ビアンエッセイ♪

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■20917 / ResNo.70)  【〜Her Lingering scent〜E】
  
□投稿者/ 映美 大御所(255回)-(2008/06/09(Mon) 17:50:56)


    胸に顔を埋めた私の背中をルナは抱きしめた


    『エミィ 聞えた?』


    「うん…ア・イ・シ・テ・ルって聞えた…」


    やわらかな感触のなか耳に伝わるルナのハートの囁き…。


    『…ハートで愛を囁いたのはエミィだけよ…(微笑)』


    ルナの黒い潤んだ瞳の中に至福の笑みの私が映っていた…。


    幸せよ…ルナ 
    このままずっとこうしていたい







    雨のリズムが弱くなってきたねと窓のロールカーテンを引いたとき
    思い出したようにルナが訊いた


    『ねっ エミィ もしかして昨夜は家に帰ってないの?』


    そうだった…昨夜のこと
    今度は私がミサオとの事をルナに話す番だ
    コーヒーカップをテーブルに置きなおして深呼吸した


    「ごめんね ルナ 私…」


    『また謝るの? エミィ(苦笑)』


    「…昨夜、私も昔の恋人に会ったの…。でもね 誤解しないで ルナ…」


    『まだ何も訊いてないのに 誤解しようもないじゃない(苦笑)』


    ミサオとの出会い…と別れ
    そしてトオルのライブに急いでた日の偶然の再会から…
    昨夜を一緒に過した経緯まで全て話した


    ルナは、ただ頷いて最後まで話を訊いてくれていた


    『…エミィの恋した人 素敵な人だったんだね(微笑)』


    「そのひとの名前は?って訊かないのね」


    『昔の恋人の名前なんか 別に知る必要ないでしょ…』


    「そうだね…」


    『名前よりか訊きたいことひとつある』


    「何?」


    『エミィも その彼女を深く愛してた?』


    「…うん…愛してた」


    ルナは私から視線を逸らしクールな笑みを浮かべた


    『エミィ…私は過去には嫉妬しないよ』






    朝から降り続いていた雨が上がったのは
    夜になってからだった…


    『やっと雨が上がったね…』


    ルナが、窓を開けた


    涼しい風が部屋の湿った空気のなかを抜けたとき
    気のせいなのだろうか…
    ふっと…甘い香りが鼻先を霞めた気がした


    そうだ…あのコロン


    いつか洗面台の下で見つけたピンクの小瓶を思い出した 


    あの時、答えてくれなかった質問をもう一度してみよう


    「ねぇ ルナ…訊いていい?
    あのピンクの瓶のコロンは、誰のなの?」


    『…コロン?』


    「洗面台の下にあったでしょう…」


    ルナは一瞬、首をかしげた


    『洗面台?…。あ〜…あのコロンね』


    「…うん」


    『まだ気になるの?』


    私の頬に触れてルナは笑った


    『…あのコロンはサオリへのプレゼントにと選んで買ったコロンだった。
    でも 渡す前に別れた(苦笑)それで…当時ルームシェアしてたリッコに使う?
    って訊いたら  喜んで貰ってくれたの…。だから あれはリッコの忘れ物…』


    「そうだったの…」


    『もう 捨てなきゃね…』


    「リツコさんの忘れ物なんでしょう 捨てちゃっていいの?」


    『…いいでしょう 保管期間はとっくに過ぎてるもの(笑)』



    『この部屋の 〜Lingering scent〜残り香は エミィの香りだけ…ずっとね 』


    ルナの腕のなかに再び包まれたとき
    私の中で悶々と燻っていたすべての事が消え去った




引用返信/返信 削除キー/
■20921 / ResNo.71)  【〜believe in love〜@】
□投稿者/ 映美 大御所(256回)-(2008/06/10(Tue) 03:35:04)
    2008/06/10(Tue) 04:28:51 編集(投稿者)




    ミサオから電話があったのは、ロスに帰国する日の朝だった


    『今日、午後の便で発つね〜。エミ ほんと会えて嬉しかったよ
    いろんな話もできたし
    なによりも…エミがいま幸せだって確認できたから 安心してロスに帰れるよ』


    電話の向こうのハスキーボイスはだんだん遠ざかっていく


    「ミサオさん ありがとう…。…見送り拒否は寂しかったけど…」


    『あっ いいよ エミ 今から見送りきてくれてもさ〜』


    「えっ いいんですか?」


    『うん そのかわりパスポートを持って 覚悟してきなさいよ(笑)』


    「ミサオさん…」


    冗談よと受話器の向こうで笑うミサオの懐かしい声の響きに
    ミサオさんもどうか幸せになって…と心から願った 
     
    あなたの夢と活躍を遠くから見守っています
    いつまでも輝いていてください

    ミサオさん 
    私を愛してくれてありがとう…。


    見上げた空には…ひこうき雲がきれいな直線を描いていた…。









    ルナと出会ってから三つの季節が過ぎ…


    ふたりで迎えた四つ目の季節は桜が咲く…春になっていた


    夜桜を見に行こうかと仕事帰りにいつものターミナル駅で
    ルナと待ち合わせをした

    前を歩くカップルが立ち止まりながら桜並木をカメラに収める姿に
    私たちも撮ろうとルナが携帯の画面をカメラにした

    やっぱ写真撮るの下手だな〜とルナが画面を見て笑った


    『あっ そうだ 写真で思い出した! リッコが今度の日曜一緒に食事に行こうって エミィの予定はどう?』


    「ええ、もちろん大丈夫よ」


    『じゃあ OKの返事しておくよ、なんでも今月末にはニューヨークに行くらしいから、来週しか空いてないって言ってたからね』


    「ニューヨーク?」


    ルナの話によるとリツコの恋人がニューヨークに転勤になり引越しやらの手伝いにいくのと
    リツコの父もいまニューヨークでカメラマンで活躍していて どうやらリツコも向こうに住み
    父の仕事を手伝うらしいとのこと…ようするに彼と同じ地に住みたいのだろうということだった


    「そうなんだ 恋人が出来たんだね リツコさん…」

    (恋人ってあの時の人なのかな…?)
    BARで、スーツ姿の男性と親しそうにお酒を飲み話し込んでいた
    リツコの顔が浮かんだ


    『またニューヨークなの?って言ったらリッコは偶然よって笑ってた』


    「また?って」

    『エミィ リッコから訊いたでしょう?以前好きな彼を追ってニューヨークまで行って実は彼がゲイだったから振られたって話』 


    「あ…うん…」


    あの時 ルナとの思い出を語るリツコの大きな瞳のなかに
    紛れもなく嫉妬の炎が見えた気がした


    『今度の彼はゲイじゃないらしいから安心したけどね(苦笑)』


    ルナの寂しい表情は、親友が遠くにいくからだろう
    ただそれだけ…なのだろうか
    胸がざわめくのは何故だろう
    なにかが起きる予感がするのは…気のせいだろうか


    ううん 何も起きるわけないじゃない
    ルナの愛を信じてるもの


    『あ…この桜の木…綺麗だね』


    ルナが立ち止まった


    ふたりの間を花弁がハラハラと舞う
    その桜の木にアングルを合わせながらルナが言った


    『ねっ エミィ…。一緒に暮らさない』


引用返信/返信 削除キー/
■20922 / ResNo.72)  【〜believe in love〜A】
□投稿者/ 映美 大御所(257回)-(2008/06/12(Thu) 02:50:10)

    翌週の日曜の午後


    ルナと向かったのは欧風レストラン
    リツコとの待ち合わせの時間5分前に到着した


    重いドアを押して入ると、すぐ目の前に立つ女性が振り向いた


    リツコだった


    「あっ…ルナ〜♪ グッドタイミングね 私もいま来たとこなのよ」


    大きな瞳を輝かせリツコはひさしぶりねとルナの腕に腕を絡ませた
    その何気ないスキンシップにふたりの長年の仲を垣間見た気がした


    「…リツコさん お久しぶりです」


    私の声にハッとしてリツコはルナの腕を離した


    「あ、エミさん こんにちは〜(微笑)さっ…席に行きましょう」


    先に歩き出したリツコの後ろで、そっとルナの手を握った
    妬いてるの?とルナの瞳が笑っていた






    席に着いてすぐにルナとリツコは互いの仕事の話を始めた
    私はふたりの会話には入っていけなくて ただ、メニューを眺めていた


    ルナがそんな私の様子に話題を変えた


    『ねっ リッコ 彼はあとからくるの?』


    「ううん 彼はこないわよ〜。一応 誘ったんだけどね 
    どうやら女性ばっかりに、囲まれるのが苦手らしいわ(苦笑)」


    『えっ 女性が苦手って ねえ リッコ その彼は大丈夫なの?(笑)』


    「ルナったら〜、今度は大丈夫よ ご心配なく(笑)」


    リツコと笑い合うルナが…まるで別人のように明るく感じた
    どうしてそんな屈託のない笑顔が自然にできるの…

    ルナの横顔を見詰めた
    (私にはそんな顔 見せないよね…)


    私の視線に気づかずにルナは二人の馴れ初めを訊いている
    待ってましたとばかりにリツコはお惚気話を始めた


    「彼はね 今まで出会った人のなかで一番私を愛してくれてるって感じた人なの」


    『リッコは恋すると熱くなりすぎるから、心配よ 』


    「あら よく言うわ ルナだってすぐ燃え上がっちゃうじゃない(笑)
    私がよく知ってるわ だってあの人の時だって…」


    リツコは…ハっと口を押えてルナに目で詫びた


    きっと…あの人とはサオリのことだろう…
    私は聞こえなかったふりをして料理を口に運んだ


    もう何を聞いたって平気…
    一番愛されてるって自信あるから…
    ルナの愛を信じてるから…





    食事をしながら他愛もない話を
    3人でしながら時間は過ぎていった

    ふと思い出したようにリツコがミチコの名前を出した

    ミチコと私が従姉だということを訊き世の中狭いねと
    言うと同じく仕事でミチコと関わったルナも大きく頷いた
    (そういえば…最近 ミチネエに会ってないな…また連絡してみよう)




    コース料理の締めくくりのデザートが運ばれた


    季節のフルーツがトッピングされた
    小さなケーキがお洒落な大皿のなかで品よく並んでいた


    ケーキを食べ終わり…
    リツコが向かいに座る私とルナを交互に見詰めた


    「ねぇ ルナとエミさんは一緒に暮らさないの?」


    私たちは思わず顔を見合わせた


    それは…先週ルナと話し合ったばかりのことだった
    桜の木の下で一緒に暮らそうと言ってくれたルナに私は首を縦に振れなかった

    家を出ることができない
    私の家庭事情があったからだった。

    視線を落とす私の横でルナが笑って答えた


    『勿論、近いうちに一緒に住むつもりでいるよ…』


    「そっか〜、よかった 安心したわ! エミさん…私ね、ルナとこんな遠くに離れるのは初めてなの…」


    リツコは大きな瞳を潤ませた


    「ねぇ エミさん…ルナのことお願いね…」




引用返信/返信 削除キー/
■20924 / ResNo.73)  【〜believe in love〜B】
□投稿者/ 映美 大御所(258回)-(2008/06/13(Fri) 13:10:07)

    4月最後の週の木曜日…


    リツコがニューヨークに出発する日
    空港まで見送りにいってくるねとルナからメールがあった


    私は、その頃 オフィスの窓から空を眺めていた


    "ルナのことお願いね"…と潤んだ瞳で言ったリツコと
    "今度の彼はゲイじゃないから安心したよ”と笑ったルナの寂しい瞳


    今頃 二人はどんな会話をし別れを惜しんでるんだろうか


    リツコの大きな瞳から毀れる涙をルナが拭ってる場面が浮かんだ

    ねぇ ルナ…
    ふたりの間には私の知らない何かがあるの…?

    私は首を振った

    ううん…二人は仲のいい大親友 それだけよ…



    「ちょっと〜エミ 大丈夫?」


    隣のデスクの同僚が肩を叩きパソコンの画面を指差した

    ぼんやりしてて無意識にキーボードに指が触れてたのだろう
    意味不明な文字が画面いっぱいに並んでいた…

    「あ〜ほんとだわ〜、私ったら〜(苦笑)」






    終業のベルとともに亜紀子が私のデスクに飛んできた


    「ねっ エミ〜、帰り予定ある?」


    『ううん 別にないけど どうしたの〜?』


    「エミに渡したいものがあるんだ〜 ねっ 帰り、駅前のカフェにシフォンケーキ食べにいこう〜♪」


    『OK いいわよ〜、その嬉しそうな顔はきっといい話ね』


    「そう いい話だよん〜。 でもエミにとってはどうかな〜(笑)
    さっ 早くいかなきゃ シフォンケーキ品切れになっちゃうよ〜」


    せっかちな亜紀子は私の腕をとりロッカールームに引っ張っていく






    向かいに座った亜紀子が、メニューを閉じて座りなおした


    「エミにはね 郵送じゃなく 直々に渡したかったんだ〜 ハイ!」


    なにやら白い封筒のようなものを両手で渡された



    受取った白い封筒には金の箔押し寿シールが貼られていた
    それは結婚式の招待状だった

    日時 6月○日 土曜日
    挙 式 午後12時より
    披露宴 午後13時より

    と書かれていた


    「エミ〜 もちろん出席してくれるよね♪」


    『あたりまえじゃない〜、亜紀子おめでとう(微笑)
    そっか…2ヶ月後には亜紀子は奥さんになっちゃうんだね』


    「やだ〜エミ 奥さんだなんて 照れちゃうよ〜」


    幸せそうに笑う亜紀子を羨ましく思った
    6月の花嫁〜ジューンブライド〜なんだ…


    2ヶ月前は同僚のあゆみの披露宴に亜紀子と出席した


    みんなどんどん結婚していくんだ…
    寂しさじゃない 言い知れぬ虚しさが胸に広がった


    私とルナはこれからどうなるのかなとふっと思った



    勿論 いまだって十分 幸せ…
    だけど、いま以上 二人を結ぶ絆ってなんだろう
    ずっと一緒にいることは当たり前だけど
    見えない未来…
    それは…本当に叶うのだろうか
    頭の中でいろんなことが過ぎった



    シフォンケーキを口に運びながら亜紀子が私の顔を窺った


    「どうしたの〜エミ? 急に黙り込んじゃってさ〜、もしかして焦ってる?(笑)」


    『えっ…』


    「大丈夫よ 次はエミ〜の番だよ 私の投げたブーケちゃんとキャッチしなさいよ〜♪」


    『そ、そうだね…がんばってキャッチするわ・・・(苦笑)』


    心の中で呟いた…
    (そのブーケを受取ってもね わたしは結婚なんてできないのよ…亜紀子)





引用返信/返信 削除キー/
■20930 / ResNo.74)  【〜believe in love〜C】
□投稿者/ 映美 大御所(259回)-(2008/06/18(Wed) 17:15:23)

    スクランブル交差点が黄色の点滅から赤に変わった


    後ろから足早に私を追い越そうとした人が
    信号の赤にあきらめて立ち止まった


    すぐ前に立ったベリーショートの女性に
    思わず あっと声が出た


    『もしかして…ミチネエ〜?』


    「えっ…」


    私の声に振り向いたのは間違いなく従姉のミチコだった


    「お〜!エミ〜じゃん ひさしぶり〜♪」


    ミチコは両手を広げておどけたポーズをした


    信号が青に変わり周りの人波が動き出した 
    互いの近況を話しながら交差点を渡った


    『ミチネエはもしかして仕事?』


    「ううん 今日は友人とデートだったんだ〜(笑)まったく色気ないよな〜」


    相変わらずさばけた口調のミチコは私に、エミはデートかと聞いた


    『うん デートでした…友人とね(笑)今 帰るとこなの』


    予定がないなら夕飯でも食べに行こうかとミチコが誘った
    ルナは、今日 仕事で忙しいから会えないといっていたから
    もちろんOKのふたつ返事をした


    ミチネエと会うのは何ヶ月ぶりだろう
    色々聞いてみたいことも聞いて貰いたい事もあった…


    駅までの通りにある和食の店に入った
    席に座り 何から先に話そう…思案してると
    先にミチコがきりだした


    「あ、そうそう エミ 勿論知ってるよね? リツコがニューヨークにいったこと」


    『うん…』


    ミチコとリツコは仕事仲間だった 知ったときは意外な繋がりで驚いた
    ルナとも数年前にブライダル特集の記事を通じてミチコと会っている


    不思議なものだと思った…
    私がルナと出逢うずっと前から3人は関わり合っていたなんて


    「もう、向こうに行って2週間か〜、リツコ 大丈夫かな?」


    煙草に火をつけながらミチコがちょっと心配顔をした



    『大丈夫って?』



    「うん リツコの今の彼 ちょっと知ってるんだ あまりいい噂 聞かないからさ
    ちょっと心配だなって思ってさ〜」



    ミチコの話によると、その彼はバツ一で離婚の原因も同時にふたりの女性と
    付き合っていたことだとかで結構問題多い人らしかった
    リツコには一応忠告はしたものの、私は大丈夫だからときっぱり言われれば
    それ以上、他人の恋愛事に口は挟めないでしょうと苦笑いをした


    ふっとルナの顔が浮かんだ


    きっと、知らないはずよね
    リツコが言うわけないだろう
     
    ルナが訊いたらどう思うだろう…
    一番の親友のリツコのこと きっと心配するに違いないだろう…



    「そういえばさ、ルナさんは元気?」



    ミチコがタイミングよく質問する

    たぶんルナと私の仲をミチコは気づいているはず
    この機会にちゃんと話しておかなきゃ…


    『ミチネエ…、実はルナと私は…ね…』

    神妙な表情に何かを察したのだろう
    私の告白を最後まで聞かずにミチコは言った


    「知ってるよ エミ(微笑)私はちゃんと理解してるからさ…」


    そしてふ〜っとタバコの煙を吐きながら
    やっぱ血は争えないねと笑った


    この日、何年も聞けずにいた
    ミチコの本当を知った夜でもあった







    その頃ルナは…






    いつものように次の企画の打ち合わせが終わり
    帰り支度をしていると、上司に呼ばれた


    社長が話しがあるからと
    近くの割烹料理店に連れていかれた



    「ルナくん…実はな私の友人がニューヨークで日本人向けのコミニュティ情報誌など
    手がけてる出版社と取引があって、今、ライターを探してるということなんだ」


    「それでだ・・・単刀直入に言うが、向こうで仕事をしてみないか?」


    『えっ…あの…ニューヨークでですか?』


    あまりの突然のことに言葉に詰まった


    「入社時 面接で君は将来は海外で活躍するフリーライターを目指してるといってたね。
    うちにいても小さな仕事しか回ってこない。君は優秀だ、他からの評判だっていい 
    君の才能をもっと伸ばしてやりたいと思ってる」


    『あの…でも私…』


    社長は喋り続けた


    「君の夢の一歩になるきっかけができるチャンスかもしれないと思ってね
    なんでも君はニューヨークに友人もいるらしいじゃないか
    向こうで知り合いもいれば心強いだろうしね」


    リツコのことは、カメラの仕事を依頼したりされたりで何度か上司に紹介もしたことがあった
    最近、ニューヨークにいったことも上司に報告してたから社長も耳にしたんだろう


    頭の中でいろんなことが駆け巡った
    たしかに私には夢があった

    あきらめているわけじゃないけど
    でもいますぐには…


    エミィ…


    一番に頭に浮かんだのは愛しい人だった



引用返信/返信 削除キー/
■20934 / ResNo.75)  【〜believe in love〜D】
□投稿者/ 映美 大御所(260回)-(2008/06/19(Thu) 03:19:23)
    2008/06/19(Thu) 07:58:18 編集(投稿者)






    いつものようにルナの部屋で過ごす週末の夜


    窓に月が見える頃に
    今夜もそろそろ、帰らなきゃ…と交わすさよならのkiss


    「ねぇ ルナ…」


    『あのさ…、エミィ…』


    離れた唇が…同時に動いて顔を見合わせた



    「あ…何?…ルナから先に話して…」


    『……』


    ふたりの躊躇う瞳が交差する…


    もう少し話そうかと…ルナが私の手を引く
    ふたりでソファに座りなおした


    テーブルに置かれたシガレットケースから
    ルナは一本タバコをとりだす
    スマートに火を点けるその指先を見詰めた


    『エミィの話を先に聞かせて…』


    ルナの瞳は窓の外の月を映していた



    私がルナに言いたかったのは
    ミチコから先日 聞いたリツコの恋人の噂だった

    黙っていようと思ったが、私も気になったことだし 
    一応ルナの耳に入れとかなきゃと思ったからだった



    「ねぇ ルナ…、あれからリツコさんから連絡あった?」


    『うん、メールがきたよ…どうして?』


    「リツコさん…元気にしてるのかなって思ってね(苦笑)」


    『巨大な街(ニューヨーク)に馴染むには大変ね
    時間はかかるけど頑張るわって…書いてた
    メールの文面からは 元気な様子だったよ』


    ルナは、立ち上がり窓を少しあけた…


    タバコの煙が窓の外に流れていく


    『エミィが聞きたいのは…それだけ?』


    「あのね…実は先週、ミチネエと会ったの…それでね…」


    ミチコから訊いたことを、そのまま話すとルナは
    一瞬 曇った表情をしたが、すぐにいつものクールな笑みを浮かべて答えた


    『エミィはおせっかいだね 人の彼氏の噂話なんかどうでもいいじゃない(苦笑)
    そんな彼でもリッコは愛してるんだからさ…。私達が心配することないよ』


    今度は私が話す番だねと
    ルナが手にしたタバコを灰皿にもみ消して…窓を閉めた



    『本当は 今日 言うつもりじゃなかった…。まだ迷ってたからね』


    「…何を迷ってたの?」


    『随分 一人で考えてた…エミィにも意見を訊かなきゃとかね 
    でもね いま…リッコの話を訊いて 自分の中ではっきり答えが出たよ』


    「答え…?」


    ルナが私の肩を抱きしめた


    『それは…エミィと離れたくないってことよ』



引用返信/返信 削除キー/
■20941 / ResNo.76)  NO TITLE
□投稿者/ m 一般♪(1回)-(2008/06/22(Sun) 21:58:33)
    はじめまして!(〃∇〃) 毎回 更新されるたびにドキドキしながら読んでます〜!
    更新楽しみに待ってま〜す!頑張ってください!! ちなみに私はルナファンで〜す(*^▽^*)ゞ

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■20947 / ResNo.77)  こんばんは^^
□投稿者/ レオ 一般♪(1回)-(2008/06/23(Mon) 21:40:50)
    こんばんは 映美さん^^

    たくさん更新されてますね〜^o^
    ハラハラしながら、一気に読んじゃいました♪
    ルナとエミ 何だかイイ感じ…? なのかな←
    エミの不安が、少し気になるんですけど… こうご期待ですね(笑
    引き続き、更新楽しみにしてます^^

    梅雨時期です。随分憂鬱な日々が続いてますが
    お身体気をつけて、ガンバってください^^
引用返信/返信 削除キー/
■20952 / ResNo.78)  mさんへ^^
□投稿者/ 映美 大御所(261回)-(2008/06/26(Thu) 13:53:23)
    はじめましてmさん^^

    コメントありがとうございましたm(__)m
    読んでいただいてるというお声とても励みになります^^

    物語もいよいよ佳境に入ってきました
    引き続き更新 頑張りますので
    最後まで【ルナとエミ】に
    お付き合い下されば嬉しいです^^


      映美
引用返信/返信 削除キー/
■20953 / ResNo.79)  レオさんへ^^
□投稿者/ 映美 大御所(262回)-(2008/06/26(Thu) 14:05:26)
    レオさん お久しぶりですね^^

    ハイ 最近、更新頑張っています(苦笑)

    【ルナエミ】完結を急がなきゃと夜更かし
    多しで頑張っていますが…この頃は
    やはり睡魔には勝てなくて^^;

    レオさんにご感想を頂くようになってから
    はや1年ですね…
    こんな拙い物語にくれるレオさんの言葉が
    いつも励みになっています^^
    あらためて ありがとうございますm(__)m

    これから ルナとエミにはハラハラな
    展開が続きそう?な感じですが…
    どうか最後までお付き合い下さいねm(__)m

    梅雨時 憂鬱な気分の時は
    好きな音楽聴いて笑顔で乗り切りってます^^

    レオさんも どうかお身体気をつけてくださいね


         映美
引用返信/返信 削除キー/

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