:34)
    2016/11/09(Wed) 14:57:45 編集(投稿者)
    2016/11/09(Wed) 14:57:06 編集(投稿者)
    2016/11/09(Wed) 14:56:21 編集(投稿者)

    席を立ったコウちゃんの背中に

    「ねぇ コウちゃん… 今夜 帰りたくない って言ったら困る?」

    コウちゃんは 振り向きながら

    「別に困りはしないですけど…」

    続けて

    「ウチ お客さん用のお布団しか用意してないんで 恭子さんは 自分と一緒のベッドになりますがそれでもいいですか?」

    「えっ?」

    「だって 恭子さんは お客さん じゃないでしょ(笑)」

    「バカ…」


    会話が途切れ 心地いい沈黙が流れた。

    それを破ったのは

    「ボチボチ休みますか?」

    コウちゃんの気負いのないひとことだった。

    「うん」

    先に立ったコウちゃんに 声をかけた。

    「コウちゃん!ありがと…やっぱ 今夜は帰る…」

    コウちゃんは 驚くことなく

    「そうっすか…」

    「怒った?」

    「いや全然 (^-^) 」

    「…明日も会える?」

    「ドアのカギはいつでも開いてます (^-^)」

    「うん…」

    玄関まで見送ってくれたコウちゃんに

    「おやすみ」

    「おやすみなさい」

    ドアノブに手をかけた時

    「ちょっと待ってください」

    「ん?」

    コウちゃんは 何も言わずに 私を抱きしめて 耳元で囁いた。

    「おやすみ のハグ っす」

    「ハグだけ?」

    少し からかいながら言うと…

    コウちゃんは 私を離し そのまま…額に…

    目が笑っていた。

    「あたし 小学生の子どもじゃないんだけどなぁ…」

    「すみません。当方 コレが精一杯のお子ちゃまなんで…」

    「バカ…お子ちゃまに あんな優しいキスはできないよ」

    軽く小突いてから部屋に戻った。


    「ドアのカギはいつでも開いてます」

    コウちゃんのこの言葉にウソは無く 本当に 開いている。

    いつの間にか 私は 連絡も入れずに

    「ただいま」と言いながら リビングに 入っていくようになった。

    返ってくるのは 必ず

    「おかえりなさい」

    一緒に帰る日も 一旦 自分の部屋に戻ってから 必ず コウちゃんの部屋で お茶を飲むようになった。

    帰る時は 「ハグ」と「おやすみのデコキス」…

    コウちゃんの目は 笑っている…

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■22149 / inTopicNo.22)  すこしづつ…22
□投稿者/ 桃子 一般♪(23回)-(2016/11/09(Wed) 15:01:12)
    1ヶ月が過ぎた。

    街に クリスマスソングが流れ始めた。

    「コウちゃん クリスマスの予定は?」

    「バイトです(笑)」

    「あのさぁ…もうちょっと他に言い方があるんじゃない?
     2人で迎える初めてのクリスマスなのに…バイト って…」

    「そういう恭子さんは どうなんですか?」

    「あたし?…もちろん…仕事( *´艸`)」

    「初めてのクリスマス なのに?(笑)」

    「オトナは クリスマスってだけでは休めないの!(笑) 」

    「でも…その日は 6時で終わるんで それで勘弁してもらえませんかねぇ…(笑)」

    「もう!そういうことは 早く言ってよね!」

    「仕事の後 何か予定あります?(笑)」

    「あるよ! めちゃくちゃ大事な予定が…」

    「なに?」

    「一緒に過ごす…よね?」

    「もちろん!」

    「ウチでいい?」

    「はい(^^♪」

    「どんなお誘いも断って帰ってきてね」

    「恭子さんこそ…大丈夫ですか?」

    「ぜ〜んぶ蹴散らしてくる!」

     本当に蹴散らさなくてはならないのは コウちゃんの方だろう…
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■22150 / inTopicNo.23)  すこしづつ…23
□投稿者/ 桃子 一般♪(24回)-(2016/11/09(Wed) 15:05:46)
    ディナーの準備は 前日から取り掛かった。

    メインの『チキンの丸焼き』は 2人で下ごしらえをして…

    当日

    「駅裏でも お客様に出すんで 一緒にオーブンに入れときます(^^♪」

    パンは 出勤前に ホームベーカリーのタイマーで 焼き上がりの時間をセットした。

    サラダとスープを作り コウちゃんが選んだワインを飲んだ。

    2人で片づけを終え コウちゃんが コーヒーを淹れてくれた。


    「電気 消して キャンドル点けよっか?」

    「いいですねぇ…(^^♪」

    ソファを背もたれにして リビングのフローリングに 並んで座った。

    コウちゃんの肩に頭を乗せて 黙って キャンドルを見ていた。

    コウちゃんとの沈黙は 何故か心地いい…


    「そうだ! クリスマスプレゼント…」

    「交換ですね(^^♪」

    「うん ちょっと待ってて」

    私は 隣の部屋に置いてあるプレゼントを取りに行った。

    (あれ…コウちゃん…手ぶらじゃなかった?)

    戻ると コウちゃんは 先刻と変わらない場所に座っていた。

    「コレ…気に入ってもらえるといいんだけど…」

    「開けてもいいっすか?」

    「うん」

    「うわ〜っ(^-^) これで 明日から 寒くないっす(*^-^*)」

    普段 自転車通学のコウちゃんに似合いそうな手袋とマフラーのセットは 喜んでもらえた(^^♪

    「自分は…コレを…」

    コウちゃんは 手袋を箱にしまうと ジーンズの後ろポケットから 小さな箱を出した。

    ラッピングを外しながら

    (ピアスかな?)…

    出てきたのは…シルバーのリングだった…

    「これ…」

    「ちっちゃいですけど 誕生石も入れてみました(^^;」

    「はめてもいい?」

    「もちろん!」

    「あっ でも…」

    「ん?」

    「コウちゃん はめて!」

    「あっ はい…」

    コウちゃんは 私の右手を取ると薬指に 静かにはめてくれた。

    シルバーのリングだと思ったら プラチナだった。

    「今度は 2人で選びに行きましょう」

    「うん…まさか…リングだったなんて…(*^-^*) 」

    「先走り過ぎました?(^-^; 」

    「ううん…そうじゃなくて…ホントは 欲しかったもん♪ 言えなかったけど…
     それに…右手…」

    「左は もうちょっと 待っててください」

    コウちゃんは ごく自然に言った。

    「うん…でも なるべく早くね(笑)」

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■22151 / inTopicNo.24)  すこしづつ…24
□投稿者/ 桃子 一般♪(25回)-(2016/11/09(Wed) 15:09:01)
    年末は 実家に帰ることになっていた。

    仕事納めの日 いつものように コウちゃんの部屋でお茶を飲みながら…

    「帰るの…年が明けてからにしようかなぁ…」

    「ご両親 待ってるんじゃないですか?」

    「それはそうだけど… コウちゃんのお誕生日 一緒に居られないじゃない!」

    「すみません…大晦日生まれで(笑)」

    「コウちゃんは お正月どうするの?」

    「さすがに ウチも お正月は 帰ってこい ってうるさいんで
    恭子さんと同じ 明日帰ります(笑) 」

    「そうなんだ…じゃ 今度会う時は…」

    「19歳です(笑) 来年もよろしくです…」

    「こちらこそ…」

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■22152 / inTopicNo.25)  すこしづつ…25
□投稿者/ 桃子 一般♪(26回)-(2016/11/09(Wed) 15:12:02)
    新年2日の夜 コウちゃんに電話した。

    「コウちゃん…」

    「どうしました? 何があったんですか?」

    普段通りのつもりだったのに…声だけでわかるのだろうか…

    「ごめん…」

    声を聴いている内に 涙が出てきた。

    「話せますか?」

    「うん…父が …リング見て…誰からもらったんだ って しつこく訊くから
     付き合ってる大学1年の子にもらった って言っちゃった…」

    「お父さん びっくりしたでしょうねぇ…」

    コウちゃんの声は いつも以上にのんびりしていた。
     
    「うん。女の子だって言ったら ふざけるなって怒鳴って…そのあとは とにかく  会わせろって…しつこくて…年明け早々 グチっちゃってごめん…」

    「いやいや…大変な年明けにしちゃって…ごめんなさい」

    続くコウちゃんの言葉は 意外なものだった。


    「3が日の間は 遠慮した方がいいのかもしれないけど…
     そんなこと言ってる場合じゃないっすね…明日 佐々木家のご都合は?」

    「明日は 何の予定もないけど…」

    「だったら 明日の午後1時半に お邪魔します」

    「大丈夫?」

    「大丈夫っすよ(^.^) いきなり 取って食われることはないでしょ(笑)
     それに…恭子さん ひとりで泣かせるわけにはいかないじゃないですか!」

    「そんなこと…」

    「ない ってことないですよね(笑)」

    「なんでわかった?」
    「う〜ん…なんとなく…(^-^) とにかく 明日 お父さん 捕まえといてください(笑)」

    「うん…ごめんね…ありがとう…」
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■22153 / inTopicNo.26)  すこしづつ…26
□投稿者/ 桃子 一般♪(27回)-(2016/11/09(Wed) 15:16:21)
    翌日 コウちゃんは 時間通りに来てくれた。

    和室に案内し 2人で 両親を待った。

    しばらくして両親が部屋に入って来た。

    コウちゃんは 座布団を外して 挨拶してくれた。

    「恭子さんとお付き合いをさせて頂いている 坂本 宏海 と言います」

    「恭子の親です」

    父の方が 緊張しているように見えた。

    「恭子は 席を外しなさい」

    「えっ…」

    コウちゃんは 私を見ることなく 落ち着いた表情で 父を見ていた。

    その横顔が

    「大丈夫」と 言っていたので 私は リビングに戻った。

    しかし 何も手につかず 廊下を ウロウロするだけだった。


    1時間後

    コウちゃんが部屋から出てきた。

    「どうだった?」

    「うん…伝えたいことは 聞いて頂けたと思う…」

    「コウちゃん お茶…」

    「ありがとう…でも 今日は これで失礼します…」

    「そんな…」

    「大丈夫だから…」

    両親は 見送りに出てこなかった。

    「駅まで 一緒に…」

    「今は おうちに居てください…」

    「なんか 色々 ごめん…」

    「大丈夫 (^-^) いつかは通らなくっちゃいけなかったんだから…
     こっちこそ 新年早々 押しかけてかけてしまって…ご両親によろしくお伝えください」

    コウちゃんは 何事もなかったかのように 穏やかに 帰って行った。

    リビングに戻ると 母が アレコレ荷物を作っていた。

    「お母さん 何してるの?」

    「あんた いつまで ボーッとしてるの? コレ持って サッサと帰りなさいっ!」

    「えっ?」

    「坂本クン ひとりで帰らせて平気なの?」

    「だって…大丈夫だから 家に居ろって…坂本クンが…」

    「大丈夫なわけないじゃない…
     ひとりで 受けて立ったのよ…それが どんなことか…
     今から 車で走れば 坂本クンより早く着くでしょ…さっ…早く…」

    「わかった…」

    10分後…

    「じゃ 帰るね…おせち ありがとう…」

    珍しく 父が玄関まで見送りに来た。

    (コウちゃんの時は 出てこなかったクセに…)は 顔に出さず

    「帰ります」とだけ 挨拶した。

    父は

    「これからは 坂本クンと2人で遊びに来なさい」

    とだけ言って 奥に引っ込んだ。

    母は 何も言わず笑顔だった。
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■22154 / inTopicNo.27)  すこしづつ…27
□投稿者/ 桃子 一般♪(28回)-(2016/11/09(Wed) 15:18:43)
    2016/11/09(Wed) 15:19:08 編集(投稿者)

    部屋の前で コウちゃんを待った。

    しばらくすると エレベーターから コウちゃんが降りてきた。

    コウちゃんは 俯いていて 私に気がついていない。

    「コウちゃん!」

    足を止めたコウちゃんは ビックリした顔で

    「どうしたんですか?」

    「帰ってきちゃった…」

    「えっ…」

    「寒かったでしょ…中に入って…」

    「うん…」
     
    ドアを閉めて…部屋に上がろうとしたら…コウちゃんに 後ろから 抱きしめられた。

    「コウちゃん?」

    「ごめん…ちょっとだけ…このまま…」

    「うん…」

    「よしっ エネルギー補給 完了(^-^)」

    コウちゃんが 離れた。

    「どうしたの?」

    「いや…ちょっと 充電(^^;」

    「それだけ?」

    「うん(笑)」
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■22155 / inTopicNo.28)  すこしづつ…28
□投稿者/ 桃子 一般♪(29回)-(2016/11/09(Wed) 15:22:48)
    おせちをつまみながら 日本酒を飲んだ。珍しく コウちゃんが 酔った。

    口数が少なくなった分 笑顔になって そのまま 静かに寝てしまった…

    あどけない寝顔を見ていたら 母から電話が入った。

    「坂本クンに会えた?」

    「うん。今 一緒にいる…」

    「今日のこと なんか言ってた?」

    「会わせてもらえてよかったって…」

    「それだけ?」

    「うん…お父さんが「これからは 2人で遊びに来るように」って言ってくれたことを伝えたら
     すごく ホッとしてたけど…あとは 何も…」

    「そう… 今日 お父さん 坂本クンに 何も言えなくなっちゃったの…」

    「えっ?」


    「2人の付き合いを認めたら 孫の顔を見ることができない って 言ったら…
     坂本クン 何て答えたと思う?」

    「そんな…」

    「子どもは 父親と母親の下に生まれてくるべきであって 不自然な形は考えていないって…
     恭子が 子どもを望むなら 別れは恭子が決めることだって 言ったの…
     2人で話し合うんじゃなくて 決定権は 恭子が持っている って 言い切ったの…
     カッコよかったわよ(*^-^*) 私も もうちょっと若かったら…(笑)」

    「やめてよね(>_<)」

    「冗談よ(笑) それとね…坂本クン…」

    「なに?」

    「お父さんに 一度も お父さん って言わなかったの…」

    一瞬 母の言っている意味がわからなかった。

    「ほら ドラマなんかで よくあるでしょ 『おまえに お父さんと呼ばれる筋合いはない』ってやつ…
     お父さん 自分が おじいちゃんに やられたから 坂本クンに リベンジするつもりだったのに
     坂本クン 最後まで『佐々木さん』だったの…完全に お父さんの負け…(*^-^*) それからね…」

    「まだ 何かあるの?」

    「お父さん 坂本クンが帰る時 見送りに出なかったでしょ?」

    コウちゃんは 何も言わなかったけど 私は 気になっていた。

    「それ すっごく気になってた…どうしてなの?」

    「お父さん 立てなかったの」

    「えっ?」

    「慣れない正座で カッコつけちゃったから…」

    「なに それ? 足 しびれたってこと?」

    「そう(笑) 坂本クン それに気付いてね…
    『恭子には黙っていてください』って言って帰ったの…
    『黙っておきます』じゃなく『黙っていてください』 この違いわかるわよね?
     お父さん…坂本クンの前で ボロボロだったんだけど 最後のひとことに グッときたみたいで
    『恭子のこと 本当に大切に思ってくれてるんだな』って…
     親にとって それ以上のことってないからね…いい人に出会えてよかったね」

    (だから コウちゃん 顔を合わせないように お茶も飲まずに帰ったんだ…)

    「うん。ありがとう…」

    「じゃあね…これからは 1人で家に帰ってきても入れてあげないからね(笑)」


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■22156 / inTopicNo.29)  すこしづつ…29
□投稿者/ 桃子 一般♪(30回)-(2016/11/09(Wed) 15:26:14)
    2016/11/09(Wed) 15:27:08 編集(投稿者)

    母の電話を切ったあと 改めて コウちゃんの寝顔を見つめた。

    (19歳になったばかりだと言うのに…キミのその落ち着きは 何処からくるのかなぁ…)

    (でも…) 玄関での後ろハグ を思い出した。

    (キミだって…酔って眠ってしまうほど緊張してたって思っていいのかな?…充電』って言ってたよね?)


    片付けが終わっても コウちゃんは 起きる気配が無い。

    どんな夢を見ているのか…表情は 楽しそうだ…起こすのも なんだか…だったので そのまま寝かせることにした。

    マットレスを敷いて コウちゃんを転がした(笑) 枕に頭を乗せて 掛け布団をかけた。

    そして…私も そのままもぐりこんだ。コウちゃんの右腕を枕にした。
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■22177 / inTopicNo.30)  感想です
□投稿者/ 飛鳥 一般♪(1回)-(2017/01/22(Sun) 17:50:44)
    とても面白く
    すごく感動しています。
    続き楽しみにしています♪
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■22180 / inTopicNo.31)  飛鳥さんへ
□投稿者/ 桃子 一般♪(31回)-(2017/02/02(Thu) 14:24:07)
    感想 ありがとうございます。

    今後もよろしくお願いしますm(__)m

引用返信/返信 削除キー/
■22183 / inTopicNo.32)  NO TITLE
□投稿者/ miya 一般♪(1回)-(2017/02/12(Sun) 19:54:02)
    物語に引き込まれ、あと言う間に読んでしまいました。
    続きを楽しみにしています^^
引用返信/返信 削除キー/
■22184 / inTopicNo.33)  miyaさんへ
□投稿者/ 桃子 一般♪(32回)-(2017/02/19(Sun) 00:55:53)
    コメント ありがとうございます。

    これからも よろしくお願いします(^^♪
引用返信/返信 削除キー/
■22185 / inTopicNo.34)  すこしづつ…30
□投稿者/ 桃子 一般♪(33回)-(2017/02/19(Sun) 01:00:43)
    夜更けに目が覚めた。外はまだ暗い。

    コウちゃんの胸に耳を当てると 規則正しいリズムが響いてきた。

    心臓の音だろうか…呼吸のリズムだろうか…

    「何か聞こえますか?」

    コウちゃんの声がした。

    「ごめん 起こしちゃった?」

    「いえ…」
    「ここ 何処だかわかる?(笑)」

    「すみません 後片付けもしないで…」

    「気にしないで(笑) こうやって 寝込み襲わせてもらったから…」

    「えっ?」

    「ジョーダンよ (まだ)何もしてない…ちょっと 右腕を借りただけ…」

    そう言って もう一度 コウちゃんの腕に 頭を乗せた。

    「重かった?」

    「いえ… なんか 気持ちよく熟睡してました(^^;」

    体の向きを変えたら 視線が重なった。

    コウちゃんの体を ゆっくりと仰向けにした。

    それにつられて 私の体が コウちゃんの上に乗った。

    お互いの視線はそのままだ。

    ゆっくりと コウちゃんの方へ体を倒した。

    唇が重なった瞬間 目を閉じたのは 2人同時だった。

    あの夜の公園での優しいキスとは違う 何かが2人の間に流れた。

    (まだ流されちゃいけない…)


    「コウちゃん…部屋に帰った方がいいよ」

    コウちゃんより先に言った。

    「そうします」

    多分 コウちゃんも同じことを考えていたと思う。

引用返信/返信 削除キー/
■22186 / inTopicNo.35)  すこしづつ…31
□投稿者/ 桃子 一般♪(34回)-(2017/02/19(Sun) 01:06:55)
    シャワーを浴びたら 目が冴えてしまった。

    (コウちゃん もう寝たかな?)

    さすがに 本気で寝込みを襲うことは出来ない(笑)

    ぼんやりと窓の外を眺めながら 夜が明けるのを見ていたら

    コウちゃんから Line が届いた。

       起きてたら コーヒー 飲みに来ませんか?

    (うそっ…なんで…)

    すぐ 部屋を出た。

    リビングに入ると シャワーの後の 少しさっぱりした顔のコウちゃんが

    笑顔で マグカップを手渡してくれた。

    「来ちゃった…」

    「呼び出しちゃった…寝てた?」

    「ううん 起きてた。なんか眠れなくなっちゃって…」

    「そっか…」

    「うん…Line ありがとう…ちょうど コウちゃんのこと思ってた時だったから
    ビックリした(^-^)
     なんでわかったのかなって…」

    「それはね…自分も 恭子さんに『会いたい』って思ったからです(笑)
     ずっと一緒に居て 会いたいもヘンですけど…(^^;」 

    「そっか…」

     コウちゃんの言葉を真似した。全てが府に落ちたような気がした。

    「コウちゃん!」

    「ん?」

    「あたし 今なら もう1回 眠れそうな気がする…」

    「うん…ベッド行く?」

    「帰れって言わないの?」

    「言った方がいいっすか?(笑)」

    「ヤダ!」


    2人でベッドに入った。

    「改めまして おやすみなさい(笑)」

    コウちゃんは 黙って右腕を出してくれた。

    私も黙って 頭を乗せた。

    先刻 眠れないと思ったのは この右腕が無かったからだ…と気がついた。

    そのまま 朝まで ぐっすり眠った…

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■22187 / inTopicNo.36)  すこしづつ…32
□投稿者/ 桃子 一般♪(35回)-(2017/02/19(Sun) 01:09:33)
    「おはようございます(^-^)」

    コウちゃんの声で 目が覚めた。

    「おはよう」

    「食事の支度が整いました(笑)」

    「えっ…」

    「軽くですけどね(笑)」

     テーブルには クロワッサンとサラダが 用意されていた。

    「何時に起きたの?」

    「20分くらい前かな…」

    コウちゃんが カフェオレを淹れながら言った。

    「全然 気がつかなかった…」

    「よく眠れましたか?」

    「うん…コウちゃんは?」

    「爆睡でした(^^;」


    「コウちゃん 今日 付き合ってほしいところがあるんだけど…」

    食事をしながら 切り出した。

    「何処へでもお供します(*^-^*)」

    「じゃ 1時間後に駐車場で!」

    「了解しました」
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■22188 / inTopicNo.37)  すこしづつ…33
□投稿者/ 桃子 一般♪(36回)-(2017/02/19(Sun) 01:13:13)
    新年最初のお出かけは 不動産屋さん巡りだった。

    今の部屋は 父と折半で家賃を払っているが

    定年まで 日本に帰ることはないと決まったので

    次の更新はしないことにしたのだ。

    コウちゃんと離れるのは 本望ではないけれど…

    ひとりで 家賃を賄えるほどの高給取りではない…

    そこは 冷静に考えなければならなかった。

    3月末の期限までに 新しい部屋を見つけなければならない。

    これからしばらくは 部屋探しが続くことになる…

    コウちゃんは 黙って聞いていた。


    午後から 2件の物件を回ったが…どれも 少しずつ 納得が出来ず…

    何も決められなかった。

    「付き合ってくれてありがとう…」

    「いえいえ…」
    「焦らないで探すね…」

    「それがいいと思います(笑)
    ところで ひとつ お薦め があるんですけど 行ってみます?」

    「今から?」

    「はい(^-^)」

    初めての道を コウちゃんのナビで走って 着いた所は…今のマンションだった。

    駐車場に車を止めて コウちゃんを見た。

    「トイレ・バス・キッチン・リビングは共同で
     恭子さんが自由に使える部屋は2部屋しかないけど…  
     ここで待ってるんで 見終わったら電話ください(^-^)
     部屋は 815 カギはこれです(^-^)」

    815は コウちゃんの部屋だ。

    「何も見なくていい! ここに決める!」

    「一件落着ですね(^^♪」
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■22189 / inTopicNo.38)   すこしづつ…34
□投稿者/ 桃子 一般♪(37回)-(2017/02/19(Sun) 01:15:23)
    夕食は 実家から貰ってきた ハムをステーキ風に焼いた。

    「ねぇ ホントにいいの?」

    「ん?」

    「部屋…」
    「もちろん(^-^) ひとつは寝室 もう1部屋をプライベートで使ってください…」

    「コウちゃん…」

    「はい?」
    「寝室は 一緒がいい(^-^)」

    「あっ…うん…はい…」

    コウちゃんの 照れた顔が 可愛かった(^^♪

    「お父さんの休暇が終わる前に ちゃんとご挨拶した方がいいですかねぇ…」

    「『娘さんをください』みたいな?(笑)」

    「いきなり ソレっすか?…先ずは ルームシェアの許可じゃないですか?(笑)」

    「え〜言ってくれないの?(笑) 」

    「それは 何れまた…ってことで…」

    「なんだ つまんない…」


    実家に電話をしたら…

    「ヒロ君に迷惑をかけないように」で終わってしまった…

    この様子だと 『娘さんを…』の出番は無いかもしれない…(笑)

引用返信/返信 削除キー/
■22193 / inTopicNo.39)  すこしづつ…35
□投稿者/ 桃子 一般♪(38回)-(2017/03/01(Wed) 14:15:23)
    コウちゃんのスマホが鳴った。

    「うん…」

    「わかってる…」

    「そんな 勝手に決められても…」

    「あ〜ハイハイ…じゃ あとで 連絡します…」

    (ひょっとして お母さん?)

    「実家からでした…」

    「お母さん?」

    「はい…」

    「コウちゃん 随分 ぶっきらぼうになるんだね(^^♪」

    「そんなことはないと思いますが…(笑)」

    「お母さん なんて?」

    「今度の土曜日 この間 挨拶に行った彼女と一緒に遊びに来いって…」

    「一緒にって…あたし?」

    「他に誰がいます?(笑) 」

    「今度の土曜日って 明後日じゃない!…心の準備が…間に合わない…」

    「やめときます?会いたくないって言ってた って伝えときます(笑) 」

    「バカ…」
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■22194 / inTopicNo.40)  すこしづつ…36
□投稿者/ 桃子 一般♪(39回)-(2017/03/01(Wed) 14:18:40)
    土曜日…コウちゃんの実家に向かった。

    「どうしよう…緊張してきた〜」

    「大丈夫ですよ(笑)」

    (コウちゃんも ウチへ来てくれた時は こんな風だったのだろうか…)

    (いや…あの時 コウちゃんは ひとりだったから…あたしの緊張とは 比べ物にならない…)


    15分後…到着。

    コウちゃんは インターフォンを鳴らし

    「ヒロです…」

    「おかえり〜(^-^)」

    玄関のドアを開けてくれたのは…

    『駅裏』のマスターの奥様だった。

    (えっ Madam?…ってことは マスター?)

    「フフフ 驚いた? さっ 入って!」



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