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二丁目はクリスマス前の休日で、流石に早くから賑わっていたが
別にいつもと同じ感じ

そろそろここも卒業しなきゃな…来年からは社会人なんだし

なんとなく呟いてみる


イベント会場の店に入り
スタッフ控え室で、ネクタイから黒の蝶タイに変え、フロアに出る
晃が、派手な紫色のスーツ姿で、満面笑顔で寄って来た

「かっこいいねぇ…相変わらず、こまし屋して」

勘弁してよ…紫か？紫って色はねぇ高貴な色って相場が…

「１３人も新規に呼んでくれてありがとね」

今夜までに、友達や知人、元カノや、元々カノらに
１人２ドリンク付き、3500円のチケットを売り付けた
高額のギャラを受け取るというのは、そういう事だ

手にしていた茶封筒を、晃に差し出した

「ここ来るまでに７人にチケット売って来た。チケット代金」
「おぉ流石風人！感謝！」

その夜のホールスタッフは、ほとんど知り合いばかり

「いいなぁ身長高くて！１７１�pかぁ」
数回寝たタチの子が、羨ましそうに見上げる

…カレは普段はタチだが、僕と寝た時は受け

「２・３回振り固めして下さいよ風人さん」
「あぁするか…」

ギャラの中には、お客のエスコート役、ドリンク運び、話し相手の中に
二回のショータイムでの、歌とダンスが含まれている

俺、もとい僕が急遽ということで
前回のダンスと歌を、少しアレンジすることになっていた

「最初はカウントで…良い？」
「いいっす！先輩」

少し高いステージに立ち並び、カウントを取ろうとした時
慌てたように店に入って来た、黒服のスラリとした子が目に入った

「あ〜こっちだよ！」
晃が呼びかける
「すみません遅れてしまって！」

「初めてだよね？メインのボーイの風人くん。彼女は澄怜ちゃん」

澄怜…すみれ？

「わぁ…」
いきなり彼女は、感嘆の溜息混じりの声を上げ、大きな目をさらに大きくした

なんて大きな目だ…

「貴方が有名な風人さんなんだ？」

有名なってねぇ…

「ずっと逢ってみたいと思ってたんだ風人さんに…あぁ…今夜が楽しみ」

大きな目が潤んだような…？

ちょっと待て…いきなり誘ってるのかそれは？

「澄怜です。宜しくお願いします」
「踊る人？」
「はい！一応臨時のバックで」
「じゃ後ろ付いて適当にみんなの見て、時間が無い」
「はい！」

元気に答え、ステージに上がった澄怜の細い黒服の背中に
１つに結んだ長い黒髪が揺れていた


お持ち帰り決定か？

当然だろ…かなり好み

突然やる気が出てきたじゃない！