ビアンエッセイ♪

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■15516 / ResNo.50)  僕の居場所33
  
□投稿者/ チョビ 一般♪(48回)-(2006/07/30(Sun) 10:23:23)
    そろそろいいかな〜と思って、僕は病室に戻ることにした。
    廊下を歩いていると、向こうから歩いてくる江利子さんが見えた。

    「あっ、もういいんですか?」
    僕が声をかける。
    「ええっ、お待たせしました。終わりましたので。」
    相変わらず、穏やかな口調で話しかけてくる。
    「そうですか、じゃあ僕は悠稀の所に戻りますね。」
    そう言って、歩き出そうとしたところを呼び止められた。

    「天さん・・・」
    何かと思って振り向く。
    今までの江利子さんからは想像できないような、
    怒ったような真剣な視線をむけられた。

    「会長がおっしゃっているので、今回の件は私からは何も言いませんが・・・
    今後、会長を傷つけるようなことは、決して、しないでください。」
    僕の顔から目をそらさずに、彼女は、一言づつ、しっかりと言葉にしていく。

    ああっ、きっと、この人も・・・悠稀のことが大切なんだ・・・
    何も言い返せないよ。

    「・・・はい、すみません。」
    僕は深々と頭をさげる。
    それ以外に思う言葉はなかった。

    するとその頭をぽんぽんと叩かれた。
    「あなたは・・・素直な方ですね。会長もそこに惹かれたんでしょう。」
    僕が頭を上げると、そこにはいつもどおり笑っている江利子さんがいた。
    「早く会長のところへ行ってあげてください。」
    「はっ、はい。」
    急に穏やかな雰囲気になったのに、一瞬ついていけなかったけど、
    僕は慌てて悠稀の病室に向かった。


    病室に入ると、悠稀はベットの上で
    江利子さんが持ってきたらしい書類を読んでいた。

    「おかえりなさい、ごめんなさいね、お待たせしてしまって。」
    「いや、全然。さっきそこで江利子さんと会ったから。
    それにしても、書類がたくさんあって、大変だね・・・」
    僕は悠稀が見ている書類を覗き込んだ。
    各部の活動内容から、昨年度の予算、会計報告、今年度の予算案など、
    細かく書かれていた。
    うわ〜・・・こんなの全部見るんだ・・・すごいな・・・

    「天も手伝ってもらえるかしら?」
    「うっ、うん・・・なにをしたら良い?」
    「とりあえずあなたが見てきてくれた部活だけでいいから、
    報告書に目を通してほしいの。」
    「うん、わかった。」
    そういって、悠稀から報告書の一部をもらう。

    うわ〜・・・一部だけでもこんなにあるんだ・・・。
    しばらく報告書とにらめっこしていたけれど、
    悠稀のため息で彼女の方へ目をやる。
    ちょっと疲れた顔してる・・・のかな?

    「大丈夫?少し休んだら?昨日の今日なんだから。」
    「ありがとう、そうね、無理してもしかたないわね。」
    「うん、僕のことは気にしないで、これ読んだら勝手に帰るから。」
    「そう、じゃあ、少し横になるわ。」
    そういって悠稀はベットに横になると目をとじた。

    僕はそのまま江利子さんが持ってきた報告書を眺める。
    各部の活動内容が細かく記載されていて、
    これを悠稀は全部把握してるのか〜・・・すごいな・・・
    それからしばらく、報告書を読むのに集中していた。

    一通り読み終えて、ふと顔を上げると、寝ている悠稀の横顔が目に入る。

    まつげも長くて・・・やっぱり・・・すごく綺麗な人だ・・・
    彼女はゆっくりと寝息を立てて、寝ているみたいだ。

    僕はそっと彼女に近づくと、ベットに手をついて・・・見とれてしまった。

    こんな綺麗な人に怪我させたんだよね・・・僕・・・

    綺麗で、仕事もできて、いつも周りから注目されてる有名人・・・

    この人のそばにいるのには、今の僕じゃやっぱり釣り合いがとれないよね・・・

    僕にできることはなにがあるかな・・・

    悠稀の側にいてもおかしくない人間になりたいよ・・・

引用返信/返信 削除キー/
■15517 / ResNo.51)  僕の居場所34 side悠稀
□投稿者/ チョビ 一般♪(49回)-(2006/07/30(Sun) 10:33:51)
    暗闇の中で目を覚ます。
    少しの間眠ってしまったのかしら。
    昨日の今日では、やはり体が疲れているのかもしれない。
    縫い合わせた傷口が、ずきずきと痛む。少し熱もあるのかもしれない。

    私の告白をあの子はどう思っただろう?
    縛り付けている・・・。
    そう思ったけれど、
    今あの子が私のそばにいてくれることが嬉しくて、何も言い出せなかった。

    ベッドから体を起こすと、
    ベッドうつぶせるようにして寝ているあの子をみて驚いた。
    帰ってしまったと思っていたのに。

    そっと手を伸ばして、髪に触れる。
    さらさらでやわらかい猫っ毛だった。
    この子も疲れてたのね、昨日は眠れなかったのかしら。

    しばらくそのまま眺めていたけれど、もうすぐ夜になってしまう。
    心残りはあったけれど、真夜中にこの子を返すわけにはいかないし、
    明日の授業にも差し支えるだろう。

    頭をなでていた手を肩に移動し、少し力を込める。
    「天・・・天。」
    「んっ・・・あ〜・・・」
    しばらくぼんやりとした顔で、私を見つめていたけれど、
    はっとしたように慌てて立ち上がる。
    「うわっ、ごめん。僕寝ちゃってた。」
    がたんと音がして、椅子を後ろにひっくり返している。
    「ああっ、ごめっ・・」
    慌てて椅子を戻そうと、ばたばたと動き回るあの子が、とてもいとおしく思える。

    「いえ、いいのよ。疲れていたんでしょう。
    もう暗くなるから、帰ったほうが良いわ。デュークも待っているでしょう?」
    「うっ、うん。じゃあ、また来るね。悠稀。」
    「気をつけておかえりなさい。」
    ドアの前であの子が振り向く。
    「それじゃあ、おやすみなさい、悠稀。」
    そういって部屋を出て行く。

    「・・・おやすみなさい。」
    天が部屋を出た後に、小さな声でつぶやく・・・。
    当たり前かもしれないたった一言が、震えるほど嬉しかった。

引用返信/返信 削除キー/
■15518 / ResNo.52)  僕の居場所35
□投稿者/ チョビ ちょと常連(50回)-(2006/07/30(Sun) 10:55:18)
    それからときどき、悠稀のお見舞いに行った。
    学校であったことを話したりとか、
    僕が前に覗いていた部活の活動内容なんかの話をした。
    彼女はときどき考え込んだりメモをとったりしていて、
    なんとなく、僕の話が役に立ってるみたいで、少し嬉しかった。

    クラスの人には、10日くらいで退院できるって伝えた。
    もっといろいろと聞かれるかと思ったけど、
    僕が言う前に、なぜかみんな知っていた。
    暴漢に襲われそうになっていた悠稀を僕が助けたことになっていて、
    違うって否定しようとしたら、江利子さんに止められた。
    その方が波風が立たなくて、悠稀の希望でもあるって言われたので、黙っていた。
    ほんとは、悠稀の方が僕を助けてくれたのにな・・・

    悠稀を助けたってことで、転校早々からずっと学校を休んだり、
    休み時間にいなかったりしたせいでクラスで浮いていた僕は、
    何かとクラスメイトに話しかけられるようになった。

    なんだか・・・、これもみんな悠稀のおかげなんだろうな・・・。

    そういえば、空手部だけ、まだ部活中を覗いてなかった。
    前のときは、あんなことになってろくに見られなかったし。
    部長は苦手だけど・・・また行ってみよう。
    少しでも僕が悠稀の負担を減らしたい。

    そう思った僕は、明日は空手部を見に行こうと思った。
    けど・・・そのときの僕は、
    空手部の部室であんな話をされているなんて思いもしなかった。

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■15519 / ResNo.53)  僕の居場所36 行間
□投稿者/ チョビ ちょと常連(51回)-(2006/07/30(Sun) 10:56:46)
    〜部室にて〜

    部活終了の時間はとっくに過ぎ、もう夜と呼ばれるのに十分暗くなった時間・・・

    「なにっ!それは本当か!」
    「はいっ、たまたま公園を通りかかった人から聞いた話しだったようですが、
    最初は神崎のやつが喧嘩をしていたようで・・・」
    部室で2つの黒い影の話し声が聞こえる。

    「なんだと・・・
    じゃあ、あいつの喧嘩の巻き添えで、悠稀様が入院しているということか。
    なんてことを・・」
    ひとつの影が立ち上がり、ダンっと部室の壁を殴る音が響く。

    「あいつを空手部に呼び出す、思い知らせてやる。」
    「で、でも部長、
    噂では神崎は暴走族の男とやりあったって・・・多少腕もたつのでは?」
    「学内で何か問題を起こせば、困るのはやつのほうだ。
    それに、やつにはそれなりの相手を用意してある。」
    「それなりの相手って・・・まさか・・・」
    「ああ、白川を呼ぶ。」
    「そんな・・あれは試合で相手選手をつぶして、
    出場停止になってるのでは・・・。
    学外でも暴力事件を何度も起こして、相手に大怪我をさせているって・・・
    そんなやつが素直に私達に協力するでしょうか?」
    「警察沙汰になったのは中等部のときの話だ。
    親の力ですぐもみ消されて、京都校から高等部はこちらに移動してきたが、
    今は大人しいものだ。話はつけてある。」
    「・・・そうですか。」
    「神崎め・・・絶対潰してやる。」

    影たちの話は続く・・・

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■15520 / ResNo.54)  駄犬のつぶやき
□投稿者/ チョビ ちょと常連(52回)-(2006/07/30(Sun) 11:04:42)
    梅雨が明けちゃいますね・・・
    小説はちっとも進まないのに(=_=;)

    妄想ばかりが広がって、書く力が追いついていかないです。
    なんだかますますわけがわからなくなりつつありますが、
    カッコいい文章が書けるようになりたいです。
引用返信/返信 削除キー/
■15521 / ResNo.55)  NO TITLE
□投稿者/ みぃ 一般♪(5回)-(2006/07/30(Sun) 11:26:32)
    チョビさん、ずっと楽しく見てます☆
    続き待ってるので頑張ってくださいm(__)m

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■15525 / ResNo.56)  お久しぶりですね♪
□投稿者/ T 一般♪(4回)-(2006/07/30(Sun) 18:35:37)
    梅雨も明け、やっと夏本番になりましたねー。

    チョビさん、かっこいい文章になってるじゃないですか^^
    いい感じですよ!頑張ってくださいね(*'、^*)b
引用返信/返信 削除キー/
■15544 / ResNo.57)   みぃさん
□投稿者/ チョビ ちょと常連(53回)-(2006/07/31(Mon) 11:54:09)
    ずっと見ていただけているなんて、光栄です。
    ありがとうございます。
    やっぱり感想をいただけるのが一番の励みになります。
    楽しい文章が書けるよう、頑張りますので、末永くお付き合い下さい。

引用返信/返信 削除キー/
■15545 / ResNo.58)  Tさん
□投稿者/ チョビ ちょと常連(54回)-(2006/07/31(Mon) 12:06:16)
    夏ですね〜、暑くて蒸しあがってしまいそうです。(^^;)
    夏ばて大丈夫ですか?

    少しでも、かっこいい文章って思ってもらえたら嬉しいですね〜。
    文章や言葉が上手だと、好印象ですから(笑)
    学園ものを書くにあたっては、勉強、運動、恋、友情、とか、
    いろんなことを表現できたらいいな〜と思っています。無理だけど(爆)

    夏本番に突入、精進したいと思います。
    (でも、遊びにも行きたいな〜(笑))
引用返信/返信 削除キー/
■16024 / ResNo.59)  僕の居場所37
□投稿者/ チョビ ちょと常連(55回)-(2006/08/20(Sun) 12:03:52)
    キンコーンカンコーン〜
    チャイムがなって、ホームルームが終わった。
    さて、それじゃあ空手部を覗きにいこう。
    僕が道場の窓から、中を覗き込む。
    ちょっと早かったかな、これから始まるところだ。

    「どうしたんですか〜?」
    声をかけられて顔を上げると、道着を来た人が立っていた。
    笑顔というか、ニヤニヤした感じで、なんだかちょっと嫌な感じだな。
    「あっ、いえ、空手部ってどんなことをするのかな〜と思って・・・」

    「それなら、体験入部をしていくといい。
    ちょうどこれから組み手をやるところだ。」
    後ろから声が聞こえて・・・この声は・・・
    ああっ、やっぱり・・・部長が立っていた。

    体験入部・・・
    ほんとはこっそり活動内容をみるつもりだったんだけど、
    そうもいかなそうだな・・・。
    有無を言わさない雰囲気だし、断ったら何されるかわからない雰囲気だ。
    部長は、会うたびに殺気立ってくるような気がする。

    「それじゃあ、お願いします。」
    僕は空手部に体験入部することになった。
    それにしても、周りの部員からちらちら見られているのが気になるな〜。

    準備運動が終わり、何組かで組み手をするのかと思ったら、
    僕の周りを部員達が囲っている。
    ふぅ〜ん・・・そういうことか。

    「せっかくだから、新入部員を優先してやるよ。」
    部長がそういって、部員の一人が前に出てきた。
    こいつら全員相手にしろってことか?

    ぎこちなく構える相手を軽くいなすと、顔面へ寸止めの突きをいれる。
    はい、一人目終了ね。
    一体何人相手をすることになるんだろ。
    くそ〜・・・ちょっと覗いて早く帰るつもりだったのに・・・

    10人くらいまでは、数えてたけど、途中からそんな余裕なくなってきた。
    なるほど、だんだんと相手もちょっとは強くなってくわけね、
    ゲームみたいだな。
    僕もじいちゃんにならって、護身術をやってたから、
    自分が弱いとは思わないけど・・・
    なんせ数か多いし・・・むきになって大怪我させるわけにはいかないし・・・
    相手の突きを交わして、後ろへ下がると、
    どかっとわき腹に衝撃がはしった。

    ・・・これだよ・・・あんまり動き回ってギャラリーに近づくと、
    そいつらも手を出してくるから、うかつに動けない。
    あと何人だ?最近、生活不規則だったからな・・・体力ないかも。

引用返信/返信 削除キー/

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