ビアンエッセイ♪

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■22199 / 親記事)   すこしづつ…U
  
□投稿者/ 桃子 一般♪(44回)-(2017/03/01(Wed) 15:22:56)
    長くなってしまったので

    新しくしました(^^♪
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■22200 / ResNo.1)  Re[1]: すこしづつ…U-1
□投稿者/ 桃子 一般♪(45回)-(2017/03/01(Wed) 15:25:03)
    「ヒロって 自分の小さい頃の話 したりする?」

    お姉さんに訊かれて…

    「そういえば あんまり ないかも…」

    「あれでも 子どもの頃は よく笑うかわいらしい子どもだったのよ(笑)」

    「それが…」

    「いつの間にか 家族とも 殆ど口をきかなくなって…」

    「気がつけば 1匹狼…」

    Madamとお姉さんの掛け合いは テンポが良くて ユーモラスだ…

    だけど 話の内容は…

    「ハッキリしたことは わかんないし 本人も 言ったことがないから
    あたしの勝手な憶測だけど…
     自分のセクシュアリティを自覚し始めた頃からじゃないかな…距離を置き始めたのは…」

    お姉さんの言葉に 何かを思い出したように Madamが言った。
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■22201 / ResNo.2)  Re[1]: すこしづつ…U-2
□投稿者/ 桃子 一般♪(46回)-(2017/03/01(Wed) 15:31:48)
    「中学3年の夏休みの終わり…明日から 2学期って言う時に…あの子 家族に宣言したの…」

    「そうだった そうだった(^.^)」

    「何を?…」

    恐る恐る訊いてみた。

    Madamもお姉さんも それまでの笑顔とは 打って変わって…

    「自分は 男性を好きになる人間じゃないって…
     そのことで 家族に迷惑をかけるようなことはしないから『 結婚しろ』とだけは 言わないでくれ…
     気持ち悪がらせて 申し訳ないけど あと半年 義務教育の間は 家に置いてくれって…」

    (そんな…)

    「高校は?って聞いたら…」

    「寮のある会社に就職して そこから 夜間高校に通うって…」

    「ビックリしたのは 父親で…ヒロ自身のことを どうしても受け入れられなかったのね…
     即座に 大学までの面倒は見てやるから 今スグ 出ていけ!って…啖呵切っちゃった…」

    「あの子も わかりました なんて言っちゃって…」

    「どうなったんですか?」

    (中学生の子どもに そこまで言う?)は 飲み込んだ…

    「ウチで引き取ることにした」

    いつの間にか ビールを取りに来たお兄さんが 後ろに立っていた。

    「えっ?」今度は 飲み込めなかった…

    「アレは ウチのお袋サンの兄さん…おれ達の伯父さんチの子…ホントは おれ達の従妹なんです(^.^)」

    「じゃあ ヒロ君に 啖呵切ったのは…マスターじゃなかったんですね?」

    「恭子さん 心配するところ そこ?(笑)」

    「あっ…」

    お姉さんのひとことで 緊張がほぐれた。
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■22202 / ResNo.3)  すこしづつ…U-3
□投稿者/ 桃子 一般♪(47回)-(2017/03/01(Wed) 15:36:11)
    「で 次の日…学校から帰って来たヒロを そのまま連れて来ちゃった(笑)」

    Madamが さりげなく言った。

    「伯父も伯母も いい顔しなかったけどね(笑) 」

    お兄さんが 話を続けた。

    「でも この人…子どもの必死な思いを ちゃんと受け止められない親と一緒に暮らすのは
     ヒロが気の毒だって 籍も ウチの子にするから!って 言い切っちゃって…
     さっさと養子縁組の手続きまでしちゃった(笑) 」

    「ついでに 名前もね(笑)」

    お姉さんが 何でもないことのように言った。

    「えっ?」

    「読み方は そのままで 漢字だけ…ウチは 2人とも 海 の字を使ってるから ヒロもね…」

    お姉さんは 美海さん お兄さんは 海人さん…そして…宏海…

    「多分 ヒロも 今の方が気に入ってると思うな」

    お兄さんが 自信満々に言った。

    「驚いた?」

    Madamに訊かれて…つい 訊いてしまった。

    「どうして スグ次の日に 動けたのですか?」

    「ああ…それは…あの子のお兄さんが 海人に 電話かけてきたの…親父をなだめてくれって…
     で こっちはこっちで緊急家族会議を開いて(笑) こういうのって スピードが肝心でしょ(^.^)」

    (何処か一つでも欠けていたら 私は コウちゃんに出会うことが出来なかったんだ…)

    「さっき あの子は ウチだと 殆ど話さない とか リビングに居ない なんて言ったけど…
     それって どこの家庭でもあることでしょ?(笑) 恭子さんも覚えない?」

    「あります…」

    「それと同じことだからね(^.^)」

    Madamの言葉の外の思い は 深い…

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■22203 / ResNo.4)  すこしづつ…U-4
□投稿者/ 桃子 一般♪(48回)-(2017/03/01(Wed) 15:39:25)
    「さぁてと 出来たよ〜(^-^) お肉も野菜もたっくさんあるから どんどん食べちゃって!」

    「ヒロ! テーブル片づけて 食事の用意して!」

    「ハイハイ…」

    「ハイ は1回!」

    何処の家庭でも見られる光景が ここにもあった。

    「恭子さん 何飲む?」

    お兄さんに声をかけられて 一瞬 言葉に詰まった。

    「いえ 私は…」

    「そんなコト言っても ダメですよ〜(笑)」

    「いえ ホントに…」

    「飲めない?」

    「いや 全然イケる…」

    私が答える前に コウちゃんが 言った。

    (コウちゃん そんな平然と言わないでよ!(>_<) )

    「じゃ 決まり(^.^) 親父さんの とっておき 開けちゃう?(笑)」

    「それ いいかも!」

    お姉さんが はしゃいだ声で言った。

    「水割り? ロック?」

    「あっ ロックでお願いします」
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■22204 / ResNo.5)  すこしづつ…U-5
□投稿者/ 桃子 一般♪(49回)-(2017/03/01(Wed) 15:40:58)
    いつの間にか コウちゃんが 人数分のグラスと氷とチェーサーを用意していた。

    「ヒロが作ってくれるの?」

    Madamが声をかけた。

    「うん」

    「コレの作るお酒って 美味しいでしょ(^.^)」

    お兄さんの屈託の無さに 思わず

    「ハイ」

    「選ぶワインも 間違いないでしょ?」

    「ハイ」

    「ガキんちょのクセに こういうとこ 敵わないんだよなぁ…」

    きっと コウちゃんも お兄さんのこういうストレートなところに脱帽しているはずだ…


    美味しいすき焼きと 美味しいお酒で 楽しい夜だった。
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■22205 / ResNo.6)  すこしづつ…U-6
□投稿者/ 桃子 ちょと常連(50回)-(2017/03/01(Wed) 15:42:53)
    「ちゃんと 安全運転で帰りなさいよ」

    「わかってる…着いたら 電話するから…」

    「恭子さん いつでも遊びに来てね」

    「ありがとうございます」


    行きの時間を思うと 帰りは アッと言う間だった。

    部屋に戻るまで 2人とも あまり喋らなかった…

    「みなさんに よろしく伝えてね」

    「了解です(^^♪」

    「じゃ…」

    「うん…」



    お風呂の中で 色々思った。

    想像も出来ない世界の話だったような気がするが これは 私の大好きな人の身に起こった現実だ。

    コウちゃんは どんな風に耐えて 乗り越えてきたのだろう…

    無性にコウちゃんに会いたくなった。

    ずっと一緒に居たのに 心が コウちゃんを求めていた。
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■22206 / ResNo.7)  すこしづつ…U-7
□投稿者/ 桃子 ちょと常連(51回)-(2017/03/01(Wed) 15:45:12)
    ドアのカギは 開いている。

    リビングは明るい。

    「コウちゃん…」

    コウちゃんは 窓際に立っていた。

    窓ガラスに映る私をみて ゆっくりと振り向いた…

    「おかえりなさい (^-^)」

    「何みてたの?」

    「特に 何 ってわけでもないんですけど…
     今日は お疲れさまでした…何か飲みます?」

    「ううん…今はいい…コウちゃん…」

    「はい?」

    「あたし…色々聞いちゃった…」

    「ん?」

    「その…コウちゃんが…ホントは…」

    「坂本家の子になったいきさつ?」

    「うん」

    「そっか… 聞いちゃいましたか…ビックリしたっしょ(^.^)」

    「うん」

    「気分 悪くさせちゃいました?」

    「ううん そんなことない…驚いたのは驚いたけど…
     ただ…コウちゃんの居ないところで聞いちゃってよかったのかなって…」
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■22207 / ResNo.8)  すこしづつ…U-8
□投稿者/ 桃子 ちょと常連(52回)-(2017/03/01(Wed) 15:49:49)
    向き合ったままの会話に気が付いたコウちゃんが 私を 自分の方へ抱き寄せてくれた。

    ふたりでソファに座った。

    「ずっと黙ってるつもりはなかったんです。いつかは…って思ってました。
     けど…自分では そのタイミングが見つけられなくて…
    グズグズしている内に あの2人に 持ってかれてしまいましたね(^^; でも…そっちの方が良かったのかもしれません…」

    「うん…私もそう思う…2人っきりだったら…どうしたらいいか 混乱しちゃってたかも…」

    「ですよね(笑) 多分 Madamもミィも その辺 わかってたんじゃないかな…
     で…それを わざわざ?…」

    「ううん…それは言い訳…ホントは…コウちゃんに会いたかったの…」

    「うん…いつも思ってます…壁1枚 ドア1枚 が 高くて大きくて…困ってます…でも…」

    「でも?」

    「恭子さんが そのドアを開けて入ってきてくれるって 知ってるから…」

    「バカ…そういうことは ちゃんと言ってくれなきゃわかんないじゃない!」

    「すみません…言葉の足らないヤツで…」

    「あっ!今のひとことで思い出した!あたし…ちょっと 怒ってるんだった…」

    「なに?」

    「なに じゃないわよ! どうして教えてくれなかったの? マスターと親子だってこと…」

    「フフフ…」

    「フフフって…あたし…知ってたら…」

    「知ってたら?」

    「あんなに お店に通わなかったのに…明日から どうすれば…」

    「いつも通りでいいですよ(笑)」

    「そんなコト…」

    「出来ない?」

    「出来なくはないと思うけど…」

    「でしょ? 正直言うと…恭子さんを驚かせたかったんです(^^♪」

    「コウちゃん! それは いくらなんでも 黙り過ぎだと思う…」

    「以後 気をつけます(^.^)」

    「それでよろしい(笑) 」

    「はい(^-^)」

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■22208 / ResNo.9)  すこしづつ…U-9
□投稿者/ 桃子 ちょと常連(53回)-(2017/03/01(Wed) 15:51:47)
    私の好きな静かな時間が流れ始めた…



    「コウちゃん…あたし…」

    言いかけて 冷静になった。これ以上は 口にしてはいけない…

    心の何処かでブレーキがかかる音がした。

    (帰らなくっちゃ!)

    「帰るね」

    コウちゃんは いつものように 優しく頷いた。

    それだけで十分だ。
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