| 『こんなに激しく動かさないで下さい。
また発作が起きたら苦しいですよ…。』
そんな事を言いつつも 本当は、私も同じ位ドキドキしていた。
そして、自分と同じ様にまなみもドキドキしている事が
少しだけ、嬉しかったのも確かだ。
「もっと…
どきどきしたい。
颯に…どきどきしたい。」
ずるいって。
私はまなみを抱き締めて頭を撫でながら 必死に理性を保つ為に自分の本能を抑えた。
『颯にね、頭撫でられるの好きっちゃん。
一番安心する。』
「じゃあ、一緒に住んだら毎晩撫でてあげますよ。」
『ケンカした日も?』
「毎日です。
なんなら、今ここで誓いますよ?」
『信じる。
颯は、嘘つかんもん。』
「ケンカ…するんですかね?
私達。」
『そう言えばした事ないね。(笑)
颯にはイラっとした事すらないなぁ…
颯は?実はイラっとしても我慢してる事とかある?』
「ないですね。
先輩はいつでも私の味方でいてくれてますから。」
『それはこっちの台詞やけん。
正直、入院してると誰にも会いたくない日があるっちゃけど…
そんな時でも、颯にだけはいつでも会ぃたぃもん。』
「嬉しい事ゆ-てくれますね。」
『本当だよ?』
抱き合ったままで そんな話をした。
私の胸元で
『颯の匂いやぁ。』
と言って嬉しそうにしているまなみの体は
悔しくなる程にか細くなっていて
まるで子供を抱き締めているようだった。
『さ、先輩
横になって。』
そう言ってベットに寝かせると
「え…もう帰ると……?」
と、子犬の様な目で私を見つめるまなみ。
『一回帰ってお弁当作ってきます。
なにが食べたいですか?』
すると目を輝かせて
「ほんとに?? やったぁ!
何でも食べたいけど。。。
じゃあね〜…美味しいスープが飲みたい♪
あとはお任せっ!」
と言って両手を広げた。
私はもう一度まなみを抱き締めて
「いい子で待っててください。」
と言うと、荷物を持ってドアへ向かう。
『颯…っ。』
振り返ると 不安そうな顔をしたまなみが
「寂しいけん、はよ帰って来てね?」
と手を振りながら言った。
はい、と微笑んでドアを出た途端……
(携帯)
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