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■19146 / 1階層)  10年間 -19の秋-
□投稿者/ sakura 一般♪(2回)-(2007/05/27(Sun) 03:34:46)
    −19の秋−

    札幌の秋は短い。
    なるほど、どうしてこっちじゃ10月に体育祭だの運動会だのしないのかわかった!!・・・既に寒いもんね(笑)
    夏休みは実家でのんびりして、それから初めての試験が終わって、大学の講義も「後期」の日程に入っていた。
    後期は木曜日が一日フリーになるように講義を組んでみた。・・・意外と1年生ってヒマかも・・・。
    そんなわけで、桜庭病院に通うのも、木曜日に変更。
    ・・・つ〜か、後期も永野先生にこき使われまくり決定?めげずについていくアタシも、たいしたもんだと思う。。。

    吉野教授が、いったいぜんたい何をやらせようとしたのかはいまだにナゾ。
    でも、相変わらず朝早くから桜庭病院に行って、永野先生のお手伝いからボランティアの一日ははじまる。
    「これとこれの記録をこっちのシートに写して」
    「これ、届けといて」
    「ここ、片付けといてくれる?」
    ・・・はあぁ。完全に「秘書」状態。。。
    なんでこんなことしなくちゃなんないの〜〜???ってカンジの午前半日。

    午後になると、メンバーさんたちとあれこれ作業をしたりするんだけど、お昼ご飯食べてるといつもため息がでてくる。
    「亜紀ちゃん、大丈夫?なんかタマシイ抜けてるよ?」
    メンバーさんたちが心配してくれる。
    「・・・永野先生のお手伝いって、ホントに胃が痛いんですよ〜〜・・・なんか、いっそのこと『バイトにしてくれよっ!』ってカンジです・・・」
    ちょっとグチグチいいながらおにぎりを食べてたら、根本ナースがコクコクうなづく。
    「むっちゃん先生の秘書だもんねっ!亜紀ちゃん(笑)」
    「なんでこんな目に・・・あうぅ。」
    「でもさ〜、むっちゃん先生とこれだけ長いこと付き合わされる学生さんって、今までいなかったかも。」
    「ええぇ??マジですかぁ?なんでアタシ・・・?」
    「う〜ん・・・『使い勝手がいい』んでしょうね、たぶん。」
    根本さんがなんとも言えない同情の目をアタシにくれる。
    「それにしたって、永野先生、厳しすぎるんですよ〜!秘書ってか、奴隷??全然笑わないし、おしゃべりもしないし、午前中はいっつも胃がキリキリしますよ〜」

    「・・・胃薬でも出しとく?」

    背後から声がして、ギョッとした。
    「なっ・・・なななっ・・・ながのせんせえぇぇ!」
    おにぎりが鼻から出そうになった。
    「今日から、午後はプログラムに参加してもらうわ。ちょうど木曜日だし。1時半になったら、ミーティングルームに一緒に入って。」
    永野先生はそれだけ言うと、またしてもカツカツどこかへ行ってしまった。
    「おぉっ!亜紀ちゃん、いよいよ訓練デビューかぁ。めずらしいねっ1年生で訓練にいれてもらえるなんて!」
    「くんれん・・・なんですか?それ?」
    一緒にお昼を食べていたメンバーさんがニコニコしながらアタシに教えてくれる。
    「おもしろいよ〜!永野っちなんか『まるで別人』なんだからっ」
    別人?よくわかんないまま、アタシの「訓練参加」は始まった。


    ・・・なんぢゃ、これ?!
    どうも、リハビリの一種みたいなんだけど。
    それより何より、目の前でニコニコ、元気よくペラペラしゃべってるあの医者、だれよっ?!
    これまで見たことのない永野先生だった。
    目がすごくキラキラしてて、ものすごい大きな声でしゃべってる。
    「今の雰囲気はすごくいいよっ!もっと笑ってごらん!」
    「みんなはどう思う?」
    「いい感じ!さっきの話し方より、だんぜんこっちの方がいいじゃないっ!ステキよっ!」
    ・・・アタシはまたしてもあいた口がふさがらなかった。

    訓練が終わって、アタシは永野先生あのちっちゃな診察室で二人きりになった。
    「これから、斉藤さんには今の訓練に毎週入ってもらうから。」
    「へっ?アタシがですか?」
    「そう。とりあえずこれとこれ、これも読んでおきなさい。しっかり勉強するのよ。」
    先生は重たい本をアタシにずっしり渡した。。。なんでこんな目に。。。
    「が、がんばりますうぅぅ・・・」なんか、もう、泣きたくなってきた。。。


    途方にくれるアタシをみて、永野先生はアタシの頭をくしゃっと撫でた。
    「あなた、頑張り屋さんみたいだから。大丈夫よ。しっかり指導してあげる」
    先生はそういうと、アタシの目をしっかり見つめて、笑った。
    ・・・初めてアタシに見せてくれた笑顔。
    さっき見た時みたいに、すごくキラキラした瞳だった。
    思わず、アタシも「やってみますっ!」って勢いよく返事をして、笑った。

    ・・・でも、次の瞬間、また胃が痛くなってきた。

    ・・・このずっしりした本、全部読むの〜〜???
    どうなるの?アタシの学生生活?

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