| 珠は、生きてゆくためにスージーの提案で、彼女の職場で働くことになった。 ある日、スージーは珠を散歩に連れていった。 スージー「私たちの国、見て気づくことない?」 珠「分かりません…」 スージー「よく見て。女しかいないでしょう? 貴方みたいに他の世界から来た人には驚きでしょう?」 珠「そうですね。あ、どうして私が他の世界から来たとわかったのですか?」 スージー「悪いけど、貴方のこと調べさせてもらったわ。それでわかったのよ。怪しい人だともう思ってないので、安心してね。」 珠「はい…。」 スージー「ほら、あの二人、夫婦なのよ。この国では、女同士で結婚するし、秘密の薬を使って子供を産むこともできるの。この国は、完全な女社会なのよ。」 珠は、スージーの目線が向けられた夫婦を見た。 珠『男がいないだけで、あとは、村と変わらないのね』 スージー「それで、この国をまとめる一番偉い方が皇帝。私は、その皇帝のお妃様たちの美容施設、湯殿を管理している…。つまり、湯殿の一番偉い人といえるかな…。」 珠「私は、その施設で働くのですね。」 スージー「ええそうよ。今から施設にも案内するわ。」 湯殿は、甘い花の香りがした。バラ風呂、カラフルな色のお風呂、エステやマッサージ室、健康食品のお店などがあり、お妃様だけの美容のための施設だった。 スージーは、湯殿で働く人たちに珠を紹介した。皆、温かい笑顔で珠を受けいれた。 湯殿で働く女性がスージーに話掛けた。 「スージー様、皇帝から手紙が届いています。」 スージーは、すぐに手紙を開けた。 「早い!昨日、届を出したばかりなのに。もう陛下は、珠のことを知っているのか。珠、近々、皇帝に挨拶に行くわよ。」 珠「こ、皇帝に…!」
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