| 第十三話 冴と玲、冴の母 冴の邸宅 冴と玲は手をつないで、監察院から帰ってきた。二人で冴の母親に結果を報告する事になっていた。 冴は美しくて厳しい母を、成人した今も恐れている。 「ご心配をかけ申し訳ありません。今日、監察院でマザーの裁定を聞いて参りました。私たちの神聖な契約を認めて下さるとの事です」 「お咎めはどうなりました?」 「玲の、悪癖については、パートナーになる私が、きちんと躾けるように、との仰せです。検査の時の行為は、口頭でのご注意をいただきました」 玲は顔を赤らめうつむいている。 「玲さん、反省した?」冴の母が厳しい声で言う。 「はい。もう二度としません」 「あなたも、この家の娘になるのなら、悪い癖を完全に治してもらわなければなりません」 「はい」 「オナニーはとても恥ずかしい癖です。本当にあれから一度もしていない?」 「・・・・」玲は下を向いて黙り込んでしまった。 「一度覚えると、完全に止める事が、難しい癖なの。あなた、まだしているのね」 素直で正直な、玲は嘘をつくことが出来なかった。 「ごめんなさい」と言って涙ぐむ。 「特別な治療が必要ね。冴も子供の時に、一度受けました。玲さんにも経験してもらうわ」 母の言葉に冴の顔が赤くなった。10才の時に受けたお仕置きを思い出したのだ。 冴がまだ、幼く性の意味も分からなかった頃、股間を手でこする事があった。 オナニーをするという意識も全くなかったが、ある日母に見咎められた。 血相を変えた母に、叱られ、悪い癖を治すためのお仕置きを受けた。 その時の、恐怖と恥ずかしさは、今も忘れられずにいる。 自分が、性に関して、潔癖なのはそのせいかもしれないとも感じていた。 「お母様、あの時私は、まだ小さな子供でした。玲は大人です。大勢の前で裸になるのは、可哀想です」 母の平手が冴の頬を打った。 「何を言っているのです。恥ずかしい思いをさせ、体で分からせる必要があります」 冴も玲も、もう逆らう事は出来なかった。 「冴、あなたが玲さんをお仕置きしなさい。やり方は覚えているわね」 「はい。わかりました」答えた、冴の顔色が少し変わっていた。 愛する婚約者に、お仕置きをする。自分が興奮しているのが、分かった。 「玲、覚悟して。あなたの為だから」 玲は不安そうにうなずいた。
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