| 童僕、この中国大陸で主人の世話をする子供の奴隷のこと。
村一番のお金持ちだったわたしの家にも童僕はいた、ただ働いているだけで、お母さんもお父さんも優しかったから「それ以上」のことは求めなかった。
わたしの周りで働く高額でかった綺麗な童僕、そして幸せな両親、そのときは、ただ、ただ幸せだった。
だけどわたしの身、いえ、わたしたちの身に「ありがちなどこにでもありそうな不幸」が訪れた。
火、それは全てを焼いた、原因はお父さんが買った花火の暴発、珍しいもので祭りのときに使うためにお父さんが大枚をはたいて買ったそうだ。
結局のところお金で作ったものがお金のお陰で買えた物に焼かれたってわけ。
でも火事はお金で作れなかったものも奪っていった、お父さんにお母さんにお婆ちゃん、従者、そして童僕たちの命。
中華では珍しく一人っ子だったお父さん、そのせいで身寄りもいない、本当に孤独ってこと。
で、お父さんには返済し忘れてた「ちょっとした負債」があった。
そう、ほんの30万元、そのお陰で私は奴隷商に売られた、ああ、ありがとうお父さん、私はホンとに幸せだわ。
売られた頃の私じゃこんな皮肉は言えなかったと思う。
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